週刊FXシナリオ|ECBによるユーロ高懸念(10/6 6:51)[阪谷直人]

ECBによるユーロ高懸念(10/6 6:51)

昨日は9月のECB理事会の議事要旨が発表され、年末に期限を迎える資産買い入れ策の延長に関して、議論がなされていた事が分かりました。

(1)延長を短期間にして、買い入れ額の縮小大きく削減する方向
(2)延長する期間をより長期にして、買い入れ額の縮小を小規模にする方向

それぞれの方向について討議されました。

どちらにしても縮小が正当化され、10月26日の次回のECB理事会で決定する方向で合意としています。

この議事要旨で大切なもう1つのポイントは、ユーロ高への懸念が示された事です。
これを受けて昨日もユーロドルは1.1779から1.1699まで下げています。

前回の9月のECB理事会では、

(1)為替相場の急激な変動に対しての懸念が示され
(2)ユーロ高のマイナス影響が過小評価されていて、インフレ率への下方リスクとなる可能性に留意すべき

との指摘がありました。

事実プラート専務理事は、「ユーロ相場を緊密に注視する必要がある」と述べ、従来の単に「注視する」との言い方から、より強めな表現に変わっています。

ユーロの動向は

(1)テーパリング開始でユーロは買い
(2)ECBによるユーロ高懸念でユーロは売り

この売り買いの綱引きで、少なくとも大きな上昇の可能性は大きくないと想定します。

市場が織り込む12月米利上げ確率は88%へ(10/6 6:51)

昨日も、米株価は最高値を更新しました。

  • NYダウは、前日比113ドル超高の22775へ7日続伸の最高値更新
  • NASDAQ指数も同50ポイント超高の6585へ8日続伸のこちらも最高値更新
  • 米10年債利回りは、前日比0.02%上昇して2.35%
  • ドル円は、一時112.88まで上昇、引けは112.83

 

昨日は、フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁が、「年内はあと1回、来年は3回の利上げがあるとの見方を現在も変えていない」と発言。

サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁も、「年内はあと1回、来年は3回の利上げが適切」「他の経済指標で継続的な景気の力強さが示されている限り、年内あと1回の利上げに一段のインフレ率の上昇を確認するまで利上げを待つ必要はない」と発言。

カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は、「完全雇用を実現しインフレ率を目標の2%に向け上昇させるため、追加利上げを実施する必要がある」と発言しています。

これらの両地区連銀総裁の追加利上げを巡る発言を受けて、市場が織り込む米利上げ確率が高まっています。CMEフェドウォッチによると、12月のFOMCでの利上げは、前日の83%から88%へ、またイエレン議長の任期後の来年3月のFOMCでの利上げも、前日の19%から28%へと上昇しています。

昨日は8月の米貿易赤字が発表され424.0億ドルで、前月比2.7%減でした。貿易赤字の縮小は、相次いで米国を襲ったハリケーンによる米経済の第3四半期への悪影響を和らげると好感した事も、リスクオンを後押ししました。

加えてもう1つ大切な事は、米議会下院が2018会計年度予算決議案を賛成219票、反対206票で承認し、上院に送った事です。下院案は上院の提案とは開きがあるので、上院共和党との対立が起きる可能性もあるので引き続き注意が必要ですが、一歩一歩前進している事を、市場は前向きに評価しています。

これらを受けて今後のドルの動向は、やはり底堅い展開になると想定します。

最高値を更新する米株価をどう見るか?(10/4 6:17)

昨日も、良好な米経済指標を受け、米株価は大きく上昇して最高値を更新しました。株式市場では、ハリケーンの影響を自動車の買い替え等の復興需要と良い方向へ解釈しています。

NYダウは、前日比84ドル超高の22641へ5日続伸の最高値更新、NASDAQ指数も同15ポイント超高の6531へ6日続伸のこちらも最高値更新。この上げの背景は、トランプ大統領の「税制改革」への期待が大きいものと見ています。

