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ミンスキー・モーメント(資産暴落)と中国経済[森晃]

次期FRB議長にパウエル氏が決定

国際通貨基金(IMF)の年次総会も終わり、ハロウィン(オレンジカラー)の飾り付けですっかり秋めいてきた米国では、これからサンクス・ギビング、クリスマスと楽しいイベントが続く。筆者はこれらのイベントを楽しむというよりも、イベントに向け個人消費の動向がどのようになるか気になる。今年もネット通販のアマゾンの利益は好調と予想するが、路面店の利益も伸びることを期待したい。個人的な意見であるが、買ったことがない商品を買う場合、商品を手に取らないとどうも買う気になれない。これは世代的なものかと思うが、読者の皆さまはどうであろうか?  

さて、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の任期が2018年2月3日に終了する。次期議長候補者は、パウエルFRB理事とテイラー教授(スタンフォード大学)の2人に絞られ、パウエルFRB理事に決まった。最近のFRB議長(グリーンスパン氏、バーナンキ氏、イエレン氏)は経済学博士号を持ち、国家経済会議委員長を経てFRB議長になっている。一方、パウエル理事は弁護士であり、金融イノベーションなどに知見がある。経済政策の立場はイエレン議長の労働経済中心ではなく経済成長(資本投入とTotal Factor Productivity)を中心に据えている。

歴代議長の発言で思い出すことの一つに、1996年のグリーンスパン元FRB議長の講演がある。グリーンスパン氏は株式市場について、「根拠なき熱狂」という言葉を用いて講演した。この有名な言葉は、同氏が入浴中に思いついたそうである。この講演から実際にITバブルが崩壊するまでに3年の年月がかかったのだが、これは歴代FRB議長の経済の先を見通す目が確かであることを証明している。

中国共産党大会中に資産価格の急落を警告

中国人民銀行の周小川総裁(今期限りで総裁を退任すると報道されている)が、中国共産党大会中に中国経済について言及(※1)。周総裁は「ミンスキー・モーメント」という言葉を用い、中国金融危機発生への懸念を示した。具体的には、過剰な楽観主義によって株や不動産などの資産が今後急落する恐れがある、と警告したのである。

※1 周総裁は「経済の中の正循環的な要因が多ければ、後に循環的な調整が現れる。全てが問題なく進んでいるとき、過剰に楽観的になることで(資金の)ひっ迫が増し、急激な調整『ミンスキー・モーメント』に直面する可能性があり、これを防ぐ必要がある」と述べた。

ミンスキー・モーメントとは

ミンスキー・モーメントは、経済学者であるハイマン・フィリップ・ミンスキー氏の名前に由来する。1970年代までは、市場で形成される価格は正しいとする考えが主流であったため、当時はミンスキー氏の説明(市場は効率性を失敗する)は異端的なものであった。そのミンスキー氏の説明は以下である。

景気の拡大に伴い、投資家や企業は景気見通しに対し楽観的な心理を持ち、それにより過剰な融資を銀行から受けて積極的に投資・投機活動を行う。これにより、金融市場には新たな不安定要素「過剰投資・投機」が加わる。そして、このリスクがバブル崩壊を促すことになる。つまり、投資家が景気拡大時に取った過剰なリスクが、何らかのショックにより弾けて資産が下がり始めると、過剰であることが明らかになり、投資家は借り入れの返済のために健全な資産まで投げ売りを強要される。こうなると、資産価格は投げ売りが終わるまで暴落し続ける。

中国経済の見通し

中国は経済政策の一環としてインフラ投資を続けてきた。そして、それにより景気が支えられてきた。中国共産党大会終了までは、景気の腰折れはないというのがエコノミストのコンセンサスであった。党大会が終わっても、地方政府がインフラ投資を支えているため、しばらくは景気が失速することはないだろう。しかしながら、中国経済は過剰なリスクを抱えていることを忘れてはいけない。そして、中国政府および中国人民銀行総裁はこの問題に立ち向かわなくてはならないだろう。

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中国人民銀行の次期総裁は?

報道によれば、中国人民銀行の次期総裁候補者として4人の名前が挙がっている。郭樹清氏(銀行業監督管理委員会主席)、劉士余氏(証券監督管理委員会主席)、蒋超良氏(湖北省党委員会書記)、易綱氏(中国人民銀行副総裁)の4人である。この中では、王岐山氏と共に1998年アジア通貨危機に対応した蒋超良氏が、次期人民銀総裁に就任する可能性が高いとする記事がニューヨーク・タイムズに掲載されていた。

※この記事は、FX攻略.com2018年1月号の記事を転載・再編集したものです 

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