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FX入門・基礎マニュアル|取引にあたっての「心構え」編

初心者のためのFXコラム FX攻略.com 2016-12-10 16:20

はじめに

FXが日本で解禁されたのが1998年ですから、株式にはかなわないものの、個人投資家が取引できる金融商品としては、それなりに長い歴史を持つといえます。

ただし、FXは非常に誤解されている部分が多い商品ともいえます。その誤解を解くためには、この商品の仕組みやメリット、デメリットを知っていただくのが一番。

国内唯一の月刊FX情報誌として、FX攻略.comが蓄積したFXのベーシックな情報や考え方を、この記事にすべて詰め込みました。

目次

1.FXとは何か?
2.FXと外貨預金の違い
3.「通貨ペアを売る」というのはどういうことか?
4.証拠金取引とは?
5.レバレッジは危険なのか?
6.FX市場は眠らない?
7.FX市場には取引所が存在しない
8.通貨ペアにはどんな特徴があるのか?
9.通貨ペアの選び方
10.合成通貨ペアとは?
11.スワップポイントとは?
12.FXの損益計算方法
13.FXのいろいろな注文方法
14.FX会社の上手な選び方
15.FX取引のリスクとは?
16.相場は何によって動くのか?
17.為替相場に影響を及ぼす要人とは?
18.米雇用統計はなぜ注目されるのか?
19.FRBとFOMCの役割とは何か?
20.中央銀行の役割とは何か?
21.為替相場の影響を与える経済指標とは?
22.くじけそうになったときの対処法
23.最初の一歩を踏み出すために

1.FXとは何か? 

インターネットで「FX」を検索しますと、何百何千という項目が画面に現れてきます。どのサイトを選択したらいいのか迷ってしまう人もいるでしょう。いまや、FXは市民権を得たような錯覚を皆さんに与えているようですが、実は、まだまだFXの知名度は高いものではありません。都市部と地方で比較をしてみますと、FXは圧倒的に都市部での知名度が高いことがわかります。現状では、FXは都市型の金融商品だといっていいかもしれません。

都市に住んでいる皆さん、なかでも個人投資家の皆さんはFXとはどういうものかはすでにご存知ですので、いまさら、「FXとは何か」というのは釈迦に説法でしょうが、そこはおさらいをする意味で、我慢しておつきあいください。

FXとは、Foreign Exchange(外国為替)の略語です。外国為替とは、ある国とある国の通貨の価値を対比し、両替をすることですが、FXとは、二つの国の通貨の価値の変動を利用して、通貨を売買して、そこから生まれる為替差益を得るという、金融商品のことです。1998年に外為法が改正されたことにより、それまでは銀行などの金融機関や法人にしか取引ができなかった外国為替の取引が、個人にもできるようになったのです。

ですから、売買する商品である通貨は常にペアとなっています。つまり、「米ドル/円」とか「ユーロ/円」「ユーロ/米ドル」といった通貨ペアを売買するわけです。

たとえば、日本の個人投資家の多くが取引をしている「米ドル/円」の通貨ペアの場合ですと、この通貨ペアを買うというのは、米ドルを〇〇円で買うことであり、この通貨ペアを売るといえば、米ドルを〇〇円で売るということになります。

逆にいえば、「米ドル/円」を買うということは、米ドルを買うのに円を支払っている、「米ドル/円」を売るというのは、米ドルを売るのに円を買っていることになります。ちなみに、通貨ペアを買うことを「ロング」、売ることを「ショート」といいます。

よく経済ニュースなどで、1ドルが117円450銭とか、118円といった表現をしますが、これは、「米ドル/円」の通貨ペアが、いま市場ではどのぐらいの価格で取引されているかを表したものです。

つまり、その通貨ペアが市場でいまいくらになっているのか、その価格を表示する場合、左側に表示されている通貨の価値を、右側で表示されている通貨の単位で表すのが一般的なのです。ですから、「米ドル/円」で、円がいま何ドルになっているのかという表示はしません。

そして、FXトレードでは、買った通貨ペアはどこかの時点で必ず売らなければ利益は出ませんし、売った通貨ペはどこかで買い戻さなければ、利益を得ることはできません。つまり、買ったものは売る、売ったものは買い戻す、というのがFXトレードの基本なのです。

2.FXと外貨預金の違い

前述したように、FXは1998年の外為法改正によって、個人投資家向けに誕生した金融商品ですが、外貨預金と比べると、一般的には認知度が低く、イメージも負のイメージが常につきまとっているようです。

しかし、きちんとしたリスク管理を実行すれば、FXはけっして怖い金融商品でもなく、むしろ個人投資家にとって非常に取引しやすい金融商品だといえます。なぜなら、外貨預金がその収益を金利収益を視野に入れた長期投資なのに比べると、FXは、為替変動を狙って短期的に収益を上げることが可能な商品だからです。

外貨預金と違って、FXには個人投資家にとってさまざまなメリットが存在しています。たとえば、以下のことを挙げることができます。

  1. 手数料が安い。
  2. 期間の縛りがない(例:外貨定期預金)。
  3. 円安だけでなく、円高のときも取引ができます。
  4. 24時間取引ができます。
  5. 証拠金取引なので、少額で取引ができます。
  6. 外貨預金よりも金利(スワップ金利)が有利。
  7. 外貨同士の取引が多彩。

などなどと、いろいろなメリットがあるのです。

FXも外貨預金も、通貨を売買することによって利益あげる、あるいは損失を被るという点ではまったく同じです。しかし、両者の間には大きな違いがあります。それは、取引の仕組みの違いです。

外貨預金は、銀行の自分の口座に預け入れた金額の多寡によって利益や損益が異なってきます。たとえば、米ドルで1万ドルを預けていたとします。外貨預金をしたときには「米ドル/円」が100円だったので、ちょうど100万円の現金があったので、それをそのまま米ドルで預金して1万ドルの外貨預金ができました(この場合、外貨交換の手数料は考慮しないものとして計算しています)。

そして、「米ドル/円」が105円の円安になったときに、米ドルと円を交換したため、105万円の日本円に両替できて、5万円の利益をあげることになりました。つまり、この外貨預金の場合は、1万ドルの取引をするのに手元の資金が100万円必要で、得られた利益は5万円ということでした。

この売買は非常に効率のいい取引でしょうか。多くの方は5万円の利益を得るのに100万円の元手がかかるということは、あまり効率のいい取引ではない、と思われるのではないでしょうか。

ところが、FXの取引の場合、後述しますが、「証拠金」を元に取引するのが通常のかたちです。「証拠金」とは、いってみれば担保のようなものです。銀行でお金を借りるときに担保の差し入れをしますが、その担保と同じです。

しかも、FX取引には、これも後述しますが、「レバレッジ(てこの原理)」を効かせて取引することが可能です。もちろん、個人投資家のなかには、レバレッジをかけることを嫌う方もいますが、FX取引ではレバレッジを何倍にするかは、個人投資家の裁量に任されています。つまり、自由にレバレッジの大きさを決めることができるわけです。

現在、金融庁の指導で、個人でFX取引を行う場合は、レバレッジの上限は、最大25倍と定められています。以前は、レバレッジ規制はありませんでしたから、FX会社によっては300倍、500倍のレバレッジを効かせて取引をさせるところもありました。

しかし、25倍のレバレッジは過去の数字と比べると小さい数字のように思われるかもしれませんが、それでもかなり大きい数字だと思います。

つまり、「米ドル/円」が100円のときに、1万ドル単位の取引(買い)をするとしたら、レバレッジなし、あるいはレバレッジ1倍だとすると、100万円の資金が必要になります。

ところが、25倍のレバレッジを効かせるとしたら、1万ドル単位の取引をするのに必要な証拠金は4万円ですみます。100万円ぶんの取引をするのに、元手の資金は4万円に0Kなわけです。

そして、「米ドル/円」が100円から105円に上昇(円安)になったときに決済(売る)してしまうと、105円マイナス100円×1万ドル=5万円の利益を得ることになります。つまり、4万円の元手で5万円の利益を得たことになるのです。

外貨預金の場合は、同じ5万円の利益を得るのに100万円の元手が必要でしたが、FX取引の倍は4万円の元手ですんだわけです。どちらの取引が効率的であるかは一目瞭然です。そう思いませんか?

しかし、だからといって、喜んでばかりもいられません。「米ドル/円」を買って、その価格が上昇(円安)したからいいようなものの、これが下落(円高)した場合に決済をしてしまうと、当然、損失が発生します。

前述の例でいえば、「米ドル/円」が95円になったときに決済したとしたら、5万円の損失が出て、証拠金の4万円を超えることになってしまいます。その場合は、追証といって、資金を口座に追加する必要がでてくるのです。

ですが、FXには他の外貨商品とは違って、買いからも、売りからも入ることができるという特長があります。「米ドル/円」が100円のときに売りからエントリーして、「米ドル/円」が95円になったときに決済(買い戻す)すると、5万円の利益になるのです。

このように、FX取引は、投資する金額の割には大きな利益が期待できる金融商品といっても過言ではないのです。

そのために不可欠なのは、「リスク管理」です。相場が自分の予想と違った方向に行った場合に備えて、損失をある一定のレベルに限定するために、ストップロス注文を入れることが非常にじゅうようになってきます。それが、リスク管理の基本中の基本であるといっても、間違いではないでしょう。 

3.「通貨ペアを売る」というのはどういうことか?

ふつう、商売というのは、商品を仕入れて(買って)、それに適切な価格をつけて消費者に売ることで利益を生むのが基本です。ですから、いま手元にある商品を売る行為について、誰しも違和感はないといっていいでしょう。

ところが、これはFXの大きな特徴のひとつなのですが、FXという金融商品は通貨ペアの売買ですから、売る行為からトレードに参加することができるのです。しかし、この「売る」というかたちからトレードに参加するのに、違和感を感じている方が多いと聞きます。そう感じるのも無理はありません。手元に売る商品がないのに、売るとはどういうことか、当然、疑問に思うからでしょう。その心情はよく理解できます。

ではどうやったら、そのような違和感をなくすことができるでしょうか。このような例をあげるとわかりやすくなるのではと思います。

たとえば、ある日、ゲームソフト(仮に「FXゲーム」としましょう)が発売されました。価格は6000円です。しかし、Aさんはこのゲームのできばえがよくないと思い、中古屋さんで1カ月もするとかなり価格が下がるのではないかと判断しました。そこで、「FXゲーム」をもっている友人がいたので、1カ月間、500円を払うから「FXゲーム」を貸してほしいと頼み込み、了承を得ました。

Aさんは「FXゲーム」を借りるとすぐ中古屋さんにもっていき、4000円で売ることができました。そして、1カ月後、Aさんが予想したとおり、中古屋さんではその「FXゲーム」は2000円で売られていましたので、Aさんは「FXゲーム」を2000円で買い戻しました。

なぜ買い戻す必要があったとかいえば、「FXゲーム」友だちから借りたものなので、返さなければならないからです。4000円で売ったものを2000円で買い戻しましたので、2000円の利益を得たことになります。

さらに、友だちに1カ月500円で借りると約束していましたので、友だちに「FXゲーム」を一緒に借り賃500円を支払いました。したがって、手元に残った利益は1500円になったのです。

これをFXトレードでたとえるなら、こういうことになります。

「FXゲーム」(米ドルやユーロなどの外貨)を友人(外国為替市場)から借りて、レートの高いうちに売り、「FXゲーム」の価格が下落したら中古屋(外国為替市場)で買い戻し、借りた手数料(スプレッド)を友人に払って「FXゲーム」を返すわけです。

つまり、FXというのは、ドル紙幣やユーロ紙幣などの現物の外貨そのものを買うのではなく、売買する権利を買い、売買によって生じた差額のみを証拠金から増減させる差金決済取引、または証拠金取引なのです。

4.証拠金取引とは?

