雨夜恒一郎

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    2014年3月31日
    今週は米国雇用統計に注目!早期利上げ期待の剥落に注意[雨夜恒一郎]
    3月18・19日に行われたFOMC後の会見でイエレンFRB議長は、QE(量的緩和)終了は今秋になるとの見方を改めて示したうえで、「かなりの期間低金利維持」はおそらく半年程度を意味すると述べた。 毎回のFOMCで100億ドルずつQEを縮小していけば、今年10月に終了するため、市場はそこから半年後の来年春には最初の利上げがあると受け止めた。 米国長短金利は一時急上昇し、「米ドル/円」も101円から102円台後半へリバウンドした。しかし、イエレン議長の会見内容をよく読むと、来春利上げ開始の期待は早計であることがわかる。 議長は会見の冒頭で、長期失業者が失業者全体に占める割合が依然高く、労働参加率も低下していることを強く懸念している。 この会合でFOMCは緩和解除の基準となる失業率の基準値6.5%を撤廃し、今後はより広範囲の情報を考慮することを決めたが、それは雇用市場の回復が確認される前に失業率が基準値に達し、FOMCが望まない形で利上げ期待が高まるのを防ぐことに狙いがある。 そして、イエレン議長は「現在の軌道において、利上げ開始が適切となるのは来秋と見込んでいる」とも述べている。 来秋となる…
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    2014年3月24日
    人民元急落で恩恵を受ける通貨は?[雨夜恒一郎]
    先週の人民元相場は対ドルで一時6.237元と約13か月ぶりの安値をつけた。年初の高値6.03元から比べて3.4%あまりの下落である。 昨年までは、中国の大規模な貿易黒字や欧米の元安批判を背景に人民元はじりじりと上昇していくというのが大方の見方であり、1ドル=6元割れも時間の問題と見られていた。 人民元相場にいったい何が起こっているのだろうか。 人民元が明白に下落し始めたきっかけは2月18日の中国人民銀行通貨政策会合である。 以来、人民銀行は連日市場で人民元「売り」介入を実施し、変動幅を1%から2%に拡大するとのうわさが流れた。そして、3月1日には正式に人民元の一日あたりの変動幅を2倍に広げることを発表し、うわさは現実となった。 中国当局は何を意図しているのか真相はわからないが、今後予想される自由変動相場へ移行を見据えての「地ならし」という見方が有力だ。 これまで人民元相場の上昇が続くという前提で投機的な資金が流入した結果、人民元相場は2010年以来ほぼ一本調子で10%あまり上昇してきた。 投機筋に「罰」を与えることで、「今後は上下双方向に動くことが常態化する」(人民銀の易綱副総裁)との…
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    2014年3月17日
    日銀「ゼロ回答」で株安・円高の催促相場が始まった[雨夜恒一郎]
    先週開かれた日銀金融政策決定会合は、マネタリーベースを年間60兆─70兆円増やす現行の政策を維持することを全員一致で決定し、市場が期待していた追加緩和を見送った。 黒田総裁は会見で、「2%の物価目標の実現に向けた道筋を順調に進んでいる」「現時点で何かの調整の必要があるとは思わない」と述べ、「戦力の逐次投入はしない」姿勢を改めて示した。 消費税引き上げ前の「予防的緩和」が見送られた以上、次の一手は「基調として緩やかな回復」という見通しが変化し、物価目標の達成が困難になってからと考えざるを得ない。 日銀の公式の見通しは展望レポート(経済・物価情勢の展望)で示されるが、次回公表は4月30日で、この時点では消費税引き上げ後のデータは入手できていない。 その次となると、7月14-15日の決定会合後に公表される展望レポートの「中間評価」ということになる。 日銀があくまで公式見通しをベースに行動するとすれば、7月までは追加緩和策は出てこない可能性が高いのだ。これは市場にとってかなりのストレスとなるだろう。 実際、先週日経平均は失望売りで870円下落し3年ぶりの下げ幅を記録した。 期末でただでさえ投資…
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    2014年3月10日
    米国雇用統計は堅調。株高・円安の好循環が始まるか[雨夜恒一郎]
