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「大人の経済」基礎講座

FXトレーダーのための「大人の経済」基礎講座|第2回 金利のきほん~前編[雨夜恒一郎]

ファンダメンタルズ(分析)を体系的に学習できる当企画。前回は、ファンダメンタルズのきほんについて学びました。第2回となる今回のテーマは、「金利のきほん」です。為替相場と密接な関係にある金利について、分かっているつもりになっているトレーダーも多いのではないでしょうか。雨夜恒一郎さんに分かりやすく解説してもらいますので、ここでしっかりと知識を身につけておきましょう。

※この記事は、FX攻略.com2017年7月号の記事を転載・再編集したものです

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そもそも金利とは?

ファンダメンタルズ基礎講座第2回、今回のお題は「金利のきほん」です。今年(2017年)の為替市場の最大の関心事は、トランプ政権のもとで米国の金利はどう動くのか、ということに尽きるでしょう。金利と為替相場は切っても切れないほど密接なつながりがあり、為替相場を読むにはまず金利動向を読むことから始まるといっても過言はありません。 

そこで本稿では、FXの初心者の方向けに「そもそも金利って何?」「金利はどうやって決まるの?」「金利は為替市場にどう影響するの?」といったポイントについて分かりやすく解説していきたいと思います。

「金利とは何か?」といわれても答えに詰まりますよね。金利とは、お金の借り手が貸し手に支払う料金、言い換えれば資金の使用料もしくは賃借料を、一般的には元本に対する年率で表したものです。

金利には利率・利子・利息などさまざまな呼び名があり、混同して使用されることが多いですが、厳密にいうとパーセントなど率で表したものが「金利または利率」、金額で表したものが「利子または利息」です。

投資の世界では「利回り」という言葉がありますが、これは金融商品から得られるトータルの収益(金利だけでなく、元本の増減や手数料など費用も含みます)を年平均に直した数字で、金利や利率とは全く違う概念です。

なぜ金利があるの?

お金を他人に貸すということは、貸している間に物価が上昇してお金の価値が目減りするリスクと、そのお金が返ってこないリスクを取ることになります。もし世の中に金利という見返りがなければ、こうしたリスクを取ってお金を他人に貸す人はいなくなるでしょう。したがって、お金の貸し借りが起これば必ず金利が発生することになります。

現代の金融市場ではゼロ金利とかマイナス金利というものがあって少々ややこしいのですが、そのあたりについては次回で述べることにします。ちなみに、イスラム圏では金利・利子のやり取りが教典のコーランで禁止されていますが、実際には「使用料」といった名目で、事実上金利と同じものが存在するそうです。

金利はなぜ上がったり下がったりするのか

まず景気が良くてお金を借りたい(投資したい)人が多ければ、需給の法則で金利は高くなりますし、景気が悪ければその逆で、お金を借りたい人は少なくなり金利は低くなります。

インフレ率が高くて将来の借金の価値が目減りすると予想される場合は、みんながお金を借りたがりますから、金利は高くなりますし、インフレ率が低ければお金を借りたい人が少なくなりますから、金利は低くなります。

また金利は借り手の信用が低く、貸し倒れのリスクが高いほど高くなります。信用が高く、確実に返済が見込まれる人に対する金利は、そうでない人より当然低くなります。

このように、金利は、

① 景気見通し
② インフレ見通し
③ 借り手の信用リスク

という三つの要因によって上がったり下がったりします。

金利の決定要因

景気見通し

 ①の「景気見通し」は経済学用語では「期待潜在成長率」といいます。その国の持つ経済の地力と考えれば良く、金利のコアとなるものです。新興国のように若年労働者が多く、将来の経済発展が見込まれる国ほど投資が活発になりますから、資金需要が多く、金利が高くなります。

逆に日本のように経済が成熟した先進国では投資より貯蓄が大きくなりますので、金利が低くなるのです。先進国の中でも、テクノロジーの最先端である米国や資源開発が活発な豪州では潜在成長率は高めです。

インフレ見通し

②の「インフレ見通し」は「期待物価上昇率」ともいわれます。新興国のように経済が発展途上にあると、物資が不足しインフレになります。また政府の財政事情や経済政策がお粗末であれば、通貨の信用が低下し、物価が相対的に上昇します。

インフレ率が高い国では、おカネの価値が時間と共にどんどん減っていきますので、おカネを貯めるより借りた方が得策。必然的に貸し手より借り手の方が多くなりますので、金利は高くならざるを得ません。

これに対して、日本のように成熟した国では、モノがありあまり物資が不足しないため、インフレになりにくいのです。おカネの価値が下がらない(デフレ経済では逆におカネの価値が上がってしまう)ため、おカネを借りるより借金を返すのが合理的になります。こうして借り手より貸し手が多くなり、金利は低下するのです。