つまり、「減税期待」が先行していて、その恩恵を先取りする格好での動きなのだと見ています。

一方で、米10年債利回りは、前日比0.016%下げて、2.324%、ドル円は、一時113.19まで上昇するも、引けは112.83である様に、金利も為替も株式ほどにはリスクオンとして反応していません。この違いにじつは注目すべきなのではと留意しています。

つまり、金利と為替のマーケットは、トランプ大統領の「税制改革」、トランプ大統領の「大型減税」、この実現性への懐疑的な見方をしているのだと想定します。ならばトランプ大統領の「税制改革」をどう見るか、私は早晩、成立するものと想定しています。それに呼応する形でドルも上昇するものと見ています。

「法人税20%、リパトリ減税0%」を柱としたトランプ大統領の減税法案は、トランプ政権が目指す年内での成立は不透明ながら、その方向で成立して行くでしょう。その根拠は民主党とも手を組む姿勢にトランプ大統領が変質しているからです。そして来年2018年には米中間選挙を控え、民主党議員も反対ばかりしていたのでは当選がおぼつかないからです。

先日9月26日にロス米商務長官は「トランプ大統領の減税法案が成立すれば、(1)今後10年で米GDPは100兆ドルもの増加に恵まれ、年率1%程度押し上げ、(2)結果政府の歳入は3兆ドル増加する」

と述べています。

なので減税法案が成立すれば、もしくはその期待が広がってくれば、早晩ドル相場は上昇に動くと想定します。

「リパトリ減税0%」の効果だけを見ても、米企業の海外留保資金がアップル社だけで2千億ドル、米企業全体で2.5兆ドルもの資金が海外に滞留していると試算されています。この海外に滞留するドルの米本国への還流を意味するリパトリフローは減税額以上の規模で行われるものと想定され、ドル相場は上昇に動くと想定します。

米株価が再び最高値を更新(10/3 6:14)

昨日は、良好な米経済指標を受け、米株価が再び最高値を更新し、ドル相場も上昇、資金は株式市場に還流しました。

・NYダウは、前日比152ドル超高の22557へ最高値更新
・NASDAQ指数も同20ポイント超高の6516へ5日続伸
・米10年債利回りは、前日比0.01%上昇して、2.34%
・ドル円は、一時113.06まで上昇

市場の目線は、トランプ大統領が前週発表した税制改革案に関しての期待感がある中、昨日発表された経済指標が好調であったことが背景です。

米供給管理協会(ISM)発表の9月の製造業景気指数は60.8と、2004年5月以来約13年ぶりの高水準。商務省発表の8月の建設支出は年率換算で前月比0.5%増と、3カ月ぶりに増加に転じました。

これらの米経済指標を受け、米アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」は、第3四半期の米GDP伸び率見通しは年率2.7%へと、9月29日時点での予想2.3%から上方修正。

またモルガン・スタンレーも、第3四半期の米GDP伸び率見通しを2.8%とし、従来の2.6%から上方修正。    

そして、CMEフェドウオッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物は12月12・13日のFOMCで利上げが決定される確率は71.7%です。

10月2日からの週はどうなる?(9/30 12:41)

ポイント:「政治」「経済」「地政学リスク」の3すくみの大荒れ9月相場が10月も継続です。

「地政学リスク」

もちろん北朝鮮リスクの事ですが、「実際の軍事衝突」でない限り、相場への影響は一過性のものになると想定します。ただ決して米朝懸念は円満解決をした訳では無いので、いつ又ミサイル発射や核実験があってもおかしくはありません。その状況に変化はないのですが、ポイントは「軍事衝突が有るのか無いのか」です。

それに関しては先週、

(1)北朝鮮の崔華妃米州局長が9月に2度もモスクワを訪問、

(2)欧州スイスに於いて米朝の高官同士による会談が行われる、

との話が有り、水面下での米朝関係改善へ向けた動きが着々と進行している模様です。

「対話と圧力」から、国連安保理の制裁決議を経て「制裁と圧力」へと米朝関係のみならず、国際世論が動いた中で、北朝鮮・金正恩委員長は手持ちのカードが無くなってしまったのでしょう。

