太田二郎

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    2018年7月12日
    テーマは成長率と金利格差からリスク回避の動きへ[太田二郎]
    ※この記事は、FX攻略.com2018年6月号の記事を転載・再編集したものです 貿易戦争へのリスク トランプ大統領は、全ての国を適応対象として突然、鉄鋼25%とアルミニウム10%の輸入関税の導入を決定。ただし、北米自由貿易協定(NAFTA)加盟国のカナダとメキシコは適応除外のお墨付きをもらっており、欧州連合(EU)、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジル、韓国も当面、適用除外と思われています。また日本に対しては、自由貿易協定(FTA)の交渉を希望し、主ターゲットの中国に対しては米国との貿易赤字を1000億ドル削減するように要請との報道もありました。 3月22日に中国に対して知的財産侵害や企業への技術移転強要への対抗措置として、「米通商法301条」を発動し、輸入関税とは別枠で年500億ドルの制裁措置を決定しています。また3月15日に米国際貿易委員会(ITC)は、中国製アルミホイルの輸入で米企業が損害を受けているとの最終判断を下し、中国製品に対する制裁関税の適用が確定済みで、中国の報復関税の実施が避けられそうにない状態です。 EUや日本に対して、米国の貿易赤字削減に向け輸入制限を実施する圧…
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    2018年5月23日
    米金利上昇が続く中でのドル円相場[太田二郎]
    ※この記事は、FX攻略.com2018年5月号の記事を転載・再編集したものです 日米金利差拡大も不気味な円高が進む 2月2日(金)に発表となった米雇用統計は、非農業部門雇用者数と平均時給が予想を上回り、翌週2月5日(月)から米金利は上昇し、米株は下落、VIX指数は16%台から一時50.3%まで暴騰。為替相場ではドル高と共にリスク回避行動もあり、ドル円が一時105.55円まで円高へと動いたことは忘れることができません。 2月14日(水)に発表の米消費者物価指数の前年比は2.1%、コア前年比も1.8%と高値圏を維持し、2月16日(金)の米輸入物価指数も前年比3.6%と予想を上回る結果に。米国では物価上昇のペースが拡大する可能性が高く、市場では3月を含め年内4回の利上げ観測がより強まり、潜在的なドル買い圧力が変わることはありません(表①参照)。 また、米連邦政府支出は3000億ドル積み増しされ、2019年会計年度の米予算教書では4.4兆ドルに拡大しています。米国の財政赤字の拡大が懸念され米金利は上昇圧力を強め、米10年債利回りは2月15日(木)に一時2.964%と3.0%近くまで上昇(チャー…
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    2018年4月24日
    2018年はどのような年になるのでしょうか?[太田二郎]
    市場センチメントの四つの判断材要 市場では仮想通貨が良くも悪くも活況を呈し、直近では大幅に値を下げていますが、初頭からの大幅な上昇に「億り人」(投資によって1億円もの利益を得た方を指す言葉)が多数出現しているといわれています。 仮想通貨の変動率(ボラティリティ)は高く、1日の変動が20%を超えて上下することもよく見受けられます。為替相場の変動率と比較すると、2015年1月21日にスイス中銀がユーロスイスフランで無制限のスイスフラン売り介入を中止したことで、スイスフランが約20分間に25%程度暴騰したフラッシュ・クラッシュ時のような大変動が、日常茶飯事に発生している状態と考えても良いでしょう。 ちなみに、為替相場の変動率は通貨間によって異なりますが、2017年1年間(260日)の1日の平均変動幅pipsと前日終値からの変動率をパーセンテージで表すと、ドル円=89ポイント(0.8%)、ユーロドル=77ポイント(0.68%)、ポンドドル=102ポイント(0.79%)、豪ドル米ドル=59ポイント(0.77%)、米ドルカナダドル=89ポイント(0.68%)、ユーロ円=97ポイント(0.77%)、…
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    2018年4月1日
    2018年の為替相場を考えるポイント[太田二郎]