借り手の信用リスク

③の「借り手の信用リスク」は「リスクプレミアム」と呼ばれ、資金の借り手(国や企業)の財政破たんなどで債務不履行(デフォルト、借金が返せなくなること)となる確率を表したものです。当然信用力が低い新興国ほど高くなり、信用力が高い先進国ほど低くなります。信用が低い借り手は割増金利を要求されると考えれば分かりやすいでしょう。

ちなみに、国や企業の信用力を客観的な立場で評価しているのが、ムーディーズやS&Pといった格付け機関です。皆さんも「トリプルA」とか「シングルB」といった格付けを耳にしたことがあるでしょう。こうした格付けの変化が金利形成に大きく影響を及ぼすことも少なくありません。

普段、我々が金利と呼んでいるものを経済学用語では「名目金利」と呼んでいますが、名目金利は理論的にこれら①期待潜在成長率 ②期待物価上昇率 で決まるとされており、それに③リスクプレミアム を加えて説明するのが一般的です。

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経済指標に注目

金利動向を予想するには、①の期待潜在成長率と②の期待物価上昇率を推計する必要があり、経済指標を入念にチェックすることが不可欠です。一般的に景気の強さを表す経済指標といえば国民総生産(GDP)の伸び率ですが、四半期ごとの発表となるため、速報性にやや難があります。そこで市場はより早く発表され、GDPの先行指標となるような経済指標に注目します。

米国の場合でいうと、代表的なのが雇用統計です。労働市場の動向は景気とリアルタイムに連動すると考えられるからです。

米国の雇用統計は翌月の上旬に発表され、失業率や非農業部門雇用者数ほか多くのデータが得られるため、市場の注目が非常に高いのです。最近ではインフレの先行指標として賃金動向が注目されており、平均時給の伸び率が非農業部門雇用者数と同じくらいに重要視されています。

高金利通貨と低金利通貨

世の中にはオーストラリアや南アフリカ、トルコといった金利が高い国もあれば、日本やスイスのように金利が低い国もあります。FX取引においては、ご存知のように金利が高い国の通貨を買い、金利が低い国の通貨を売れば(例えば豪ドル円を買えば)、その金利差が手に入ります。これは低金利通貨で資金を借り入れ、高金利通貨に替えて運用するのと同じ理屈だからで、その運用益を日割りで換算したのがスワップです。

逆に、円やスイスフランといった低金利通貨を買うということは、高金利で借りて低金利で運用することと等しいので、スワップはマイナスとなってしまいます。

このため(誤解を恐れずにいえば)、現金収入(インカムゲイン)をもたらす高金利通貨は投資家にとって魅力的であり、買いから入りやすく、売りから入りづらいといえます。FX会社や、くりっく365が公表している売買動向を見てみると、こうした高金利通貨は圧倒的に買いの比率が高いことが分かります。

名目金利と実質金利

投資対象の金利は高ければ高いほど良いかというと、決してそうではありません。金利がどれだけ高いかということよりも、「なぜ高金利なのか」ということの方がより重要だからです。前項で述べた金利の決定要因をもう一度見てみましょう。

①期待潜在成長率
②期待物価上昇率
③リスクプレミアム

投資先として考える場合、①から③のうち、高ければ高いほど良いのは、実は①の「期待潜在成長率」だけであり、②と③はむしろ低い方が良いのです。名目金利から②の期待物価上昇率と③リスクプレミアムを引いたもの、すなわち①の「期待潜在成長率」を「実質金利」ともいいます。為替相場の動向を左右するのは、二国間の名目金利差ではなく、実は実質金利の差なのです。

新興国のように、名目金利がいくら高くても、インフレがひどかったり、デフォルトリスクが高かったりでは実質金利が低くなり、投資対象としては不適格です。逆に数年前の日本のように名目金利はゼロでも、物価上昇率がマイナスであれば実質金利はプラスになります。高金利の新興国通貨が弱かったり、ゼロ金利の円が強かったりする理由は、この実質金利にあるのです。

この理屈が分かれば、買って良い高金利と買ってはいけない高金利の区別がつくようになるでしょう。高金利通貨は一見魅力的ですが、高い金利を払うには理由があるのだということを覚えておいてください。

ちなみに私たちが普段取引している米ドル、円、ユーロ、ポンド、豪ドルなど主要通貨の短期金利に含まれるリスクプレミアムは通常ゼロと考えて差し支えありません。

第2回まとめ

・金利はお金の借り手が貸し手に支払う料金
・金利動向を予想するには経済指標のチェックが不可欠
・金利の決定要因は「景気見通し」「インフレ見通し」「借り手の信用リスク」の三つ

 ※この記事は、FX攻略.com2017年7月号の記事を転載・再編集したものです

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