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FX力を鍛える有名人コラム

マーケットの思惑とマーケットの勘違い[森晃]

世界の中央銀行の歴史

日本銀行の三つの役割は、「銀行の銀行」「政府の銀行」「発券銀行」である。社会や公民のテストのために、暗記し記憶に残っているのではないだろうか。一方、いつ日本銀行が誕生したかは、読者の皆さまには記憶が薄いものと思われる。そこで、世界で一番古い中央銀行はどこの国で誕生したか読者の皆さまに質問したい。

世界最古の中央銀行は、1668年に誕生したスウェーデンのSveriges Riksbank(スヴェリイェス・リクスバンク)である。そして2番目に古い中央銀行は、1694年に民間実業家の出資によって設立された英国のBOE:Bank of England(イングランド銀行)といわれている。なお、BOJ:Bank of Japan(日本銀行)は1882年、FRB:Federal Reserve Bank(連邦準備銀行)は1913年にそれぞれ誕生。最近では、1998年にECB:European Central Bank(欧州中央銀行)が発足した。

ユーロ圏の経済状況

ユーロ圏製造業の業況感を捉える景気指標の一つにPMI:Purchasing Managers Indexがある。2017年12月のユーロ圏製造業PMIは、1997年6月の調査開始以来、最高の60.6となった。また、3Qの実質GDPは前期比年率2.4%と高い成長を示し、輸出が増加して消費と設備投資も拡大した。これはドイツだけでなく、南欧の国々にも見られる。しかしながら、そのユーロ圏でさえインフレ率はさえない。実際、コア消費者物価指数は0.9%にとどまっている。

ECBの見通しは?

現在、ECBの金融緩和政策は、2017年10月の会合で2018年9月まで資産購入の延長が決められている。改善する経済指標、QEの再延長がないことを示唆するクーレ専務理事の発言や、2017年12月に開催した理事会の議事要旨から、マーケットは2018年の早い時期にフォワードガイダンス(※1)の文言を修正すると予想している。

(※1)1)ECBの行っているフォワードガイダンスは以下の通りである(1月20日時点)。政策金利:「主要政策金利を維持し、資産買入の期限を越えて現状水準にとどまる」 2)資産買入:「2018年1月から買入金額を毎月300億ユーロのペースで2018年9月末まで、あるいは物価が中長期的な目標水準である2%弱に達するまで継続する」 3)再投資:「買入債券の満期償還分の元本の再投資は、資産買入政策終了後も必要な限り行う」

それを受け、マーケットでは今年の9月にも資産買入が終了するとの思惑からユーロはドルに対して上昇をした。もし資産買入を9月に終了するのであるならば、6か月前の3月に地ならしが行われるであろう。一気にQEを手仕舞いすることで、過度にマーケットを刺激するのを避けるのであるならば、2018年末まで資産購入を継続する可能性もある。いずれにしても、ユーロ圏の強い経済状況が継続すると見通すならば、資産購入の終了は時間の問題であろう。

ユーロは強くなるか

そうなれば、ドルに対してユーロが強くなるであろう。筆者のメイン・シナリオとして、2018年の年末には資産買入を終了すると予想するが、すぐにマイナス金利からの脱却、バランスシートの縮小などをすることは考えにくい。しかしながら、もしマーケットが筆者の予想しないことを先読みし織り込めば、想定以上にユーロは強くなり、それはどこかで調整局面が訪れることになるであろう。

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米国への影響

ECBのネガティブ金利によって、米国債に流れた資金がターム・プレミアム(※2)からユーロに戻され、米国債の金利が上昇する可能性がある。そうなれば、米国債の金利上昇がどの程度マイナス材料として株式市場に影響するか、金利上昇がどれだけドル安に影響するか考慮しておく必要があるだろう。

(※2) 同じ期間に短期債を連続して購入する代わりに、期間が長めの債券を保有する場合、価格変動リスクや流動性リスクが高まる分だけ、投資家が求める上乗せ金利のこと(野村證券:証券用語集より)

これは勘違いによる織り込みが起こった場合のことである。しかし、現在P/E Ratio(※3)から判断すると、米国の株式市場は過熱感がある(図①)。こういうときは些細な勘違いが、予期しない結果をもたらすことが十分考えられる。

(※3) 株価と企業の収益力を比較することによって株式の投資価値を判断する際に利用される尺度(野村證券:証券用語集より)

マーケットの勘違いなのか?

春になれば日本銀行では正副総裁人事の決定がなされる。黒田総裁の続投、雨宮理事の昇格、本田スイス大使などの名前が挙がっている。次期日銀総裁人事と同じぐらい読者の皆さまが気になることは、昨年11月13日にチューリッヒ大学で行われた黒田総裁のリバーサル・レート(※4)講演であろう。

(※4) 金利をある水準以上引き下げると、中央銀行の意図に反して金融引き締め的な効果をもたらすこと

この講演は、日本では金融緩和は継続されるというメッセージとして受け止められたが、米国では投資家だけでなく学者も、日本銀行は金融緩和政策の方向転換をするのではないか(もう既にステルス的に量的緩和政策を縮小している)と推測している(そうでない意見もある)。もちろん、黒田総裁は日本の金融機関は充実した資本基盤を備え、信用コストも大幅に低下しているため、リバーサル・レートに達していないと述べている。2018年も、これまで同様に今までの延長上で為替を予想するのは難しいであろう。

※この記事は、FX攻略.com2018年4月号の記事を転載・再編集したものです 

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