    市場センチメントの四つの判断材要 毎年、年末になると翌年の為替相場の予想を紙面や雑誌などで見かける機会が多くなります。ただその後の結果を見ると、市場のセンチメントに左右された相場見通しがその通りに実現することは意外に少なく、逆方向に動くことも多いように感じられてなりません。ただ、現時点では来年の為替見通しはドルブル派とベア派が混在していることもあり、基本に返って来年の相場を考え直す必要がありそうです。 市場センチメントはどのような材料に左右されるのでしょうか? 突発的な出来事、例えば地政学的リスク拡大、天変地異、テロ攻撃など予想不可能な部分を除き、市場参加者が最も簡単で分かりやすい判断材料を挙げると、 ① 金融政策の方向性の違い ② 債券利回り格差 ③ 成長率格差 ④ インフレ率の格差(消費者物価指数) です。これらについて日本、米国、ユーロ圏(ドイツ)、英国のデータを挙げて考えてみることにします。 ① 金融政策の方向性の違いは一目瞭然で、今まで通り米国に分がある チャート①をご覧ください。米国は2015年12月に0.25%の利上げを実施してから今年12月までに計5回の利上げを実施して…
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    2018年3月11日
    10年債の利回り格差と為替相場の関連性[太田二郎]
    米税制改革法案と利上げスピードに注目 最近のドル相場は米10年債利回りの低下でドル売りの流れが強まり、米2年債利回りが9年ぶりの高水準へと上昇してもドル買いに結びつかない傾向が強まっています。年末・年始に向け、円相場と米10年債利回りとの関連性がより強まる傾向に改めて注目したいと思います。また、長短利回りの縮小傾向は止まらず、2007年11月以来となる10年ぶりの水準となっています。関係性はないと思いますが、2008年の忘れようのないリーマンショックが脳裏に浮かんできます。 為替相場の変動要因は相変わらず多く存在しますが、米国では税制改革法案の行方と米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げスピードが重要となっています。米税制改革法案では、鍵を握る上院で争点の一つとなっていた個人医療保険加入義務の廃止を容認する意向を示し、法案の可決に近づいていると思われています。 米国の12月利上げ期待度は非常に強く、仮に米税制改革法が成立すれば来年に4回の利上げが必要になるという意見もあります。また、米国内総生産(GDP)成長率を2.5%と予想するなど、強気な見通しも変わっていません。ただ、FRBは11…
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    2018年3月2日
    2017年終盤のドル円相場を考える[太田二郎]
    2018年の相場はドル高思考が強まる? 2017年も第4四半期に入り、残り1か月余りで終了です。年末にかけてのドル円相場は変動幅が拡大する傾向が強いのですが、今年は年初の118円台をピークに107円台まで下落、その後は中間地点近くの112〜113円台で推移することが多く、今後の予想もブル派とベア派に意見が分かれているのが現状です。 米国では、米上院が2018年度連邦予算の大枠を定めた予算決議案を可決し、共和党は民主党議員の支持がなくても、税制改革法案を可決することが可能になりました。先にトランプ大統領は大型税制改革法案を年内に実現し、米国民へ「クリスマスプレゼント」にしたいと話していましたが、その実現に向け一歩前進しドル高思考が強くなっています。 図①は、ドル円と米10年債、2年債利回りを表しています。10月20日現在のデータでは、米2年債利回りは一時1.58%台まで上昇し9年ぶりの高水準を記録していますが、ドル円相場と連動性の高い米10年債利回りは10月26日に2.4%台で上げ渋り、昨年12月から今年3月にかけての高値2.7%の水準を超えられずにいます。仮に年内にこの水準を上回ると、…
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    2018年2月11日
    米・英の止まらない緩和縮小競争[太田二郎]
    米金利の上昇傾向はいつまで続くのか? 2017年に入り、米国は他の主要国に先駆けて3月15日と6月14日に0.25%の金利引き上げを2度実施。今月9月20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、10月からバランスシートの縮小に着手することを決め、12月の利上げ期待度も高まり、2018年、2019年も継続して利上げが期待されています。 ドル相場は9月20日のFOMCで底値からやや値を戻していますが、ドルインデックスは年初の103.82をピークに9月に入って91.01まで低下し、2015年1月来の低水準にまでドル安が進行していました。その米国ですが、直近の消費者物価指数(CPI)は、前年比1.9%でコア前年比1.7%と、2.0%のターゲットに届いていません。 過去の失敗  2013年5月22日に当時のバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「量的緩和を縮小する可能性」を示唆。さらに6月19日にFRBが「今年中に債券の購入金額を減額し、2014年半ばに完全に終了する可能性」を指摘したことで、新興国の通貨や株式などから資金が流出しました。市場に大きな動揺をもたらした、この「バーナンキ・…