    先週金曜日は、米国2月の雇用統計が予想より強い結果となったことを受けてドル円は買いが強まり、一時103.76円まで上昇。 非農業部門雇用者数は+17.5万人と予想の+15.0万人を上回り、前回・前々回も計2.5万人上方修正された。 悪天候にもかかわらず雇用が堅調な伸びを示したことで、雇用市場の回復に対する信頼感が高まり、FRBのテーパリング(QE縮小)のペースが見直される公算は小さくなった。 米国債利回りの上昇と株高が同時進行することにより、昨年11-12月のようなドル高・円安トレンドが再開する可能性が出てきた。 今週は今日・明日開催される日銀金融政策決定会合が注目材料だ。日銀は先月の会合で、大方の予想に反して追加策(成長支援融資倍増)を打ち出し、それまでの「戦力の逐次投入はしない」というスタンスを転換した。 今回も日銀の追加策に対する期待は強く、ゼロ回答では失望売りになりそうな雲行きだ。 市場の空気を読むことに長けている黒田総裁は、その期待に何らかの形で応えようとする可能性が高い。 また日銀が掲げる「2年で2%」の物価目標を達成するためには、円安進行が必要不可欠となる。 来月に迫った…
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    2014年2月17日
    豪ドルが大幅反発!今度こそ底入れか?[雨夜恒一郎]
    1月20日の当コラムでは、「豪ドルの底入れ見通しは時期尚早だった。今後は、スティーブンズ豪準備銀行総裁が望む0.85ドルまで下落すると見たほうがいいかもしれない」と述べた。 果たして、その後豪ドルは一時0.86ドル台まで下落したが、2月に入ってからは反発に転じ、先週はスティーブンズ総裁が「経済にふさわしくない」と懸念していた0.90ドルを突破した。 豪ドルは今度こそ底入れしたのだろうか? 豪ドル復調のきっかけは、先月22日に発表された第4四半期の消費者物価指数が前年比+2.7%(前回+2.2%、予想+2.4%)と高い伸びとなったことだ。 豪準備銀行の目標である2〜3%の中心値を上回ったことで、追加金融緩和観測が大きく後退した。 豪準備銀行は、昨年8月に利下げを実施して以降は「金融政策は適切」とし、スタンスを緩和寄りから中立に修正している。 先週開催された理事会では、これまで声明で強調していた「豪ドルは不快なほど高い」との文言も削除した。インフレ懸念が浮上し、豪ドル高もおおむね望ましい水準まで修正されたことで、豪準備銀行のスタンスにも変化が生じているのだ。 先週は豪ドルが0.90ドル台へ…
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    2014年2月10日
    雇用統計下振れで先行き不透明感高まる!今週はイエレン議長のデビュー戦[雨夜恒一郎]
    先週金曜日に発表された米国1月の雇用統計・非農業部門雇用者数(NFP)は、予想の+18万人を大きく下回る+11.3万人となった。 わずか+7.4万人だった前回12月分の修正値も、+7.5万人と小幅の上方修正にとどまった。 12月以来米国に居座る大寒波の影響を引き続き受けたことははっきりしているが、2カ月連続の下振れとなると、米国景気の先行きや金融政策に対する影響は無視できなくなってくる。 そもそも、昨年11月〜12月の急激な株高・円安はやや強引過ぎた感が否めない。 特に、昨年12月18日のFOMCでQE縮小開始が決定され、米国債利回りが上昇したにもかかわらず、米国株式市場は「景気はQE縮小に耐えられるほど強い」と楽観的に解釈して史上最高値を更新した。 未曾有の超金融緩和政策がついに転換期を迎えたわけだから、本来株式市場はもっと慎重に構えるべきであった。年明け以降の株安・円高は、その反動と考えるのが自然だ。 現時点でFRBは景気や雇用の先行きを懸念しておらず、今後もQE縮小を継続する意向を示している。 これに対して米国株・債券市場は明らかに不安を感じており、先月のFOMC後の株安・金利低…
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    2014年2月3日
    新興国懸念、株安連鎖、米国金利低下で「米ドル/円」100円割れも?[雨夜恒一郎]
    先週は、アルゼンチンペソなど新興国通貨の混乱が続くなか、日米の株式市場は昨年11月以来の安値へ下落。 米国10年債利回りも2.7%台を割り込み、昨年11月以来の水準へ低下した。 リスク回避型の円買いと、米国金利の低下を受けたドル売りが同時進行し、「米ドル/円」は101円台へ下落した。 もっとも、先週の当コラムでも述べたとおり、今回の株安・円高の流れは1月10日に発表された米国12月の雇用統計が起点となっている。 非農業部門雇用者数(NFP)の大幅下振れは悪天候が原因であることは間違いないが、1月に入っても寒波は衰えておらず、雇用は引き続き影響を受けた可能性が高い。 今週金曜日にはその1月の雇用統計が発表される。 NFPの予想は+17.5万人と前回(+7.4万人)ほど悪くない数字となっているが、果たしてその程度で済むかどうか。 もし2カ月連続でNFPが大幅下振れとなれば、個人消費や住宅着工など幅広い経済活動に影響が波及することは避けられず、特殊要因によるものとはいえ看過できなくなってくる。 また今週は雇用統計に先立ってISM製造業・非製造業景況指数やADP雇用報告など重要指標の発表が目白…
