週刊FXシナリオ|週末24日はドイツ総選挙(9/22 6:50)[阪谷直人]

週末24日はドイツ総選挙(9/22 6:50)

週末の24日に実施されるドイツの総選挙、最近の世論調査では、

・メルケル首相率いる保守系与党のキリスト教民主同盟(CDU)・社会同盟(CSU)は37%
・対抗政党の中道左派の社会民主党(SPD)は22%

と差をつけていて、メルケル首相の4期目の可能性が高いです。

メルケル首相は、2005年9月の選挙で初めて勝利し、その後12年の長期政権を維持しています。今回2017年の選挙で勝利すれば、次の4年の任期で16年もの安定した政権となります。

 総議席数630議席の内訳は、

CDU/CSUが、309議席
SPDが、193議席
左翼党(The Left)が、64議席
緑の党が、63議席

となっています。

ドイツの総選挙の結果は、勿論ドイツにとって大切な意味を持つのですが、実はドイツにとってのみならず、ユーロ圏各国にとっても大きな意味を持っています。これは、ドイツの経済規模の大きさがその理由で、EUの中で一番大きな経済規模を持ち、故にEU予算への拠出金も一番多いからです。

メルケル首相の4期目への死角と言えば、浮動票の多さでしょう。先の世論調査でも実に40%もの有権者が投票先を決めていないのです。ただ、この浮動票が全てSPDに投票する可能性は低いとみます。ここ暫くのドイツ経済の好調ぶりが、メルケル首相へは好材料として働くからです。

 サプライズは予期されてはいませんが、4年に一度の週末24日のドイツ総選挙の結果には注目です。  

今後の動向は、ワシントン次第!(9/22 6:50)

ドル円は昨日、112.72まで上値を戻していますが、このまま上伸を続け、115.00を試すのか、115.00を上抜けるのか、または一転反落するのか、ポイントは「ワシントン次第」と見ます。 「政治」「経済」「地政学リスク」の3つを材料に展開している現状に、変わりはありません。

 「地政学リスク」は、相次ぐ北朝鮮の動きは一段落し、相次ぐハリケーンの被害も目途がついた事で一旦懸念が後退しています。米朝懸念は決して和解した訳では無いので、いつ危機が表面化してもおかしくはありませんが、

(1)軍事衝突は、まずないと見ています。

(2)中国もしくはロシアが仲介役となって米朝の会談が行われるのではと想定します。今はその段取りつくりの時間なのだと思います。

なので足元は「9月の3つリスク」がポイントとなってきます。

ここで大切なのは、トランプ大統領が現実路線へ政治姿勢を変えてきている事です。これを好感し、世論調査でのトランプ大統領の支持率も8月の最低34%から盛り返していると聞きます。5日に連邦債務上限問題を法制化した今、残るは2018年予算と、税制改革です。市場・投資家は、トランプ大統領の掲げて来た「大型減税」への期待が高まってきています。

 今後の動向は、「ワシントン次第」と想定します。

 (1)トランプ大統領の大型減税抜きでは、ターゲットのインフレ率2%の達成は難しく、

(2)足元で強気の米国株価、これは好調な企業業績を背景としていますが、米国企業は大型減税があると思うから積極投資をしているのですから、今の米国株価はトランプ大統領の大型減税への期待に基づいていると言って過言ではないでしょう。

それが分かっているトランプ大統領が故の現実路線への変質なのだと見ています。市場・投資家の期待、特に米経済界、米財界の期待が強く、それが115の到達を後押ししそうです。 

FOMC後の市場はどうなる?(9/21 8:04)

FRBは今回のFOMCで予想通りバランスシート(約4.5兆ドル規模)の縮小に、10月から開始すると決定。

政策金利は今回据え置いたものの、インフレ率が低迷している中で、年内にあと1回の利上げをなお想定していることを示しました。

バランスシートの縮小計画は、

(1)保有する米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を10月から、当初は月額最大100億ドル減らし

(2)上限は段階的に増やし、いずれは月500億ドルまで引き上げ、段階的にバランスシートを縮小するとしました。

(3)FRBは最初の1年に資産を約3000億ドル縮小し、2年目の縮小規模は5000億ドルとなる見通し。

イエレン議長は会合終了後の記者会見で、

「このバランスシート縮小計画を見直すのは、景気状況が著しく悪化した場合のみ」とし、「縮小は緩やかに、かつ予測可能な形で進む」との見通しを示しました。

FRBの利上げ予測は、2018年は3回で2.1%、2019年は2回で2.7%、20年は1回で2.9%。また、長期中立金利予測を3%から2.75%に引き下げた事から、方向は金利が上昇する方向であるものの、そのスピードは極めて穏やかなものになると想定されます。