正直なところは、金正恩委員長は時間稼ぎがしたいと思っているはずです。核搭載のICBMを確実に米国東海岸まで飛ばせる軍事力を確立したいからです。一方米国としては、「北朝鮮の核放棄」は絶対に譲れない線で、その条件に北朝鮮が応じない限り会談・交渉は無いとの線には変わりないはずです。

ですが、北朝鮮としては国際的な制裁が結構ジワリと効いて来ているので現状を何とかしのいで時間稼ぎをしたい。米国としても、このままでは軍事攻撃をせざるを得なくなる局面へ追い込まれかねないので、何とか第3のプランB、つまり「対話」をしたいとの思いなのでしょう。

間に入ったプーチン大統領の手腕と動向に要注意です。うまく進行すればドル買いです。

ただ、

(1)10月2日~8日の、中国国慶節の中国連休

(2)10月10日の朝鮮労働党創建72周年記念日

(3)10月18日の中国共産党大会

と中国、北朝鮮の日程が立て込んでいて、これまでも中国のイベントの日に北朝鮮はミサイルを発射している経緯から、緊張状態が継続するとみます。まして北朝鮮は太平洋上での水爆実験の強行を警告しています。また、もしICBMをグアム周辺海域に発射した場合、マティス米国防長官は軍事行動の可能性を警告しています。朝鮮半島でもし軍事衝突が始まる場合には、無いとは想定しているのですが、有事の円買いで110割れから105、そして100割れを試しに行ってもおかしくありません。

「政治」

注意すべき「9月の3つのリスク」は目途が見えてきましたね。

(1)9月29日が期限の米連邦債務上限問題、これは早々と解決済!

(2)9月30日が期限の米2018年度歳出法案と

(3)税制改革法案

に関しては、米上院予算委員会が昨日29日、今後10年間に最大1兆5000億ドルの歳入減となる減税を認める2018会計年度予算決議案を公表、税制改革法案が一歩前進です。

上下両院の共和党は、税制改革法案の本年内での成立を目指し、予算決議案採決を急いでいます。

発効には上下両院が承認する必要があるので、トランプ大統領が年内に減税案に署名して成立させる為、先ず上院が本決議案を通過させ、その後下院と速やかにその内容に合意する展開となるのではと想定しています。こちらもうまく進めばドル買いです。

「経済」

イエレン議長のタカ派的な発言があった事を背景にドル買いの流れが継続、目先は上値を試す可能性が高いと想定されます。 その中で

(1)2日に、9月調査の日銀短観(日銀・企業短期経済観測調査)

(2)6日に、米9月の雇用統計

これらが予想外の数字だった場合、一旦売り圧力が強まると考えられますが、特に非農業部門雇用者数はハリケーンの被害の影響で大きな変動が出る可能性もあるので要注意です。結果、相場への売りの影響は限定的と想定されます。

一方で日銀は10月30・31日の金融政策決定会合に於いて、2017年度の物価見通しを下方修正する見通しと聞きました。 物価上昇率が鈍いというのがその理由で、1.1%としている消費者物価(生鮮食品を除く)の前年比上昇率を1%以下に下げる方向との事です。もしそうなら円売り材料です。

阪谷直人の写真

阪谷直人(さかたになおと)

1983年にアメリカ銀行入行、ディーラーとしてマネー、スポット、為替のフォワード、フューチャーズ、通貨オプションの各商品を担当後、1992年デリバティブ・デスクの立ち上げに参画。1999年よりバンク・オブ・アメリカ証券会社、2009年よりメリルリンチ、ソシエテジェネラルにてデリバティブと為替の営業を担当。2011年に退職後、個人投資家としてトレーディングを開始。

公式サイト:FXcircleのブログ

twitter:https://twitter.com/FXcircle

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