通常、FXは売買代金の差額だけをやりとりして決済します。証拠金とは、あらかじめ取引会社に預けておく担保金、保証金のようなものです。証拠金の金額は取引会社によって異なります。

ふつう、100円のものを1万個買う場合、100円×1万個=100万円が必要となります。しかし、証拠金取引の場合はレバレッジ(てこの原理)を効かすことができるため、100万円も必要ではありません。

たとえば、現在、「米ドル/円」は117円台ですが、この通貨ペアを1万通貨買う場合に、117円×1万通貨=117万円が必要ではないかと考えますが、そんな大きな金額は必要ではありません。4万6800円の証拠金で、1万通貨を買うことができます。

なぜ、そんなに少ない金額で「米ドル/円」を1万通貨も買うことができるかといえば、レバレッジを効かせているためです。証拠金取引には、レバレッジを利用することができます。現在、個人投資家がFXのトレードを行う場合、最大レバレッジは25倍と決められています。その前は50倍、その前はレバレッジの制限はありませんでした。

金融庁が個人投資家を保護するという名目で、レバレッジを25倍に決めたために、個人がFXのトレードを行うときには、25倍を超えるレバレッジを効かすことはできません。それでも、金融商品のなかで25倍のレバレッジというのはかなり、大きなレバレッジに違いありません。

上記の例でいくと、最大25倍のレバレッジをかけたために、117万円÷25=4万6800円という証拠金で、「米ドル/円」を1万通貨、購入することができたのです。

このレバレッジですが、レバレッジをいくらにするかは個人の裁量に任されていますので、自分の資金や取引スタイルを考慮して、個人投資家は何倍のレバレッジを書けたらいいのかを決定することができます。

ですから、「米ドル/円」1万通貨の取引をするために、4万6800円という最低必要額の証拠金をFX会社に預けるとトレードができるわけです。しかし、ここで注意しなければいけないのは、「米ドル/円」を購入して取引をしたときに、この通貨ペアが上昇して117円から118円になったときに決済をすれば利益を生み出すことができますが、万が一、この通貨ペアが下落して、117円から116円になったときには、損失を抱えてしまうことになります。

この場合、117円-116円×1万通貨=1万円の損失を抱えることになります。しかし、FX会社に預けている証拠金は最低限必要な4万6800円ですから、ここから損失分の1万円を差し引きますと、3万6800円になり、1万通貨のポジションを維持できなくなります。

そうしたケースを考慮して、FX会社の多くが「マージンカット」という、自動的に反対売買をして、それ以上、損失が膨らむことを防ぐ制度を導入しています。

しかし、わずかな相場の変動で、いちいちマージンカットをされていては、いざというときに取れる利益も取れなくなります。

1ドル117円のときに1万通貨ペアを購入するための証拠金は4万6800円でOKなのですが、それだけの金額をFX会社に預けておけば、取引が継続できる、というわけではありません。必要証拠金+為替が変動したときに必要となる証拠金を加えた証拠金を預けることによって、余裕をもって取引をするようにしておくことが重要なのです。

上記の例でいいますと、預ける証拠金は最低でも必要証拠金の3倍、いや5倍ぐらいの金額を預けておくと、安心して取引ができるでしょう。したがって、4万6800円×5倍=23万4000円以上の証拠金を預けておくと、ひとまずマージンカットされることを心配しなくてもいいでしょう。

23万4000円から1万通貨の購入に必要な4万6800円を差し引いても、18万7200円が残ります。それが為替変動に備えた余裕証拠金になるというわけです。

5.レバレッジは危険なのか?

レバレッジとはなにかは前述しましたが、「てこの原理」という意味です。FX取引においては、小さな資金で大きなお金を動かして、短い期間で大きな利益を得ることができるチャンスをつくる仕組みのことをいいます。

前述しましたように、1米ドルが117円のときに、1万通貨を購入するのに必要な最低限の証拠金は4万6800円です。これは、25倍の最大のレバレッジを効かせたときの場合ですが、もし、5倍のレバレッジをかけるとすると、必要な証拠金は、117万円÷5=23万4000円となります。レバレッジを何倍にするかは個人投資家の判断で自由に決められますので、自分の取引スタイルや資金も考えて、レバレッジを決めていけば良いのではないでしょうか。

金融当局の規定により、個人がFXトレードをする場合にはレバレッジの上限は25倍に決められていますが、それが、自分で会社をつくり、法人で取引をするとなりますと、数百倍のレバレッジで取引をすることができます。個人と法人の取引ではレバレッジがかなり違うのです。

いまだに世間では、「FXは危険」「FXには気をつけよう」という風潮がみられますが、FXが危ないという根拠のなかにあるのが、ハイレバレッジ=危険という思いがあるからではないでしょうか。そこがFXの誤解を生んでいることの大きな原因のひとつですが、ハイレバレッジは必ずしも危険ではありません。

危険なのは、手元の資金量とポジションの関係をよく考えずに、無謀に取引をすることにあります。ですから、自分の手もち資金と、何通貨の取引をするかをしっかり考えて取引を行えば、ハイレバレッジでもまったく危険はありません。

たとえば、いま手元にFXトレードにつぎ込んでもいい証拠金が50万円あるとします。個人のレバレッジの限度は25倍ですから、レバレッジの限度をめいっぱい使ってしまうと、50万円×25=1250万の取引ができることになります。いま、「米ドル/円」のレートが、100円だとしますと、1250万円÷100円=12万5000通貨の取引ができることになります。

もし、「米ドル/円」を買っていて、レートが101円と1円上昇したら、1円×12万5000通貨=12万5000円の利益になりますが、レートが1円下がったら、逆に、12万5000円損をしたことになり、証拠金は50万円-12万5000円=37万5000円に減ってしまいます。

これが、仮に3円の上昇下落だとしますと、3円×12万5000通貨=37万5000円の損益が発生し、損した場合には証拠金は一気に50万円-37万5000円=12万5000円に減ってしまいます。しかし、利益を得た方は50万円+37万5000円=87万5000円と証拠金はかなり増えることになります。

では、証拠金が50万円でも、1万通貨の取引をした場合には、同じ通貨とレートの条件では、1円×1万通貨=1万円の損益となります。この場合のレバレッジは、1万通貨×100円÷50万円=2倍と非常に低レバレッジです。

ですから、ハイレバレッジをかけることが危険ではなく、レバレッジが効くからと行って、自分の資金量を考えないで、大量の通貨ペアを売買することが危険なのです。

幸い、金融庁の規制によって、個人投資家のレバレッジ上限は25倍と定められています。このような規制がなかった時代には、何百倍というレバレッジが可能でした。このときは、非常に少ない証拠金でFXトレードができたのですが、現在は、1万通貨を取引する場合には、レバレッジを25倍かけたとしても、最低でも5万円近い金額が必要です。

しかし、レバレッジというシステムは使い方によっては非常に便利なシステムですので、使い方を誤らないで利用すると、有意義なトレードができると思います。

6.FX市場は眠らない?

FXのもうひとつの特徴は、ほぼ24時間、いつでも取引が可能だということです。世界中でもっとも取引をされている株式市場でも、取引時間には制限があります。たとえば、東京証券取引所など日本の株式市場では、投資家が直接株取引をできる時間帯は、月曜日から金曜日の平日に限られており、しかも、取引時間も午前9時から11時30分(これを「前場」といいます)までと、12時30分から15時(これを「後場」といいます)までとなっています。

この時間帯であれば、投資家の皆さんは株式の取引ができ、株価も上下します。ただし、これらの時間帯以外や土日、祝日、年末年始などは株式市場も休みですので、株式の取引はできません。ただ、ネット証券を使えば、注文だけは24時間365日可能となっています。

FXも、土日・祝日、正月元日は取引はできませんが、それ以外だと24時間取引ができます。しかも、取引をする市場が次々と変わっていくのが特徴です。

FX市場は、ニュージーランドのウェリントン市場から始り、シドニー市場、東京市場、香港市場、シンガポール市場、バーレーン市場、チューリッヒ市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場と、時間帯を決めて次々にオープンしていきます。

各市場にはそれぞれの特徴があり、個人投資家はその市場を特徴を踏まえて取引をする必要があります。たとえば、東京市場の午前9時50分から10時は、銀行がその日の仲値を発表することから、「米ドル/円」が買われやすいとか、ロンドン市場はポンドの動きが活発になるとか、ニューヨーク市場は重要な経済指標の発表が集中することから、相場が荒れやすいとか、いろいろと各市場によっていわれています。

取引時間がですが、夏時間と冬時間によって少しだけ変わります。アメリカの夏時間、冬時間が中心となりますが、夏時間の場合は、3月第2日曜日から11月の第1日曜日、冬時間の場合は、11月第1日曜日から3月第2日曜日となります。月曜日の午前7時から取引を始めることができ、夏時間の場合は、土曜日の午前6時に取引は終了します。一方、冬時間の場合には、午前7時には取引が終了します。

FX会社によっては、システムのメンテナンスの関係から、取引時間が終了する10分前に取引を停止するところもありますが、それは、各FX会社の事情によって異なっています。

このように、FX市場は月曜日から土曜日の午前中まで、眠ることがありません。

7.FX市場には取引所が存在しない

株式投資の場合には、企業は証券取引所に上場することによって、投資家はその取引所で各会社の株式の売買を行うことができます。つまり、証券取引所という歴とした取引所が存在しており、その取引所でなければ、株式の売買が成立しません。

しかし、FX取引には、取引市場は存在しません。えっ? と思われるかもしれませんが、FX取引所という名称の取引所は世界のどこを見渡しても存在はしません。

では、FXの取引、つまり、為替の取引はどうやって行われているのでしょうか。そこで登場するのが「インターバンク」と呼ばれる市場です。皆さんも名前だけは聞いたことがあるでしょう。このインターバンク市場で、世界の金融機関同士が為替の取引を行っているのです。その取引単位は、最少で100万通貨(米ドルであれば約1億円)からの取引となります。

このインターバンク市場では、個人投資家は直接、取引をすることができません。いってみれば、インターバンク市場は、「プロ限定のマーケット」です。

そのため、FX取引においては、個人投資家が口座を開設したFX会社が皆さんの代わりに、このインターバンクで取引をとりもっていることになります。つまり、FX会社もこのインターバンクで、個人投資家の皆さんが投資したものを、取引をしているわけです。

どういうことかといいますと、次のようになります。ここではわかりやすいように、「米ドル/円」のレートを100円と仮定します。ある投資家が「米ドル/円」が100円のときに、ロング(買い)注文をいれたとします。FX会社は即座に、これを約定して注文を引き受けます。

FX会社が投資家の「米ドル/円」の買い注文を100円で受けたということは、FX会社のほうからしてみれば、個人投資家に「米ドル/円」を100円で売ったことになります。FX会社にしてみたら、100円の売りポジションを抱えたことになります。