それに基づいて、

  • 米国株は、このまま順調に上昇を続け
  • 米10年債利回りは。昨日高値の2.29%から、3月の高値2.6%を試し
  • ドル円は、やはり3月10日高値の115.50を試す

 

と想定します。

今回のFOMCはどうだった?(9/21 8:03)

<結果発表>
(1)FRBはFOMCで政策金利の据え置きを決定。
(2)最新の見通しで年内にあと1回、来年は3回の利上げを想定していることを明らかにした。
(3)約4.5兆ドル規模のバランスシートの縮小に10月から着手することも予想通りに決定。

これらの結果発表を受け、FRBが12月に利上げに踏み切るとの観測が市場・投資家の間に強まり、ドルが上昇。

  • ドル円は一時、2カ月ぶりの高値112.53まで上昇、引けは112.30。
  • ユーロドルは一時、1.1861まで下落、引けは1.1894。
  • ドルインデックスも92.42へ上昇と、年内の利上げ観測が高まりドル買い優勢の流れから8月4日以降で最大の上昇。
  • NYダウは、前日比41ドル超上昇の22412、一方でNASDAQ指数は、同5ポイント超安の6456とまちまち。
  • NYダウはFOMCを受け一時マイナス圏へ落ち込むも引けにかけ持ち直し、9日続伸。
  • 米10年債利回りは、一時2.29%まで上昇、引けは2.25%へと、6週間ぶりの水準に上昇。

 

ポイントは、FRBが今年3回目の利上げの見通しを堅持するとは予想していなかった向きが多かった事で、これらの市場・投資家の反応は、そのための反動・ポジション調整と見ます。

FRBメンバーによる、いわゆるドット・プロット(今後の政策金利の推移を点で示したグラフ)によれば16人中12人が年内あと1回の利上げを見込む内容でした。 これにより、今年12月に年内3回目となる米利上げが実施されるとの見通しが一気に高まりました。

市場・投資家の間では、相次ぐハリケーンの悪影響や、低調なインフレ動向を背景に、FRBは「ハト派的な姿勢」を示唆するとの予想が主流でした。10月からのテーパリング開始を強く予想していたことから、市場へ与える影響を最低限にする為、米利上げへの強弱のバランスを付ける為にも、今後は穏やかな利上げとし、今年3回目の利上げをしない方向で織り込んでいたので、今回の見通しはサプライズでした。

CMEのフェドウオッチによると、金利先物が織り込む12月の利上げ確率は、声明発表前52%からFOMC声明発表後一時72%まで上昇し、その後70.5%で引けました。

国連総会デビュー、現実路線へ変質したトランプ大統領(9/20 5:43)

本日の国連総会で、トランプ大統領が初めての演説をしました。

北朝鮮問題に関して、金正恩氏の核実験やミサイル発射という暴走に対しての非難はもちろんの事、決して北朝鮮の核保有を許さないとの立場を再強調するのではと想定しました。北朝鮮への制裁に関して、中国とロシアの賛同を得る必要があり、実際に得られるのかが注目なのですが、今回の国連総会で、北朝鮮問題が何らかの進展をするとは予想されていません。

と言うよりも、米国第一主義を掲げてきたトランプ大統領が、ここにきて国際的に歩み寄り、国際的な協調路線へと変質してきています。今回の演説で、米国単独主義からどのように変化するのか、その事に注目していました。他国と協力することに前向きなトランプ大統領となったのかーー。 

トランプ大統領の現実路線への変質の片鱗は、先ず、9月5日のレイバーデー明け早々にデッドシーリングの法案を成立通過させた事です。それまでは考えられなかった民主党案を丸のみでの快挙と言っていいでしょう。

実はその前に、イバンカ氏を介して、来年2月3日に任期の来るイエレン議長へ続投を説得しているとの話もあり、市場・投資家の信頼の高いFRBを確保する事で、米国株の上昇という目的に真剣に対応していると見ます。

そして、先日17日、「地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱せずに済む方策を、再検討している」との姿勢を示すに至っています。この事は、ティラーソン米国務長官、マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も同様の発言をしています。

