FOMC声明文と議事要旨|ファンダメンタルズ分析する上で重要な資料の読み方[月光為替]

では、本日はFRBの考え方を理解するうえで最重要ともいえる、FOMC声明文と議事要旨を用いて、現時点でのFRBの考え方と、今後自分で分析していく上で重要な資料の読み方をお話ししていきたいと思います。

FOMC声明文の読み方 

まず、FOMC声明文ですが、こちらは基本的にはFOMCの金利発表の日に、タイムリーに出てきます。記者会見のない時は、これが最も重要な資料ですので、皆必死で読み込むわけです。

例えば、今回の11月の声明文ですと、

・雇用増加は堅調であった(job gains have been solid.)
 
・消費は緩やかに伸びた(Household spending has been rising moderately)
 
・インフレ率は年初以降にやや上昇したが、エネルギー価 格とエネルギー以外の輸入価格の下落を部分的に反映して、委員会の 長期的な目標である 2%を下回り続けた(Inflation has increased somewhat since earlier this year but is still below the Committee’s 2 percent longer-run objective,)
 
・委員会は利上げの根拠が引き続き強まったと判断したが当面は目標に向けた前進の更なるいくつかのエビデンスを待つことに決定した(The Committee judges that the case for an increase in the federal funds rate has continued to strengthen but decided, for the time being, to wait for some further evidence of continued progress toward its objectives.)

上のような文章が、重要な意味を持っていると考えられます。

9月と比べて、further evidenceが、some further evidenceとなっており、待つべきエビデンスがかなり限定的になっている、つまり少ないということがうかがえます。

さしあたって11月の経済指標も良好な状況。12月の利上げに関しては、コンセンサス通りほぼ行われると考えて良いのではないかと思います。ただ、その後の利上げに関しては、インフレ率に対してかなり注目しているようなイメージを持つことができます。

FOMC議事要旨の読み方 

そして、その何週間か後に発行されるのが、FOMC議事要旨です。これは、声明文を発表するに至った、更に詳しい背景をうかがい知ることができます。

例えば、今回11月23日に発表された議事要旨ですと、

・インフレに関するリスクは概ねバランスしている。
 
・大多数(a substantial majority )は経済の目先のリスクは均衡しているとみている。しかし、2-3名(a few)はリスクは依然下向き。
 
・何名か(some)は完全雇用に達したかほぼ接近したとみているが、数名(several others)は労働市場にはスラックが依然存在すると指摘した。
 
・多数 (Most)は、今後のデータがFOMCの目標と整合的なら、比較的早期の利上げが適切と表明した。数名(some)は、最近のFOMCのコミュニケーションは近い将来の利上げと整合的で、クレディビリティ維持のために次回利上げを主張した。2-3名(a few)は今回会合での利上げを主張した。一方、数名(some)は失業率が長期均衡値を暫く下回るまで低下させることで良い供給効果やインフレの2%到達につながると主張し、FF金利の事実上の下限が制約になっている点などを指摘した。参加者は、FF金利の極めて緩やかな引き上げと整合的な経済環境を今後も見込んでいる。

上のような文章が、重要な意味を持っていると考えられます。

まず、重要なことは、まったくこの時点で政治リスクに対し言及していない点です。

これを議論していたころは、丁度大統領選挙の1週間前ですので、FEBも意識はしていたはずなのですが、「政治とは完全に、FRBの意思決定は独立される」ということを強く伝えたい意思のあらわれとも考えられるでしょう。

これで、とりあえずは政治転換によるFedの考え方が方向転換していくということは、今の所考えなくてもよいかと思われます。

となると、ポイントになるのは「労働市場のスラック」と「インフレ」。この項目に関して、FOMC内でも見方が分かれていることがうかがえます。

最後にも書かれていますが、“極めて緩やかな引き上げと整合的な経済環境を今後も見込んでいる”ということで、ここから大きく金利が引き上げられていくというイメージもやはり持ちづらいですね。

イエレンさんがハト派ということもあり、やはり12月以降の利上げは、かなり緩慢なものになっていくと考えてよいのではないか、と現時点では伺えることになります。

FOMC声明文、議事要旨で押さえておくべき4つのポイント

少し難しかったですが、FOMC声明文や、議事要旨を読むうえで押さえるポイントとしては、

  1. FOMC内での金利に対する見方や決定
  2. その見方や決定が変化するのに必要な前提条件
  3. どの程度の意見の食い違いがあるか
  4. 直近意識されているリスク

これらを重点的にみていくことで、大まかな米国の金利動向についてのファンダメンタルズ観が出来上がると思います。

あとは、経済指標や日々のニュースフローで、そのリスクにひっかかったり、前提条件を覆したり、もしくは後押しすることになるかどうかに注意しながら、日々追っていくことになるわけですね。

次回は12月のFOMC。そこでは、最初は難しいかもしれませんが、声明文と議事要旨を自分なりに分析して、トレードに生かせるファンダメンタルズ観を少しでも養えるよう、努力していただければ幸いです。

まとめ

本日で、長かったFRB、FOMCのコーナーは終わりです。かなり終盤につれてヘビーな内容になってきましたが、これで諦めずついてきている時点で、“覚悟”という点で大きく他の人と差をつけているはずです。これからもしっかりとついてきて頂ければと思います。

では、次回からは、米国の個々の経済指標の紹介と、それをどのようにファンダメンタルズの相場観とつなげていくかにフォーカスして、お話ししていきたいと思います。

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月光為替(げっこうかわせ)

現役ヘッジファンドトレーダー。FXで毎月200~300pips、金額ベースでは1~2億円を安定的に稼ぎだした経歴を持つ。現在は日本株運用がメインで、引き続き個人資産でもFX取引を継続中。会社に内緒で、月光為替の名で活動、厳しい言葉のなかに相場の真実が見え隠れする個人投資家の味方。

公式サイト:FXブログ 月光為替の勝利のFX

twitter:https://twitter.com/gekkokawase

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