そこで、FX会社はこの売りポジションを決済しなければ、FX会社の利益にならないので、インターバンク市場で、買い戻す必要があります。そこで、FX会社は契約している銀行(カバー先といいます)が提示してくるレートを見ながら、もっとも自社に有利(つまり、利益があがる)となるレートを選んで、売りポジションを決済するわけです。

この場合は、100円の売りポジションを解消するためには、レートが100円より低くなければ利益は出ませんので、「米ドル/円」が99円とか、98円とか、あるいは99円50銭といったレートを提示している銀行と取引を行います。たとえば、99円で決済した場合、FX会社にとっては1円の利益が生まれたことになります。

そして、個人投資家が「米ドル/円」100円で買ったものを、レートが101円になったところで、売り決済をFX会社に出したときに、FX会社はそれを約定し、101円で買うことになります。つまり、101円の買いポジションをもつことになるわけです。

FX会社はこの101円の買いポジションを決済しなければ利益に繋がりませんから、インターバンク市場で売り決済をすることになります。その場合、101円の買いポジションですから、レートが101円50銭とか102円とか、101円よりも上でないと利益に繋がりません。ですから、これも前述したように、そのようなレートを提示しているカバー先を選んで決済することになります。

たとえば、102円のレートを提示しているカバー先と取引が成立すると、FX会社は1円の儲けになるわけです。

このように、FX会社はインターバンク市場で、個人投資家の注文を有利な条件でさばくことによって、利益を上げているのです。

これらFX会社のインターバンクでの取引は、すべてコンピュータで瞬時に行われています。

その場合、FX会社によってはやり方が異なりますが、個人投資家の注文があるたびにインターバンク市場につないでいるFX会社と、あるいは、個人投資家の売買注文をディーラーがまとめ(マリーするという)たうえで、インターバンク市場につなぐケース、または、ある一定の期間インターバンク市場につながないで、取引状況をみたうえで、インターバンクにつなぐなど、いろいろなケースがあります。

また、取引が上手な個人投資家の売買注文と、そうではない個人投資家の売買注文をわけて、インターバンクにつなぐというやり方をしているFX会社もあります。

FX業界にはこのように、インターバンク市場といわれる取引市場があるわけですが、これは、個別の金融機関同士の取引の束によって形成されている市場で、インターネットの世界とよく似ています。インターネットは、何かの中心があるわけではなく、個人や法人がそれぞれつながっている世界です。それと同じように、個別取引の全体がインターバンク市場といってもいいでしょう。

インターバンクとは、バンク(銀行)とインター(間)をつなぎあわせた言葉ですが、大手金融機関同士が、大口の外貨のやりとりをするのがインターバンク市場です。実需である外貨取引から派生した架空取引であるFX市場において、市場全体も架空の存在であるというのが妙味です。

いずれにしても、インターバンク市場が存在することで為替取引がスムーズにできているわけです。

8.通貨ペアにはどんな特徴があるのか?

FXでは、異なる通貨ペアを売買して利益を上げたり、ときには損失を被ったりする取引です。世界中にはその国が発行している通貨がありますが、FX市場で頻繁に取引される通貨ペアはほぼ決まっています。その点、銘柄が3000種類以上ある株の取引とは異なって、銘柄選びにはあまり苦労はないといっていいでしょう。

一般に、世界各国の通貨は、3文字のアルファベットで表示される決まりになっています。これをコードといい、国際標準化機構のISO4217で決められています。3文字のうち、最初の2文字が国を、最後の1文字が通貨のイニシャルを表しています。

画像引用:FXワールド

たとえば、日本円はJPYと表示されますが、JPが日本を、Yが円を表しています。また、米ドルはUSDと表示されますが、USが米国、Dがドルを表すわけです。ただ、例外はユーロで、EURはこのコードに当てはまっていません。

また、通貨のなかには別名をもっている通貨も存在します。日本円は円でそのままですが、たとえば、豪ドルはオージー、ニュージーランドドルはキウィ、米ドルはグリーンバッグ、英国のポンドはケーブルまたはスターリング、カナダドルはキャンドルといった名称で呼ばれることがあります。海外の新聞の金融欄を呼んでいる、そういった呼称が登場してくることがあります。

国際決済銀行(BIS)は、3年ごとに外国為替市場の通貨別取引高を調査していますが、直近では2013年9月に発表した数字をみますと、もっとも取引高が多いのは米ドルです。次いで、ユーロ、円、英国ポンド、豪ドル、スイスフラン、カナダドル、メキシコペソ、中国元、ニュージーランドドルの順番になっています。

世界にはたくさんの通貨がありますが、このように取引が多い通貨をメジャー通貨と呼んでいます。米ドルやユーロ、円、英国ポンド、スイスフラン、豪ドル、カナダドルなどはメジャー通貨と呼ばれています。

9.通貨ペアの選び方

FXトレードは端的にいって、通貨ペアが上がるか、下がるかを判断してトレードをするだけです。

たとえば、「米ドル/円」が上にいくか、下にいくかを判断して、売りか買いかを決めるだけのことです。しかし、通貨ペアが上にいくか、下にいくかは誰にも予想できません。そこで、いろいろなテクニカルインディケータを使用して、自分が選んだ通貨ペアがどちらにいくのかの予想を立てるわけです。

この予想がうまくいけば利益につながりますし、予想が外れれば損失を被ることになります。そういう意味では、どの通貨ペアを選んだら取引がしやすいのか、というのは重要なポイントになります。そこで大事になってくるのが、どの通貨とどの通貨を組み合わせるか、ということです。

その場合、考えなければならないことは、たとえば、「米ドル/円」であれば、米ドルと日本円を分解して、それぞれの通貨の強弱を考え、通貨ペアの力関係を見ることが重要になってきます。これは、プロトレーダーや収益を上げているトレーダーであれば、どなたも試みていることです。

為替レートは二つの国の力関係によって決まってきます。もっとも効率がいいのは、力の強い通貨ペアを買って、力の弱い通貨ペアを売ることです。この組み合わせが利益をもっとも生み出すはずです。

これが、強い通貨ペア同士や弱い通貨ペア同士を選んでしまうと、値動きが膠着して動かなかったり、レンジ相場になって、取引がしにくくなります。ですから、個別の通貨がいま、どんな状態にあるのかを常に考えて、通貨ペアを選ぶことが肝心なのです。

たとえば、政策金利の高い通貨は買われやすく、政策金利の低い通貨は売られやすい、というのが一般的です。ですから、通貨の力関係の強弱を決めるのは、ひとつに、政策金利の強弱があげられます。

しかし、通貨同士の力関係は時間のなかでも変わってきます。「米ドル/円」を例に挙げると、今後、3カ月先や半年先という時間のなかで米ドルが強くて、円が弱くても、今日、明日という短時間のなかで、米ドルよりも円が強くなるということも考えられます。

そうなってくると、強い米ドルと、強くなってきた日本円の組み合わせだと、相場は膠着状態に近くなり、レンジ相場を形成する可能性が高くなってきます。

しかし、日頃から通貨の特性や強弱を見ているトレーダーに取ってはそれは想定内のうちですから、レンジ相場になっても逆張りでのトレードで利益を上げることも可能になるはずです。

つまり、大事なことは、日頃から通貨の強弱を考えるクセをつけることです。そのためには、各国の中央銀行が発表する金融政策や政策金利、財政事情などを常に把握する努力が必要となってきますし、選挙や政治的なイベント、あるいはテロなどにも気をつけてトレードに臨む必要があります。

なかでももっとも重要視しなければならないのは、国家の方針、国策です。国がどのような財政政策や金融政策をとってくるか、ということです。ですから、ときの政府要人の発言は中央銀行総裁、幹部の発言には注意をしなければなりません。

大切な自己資金を使ってFXトレードをするわけですから、それぞれの通貨の力関係を考えたうえで通貨ペアを選び、効率の良いトレードをしたほうが利益もあがりますし、FXトレードも楽しくなってくるはずです。

10.合成通貨ペアとは?

FXトレードは、違う国同士の通貨をペアにしたものを取引します。「米ドル/円」は、米ドルと円、「ユーロ/円」は、ユーロと円を組み合わせたものを、それぞれ買ったり、売ったりしています。しかし、通貨ペアのなかには、実際に取引をされていないにもかかわらず、取引通貨ペアとして扱われているものがあります。

それが、合成通貨と呼ばれる通貨ペアです。皆さんも名前ぐらいは聞かれたことがあるかと思います。

外国為替市場では、基軸通貨である米ドルを中心に取引が行われていますが、ドルストレートといわれる通貨ペア以外は、合成通貨と呼ばれ、実際には取引がなされていない通貨ペアです。

ドルストレートとは、「米ドル/円」や「ユーロ/米ドル」「ポンド/米ドル」「豪ドル/米ドル」など、米ドルとペアになっている通貨ペアのことです。米ドルとペアになっていない通貨ペアのことを「クロス通貨」と呼んでいます。

「ユーロ/円」や「ポンド/円」はクロス円と呼ばれており、「ユーロ/ポンド」や「ユーロ/豪ドル」はクロスユーロと呼ばれています。

たとえば、合成通貨である「ポンド/円」を買ったとします。そうすると、インターバンクでは、まず「ポンド/米ドル」が買われ、次に「米ドル/円」が買われます。こうして2つの通貨ペアを取引させて無理やりつくっている通貨ペアが「ポンド/円」なのです。

ですから、あなたが「ポンド/円」の取引をしたいと思ったら、「ポンド/円」のチャートだけを見るのでなく、「ポンド/米ドル」「米ドル/円」も取引されているわけですから、こちらのチャートも気にしなければならないのです。

そこで、これら合成通貨の取引にはある一定の法則が見られるのです。

「ポンド/円」の取引で見ますと、「ポンド/米ドル」が上昇して、「米ドル/円」が上昇していると、「ポンド/円」は上昇します。その逆に、「ポンド/米ドル」が下落して、「米ドル/円」も下落していれば、「ポンド/円」は大きく下降します。

同じように、「ユーロ/円」の買いの取引は、まず、「米ドル/円」を購入して、次に「ユーロ/米ドル」を購入します。従って、この通貨ペアにみられる法則は、「米ドル/円」と「ユーロ/米ドル」が上昇して(買われて)いれば、「ユーロ/円」は大きく上昇します。その逆に、「米ドル/円」と「ユーロ/米ドル」が同時に下降して(売られて)いれば、「ユーロ/円」は大きく下降(売られる)します。

さらに、「豪ドル/円」ですと、「米ドル/円」を購入して、次に「豪ドル/米ドル」を購入しますので、これら2つの通貨ペアが上昇して(買われて)いると、「豪ドル/円」は大きく上昇(買われて)します。その逆に、「米ドル/円」と「豪ドル/米ドル」が下降して(売られて)いると、「豪ドル/円」は大きく下降(売られて)します。

以上の合成通貨ペアの法則と少し、違うのが「カナダドル/円」と「スイスフラン/円」です。

「カナダドル/円」の場合は、「米ドル/カナダドル」が下降して(売られて)、「米ドル/円」が上昇して(買われて)いれば、「カナダドル/円」は大きく上昇します。その逆に、「米ドル/カナダドル」が上昇して(買われて)、「米ドル/円」が下降して(売られて)いれば、「カナダドル/円」は大きく下降します。

「スイスフラン/円」の場合は、「米ドル/スイスフラン」が下降(売られ)して、「米ドル/円」が上昇(買われて)していれば、「スイスフラン/円」は大きく上昇します。その逆に、「「米ドル/スイスフラン」が上昇して、「米ドル/円」が下降していれば、「スイスフラン/円」は下降します。

これら通貨ペアの動きはちょっとややこしいと思われるかもしれませんが、チャートをみていくうちに次第に判断できるようになります。

このように、通貨はそれぞれ相関関係にありますので、そのあたりをしっかり把握してFXトレードにのぞむことが肝心です。

11.スワップポイントとは?