さて、注目のトランプ大統領の演説ですが、

「米国は軍事行動を取る用意や意志、能力がある」

「攻撃受けたら、北朝鮮を壊滅させる以外に選択肢はない」

そして、

「北朝鮮が核開発を断念しなければ、米国は北朝鮮を完全に破壊する以外の選択肢はなくなる可能性がある」

「北朝鮮にとり、核放棄だけが唯一の未来だ」

と極めて強い表現で北朝鮮を非難しました。

今回の演説でトランプ大統領は「米国の利益を最優先させる」としながらも、「米国は他の国に自国の意思を押し付けず、他の国の主権を重んじる」と、用意された原稿を慎重に読む形で演説し、以前のようなアドリブを全く入れませんでした。これらの事から、やはりトランプ大統領は変質して来ていると想定されます。

来年2018年11月の米中間選挙まで、もう残された時間は少なく、今後は結果・成果を得る為、攻めの政治をしてくるものと想定します。その為には、トランプ大統領自身の共和党より、政策優先順位を何よりも優先する姿勢、何よりも結果・成果を重視する姿勢を、より一段と強めて来ると想定します。

そして取敢えず中心値「111.50」に収束(9/20 5:41)

全般的には「ドル安」の中での、「円安」が進行中の中、ドル円は今、取敢えず中心値「111.50」に収束して、次の動きに備えています。

今日からのFOMCを含めての「経済」、継続する「地政学リスク」と、そして現実主義へと変質したトランプ大統領の「政治」。

この3つが併存・併走している今の相場、円の売り買い、ドルの売り買い、これら各種のフローがぶつかり合っていて、ハッキリとした一方向のトレンドが出にくい状況になっています。

先ずは、19・20日のFOMC、「経済」に注目です。政策金利は据え置きと予想されています。

ポイントは2つ。

(1)資産の縮小計画への道筋が示されるか否か。

2008年のリーマンショック前に9000億ドルの規模であったFRBのバランスシートの大きさは、現在4.5兆ドルの規模にまで拡大しています。

これまでFRBは、満期が来た証券は再投資をしてきましたが、今回9月のFOMCではこの満期が来た証券の再投資を止めてく行くと予想されます。

毎月500億ドル規模で資産規模を落として、5年前後の時間をかけて、4.5兆ドルの半分から2兆ドル規模へ資産を縮小する計画を示すものと想定します。

(2)ハリケーンの影響を考慮した上でのスタッフ予想に注目です。

当面はハリケーンの影響を見極める必要から、暫くは様子見として、米追加利上げを急がないとの示唆であれば、ドルは下落のリスクです。

反対に米経済始動の見通しが強めであったり、ハリケーン復興事業を前向きにとらえ、市場・投資家が「危惧する程には利上げに慎重姿勢とならない場合はドル上昇のリスクです。

いずれにせよ、3月、6月に米利上げを実施後、今回バランスシートの縮小の計画を発表するにあたり、市場に与える影響を最小限にとどめたいと配慮しているはずです。米国株に悪い影響を及ぼすからです。

その意味で、FOMC会合後に出される声明のトーンやスタンス、それにイエレン議長の会見から、先行きの金利動向を見極める展開となります。

現実路線へ変質したトランプ大統領(9/19 6:04)

17日米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、複数の米政府当局者が、「地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱せずに済む方策を、再検討している」と報じています。

同日、「パリ協定」に関しては、ティラーソン米国務長官も、「米国は適切な条件の下で、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」にとどまる可能性がある」と発言し、トランプ大統領がこれまで掲げて来た、「パリ協定」からの離脱の方針を、転換すると示唆しました。

この2つは決して偶然に17日に公表されたのではなく、トランプ大統領の態度の変化を示していると想定します。ティラーソン米国務長官は、「トランプ大統領はパリ協定で他国と協力することに前向きだ」とも述べているからです。

やはり同日、加えて マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も、「トランプ氏は常にパリ協定の修正検討に前向きだ」と述べました。

先日5日、レイバーデ-明けの米議会再開早々、トランプ大統領は民主党の案をほぼ丸のみの形で、デッドシーリングの法案を成立通過させました。この事に関しては、共和党が割れた等、賛否両論がありますが、大統領就任8カ月経って、支持率が低迷する中、トランプ大統領は結果を出す為にハッキリと弁実路線へとかじを切ったのではないかと見ています。