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    2018年1月17日
    相場変動要因の変化と通貨ペアの相関関係[太田二郎]
    相場の値動き材料がマイナス思考へ変化 年初来とここ数か月間を比較すると、為替相場の変動要因がプラス思考からマイナス思考へと変化していることが分かります。米ドル買い、カナダドル買い、ユーロ買いなど、資産の縮小開始と利上げ期待の強い通貨が買われるプラス思考でしたが、中銀の金融政策の見通しに不透明感が見られ、為替相場の短期的な変化に結びついています。 米国では9月米連邦公開市場委員会(FOMC)で資産縮小の開始期待は残りますが、12月の追加利上げ予想は減少気味で、来年にずれ込む可能性が強まっています。また、カナダでは9月6日、10月25日のカナダ中銀理事会で再利上げを期待する声も弱く、ユーロ圏では欧州中央銀行(ECB)が9月7日のECB理事会で来年からの資産買い入れ縮小開始のガイダンスを示す可能性も薄らぎ、これらのネガティブ材料に市場が反応しています。もちろん、日銀は問題外で、主要通貨の中で最も利上げには縁遠いことに変わりありません。 このような相場変動要因の変化は一例に過ぎません。ある期間では市場参加者が注目する材料に変化が見られ、例えばちょっと前までは米10年債利回りが低下すればユーロド…
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    2015年7月10日
    ギリシャ債務交渉も終幕間際[太田二郎]
    エンドレスの延長戦が続いていたギリシャ債務交渉も、翌日順延とはならず、ついに 幕切れを迎えることになりそうである。ギリシャのいかなる提案にかかわらず、国際債権団とユーロ圏各国が、どのような幕切れを演出するか注目している。 劇的な幕切れとは考えにくく、緩やかに、そして、穏やかなユーロ圏からの離脱を選択すると考えたい。それには、ギリシャの自主的な離脱がもっとも望まし良い選択ではあるが、それと並行して、返済時期の先延ばしや、ある程度の債務減免の措置も含まれることであろう。 一時的なユーロの買い戻しも、長続きできず ギリシャ問題という、ユーロ圏にとっては喉に刺さった小骨が抜け落ちることにな り、最悪の材料に備えた、「リスク資産売り+安全資産買い」の動きの反動に、一時的なユーロの買い戻しが考えられる。 しかし、ユーロ圏を離脱したギリシャは破綻国家として自立できるのか? 他の南欧諸国がギリシャのユーロ離脱というウイルスに感染する心配は残ったままである。 また、可能性は低いと思われるが、ギリシャの経済が容易に立ち直り、ユーロ圏離脱が逆に功を奏する結果にでもなれば、ユーロ圏を離脱しようとする国が現れる…
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    2013年11月14日
    2013年後半の為替相場動向[太田二郎]
    FRBをめぐる思惑と動き 異常気象が続いた暑い夏も過ぎ、重大なできごとが多く、要注意の8月も、今年は猛暑で動けないのか、今のところ平穏無事で終わっている。 米FRBの資産買い入れ縮小の思惑をめぐり、FRBの理事や連銀総裁の意見はわかれ、バーナンキFRB議長は、「資産買い入れは事前に方針がきまっていない、経済情勢に応じて縮小ペースを速めることも、拡大することもあり得る」と、今後の成りゆき次第と思える発言に終始、市場参加者はこれから発表される米経済指標を見守っているが、エコノミスト予想では、6割が9月のFOMCで資産買い入れの縮小開始を予想している。 バーナンキFRB議長は、来年1月に任期が終了し、2006年2月に就任し、7年間の激務に終止符を打ち、再選の見込みはなくなっている。 市場の注目はすでに次期FRB議長の座をめぐる思惑へと移り、サマーズ元財務長官と、イエレンFRB副議長が有力候補と見られており、オバマ米大統領は今秋には議長人員の白黒の決着をつける方針で、FRB議長人事に対して周囲の干渉が激しく、辟易しているらしい。 グリーンバーグ元米保険大手のアメリカン・インターナショナル・グル…