FXは、二つの国の通貨を売買して利益を得る金融商品ですが、FXのもうひとつのメリットとは、スワップ金利がつくということです。スワップというのは、交換という意味で、FXでは売買している通貨の金利差により、もらえる、あるいは支払和なければならない金利のことをスワップ金利といいます。

考え方としてはこうです。

FXは、二つの通貨を一方は買い、一方は売るという取引ですが、両通貨とも、その通貨で預金をしていると考えてください。

たとえば、トルコリラの金利は7.50%と非常に金利の高い通貨です。これを「トルコリラ/円」でみると、この通貨ペアを買っていると、円の金利は現在、0.10%ですので、その差額である年7.40%の金利をもらえることになります。

これを仮に売っている場合は、年7.40%の金利を支払うことになります。まあ、そんな投資家はいないと思いますが……。

ヒロセ通商での例を挙げてみますと、「トルコリラ/円」を買っていると、1日のスワップポイントは115円つきます。つまり、個人投資家の財布にチャリンと115円が振り込まれるわけです。これを1年持ち続けていると、金利差が変わらないとすると4万1975円ももらえることになります。5年後だと20万9875円、30年後だと41万9750円もスワップ金利がもらえることになります。

ただし、金利が高い通貨の国は、経済状態が非常に不安定で、レートが大きく変わりやすいのが特徴です。なぜかといいますが、その国の経済状態が不安定なため、インフレを抑える意味で、国内経済を安定させる必要があるため、金利を高くしているのです。

ですから、金利の高い通貨を買っていれば、そんなに頻繁にトレードをしなくても、毎日、スワップポイントがついてきます。しかし、そうはいっても、この高金利通貨のレートが大きく下がってしまうこともあります。そんな場合には含み損が増えてしまいます。

スワップポイント狙いで損切りを入れないでおくのは危険なので、高金利通貨を買う場合でも、損切りをどこに入れたらいいのかを考えて、損切りを入れておくようにしましょう。

なぜなら、高金利通貨はレートは、変動率が大きいことが多く、とくに下落のスピードが非常に速いのが特徴です。その点は注意が必要です。

高金利通貨としては、トルコリラのほかに、南アフリカのランド、ニュージーランドドル、豪ドルなどがありますが、比較的安定したレートで推移しているのは、ニュージーランドドルでしょうか。しかし、安定しているといわれるニュージーランドドルでも、急激に価格を下げることがありますので、油断はできません。

スワップポイントで利益を狙うのであれば、スワップポイント専用の口座を設けてはいかがでしょうか。いってみれば、スワップ金利狙いは長期戦のトレードです。ですから、じっくり高金利通貨を見定めて、取引をすることが重要です。

12.FXの損益計算方法

FXの損益はどのように計算するのでしょうか。それは、「値幅×ロット(取引数量)-手数料±累積スワップポイント」で計算します。しかし現在、FX会社のほとんどは取引手数料を無料にしていますので、実際の計算式は、「値幅×ロット(取引数量)±累積スワップポイント」となります。

まず、値幅は、買値と売値の差のことです。たとえば、「米ドル/円」を買って決済(売った)したときに、買値よりも売値が高ければ利益になりますし、その逆は損失になります。

つまり、「米ドル/円」が100円のときに1万通貨ほど買って、101円になったときに決済(売った)したら、101円-100円×1万通貨=1万円の利益になるということです。

あるいは、「米ドル/円」が100円のときに1万通貨を売って、99円になったときに決済(買い戻し)したら、100円-99円×1万通貨=1万円の利益になります。

しかし、100円で買ったものを99円のときに決済(売った)してしまったら、99円-100円×1万通貨=1万円の損失になります。あるいは、100円で売ったものを101円で決済(買い戻し)したら、101円-100円×1万通貨=1万円の損失となります。

次に、レートの動きを表す値動きですが、その最小単位はpip(ピップ)といいます。pipはpercentage in pointの略です。複数形になるとpips(ピップス)と表現します。「米ドル/円」では一般に1pipは1銭ですが、「ユーロ/米ドル」ですと、1pip =0.0001ドルです。

最近は、FX会社のほうではレートの表示が小数点以下3桁となっていることが多いようです。たとえば、以前は、112.50という表示でしたが、現在は、112.505といった表示をしています。

ロット(取引枚数)は、1万通貨単位がふつうでしたが、現在では1000通貨単位で取引できるFX会社も増えています。なかには、100通貨で取引できるところや、わずか1通貨で取引できるFX会社も出てきています。

クロス円(「米ドル/円」や「豪ドル/円」「ユーロ/円」などの対円の通貨ペア)と、ドルストレード(「ユーロ/米ドル」や「ポンド/米ドル」など)では損益計算の方法が少し違っています。クロス円では1pip=1銭ですから、1万ドルの取引を行って、50 pipsの値幅で決済を行ったとしましょう。

50 pipsは50銭ですから、0.5円です。したがって、この場合の損益は、0.5円×1万通貨=5000円になります。クロス円の場合は、円換算をする必要がまったくありません。

一方、ドルストレードは円換算する必要があります。たとえば、「ユーロ/米ドル」で1万ドルの取引を行い、50 pipsの値幅で決済をしたとしましょう。その場合の損益は、50 pipsは0.005ドルですから、0.005ドル×1万通貨=50ドルになります。そして、これを円換算するわけですが、このとき、1ドルが112円だったとすると、112円×50ドル=5600円の損益となります。

スワップポイントは、翌日にポジションを繰り越すこと=ロールオーバーをするごとによって累積されていきます。金利が高い通貨、たとえば、トルコリラやランド、ニュージーランドドルなどを買って、金利が低い通貨を売るという取引をすると、そのポジションをもっている限り、あなたの口座にスワップポイントが振り込まれてきます。

その逆に、金利が低い通貨を買い、金利が高い通貨を売ると、スワップポイントを払わなければなりません。

ですから、「米ドル/円」でトレードするときは、売りで入った場合には、スワップポイントを支払わなければならないと覚悟をする必要があります。しかし、トレードの本質はスワップポイント狙いではないはずですから、あまり、スワップポイントのことを気にする必要なないのではないかと思います。

13.FXのいろいろな注文方法

成行注文

価格を指定せずに、提示されたレートを参考値にして注文する方法です。FX会社に注文の情報が到着した時点のレートで取引が成立します。

指値注文、逆指値注文

注文する価格を最初から自分で指定して入力するのが「指値注文」「逆指値注文」です。

指値注文は、「00円以下になったら買い」「00円以上になったら売り」といったように、自分にとって条件が有利になるような価格を指定する注文方法です。

一方、逆指値注文は、反対に「価格が上昇し、指定した00円以上になったら買い」「価格が下落し、指定した00円以下になったら売り」というように、条件が不利になるような価格を指定する注文方法です。

IFD注文(アイエフディ注文)

新規の注文を出すと同時に、その新規注文が「もし成立したら」有効になる決済注文をセットで出すことができる注文方法です。

たとえば、1ドル100円のときに、指値注文で新規注文を出すと同時に、1ドル104円になったら同じく指値注文で売る、というような決済注文を出すことができます。

OCO注文(オーシーオー注文)

指値注文と逆指値注文を同時に出し、いずれか一方の取引が成立したら、もう片方の注文が自動的にキャンセルになる注文方法です。新規注文、決済注文のどちらの場面でも使えます。

決済注文を例に取ると、たとえば、1ドル105円で買いポジションをもっていたとしましょう。このときに、1ドル110円で利益確定の指値注文を、1ドル100円でストップロスの逆指値注文をOCO注文として同時に出します。どちらか一方の注文が成立すると、もう一方の注文は自動的にキャンセルとなります。

IFO注文(アイエフオー注文)

新規注文の場合のみ選べる注文方法です。新規注文を出すのと同時に、その新規注文が成立したら有効になる決済注文をセットで出します。その決済注文が、指値注文と逆指値注文のふたつあるということです。合計三つの注文をセットで出すわけです。

トレール注文

これらとは少し別の特殊な方法として、近年、多くの業者さんが取り入れているのが【トレール注文】があります。これは、既存のポジションに対して逆指値を効率良く行う方法として、トレーリングストップとも呼ばれています。

たとえば、100円で買ったポジションに対して、当初99円までの1円分(100pips)の損切り設定していたとします。でも、今は102円ですでに200pipsの利益があります。このままでは、ここから暴落があり、99円の損切りが約定してしまうと、現在より300pipsのマイナスというとらえ方もできます(実際の損益は当然マイナス100です)。

そんなときにトレール注文が役に立ちます。これは価格的意味ではなく、リスクの許容範囲として損切り幅を定めてるトレードの場合、さらに、効率よく機能する方法でポジションをとった後の利益側方向に優位な価格から任意設定したトレール幅に(仮に100pipsとします)逆指値が昇格移動していくというもので、100pipsに満たない押しでの上昇が続く限り、利益は永遠に伸び続けることになります。

逆に、102円のピークを最後に押しが深まった場合、逆指値は101円に自動的に移動しているので、1円分の利益は確保したということになります。性質上、トレンドがハッキリしているときにトレール注文が本領を発揮し、逆に、レンジ相場のときは不適といえる方法です。

その他、特殊な注文方法もたくさん存在しますが、まずは基本の3つの注文方法と組み合わせをマスターし、ポジションの構築と管理をしていきましょう。この3つの注文ができるようになれば、トレンド相場=トレール注文の活用など、効率的に注文方法を使いわけることもできるはずです。

14.FX会社の上手な選び方

個人投資家にとって、どのFX会社に口座を開いて取引をするのかは、非常に重要なテーマです。いまでは、悪徳FX会社は見当たらなくなりましたが、FX取引が個人に認められた当初は、それこそ有象無象のFX会社が入り乱れ、まるでFX戦国時代の様相を呈していました。個人投資家のなかには、そういった悪徳FX会社にだまされた方も少なくなかったのではないでしょうか。

しかし、2005年7月1日から金融先物取引法が施行され、FX会社は必ず金融庁に刀労苦しなければならなくなったことを受けて、悪徳FX会社はほとんど姿を消したようです。

金融庁に登録していること

従って、FX会社選びの第一歩は、金融庁に登録されているFX会社かどうかを確認することです。どんなFX会社が金融庁に登録されているかを確認するには、金融庁のホームページにアクセするとわかります。

「免許・登録を請けている業者一覧」をクリックし、表示されたページの真ん中あたりにある「金融商品取引業者」というPDFファイルを開くと、金融庁に登録しているFX会社かどうかを確認することができます。

勧誘をしないこと

次に、2005年に改正された金融先物取引法では、FX会社が個人投資家に対して勧誘することを禁止する項目がもられています。つまり、こちらから勧誘を依頼した場合を除いて、FX会社の勧誘を厳しく禁止しています。

万が一、自宅や勤めている会社に勧誘の電話があった場合には、ひと言「金融先物取引法でFX会社の勧誘は禁止されています。ご存知じゃないですか?」と対応するのもひとつの手段だと思います。ここでいいたいことは、勧誘をしてくるFX会社は非常に怪しい会社だということです。