来年2018年11月の米中間選挙を控え、待ったなしの状況に、自身が環境に対応したのでしょう。今後は結果・成果を得る為、攻めの政治をしてくるものと想定します。

今日からのFOMCと、継続する「地政学リスク」(9/19 6:03)

今日は先ず、19・20日のFOMCに注目です、「経済」です。昨日の日報にも書きましたが、政策金利は据え置きと予想されています。

ポイントは、

(1)4.5兆ドルもの資産の縮小計画への道筋が示されるか否か。

(2)ハリケーンの影響を考慮後のスタッフ予想に注目

です。

当面様子見として、米追加利上げを急がないとの示唆であれば、ドルは下落のリスク、反対に米経済始動の見通しが強めであったり、ハリケーン復興事業を前向きにとらえたりと、予想ほど利上げに慎重姿勢とならない場合はドル上昇のリスクです。

いずれにせよ、FOMC会合後に出される声明のトーンやスタンス、それにイエレン議長の会見から、先行きの金利動向を見極める展開となります。

そんな中、「地政学リスク」も同時進行です。9月3日の北朝鮮の核実験、それを受けての12日の国連安保理の制裁決議採択、そして先週末15日の北朝鮮のミサイル発射と展開しています。このミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は、発射を強く非難する報道機関向け声明を発表。早期の発表でしたが、声明の内容は従来のものと殆ど変わりなく、「手詰まり感」が懸念されます。

(1) 中国の崔駐米大使は、「中国は北朝鮮を核保有国として認めない」と述べ、朝鮮半島の非核化を目指すと強調、

(2) ヘイリー米国連大使は、「北朝鮮が米国とその同盟国に深刻な脅威を及ぼすなら北朝鮮は破壊されるだろう」と断言し、改めて強い言葉で圧力をかけ、「安保理でできることはやり尽くした」とした上で、「北朝鮮問題をマティス米国防長官に託すことに異存はない」と述べました、

(3) マクマスター米大統領補佐官は、「制裁や外交による北朝鮮への対応は限界に近づきつつある」と示す一方で「軍事オプションは存在するがトランプ政権にとって望ましい選択ではない」とも述べています

(4) ティラーソン米国務長官は、「外交努力が失敗すれば軍事的な選択肢しかなくなる」と述べ、

(5)トランプ米大統領は先月、「北朝鮮が米国をこれ以上脅かせば、世界がこれまで目にしたことのないような炎と怒りに直面する」と述べており、この発言についてヘイリー米国連大使は、「口先だけの警告ではない」と強調。

もう既に北朝鮮問題は、米朝間だけの問題ではなく、北朝鮮と国連、つまり世界各国との問題と拡大しており、先の見えないリスクオフがいつ再燃してもおかしくはありません。

想定されるのは以下の2点と思います。

(1)軍事衝突はないと見ます。もし軍事衝突が起こった場合には、即それは第二次朝鮮戦争の勃発を意味し、北朝鮮に勝ち目はありません。金正恩氏が自身の国体を崩し失う方法を取るとは考え難いからです。

(2)第三国、恐らく中国かロシア、のホストによって、米朝の会談がセットされるのではないでしょうか。

トランプ大統領と金正恩氏との会談は無理にしても、第2位、もしくはその代理の間で執り行われるものと想定します。その展開を以て、北朝鮮の「地政学リスク」はある程度沈静化して来るものと想定します。

ユーロは10月のECB理事会でのテーパリング表明観測を背景に堅調推移か?(9/18 6:14)

ECBは10月に資産買い入れプログラムの6カ月延長を発表する、との見方が市場・投資家の間では優勢となっていて、それを背景にユーロのソング基調が継続しています。

具体的な内容については、買い入れ規模について現在の月額600億ユーロから縮小、400億ユーロに変更されるとの見方で織り込んでいます。

先週8日のECB理事会ではドラギ総裁が、「ユーロ高けん制発言」と、「テーパリングは次回の10月会合で」という相反する話をした際、市場は後者に反応し、2015年1月2日1.2107以来の高値1.2092を9月8日に付けました。

ドイツのショイブレ財務相も、超緩和的金融政策の縮小に関しては、「ECBは金融市場による神経質な反応を回避するため極めて慎重に対処する必要がある」とし、10月のECB理事会については、「ECBが責任を果たすと信じるべきだ」と述べています。つまり10月会合でテーパリング表明と言っているものと理解されます。