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    2014年1月27日
    日銀追加緩和への期待が剥落!株安・円高の負の連鎖に備えよ[雨夜恒一郎]
    先週後半は、HSBC発表の中国PMIが好不況の分岐点である50を半年ぶりに割り込んだことをきっかけにリスク回避の動きが広がり、円ショートが急激に巻き戻される展開。 アルゼンチンペソなど新興国通貨が急落したことや、株式市場が連日の大幅安を記録したことから、「米ドル/円」は一時102.00円と12月上旬以来の安値へ下落した。 また、「ユーロ/円」が140円台を割り込み、「豪ドル/円」が90円台を割り込むなど、クロスでも安全通貨の円が独歩高の展開となった。 中国景気指標の悪化や、「伏兵」アルゼンチンの出現はもちろん大きなネガティブサプライズであったが、実は円高の伏線は水曜日の日銀金融政策決定会合にあった。 日銀は今年と来年の物価上昇率見通しをそれぞれ+1.3%、+1.9%に据え置き、「消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動の影響を受けながらも、景気は緩やかな回復続ける」と楽観的な見通しを示した。 さらに、黒田総裁は会見で「14年度後半から15年度にかけて物価は目標の2%に達する可能性が高い」と物価目標達成に自信を示したのだ。 海外投機筋の間では、4月からの消費税引き上げに対応して日銀が追加緩和…
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    2014年1月20日
    豪ドルの下落が止まらない![雨夜恒一郎]
    先週発表された豪州12月の雇用者数は、予想の+1.0万人に対して-2.26万人と大幅な下振れとなった。 これをきっかけに豪ドル売りが加速し、対ドルは0.8765ドル付近と2010年以来の安値を更新。「豪ドル/円」も91.40円付近と1か月ぶりの安値をつけた。 豪雇用統計は毎回振れの大きい数値ではあるが、一旦は後退していた追加緩和観測が再燃する可能性があり、今後の景気指標を注視していく必要がある。 今週は水曜日に発表される第4四半期の消費者物価指数(前回+1.2%、予想+0.5%:前期比)が要注意だ。 また、豪ドルは昨年秋から米QE縮小観測を受けて大幅に下落してきた。QE縮小は異例の金融緩和からの出口への第一歩であり、ドル安に歯止めをかけるとの見方が強まっている。QE縮小によりペーパーマネーであるドルの信認が回復すれば、その対極にある資源国通貨の価値は相対的に低下する。 実は筆者は、米FOMCがQE縮小を決定したことで材料出尽くしとなり、豪ドルは当面の底を入れると考えていた。豪ドル相場はすでにQE縮小を十分先取りしていたし、当初の縮小ペースは月100億ドルと予想よりも緩やかだった。FRB…
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    2014年1月13日
    米国雇用統計が大幅下振れ!金融政策への影響は?[雨夜恒一郎]
    先週金曜日に発表された米国12月の雇用統計は驚愕の結果となった。+19.5万人前後と予想されていた非農業部門雇用者数(NFP)がわずか+7.4万人と約3年ぶりの低水準にとどまったのだ。11月分は+20.3万人から+24.1万人に上方修正されたが、それを勘案しても弱すぎる数字である。 一方、失業率は前回の7.0%から一気に6.7%へ低下し、FRBがゼロ金利維持の基準として掲げる6.5%まであと0.2%に迫った。2008年10月以来5年2か月ぶりの低水準である。 雇用の急ブレーキと失業率の大幅改善、この一見相反する結果をどう受け止めるべきだろうか。 NFPの下振れはおそらく先月米国を襲った大寒波の影響と思われる。家計調査によると、悪天候による自宅待機は27.3万人にのぼり、1977年以来最多となった。この要因は統計手法の相違から先に発表されたADP雇用報告(+23.8万人)には反映されなかったようだ。今回のNFPの悪化は必ずしも新たな雇用減少トレンドの始まりではなく、一時的な下振れにとどまるとの見方が多い。 ただし、FRBの金融政策がまったく影響を受けないとは言い切れない。 ナイアガラの滝…