信託保全制度を取り入れていること

三つの目のFX会社選びのキーワードは、「信託保全」です。個人投資家はFX会社に口座を開設して、証拠金を入金するわけですが、その個人の証拠金がFX取引以外に使われていたら、たまったものではありません。

以前は、証拠金をもち逃げしされたケースや、FX会社が破綻したために、預けていた証拠金が戻ってこなくなったというケースがありました。そのような、個人投資家が不利益を被らないように、FX会社が取り入れたのが「信託保全」の制度です。

信託保全とは何かを簡単に説明しますと、顧客から預かった証拠金を自社でプールしておくのではなく、自社とは別の信託銀行に預けて、そのFX会社が倒産や破綻した場合でも、含み益も含めて自分の証拠金が100%戻ってくる仕組みのことです。

また、こんなことは滅多にないと思いますが、万が一、自分の証拠金を預けている信託銀行が破綻したとしても、他の信託銀行に信託保全は引き継がれますので、100%安全・安心です。

この信託保全はいまでは大半のFX会社が導入していますが、必ずしもすべてのFX会社が取り入れているわけではありません。FX会社を選ぶときには、必ず信託保全の制度を導入しているかどうかを確認しましょう。

自己資本規制比率の基準が守られていること

では次に、チェックするのが欠かせないのが、「自己資本規制比率」です。自己資本規制比率とは、金融業者が経営体として健全かどうかの判断の目安となる数字です。各社のホームページには、この数字が掲載されていますので、その数字を確認するだけでOKです。

金融先物取引法では、金融業者の自己資本規制比率を120%以上にするよう義務づけています。ちなみに、この自己資本規制比率が基準の数字を満たしていないと、金融業者はどうなるでしょうか。

  1. 自己資本規制比率が140%以下を下回ると、金融庁への届け出が必要になります。
  2. 120%を下回ると、新規の口座開設ができなくなります。
  3. 100%以下を下回ると、3カ月の営業停止もしくは登録の取消となります。

ただ、自己資本規制比率が200%のFX会社より、300%の業者の法が絶対的に優れている、良いFX会社だと判断する必要はありません。金融先物取引法で義務づけられている自己資本規制比率の基準数字を守っているFX会社であれば、安心だということです。

ちなみに、自己資本規制比率は、年4回、3月、6月、9月、12月に算出されます。

FX会社選びのポイントまとめ

ところで、FX取引はインターネットでの取引が主体となってきたことで、非常に透明性の高い金融商品となってきました。その点を考慮しても、FX会社選びのキーワードは、「金融庁に登録していること」「信託保全を取り入れていること」「勧誘をしないこと」「自己資本規制比率の基準が守られていること」と、この条件を満たしているFX会社であれば、どのFX会社を選んでも、あまり間違いがないのではないでしょうか。

あとは、自分の取引スタイルや取引環境と照らし合わせてみて、FX会社を選ぶといいでしょう。たとえば、スキャルピングや短期トレードを主体とする個人投資家であれば、安い取引コストを提供しているFX会社を選ぶほうがメリットがあります。取引コストといえば、大半の会社が取引手数料を無料にしているとこを考えると、狭いスプレッドを提供している会社を選んだほうがメリットが高いということになります。

一方、スワップ取引を重視する投資家であれば、高金利通貨を扱っているFX会社を選んだほうがメリットがあるでしょう。

そして、トレードシステムの使いやすいところ、自分の感性にあっているところ、さらに、サーバーがあまりダウンしないところ、スリッページが少なく、約定率が高いことなど、いろいろな条件を加味して、自分のトレードスタイルと違和感を感じないようなシステムなどを提供しているFX会社を選ぶといいでしょう。

ではこの項の最後に、重複するかもしれませんが、FX会社選びのポイントを列記しておきます。

  1. 金融庁に登録しているFX会社であること。
  2. 信託保全をしていること。
  3. 自己資本規制比率が基準値を満たしていること。
  4. 取引システムが安定していること。
  5. 24時間、コールセンターなどのサポート体制が完備されていること。この場合、為替の専門家がコールセンターに常駐しているなおよい。
  6. チャートや情報サービスが充実していること。
  7. 為替レート・スプレッドと手数料がトータルとして有利なこと。
  8. 平常時以外でもリーズナブルな為替のプライスが提示されていること。この場合、平常時外のときに他社のプライスを比較してみるとよい。
  9. スワップポイントのレートが良いこと。
  10. 携帯電話での取引が可能なこと。
  11. デモ取引が無料でできること。

などなど。このほかにもいろいろありますが、とりあえずは、このような条件をチェックして、FX会社を選んでいけばいいでしょう。

15.FX取引のリスクとは?

リスクとは、経済用語でいえば「不確実性」を意味します。FX取引は、自分の資金を投入してトレードをするのですが、その結果はいつもはっきりしているわけではありません。つまり、不確実なものに向かって、投資家はFXトレードを行っているのです。ですから、端的にいって、FX取引をすること自体が、リスクを常に伴っているといえます。

では、FXのリスクにはどんなものがあるでしょうか。FXトレードのリスクは大きくわけると二つに分類できます。外的リスクと内的リスクの二つです。

外的リスク

外的リスクとは、その国の金融政策や金利政策、政治・経済情勢などです。具体的には、為替変動リスクや金利変動リスク、流動性リスク、信用リスク、システムリスクなどです。これは、個人投資家がコントロールできるようなリスクではありません。

内的リスク

では、内的リスクとは、投資家の知識や経験、技術の程度、資金の大小、トレードの時間帯、ポジションサイズなどです。これは、個人投資家が十分にコントロールできるリスクです。

リスク管理の方法

では、リスク管理とはどうしたらいいでしょうか。それは、FXトレードの知識を深め、経験や技術を蓄積し、資金の余裕をもって、適切なFXトレード時間とポジションサイズでFXトレードを行うことに尽きます。言葉を換えれば、リスクを招くのは、自分がFXトレードに関してあまりにも無知だからに過ぎません。

たとえば、損失をいくらにしたらいいのかと例にとりますと、優秀なトレーダーは「一回のトレードあたりの損失を投資資金全体の1%~2%以内に抑える」といっています。100万円の投資資金ですと、一回の損失額は1万円から2万円ということです。

しかし、個人投資家の多くはこのようなリスク管理をしようとはしません。一回のトレードでできるだけ多くの利益を上げたいと思っているからでしょう。利益ばかりに目がいき、損失に目が届かないのは、リスク管理がおろそかになっている証左です。

FXトレードで長く市場に滞在するためには、FX会社に預けている証拠金は余剰資金として置いておくくらいの、余裕をもった資金管理が重要になってきます。それが長い目で見たら、勝つための戦略になっているのです。

無知はリスクを拡大します。内的リスクは、知識や経験、技術の蓄積によってコントロールすることができます。リスクを制すること=利益の源泉でもあるのです。

16.相場は何によって動くのか?

ところで、誰もがもっとも気にするのは、相場はいったい何によって動くのか、ということです。為替に限らず、市場において売買される商品の価格は、需要と供給のバランスによって決まります。

たとえば、日本円と米ドルで考えてみましょう。日本円よりも米ドルが欲しいという方が多ければ、需要の多い米ドルの価値がぐんと高くなり、「米ドル/円」は上昇していきます。この場合、米ドルを買う人が多くなりますので、「米ドル/円」は円安(上昇)になるわけです。ところが、為替相場を動かしているのは、需給と供給の関係だけではありません。

その国の景気や政策金利、貿易収支などの国際収支バランス、雇用統計などの経済の基礎的な要因もからんできます。これらを「ファンダメンタルズ」と呼んでいます。

たとえば、国内景気が良くなると、株価や物価が上昇し、その国の通貨は上昇します。さらに、物価の上昇が続くと、インフレになりやすいため、中央銀行(日本では日本銀行)は金利を引き上げます。そうすると、世界中の投資資金は高金利の政策をとっている通貨へと流れます。なぜなら、高金利の通貨をもっていると、メリットが大きくなるからです。

相場を動かす要因はいろいろあります。国内の景気動向や物価状況、株価、政策金利、さらに、さまざまな経済指標が密接に関係しており、これらが相場を動かす大きな要因になっています。

しかし、短期的な為替レートは、ファンダメンタルズ要因よりも、むしろ、テクニカル要因に左右されやすいといえます。

一般に、為替相場に参加している多くの個人投資家は、チャートを見ながら売買を行います。

チャートのなかのテクニカル要因でよく注目されているのが、サポートライン(支持線)とレジスタンスライン(抵抗線)です。これらのラインをレートが突破しますと、為替相場は急速に上昇したり、下落することが多くなります。ですから、個人投資家は常に為替レートがこの二つのラインに対してどう動くかを注目し、見守っています。

さらに、為替相場に影響を与えるものには「地政学リスク」があります。戦争やテロが起きて、その国の政情が不安になると、外国資本は逃避したり、国内の消費が手控えられて景気は悪化することが懸念されるため、その国の通貨は売られやすくなります。

昔はよく「有事のドル買い」といわれました。なぜなら、米ドルはなんといっても基軸通貨ですので、もっていると安心というわけです。最近では、経済的な不安がから、日本円やスイスフランなどの通貨が買われることが多くなっています。

また、投資額が大きいヘッジファンドや機関投資家などの「投機筋」の動きも、為替相場へ大きく影響を与えることがあります。

相場変動の原則は、「長期的に国力が強くなると判断される国の通貨は買われる」というものですが、相場は必ずしも原則通りには動きません。それが投資家泣かせの一因となっていおり、相場の面白いところでもあります。

相場は、ファンダメンタルズ要因でも、テクニカル要因でも動きますし、これらの二つの要因が複雑に絡み合って作用し、相場を動かすことがあります。

相場がどう動くかを予想することは非常に難しいといえます。まさに「神のみぞ知る」という世界といっても過言ではありません。

ただ一つ、相場の動向を読むヒントとしていえることは、今何が市場のテーマになっているかをつかむことです。2015年は米国の利上げがどうなるかが市場のテーマでした。2016年は中国経済、原油安、マイナス金利、といったところでしょうか。

17.為替相場に影響を及ぼす要人とは?