市場・投資家は以前からECBのこの動きを織り込み継続で、だからリスクオフでユーロ高になり、リスクオンでもユーロ高で反応してきました。

そのポイントは、投機資金のドルからユーロへの資金移動なのだと想定しています。

問題は、その流れが「いつまで続くのか?」という事で、その答えは、10月26日の次回ECB理事会までなのだと想定します。

10月会合では、テーパリングがかなりハッキリと発表され、それでやっとユーロも通常の水準へと回帰するのではと想定しています。

確かにその通りなのですが、それでも高値を1.2092までしか持ち上げられませんでした。

資本筋のユーロ買いも勢いが弱くなってきたものと思え、しかもその後、複数のECB高官がインフレ抑制や景況感悪化につながるユーロ高への警戒感を示している事から、今週は前者に反応しそうで、要警戒です。

「地政学リスク」は9/9を無事に過ごした事、米国の「政治」はトランプ大統領が税制改革を通せるのではとの期待から、ドル売り地合いが一旦後退。ユーロは今週は、10月のECB理事会でのテーパリング表明観測を背景に堅調な半面、ドル買いにつれてユーロドルの上値が重たい中を、ユーロ売りが先行しそうで、要警戒です。

9/15のミサイル発射の後、今週は「政治」と「経済」(9/18 6:13)

「地政学リスク」に関しては……

9月3日の核実験を受けて、国連安保理が総会開幕前日の11日に全会一致で、北朝鮮への追加制裁決議を採択。

12日から国連総会が開催され、19日より世界各国首脳の演説が始まり、トランプ大統領が初登壇で19日に、安倍首相が20日、北朝鮮李(リ)外相が22日にそれぞれ登壇する予定で、日米韓の3か国首脳会談も調整中という。米朝双方とも通常に切れるカードは使い切った感がある中、非難の応酬合戦に終始しそうです。市場・投資家は、「軍事衝突」が起こらない限りにおいては、高い緊張感が保持されるとはいえ、視線は次の材料へと移ってゆくと見ます。

因みに15日、マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、「制裁や外交による北朝鮮への対応は限界に近づきつつある」、「軍事オプションは存在するがトランプ政権にとって望ましい選択ではない」と述べています。

先ずは「政治」……

米国の税制改革法案の行方です。共和党をまとめる方針から、結果を重視する為に、民主党有志との連携もやむ無しへと、現実路線へと変質したトランプ大統領の手腕に期待です。折しも25日には税制改革のプランが提示されるとの事で、市場・投資家は取敢えず前向きに織り込んで来ると思います。

因みに14日、米下院は新年度(10月1日から)の歳出を賄う1兆2000億ドル規模の予算案を可決。 共和党が過半数を占める下院での採決結果は賛成211票、反対198票でした。ただ上院では大幅な修正が必要になるとされ、共和党は定数100の上院で52議席を占めるも、重要法案の可決には60票が必要なので、どうしても民主党の協力が必要。これをトランプ大統領がどう差配するかです。

そして「経済」……

20・21日の日銀金融政策決定会合、こちらは据え置きと予想され、そう織り込まれています。19・20日のFOMC、こちらも政策金利は据え置きと予想されていますが、ポイントは

(1)4.5兆ドルもの資産の縮小計画へのロードマップを発表するか否か。

(2)ハリケーンの影響を含めてのスタッフ予想に注目です。年内の米利上げを見極めるうえで、景気、インフレ率、金利の見通しに注目です。

(3)来年2月3日の任期までわずかとなったイエレン議長の会見で、前回「年内あと1回の利上げを指示」した姿勢に変化があるのか否か。ハリケーンの影響を第3四半期の各数字を見極めるまで態度を保留とするのかどうかでしょう。市場ではその影響はマイナス0.75%〜1.0%と見られています。

当面様子見として、米追加利上げを急がない姿勢が示されると、ドルは下落のリスク、反対に米経済始動の見通しが強めであったり、ハリケーン復興事業を前向きにとらえたりと、予想ほど利上げ慎重とならない可能性もあり、その場合はドル上昇のリスクです。

因みに、CMEのフェドウォッチによる市場が織り込む12月の米利上げ確率は昨日のNY引けで55.6%。1週間前は30%前後でしたが、その後一時58%まで上昇しました。  

一方で昨日15日発表された米小売売上高と鉱工業生産がハリケーン・ハービーの影響で、予想外に低調な内容となったことを受け、第3四半期の米経済成長を巡る懸念が再燃しています。再燃していますが、以下の水準であれば織り込み済で相場へのこれ以上の売り影響は軽微でしょう。