『要人発言』も相場変動に大きく影響を与えます。

少し古い話で恐縮ですが、固定相場制から変動相場制へ移行したのは、1971年のことです。当時の米国大統領であったリチャード・ニクソンが『金とドルの兌換停止』を発表しました。

この発表は世界中を駆け巡り、金融関係者だけでなく、多くの人にショックを与えました。第二次世界大戦後に採られてきた米ドルを中心とするブレトン・ウッズ体制(金を中心とする固定相場制)でしたが、その終焉を告げるものだったからです。

米国の大統領によって一夜にして世界中の国際金融制度が変わるという事態が起きたのです。為替が公定相場制から変動相場制に移行して以降、為替政策を管轄する財務省の財務長官、金融政策を管轄する連邦準備制度理事会(Federal Reserve Bank)の議長、FOM(連邦公開市場委員会)Cメンバーの発言は、個人投資家から注目されるようになりました。

為替の歴史を少しひもといてみますと、1993年から1994年に米国の財務長官を務めたロイド・ベンツェンは、終始、ドル安政策を進めたため、円高が急速に進行し、「米ドル/円」は100円を割り込みました。22年前には1ドル=360円というレートが、260円以上も暴落したわけです。

ロイド・ベンツェン元財務長官
出典:http://ja.wikipedia.org/

ところが逆に、1995年から1999年まで財務長官を務めたロバート・ルービンは、一転してドル高政策を打ち出して、『強いドルはアメリカの国益』を訴えたため、「米ドル/円」相場は、79円75銭という史上最大の円高から、一挙に150円という円安になりました。

ロバート・ルービン元財務長官
出典:http://jp.wsj.com/

このように、一国の要人、なかでも米国の政治家や金融・財務関係者の発言や思惑は、FX市場の為替レートの変動に大きく影響を与えます。

政治的な意図から、米国大統領やホワイトハウス報道官が為替について発言したり、米国財務省が明確な為替政策を支持しているときは、有無をいわさず、FX市場は彼らの意図する方向に動いてきた歴史があります。

米国は世界最大の経済大国ですので、米国の要人は他国の要人とは比較にならないくらい注目されています。今でいえば、ジャネット・イエレンFRB議長や、スタンレー・フィッシャーFRB副議長の発言は常に注目の的になっています。

このほか、欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁やドイツの首相のアンゲラ・メルケル、イングランド銀行(BOE)のマーク・カーニー総裁などの発言は常に、注視する必要があります。最近では、日本銀行の黒田東彦総裁の発言も注目の的です。 

彼ら金融業界の要人の発言をトレードにどう活かしたらいいでしょうか。そのヒントですが、まず、彼らがこれまでどんな発言をしてきたかをたどる必要がありますが、「変化」をかぎ取ることです。

つまり、要人がこれまでと違うことをいうようになったとき、マーケットが大きく動く可能性があることは、為替相場動向の推移を見れば明らかです。為替市場は、上昇するか、下降するか、あるいは横ばいなのかの、3つのトレンドしかありません。考えてみれば、市場は非常に単純ですが、それだけに奥深いものがあるのも事実です。

ただ、米国や欧州の要人の発言は、日本時間でいうと夜中になることがネックなのですが、ロイターやブルームバーグなどのニュースサイトで要人発言などは翻訳して報道されます。ですから、ニュースのチェックは怠らないようにしましょう。

また、FOMCの議事録やベージュブックといわれる米国の12の地域の経済報告書、各国中央銀行の金融政策決定会議の議事録も注視する必要があります。

18.米雇用統計はなぜ注目されるのか?

FXトレードではさまざまな経済指標を参考にしますが、数多ある経済指標のなかでもっとも注目度が高いのが、米国の雇用統計です。毎月第一金曜日に前月の結果を発表するのですが、冬時間だと日本時間の22時30分に、夏時間だと同21時30分に公表されます。

米国労働省労働統計局が発表する項目は10以上にのぼります。そのなかでもとくに重要視されるのが、NFPと呼ばれる非農業部門雇用者数と、失業率です。NFPと失業率の調査対象はそれぞれ異なっています。

NFPは、全米の企業を対象に、給料の支払いを受けている人数を調査しまとめたものです。自営業、農業部門以外の民間企業と、政府機関で働く人数を前月と比べて増減数で表しています。

一方、失業率は一般の個人世帯を対象にした調査で、失業者が、失業者と就労者を足した労働力人口のなかで何%を占めているかをまとめたものです。

雇用統計を細かく見ていきますと、全体の労働力人口をはじめ、白人成年男子や白人成年女子、ティーンエージャー、黒人、ヒスパニック系、アジア系などの労働人口や失業率などが詳細にまとめられています。

また、産業別の雇用者数もまとめられていますので、今米国で景気が良い産業は何かを判断する指標としても使うことができます。さらに、同じ日時に平均時間給の数値を発表されますので、労働者の所得がどんな状況であるのかも判断することができます。

雇用統計が注目されるのは、この数字が米国の景気動向を如実に反映しているからです。米国のGDP(国内総生産)の70%を個人消費が占めていますが、この個人消費の動向も、雇用の状況によって変動します。ひいてはGDPの数字にも大きく影響を及ぼすため、米国のGDPや国内景気動向などのバロメータに雇用統計はなっているのです。

米国労働省が発表する雇用統計の週の水曜日に発表されるのが、ADP雇用統計です。2006年から発表が始まった、まだ新しい雇用統計です。民間の給与計算アウトソーシング会社であるADP社が、クライアント50万社、2300万人の給与データを元に、非脳病部門の雇用者の増減をまとめたものです。

ADP雇用統計は冬時間は日本時間の22時15分に、夏時間は同21時15分に発表されます。この二つの雇用統計は密接な関係にあるかといえば、そうではありません。ADP雇用統計の数字が良くても、雇用統計の数字が悪いことは多々あります。

ただ、ADP雇用統計もあらかじめ予想値が発表されますので、実際の数字が予想値よりも良かった場合には、雇用統計の数字も良いという可能性は高いようです。

とはいえ、米国の金利政策の指針となる雇用統計の重要性は今後とも衰えることはないでしょう。 

19.FRBとFOMCの役割とは何か?

FRB(連邦準備制度理事会)やFOMC(連邦公開市場委員会)がFX市場関係者や個人投資家の間で注目され始めたのは、ここ30年あまりのことです。とくに、FRB議長を5期務めたアラン・グリーンスパン(1987年8月11日~2006年1月31日)やベン・バーナンキ(2006年2月1日~2014年1月31日)などがFRBの議長としては有名です。

なかでも、ベン・バーナンキは議長は、ゼロ金利政策やQE(資産購入=国債、住宅市場債券などの購入による量的緩和)などの政策を施行し、注目を集めました。その政策は、ジャネット・イエレン議長に引き継がれましたが、アメリカ経済の雇用回復や景気動向を鑑みて、FRBはゼロ金利政策を解除し、利上げに踏み切ったのは、2015年12月のことです。

ちなみに、FRBとは、Federal Reserve Bank(連邦準備銀行)の略語で、エコノミストはFedと呼んでいます。また、FOMCとは、Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略で、中央銀行の金融政策決定会合に相当します。

FOMCは年8回(約6週間ごとのペース)開催されていますが、必要に応じて随時開催されることになっております。FRB議長、FRB副議長、5名のFRB理事および5名の各地区連銀総裁の12名で構成されています。FOMCで米国の金融政策が決定されるわけですが、その参考になるのがベージュブック(国内地域経済の景況報告書)や雇用統計などです。ベージュブックは、表紙の色がベージュのためにこう呼ばれています。

FOMC議長はFRB議長、FOMC副議長はニューヨーク連銀総裁が務めることになっています。ですから、現在のFRB議長はジャネット・イエレンです。FRB副議長は、ニューヨーク連邦準備ウィリアム・ダドリーです。

FMOCのメンバーは以下にあげる通りです。委員長・副委員長以外のメンバーは、FRBの理事全員と、ニューヨーク連邦準備銀行総裁を除く11行の連邦準備銀行総裁のなかから選ばれた4名がその任にあたることになっています。現在は、FRB理事のポストに2名空席があるため、FOMC委員ポストにも2名空席があります。また、4つの連銀総裁枠については、1年ごとのもち回りで選ぶ輪番制を採用しています。11行の連銀を4つのグループにわけ、各グループから1人ずつ選ぶかたちになっています。その4つのグループとは、第1グループがボストン連銀、フィラデルフィア連銀、リッチモン ド連銀、第2グループがクリーブランド連銀、シカゴ連銀、第3グループがアトランタ連銀、セントルイス連銀、ダラス連銀、第4グループがミネアポリス連銀、カンザスシティ連銀、サンフランシスコ連銀と区分されています。この他には、委員ではない連邦準備銀行総裁7名も会議に参加できますが、議決権はありません。
 
委員長
ジャネット・イエレン(FRB議長)

副委員長
ウィリアム・ダドリー(ニューヨーク連邦準備銀行総裁)

委員(FRB理事)
ラエル・ブレイナード(元米国財務次官)
スタンレー・フィッシャー(イスラエル銀行前総裁)
ジェローム・パウエル(カーライル・グループ元幹部)
ダニエル・タルーロ(元ジョージタウン大学ローセンター教授)
空席2名

委員(連邦準備銀行総裁)
チャールズ・エヴァンス(シカゴ連邦準備銀行総裁)
デニス・ロックハート(アトランタ連邦準備銀行総裁)
ジェフリー・ラッカー(リッチモンド連邦準備銀行総裁)
ジョン・ウィリアムズ(サンフランシスコ連邦準備銀行総裁)

代理委員
ジェームズ・ブラード(セントルイス連邦準備銀行総裁)
エスター・ジョージ(カンザスシティ連邦準備銀行総裁)
ロレッタ・メスター(クリーブランド連邦準備銀行総裁)
エリック・ローゼングレン(ボストン連邦準備銀行総裁)
マイケル・ストライン(ニューヨーク連邦準備銀行第一副総裁)

よく、FOMCのメンバーをハト派とかタカ派といって色わけすることがありますが、ハト派とは、利下げなどの緩和的な金融政策を推奨する委員のことで、一般にDovishと表現します。一方、タカ派は、引き締め的な金融政策を推奨する委員のことで、Hawkishともいいます。しかし、実際にはFRB議長の意見が会議の内容に重要な影響をあたえています。したがって、現在ならジャネット・イエレンFRB議長の意見に注目する必要があります。

FOMCでの討議内容は、声明文として、FOMC開催最終日(米国東部標準時14時15分頃)に公表されます。また、議事録についてはは、FOMC開催最終日の約3週間後に公表されています。このFOMCの議事録は、金融市場関係者にとって今後の米国の金融政策を占うものであり、個人投資家にとっても見逃せない重要なものとなっています。

20.中央銀行の役割とは何か?

その国の金融行政にもっとも大きな影響をもっているのは、各国の中央銀行と呼ばれる金融機関です。世界でもっとも歴史の古い中央銀行は、スウェーデンのスヴェリイェス・リクスバンクです。1668年に創設されました。その前身はストックホルム銀行で、現在はスウェーデン国立銀行として機能しています。

続いて古いのは、イギリスのイングランド銀行(BOE)です。1694年に民間実業家の出資により設立されました。わが国の日本銀行(BOJ)が世界で3番目に古い中央銀行で、設立されたのは1882年です。そして、最近のトピックスでいえば、欧州中央銀行(ECB)が設立されたのが、1998年のことです。

では、各国の中央銀行はどんな役割を負っているのでしょうか。

各国中央銀行の金融政策

各国の中央銀行によって、その金融政策の目的が異なるため、簡単に整理しておきます。

アメリカの中央銀行にあたるFedの金融政策は、雇用の最大化、物価の安定、適度な長期金利です。

ヨーロッパ中央銀行である欧州中央銀行(ECB)の金融政策は、物価の安定およびEU圏(ヨーロッパ圏)の経済政策のサポートです。

イギリスのイングランド銀行(BOE)の金融政策は、物価の安定および経済成長・雇用など、イギリス政府の経済政策のサポートです。

日本の中央銀行である日本銀行(BOJ)の金融政策は、通貨及び金融の調節を行うに当たっての理念として、物価の安定を図ることを通じて、国民経済の健全な発展に資することです。

各国の中央銀行は、目的を達するために、それぞれの金融政策を実施しています。FX投資家にとって疑問に思うことは、なぜアメリカの雇用統計の結果で為替が乱高下するのかということだと思います。

その理由は、Fedの金融政策には雇用の最大化という目標があり、アメリカの金融政策を予想するうえで、雇用統計は重要な指標となっているからです。

日本銀行の役割

ところで、日本銀行の役割をもう少し具体瀧に述べてみると、次のようになります。日本銀行は3つの役割を課せられています。それは、「銀行の銀行」「政府の銀行」「発券銀行」としての役割を果たすことです。

まず、日本銀行が「銀行の銀行」と呼ばれるのは、民間の金融機関から預金を預かり、金融機関に貸出を行う役割をしているからです。

次に、「政府の銀行」と呼ばれているのは、法令に基づき、国庫事務,国債事務,外国為替事務などの一部を委託されているからです。

最後に、「発券銀行」と呼ばれているのは、日本銀行が金融機関のなかで唯一の発券銀行(お金を発行することができる銀行)だからです。ツマリ、お札を刷って市場に流通させる役割を担っているからです。

2008年のリーマン・クライシス以降、各国の中央銀行には、従来の課せられた役割にプラスして、最後の貸し手として資金供給をする役割や、金融システムの安定化のための監督役割などが現在、金融関係者から求められています。

21.為替相場に影響を与える経済指標とは?

為替相場が変動するのはいろいろ理由があります。各国中央銀行の総裁や副総裁など金融関係者の発言や経済指標、あるいはテロなどの政治的事変、など。そのなかでここでは、為替相場に影響を及ぼしやすい経済指標について解説いたします。

日銀短観

「日銀短観」とは、日本銀行が実施する「全国企業短期経済観測調査」のことです。一般には「日銀短観(にちぎんたんかん)」あるいは「短観(たんかん)」と呼んでいます。この調査は、日銀が四半期ごとに実施しているもので、民間企業に対して景気に関するアンケートのことです。調査の対象となる民間企業は資本金が2000万円以上で、約21万社が対象となります。

主な調査項目は、生産・売上げ・在庫をはじめ、設備投資、企業収益、雇用、企業金融の5つに分類し、3月、6月、9月、12月に実施しています。この短観の項目のなかでもっとも注目度が高いのが、「業況判断指数DI」です。DIの算出式は、DI=「業況が良いという企業の割合」-「業況が悪いという企業の割合」でだします。この数字がマイナスであれば、企業の業況は非常に悪いという結果になります。

米雇用統計

米国労働省労働統計局が毎月第一週の金曜日に発表するのが「雇用統計」ですが、経済指標のなかでもっとも投資家が注目している経済指標です。投資家だけでなく、FRBもこの数字を注目し、FF金利の動向を決定するうえで参考にしています。そういう意味では最重要の経済指標といっても過言ではありません。なかでも、非農業部門雇用者数と失業率が重要視されます。

まず、失業率とは、失業者数÷労働力人口×100で算出されます。失業者数の対象となるのは、16歳以上で、現在就業しておらず、過去4週間仕事を探していた者のなかで仕事があればすぐに就業できる者、あるいはレイオフ状態にある者です。

非農業部門雇用者数とは、農業部門以外で、給料をもらっている人が対象となります。そのなかで、経営者や自営業者は対象となりません。その逆に、2カ所から給与の支払いを受けている者は、二重に計算されることになります。 

ADP雇用統計

毎月第一週の水曜日に発表される「ADP雇用統計」は、労働省が発表する雇用統計の前哨戦といわれていますが、緊密な相関関係があるわけではありません。ADPは、約50万社の給与計算を代行する民間のアウトソーシング会社で、その会社が作成する雇用レポートがADP雇用統計です。2006年から発表を始めています。 

住宅着工件数

住宅着工件数とは、月内に建設が開始された新築の住宅戸数を統計で表示したものです。一般に、公共住宅を除いた民間の建設分を集計したもので、一戸建てと集合住宅を区別し、さらに地域別(北東部、中西部、南部、西部)でも分類して発表しています。

住宅建設は天候が大きく影響するため、季節調整後でも変動が激しく、単月だけで景気を判断するのは危険です。少なくとも半年は統計を見ながら、正確に景気の判断をすることが重要になります。

住宅投資は景気と密接に関係しています。一般的にいえることは、「金融緩和→住宅着工件数の増加→景気拡大→金融引き締め→金利上昇→景気後退」という流れになります。

住宅許可件数

住宅着工件数の先行指標として注目しなければならないのが、住宅許可件数です。住宅の着工のためには、地方自治体に住宅着工の許可を申請・獲得しなければなりません。その約2万カ所の許可発行件数を集計したのが住宅許可件数です。住宅着工の許可を得た住宅のうち、約98%が許可を受けた月に着工を始めるため、住宅許可件数は景気の先行指標として使用されています。

住宅着工件数も住宅許可件数も、米国商務省センサス局が、数字を集計した月の翌月の第3週目に発表されます。

ほかに住宅関連の経済指標として注目すべきものは、新築住宅販売件数や中古住宅販売件数、ケースシラー住宅価格等があります。 

ISM製造業景況指数

これは、全米供給管理協会が、400社以上の購買・供給担当役員に対して、生産、新規受注、入荷遅延比率、在庫、雇用の各項目についてアンケート調査し、それをもとに季節調整した景気動向指数DIを作成し、それに加重平均したものが、ISM製造業景況指数です。

この指数が50%を上回ると景気が上向いており、下回ると景気が後退局面にあると判断します。この指数が注目されるのには、2つの理由があります。ひとつは、執拗な経済指標のなかでもっとも早く発表されるからです。翌月の第一月曜日にはこの指数が発表されます。次に、企業の役員クラスからの聞き取り調査のために、直接景気の動向がどうなっているかを知ることができ、景気転換の先行指標となっているからです。

この指数と関連したものでは、フィラデルフィア連銀製造業景況指数やニューヨーク連銀製造業景況指数があります。

全米供給管理協会では、この指数のほかに、非製造業景況指数も発表しています。約400社近くの非製造業の役員が対象となります。企業活動、新規受注、入荷遅延比率などを加重平均して、翌月の第3営業日に発表されます。

ビッグマック指数

英国の経済誌エコノミストが発案した指数で、ビッグマックが世界で販売されていることから、その価格を為替レートに見立てて、各国経済力を測り、通貨の価値を比較しようとするものです。為替レートは、二つの国の通貨の購買力の比率によって決定されるという考え方が根底にあります。

2016年1月のビッグマックの価格は、米国が4.93ドル、日本が370円です。この数字から、「米ドル/円」の適正価格を計算すると、370円÷4.93ドル=75円050銭(円/ドル)となります。現在の「米ドル/円」が111円418銭(2016年4月4日現在)ですから、現在の「米ドル/円」は、111円418銭-75円050銭=36円368銭と、36円も円安だということがわかります。

これをもとに、いずれ「米ドル/円」が適正価格に戻ると考えて、「米ドル/円」を1万ドルショートでもっていて、「米ドル/円」が75円になったときに決済すれば、36万円の利益となります。まあ、現実はそう簡単に円高にはならないでしょうが、適正通貨の価格を知るうえで参考にはなると思います。

ベージュブック

ベージュブックとは、米地区連銀経済報告書のことです。報告書の色がベージュであることから、ベージュブックと呼ばれています。全米12の連邦準備銀行が担当する地区の経済概況をまとめたものです。ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、シカゴ、セントルイス、ミネアポリス、カンザスシティ、ダラス、サンフランシスコの12の連邦準備銀行総裁が報告をするものです。

この報告書が重要なのは、FOMCがこの報告書を元に、今後の政策金利の決定や経済状況や物価状況の認識、成長と物価のリスクバランス、公定歩合の変更などを行うからです。米国の金融政策を読み解くうえで、ベージュブックは重要な資料となります。 

FF金利

FF金利とは、米国の政策金利のことをいいます。連邦準備制度理事会、いわゆるFRBが短期市場をコントロールする目的で、FF金利の調整を行います。政策金利とは何かといいますと、中央銀行が一般の市中銀行に融資するときの金利のことを指し、金融政策上、もっとも重要な役割のひとつです。

フィラデルフィア連銀製造業指数

フィラデルフィア地区(ペンシルバニア州、ニュージャージー州、デラウェア州)の製造業に対して、雇用者数、新規受注、受注残、労働時間、平均賃金、設備投資(見通し)、出荷、在庫、入荷遅延比率、受取価格の10項目について、1カ月前と比較した現状と、6カ月後の期待値を良い、悪い、同じという3社択一で調査し、その調査結果からDIを作成し、発表したものです。

ゼロを分岐点にしていますから、そのDIがゼロよりプラスであれば景気の先行きは明るく、マイナスであれば、景気の先行きは暗いと判断できます。ちなみに、DIとは業況判断指数のことです。

消費者物価指数

物価が上昇すれば、インフレ懸念が強まり、長期金利の上昇に圧力がかかります。金融政策の引き締めが行われることにより、短期金利の上昇を招きます。その逆に、デフレが進行するとその逆の流れになります。そういう意味でその国の金利の動向を測るうえで、物価の重要な手がかりとなります。

消費者物価指数は主に都市部の家庭やデパート、スーパーを対象に調査が行われます。約5万世帯(全国87カ所)の家庭と、約2万3000のデパート、スーパーなどの小売店を対象に、約8万項目にのぼる調査結果を集計して発表します。

消費者物価指数には、指数全体を現す総合指数と、季節要因など価格変動の大きな食品、エネルギーを除いたコア指数がありますが、為替市場は変動要因が少ないコア指数に注目をしています。

消費者物価指数は、米国労働省労働統計局が翌日の15日あたりに発表します。

個人消費支出デフレーター

名目個人消費支出を実質個人消費支出で割ったもので、一種の物価指数で、その変化がプラスであればインフレーション、マイナスであればデフレーションと判断することになります。価格変動の激しいエネルギーと食品を除いたものをコア個人消費デフレーターといい、FRBが物価指標のなかでもっとも重要視している経済指標です。

ゾンビ銀行指数

正式名称は「テキサス・レシオ」といいます。銀行の健全性を示す指数で、「危ない銀行を表す指数」として利用します。計算方法は、テキサス・レシオ(ゾンビ銀行指数)=銀行の不良債権残高÷(有形自己資本+損失割り当て準備金)です。

銀行の不良債権が拡大し、自己資本や準備金が減少すれば、テキサス・レシオは高くなります。つまり、損失する可能性の高い資産に対して、どれだけ資金をもっているかを示すもので、この数値が100を超えてくると、ゾンビになる可能性が高くなります。

VIX指数

別名、恐怖指数とかびっくり指数とか呼ばれるもので、シカゴのオプション取引所(CBOE)で取引されるボラティリティ・インデックスの略称です。CBOEが米国主要株価指数であるS&P500種株価指数を対象とした株価指数オプション取引の値動きを元に算出した指数です。この指数は、投資家の将来への心理状態を表すものとして注目されています。通常のVIX指数は、20から30のレベルで推移します。そのレベルを下回っていると、相場は膠着状態となり、値動きが乏しくなるという心理状態を表します。その場合は、取引しても時間と手数料の無駄ということになります。逆に、そのレベルを超えていると、取引のチャンス、という見方ができます。

消費者信頼感指数

この指数は、個人の消費動向を見るうえで非常に重要な指数です。約5000人を対象にしたアンケート調査で、「現在の経済と雇用の状況」と「半年後の経済・雇用・所得の予想」について調べたものです。個人消費は米国のGDPの約70%を占めるため、この指数は、消費のバロメータでもあります。