(1)米アトランタ地区連銀の「GDPナウ」によると、2.2%(前回8日時点の3.0%予想から下方修正)

(2)米ニューヨーク連銀の「ナウキャスト」によると、1.34%(前週時点の2.06%予想から下方修正)
ただ、第4四半期は1.82%へと好転する見通し。

(3)ゴールドマン・サックスによると、1.6%(従来予想の2.0%から下方修正)
こちらも第4四半期には好転との見通し。

(4)バークレイズによると、2.0%(従来予想の2.8%から下方修正) 

FOMC会合後に出される声明のトーンやスタンス、それにイエレン議長の会見から、先行きの金利動向を見極める週となります。

ドル円108割れ回避の後、今週は上値模索でしょう(9/16 15:23)

「地政学リスク」「政治」「経済」の3すくみの大荒れ9月が継続です。

地政学リスクについて

(1)北朝鮮の3日の核実験の後、市場・投資家は9日の建国記念日を恐れ、110.48から107.31まで売り込みました。実際には9日は無事に過ぎ、今度は毎き戻しで先週111.33まで買い上げました。

(2)更に15日には東京時間朝7時頃、北朝鮮が再度ミサイルを発射。市場は前日引け110.24に対して一気に109.54まで売り込むも、すぐに買い戻しが入り終日買い上げ111.33まで上昇。

これらを通じて以下の思いを強くしました。

「地政学リスク」、この場合は北朝鮮リスクですが、の相場への影響は、「実際の軍事衝突」でない限り、一過性のものになるという事です。ただ決して米朝懸念は円満解決をした訳では無いので、いつ又ミサイル発射や核実験があってもおかしくはありません。

ポイントは「軍事衝突が有るのか無いのか」です。怖いのは、トランプ大統領のいうところのレッドラインがどこであるのかがハッキリしていない事からそのラインを確かめようと金正恩氏の暴走、挑発行動が止まらない事です。

今後も米朝関係の緊張は高く維持されていくと見ます。私はトランプ大統領のいうところのレッドラインとは、核弾頭搭載のICBM保有であると思うのですが、第二次朝鮮戦争へ拡大を恐れて軍事衝突を避けていると、時間的な余裕を北朝鮮に与えることになり、近未来的にほぼ間違いなく米本土を射程に入れた核弾頭搭載のICBM保有になるはずです。

トランプ大統領がその前に何がしかの手を打つのかが極めて不透明な本当の「地政学リスク」であると想定します。

政治について

「政治」で注意すべきは、「9月の3つのリスク」です。

(1)9月29日が期限の米連邦債務上限問題、これは早々と5日に解決済!

(2)9月30日が期限の米2018年度歳出法案、米国政府が閉鎖の可能性

(3)この2018年度歳出法案の前に、税制改革法案を通す必要があります

トランプ大統領は上記(1)に際し、5日民主党からの賛成票を取り組むという現実主義で共和党の壁を突破しました。次なる「税制改革法案」の審議に要注目です。通るのであれば勿論ドル買いです。

トランプ政権は再来週25日に、税制改革の骨子を公表するとしています。市場・投資家は今度は、現実主義に変質したトランプ大統領の、税制改革成立への期待感が先行すると想定し、それはドル買いとなって働くでしょう。

経済について

そして今週は「経済」が主役です。19・20日のFOMCと、20・21日の日銀政策決定会合があります。FOMC では、ハリケーン・ハービーの影響を見極める必要があることから、バランスシートの正常化プログラムや追加利上げ時期の先送りが協議される可能性があります。それでも10月にはバランスシート縮小、12月には米追加利上げの方向性が、イエレンFRB議長の記者会見で示唆されるものと想定し、その通りであればドル買いです。

しかもテクニカルに重要な108.00割れを回避してのチャートを見るに、今度は上値を試す番かと。

阪谷直人の写真

阪谷直人(さかたになおと)

1983年にアメリカ銀行入行、ディーラーとしてマネー、スポット、為替のフォワード、フューチャーズ、通貨オプションの各商品を担当後、1992年デリバティブ・デスクの立ち上げに参画。1999年よりバンク・オブ・アメリカ証券会社、2009年よりメリルリンチ、ソシエテジェネラルにてデリバティブと為替の営業を担当。2011年に退職後、個人投資家としてトレーディングを開始。

公式サイト:FXcircleのブログ

twitter:https://twitter.com/FXcircle

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