この指数が高くなるということは、雇用が増えて、所得が増えるため、景気が良くなることを意味しています。また、リスクへの投資が高まることから、NYダウの相関関係が強く見られ、NYダウの先行指標ともなっています。

このほか、消費動向を把握する指数としては、小売売上高や個人所得・個人支出、消費者信用残高、ミシガン消費者信頼感指数などがあります。

22.くじけそうになったときの対処法

トレードをやってやっても損ばかりをしていると、嫌になって心がめげてしまいます。もう、トレードをすることさえ苦痛になってきます。自分としてはがんばってトレードをしているつもりなのに、勝利の女神はいっこうに振り向いてくれない、そんな体験をされた方は多いのではないでしょうか。

そんなときは、いったん、トレードを休止して、これまでの自分のトレード内容を冷静に、客観的に分析してみましょう。売買を繰り返していくと、トレードになれてしまって、常にトレードをしていないと落ち着かなかったり、すぐにポジションをもちたがるポジポジ病にかかったりしますが、負けが続いているときに無理やりトレードをしてもいい結果を生みはしません。そこは心を鬼にしてでも、トレードをいったん休止しましょう。

そして、次のようなことを実施するのです。

  1. トレードをするのは何のためにやっているのか? と自分に問い直すこと。利益を追求するためなのか? あるいは戦略を考えて楽しむためなのか? などなど。
  2. これまでトレードした結果、損失はどのくらいになっているのか? 
  3. その損失の金額は想定していた金額以下なのか、あるいは想定した金額をはるかに超えてしまっているのか?
  4. 想定した損失以上だった場合、そんなに損失の金額は大きくなったのはどうしてか? リスク管理に問題になかったのか?
  5. 新規注文のとき、決済注文のとき、なぞそのポイントでエントリーや決済をしたのか? その理由がいえるのかどうか?

個人投資家の場合、インターバンクや証券会社のディーラーと違って、「トレードをしたいときにトレードをする、トレードをしたくないときにはトレードをしない」というのが、大きな特長です。それが個人投資家の強みといってもいいかもしれません。

ですから、自分の好きなパターンがチャートに現れたときに、市場に参加できる体力を日頃から培っておかなければなりません。そのためには、自分がトレードでなぜこうも損失を被ってしまったのかを冷静に分析し、その要因をつかんでおくことです。二度と同じ失敗は繰り返さないという教訓するためにも、そのことは必要不可欠です。

マーケットはいつの正しいものです。人間が正しい訳ではありません。なぜなら、人間は往々にして間違いを犯す存在だからです。ですから、くじけそうになったときは、いったん、トレードを休止して、負けている要因、くじけそうになった要因を冷静に分析することに時間をかけ、その要因を発見し、次のトレードに備えるようにしたいものです。

23.最初の一歩を踏み出すために

インターネットが普及したおかげで、FX取引をやってみたいと思っている人は意外と多いのではないでしょうか。ネットの影響だとは思いますが、「FXは誰でも簡単にできる」という風潮がいまだに根強く残っているような気がしてなりません。

確かに、物理的には誰でもFX取引を行うことは可能ですし、経済に明るくなくても、FXを始めることはできます。現に、経済にまったく明るくない素人(経済オンチ)の女性が、現在、専業トレーダーとして生計を立てておられる例も少なくありません。

しかし、「FXは簡単」だから誰でもできるといっても、全員が全員、FXで成功するとは限りません。

「FXをやってみたいし、今の自分の生活をよりよいものにしたい、自分自身も変わりたい」といいながら、その一方で、「でも自信がない、お金もない、FXのやり方もわからない」とFXを始めるのに、躊躇する方も少なくありません。

そのようなFX取引にあと一歩、踏み出せない人たちは、どうしたらFX取引を始めることができるようになるでしょうか。

そのための方策のひとつは、自分自身で「こうなりたい! という気持ちを強くもつ」ことです。つまり、自分のこれまでの考え方を変えることです。そうすると、自分の行動が変わってきます。行動が変わると自ずと結果も変わってきます。逆にいえば、考え方を変えない限り、行動も結果も変わることはありません。

自分を変えるためのもっとも簡単な方法があります。それは、「うまくいっている人の真似をする、噺を聞くこと」です。この「うまくいっている人」を「自分のなりたい人、憧れの人」に置き換えてもいいのですが、成功している人のセミナー等にいってはなしを聞いたり、その人の成功談を本で読んだりして、その人が成功した秘訣や条件等をつかみとって、自分なりにそれを消化し、その行動や言動を真似てみることです。

そうすることによって、新しい自分の発見につながり、自分のやりたいこと、自分の目標に向かって第一歩を踏み出すことができるようになるでしょう。いや、その可能性が高くなるといってもいいと思います。

では、具体的に、FX取引を本格的に始める前に、その準備行動としてはどんなことをしていったらいいでしょうか。

まずはじめに、デモトレードで取引の練習をすることです。

多くのFX会社が無料でデモトレードを提供していますが、この機会を逃す手はありません。デモトレードを提供しているどのFX会社でもいいのですが、その会社の取引システムを使いながら、リアルトレードと同じ感覚で取引をすることができるのですから、おおいにでもトレードは利用すべきです。

デモトレードの最初は、本当に基本中の基本的なことから始めればいいのです。まず、成行で買ったり、売ったりしながら、注文の出し方や決済の方法などを、各社の取引システムに搭載されている機能をひととおりチェックしてみるのです。

なぜ、FX取引を始めるにあたってデモトレードが必須の条件になるかですが、それは、何の練習もせずに、リアルトレードを行うのはあまりにも無謀だと考えるからです。自動車の運転にたとえるとわかりやすいのですが、自動車の運転にまったく慣れないにもかかわらず、公道に車を乗り出すとどうなるでしょうか。間違いなく交通事故を起こすことになるでしょう。たとえ、交通事故を起こさなくても、それはたまたま運が良かったに過ぎません。

FX取引も同様で、買うつもりが売りでエントリーしてしまったり、1万通貨の取引のつもりが10万通貨で注文して、気づいたときには大損してしまったとか、このような例は枚挙にいとまがありません。

ですから、FX取引を始めるにあたっては、デモトレードをしっかり行い、慣れ親しむことが重要なのです。

カリスマトレーダーとして著名な鳥居万友美さんは、著書『FXで月100万縁儲ける私の手法』(ダイヤモンド社)のなかで、デモトレードの重要性を口を酸っぱくして述べながら、自分が実際に行ってきたデモトレードのメニューを次のように紹介しています。FX取引を初めて行おうとしている人に大変参考になると思いますので、紹介してみます。

1日目
買い(ロング)と売り(ショート)の注文を出し、決済する練習。
2日目
「指値」でエントリーする練習。
3日目
「指値」(ストップロスとリミット)で決済する練習。
4日目
ローソク足の期間を変えながら、トレンドを判断する練習。
5日目
週末を超えるときの練習。
6日目
ローソク足に移動平均線を加えて、トレンドの反転を読む練習。
7日目
注文の枚数(金額)を増やしてみる練習。
8日目
本気で勝ちを意識してとれーどをする練習。一回一回の勝ち負けではなく、1日のトータルで勝てるように意識する。
9日目
本気で勝ちを意識してトレードする練習。一回一回の勝ち負けではなく、1日のトータルで勝てるように意識する。
10日目
本気で勝ちを意識してトレードする練習。一回一回の勝ち負けではなく、1日のトータルで勝てるように意識する。

10日間、毎日2時間から3時間、このような練習をしてみてはどうでしょうか。もし、この練習でもまだ不安を感じているようであれば、さらに、10日間、同じような練習を繰り返してはどうでしょうか。そうやってデモトレードをすることによって、多少なりともFX取引のことが理解できるようになるはずです。

このように、デモトレードでいろいろな手法などを試してみるのは価値のあることですが、デモトレードはデモトレードにすぎません。損をしない代わりに利益を生み出すこともできません。デモトレードばかりをやっていては、実際のFX取引の腕は上達しません。

FX取引を始めようと思った理由のひとつに、このFX取引で利益を上げて、より生活を楽にしたいという思いがあったはずです。ですから、ひととおり、デモトレードを行って、FX取引が理解できた段階で、リアルトレードに挑戦してみることが大切です。

では次に、実際に自分のお金を証拠金として、リアルなFX取引の踏み出してみましょう。その場合、いきなり1万通貨単位の取引を行うのではなく、1000通貨単位、あるいは100通貨単位から、小さく始めることが肝心です。

大事なことは「大きな損失を出さないこと」です。ですから、最初は1000通貨単位の取引から始めるのがいいのです。1000通貨単位の取引ですから、たとえ負けたとしても、資金をすべて持って行かれるような損失を被ることはありません。この1000通貨単位の小さなリアルトレードを行いながら、自分の勝ちパターンを早く見つけることが重要です。

個人投資家の皆さんのなかには、1000通貨単位の取引でうまくいったときに、「これが1万通貨単位や10万通貨単位のだったら、もっと利益を上げることができたのに、惜しい!」と思われる方もいるでしょう。

しかし、FX取引では、利益を上げるチャンスはいくらでもやってきます。大事なことは、何度も言いますが、大きな損失を出さないこと、です。自分の勝ちパターンを早く見つけて、自分なりの確固とした手法を確立することが重要です。

大きな損失を被って、市場から退場を余儀なくされたら、何にもなりません。

また、デモトレードから自分の大切な資金をつぎ込んでリアルトレードに移行すると、しばらくすると、自分のお金をすべて失ってしまうのではないか、という恐怖感や、自分の感情をコントロールすることの難しさを痛感する方も多いことでしょう。

しかし、それはリアルトレードを経験するなかで克服していくしか方法はありません。ですから、いくら小さい単位の取引とはいえ、感情のコントロールや理性が必要となってきます。

そうやって、1000通貨単位のリアルトレードになれてきたら、次に、取引枚数(ロット数)をあげていきましょう。

ロット数を大きくしていくと、その分、利益も大きくなりますが、損失も大きくなることを忘れてはなりません。さらに、ロット数をあげてトレードをしていくと、損切りの難しさを痛感することでしょう。500円で損切りするのは何とも思わないが、これが5万円、50万円で損切りをするとなると、心が騒いで、感情のコントロールがことも大いに考えられることです。「自分は冷静に、5万円の損切りをするときと同じ気持ちで50万円の損切りをすることができるだろうか……」と、悩むケースもでてくるでしょう。

これがリアルトレードの難しさ。怖さのひとつなのですが、この感情を冷静にコントロールできるか、できないかの分岐点が、実は、自分がリアルトレードをするうえでの、自分にもっともふさわしい投資資金の上限だといっても過言ではありません。

人にはそれぞれ、分というものがあります。それは、FX取引においても例外ではありません。器といってもいいでしょう。

しかし、自分の器は、努力時計家など、たゆまぬ精進によって大きくなっていくものです。より大きなトレーダーを目指して、日々精進することが、FX取引に一歩踏み出してしまった個人投資家には、いつも求められることなのです。

そして、日々、その精進を続けていくためには、「今と同じままで目標を達成できますか?」と、常に自分に問いかけて下さい。あなたが憧れる〇〇さんだったらこんなときどうするかな……と思ってください。

FX取引のトレーダーとして一歩踏み出したからには、常に自分の目標を掲げ、その目標を達成するためにはどうしたらいいのかを真剣に考えるようにしてください。そこからまた、新しいFXトレーダーとしての道が開けていくのではないでしょうか。がんばってください。

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