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パラジウム相場はどこまで高騰するのか[佐藤りゅうじ]

月刊FX攻略.com2017年9月号で、パラジウムとプラチナが同値になるのは時間の問題と述べましたが、その歴史的な日はあっという間にやってきました。2017年9月27日、パラジウムとプラチナは価格が逆転し、その後もパラジウムの上ザヤが続いています。今回は、パラジウム相場の“いま”と“今後”を占っていきましょう。

※この記事は、FX攻略.com2018年1月号の記事を転載・再編集したものです

パラジウムとは

まず、パラジウムって何?という方もいらっしゃるでしょうから、簡単に説明しますと、金・銀・プラチナと同様に貴金属と呼ばれ、その主な用途はガソリン車の自動車触媒で、総需要の約7割を占めています。その他には、電子材料、歯科用材、宝飾品用材などの用途に使われます。主産地は南アフリカとロシアで、この二国で生産の約8割を占めます。

19年連続で供給不足

南アフリカ、ロシア共に政情不安の時期があった上、ロシアは経済制裁の影響もあり、供給量はなかなか増加しません。その一方で1990年代後半から、中国やインドといった国々で急激なモータリゼーションが進んだことで需給はひっ迫し、何と19年連続で実需が生産を上回る状態、つまり供給不足が続いています。

現在、不足分は地上在庫から引き出してきて実需を賄っています。地上在庫とは、主に自動車触媒の回収によるものです。北米では1970年代、世界で最初に自動車の排ガス規制が施行されたため、既に市場は成熟しており、スクラップになる車のほぼ全てからパラジウムを回収することができます。

四輪車世界販売台数は7年連続で増加しており、2016年の世界全体の四輪車販売台数は前年より4.7%増加の9385万6千台となりました。全世界の四輪車の保有台数も2015年に12億6139万台となり、人口1000人当たり172台、5.8人に1台普及しています。特に途上国では、ディーゼルエンジンより割安なガソリンエンジンの普及が中心となる上、2015年に発覚したディーゼルエンジン排出規制に対する不正問題の影響から、ディーゼル車の生産も減少傾向にあり、今後もパラジウムを触媒として使うガソリン車の生産は増加傾向が続くでしょう。

6月にスクイーズも

ここで、年初からのパラジウムとプラチナの値動きを見ていきましょう(チャート①参照)。今年、パラジウムは690ドル、プラチナは901.5ドルと、パラジウムはプラチナに対し211.5ドルの下ザヤで始まりました。その後、プラチナが年後半まで900〜1000ドル前後でもみ合いとなる中、パラジウムは1月下旬には800ドル手前まで上昇しました。そして3月下旬に800ドル台に乗せると、しばらくは同水準を中心にもみ合いが続いていましたが、5月下旬から6月上旬にかけて、大きく水準を引き上げます。5月22日の安値は751.51ドルでしたが、6月9日には914.40ドルまで急騰します(注:ドル建て現物価格)。率にして、約21.7%の上昇です。

ここで起きていたことは、需給のひっ迫もありましたが、投機筋が玉締め(スクイーズ)に動いたこともあるようです。スクイーズとは、買い方が市場から現物を吸収して、売り方、特に空売りを踏み上げに追い込むことです。このときのパラジウムのリースレート(パラジウムを借りるときの金利)は、1か月物が21%台まで急上昇しており、現物がひっ迫していることが分かります。

ただ今年のパラジウムのすごいところは、スクイーズという、いわゆる仕手戦が終わっても、その後の押しは829ドル前後まででとどまり、再び地合いを引き締め、8月に900ドル台に乗せると、9月には2001年2月以来となる1000ドル乗せを示現したことです。この値動きから、今回のパラジウムの上昇が単なる投機的な動きではなく、需給関係に根差したものだということが分かります。

パラジウムの上ザヤは続く

今後のパラジウムですが、調査会社のゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ社(GFMS)によると、2016年が20.3トン、2017年が42.6トン、2018年が50トンと急激に供給不足幅を拡大する見通しです。この通りなら、今後もパラジウムの上昇傾向は続き、プラチナに対して上ザヤで推移する時間が長そうです。

一つ注意しておきたいのは、パラジウムは自動車触媒に使われることから、景気に比較的敏感に反応することです。特に、ディーゼルエンジンの不正問題が起きて以降、この動きが顕著になり、ダウ平均株価との連動性が高まってきました(チャート②参照)。そのため、米株が息切れとなったときは要注意でしょう。

※この記事は、FX攻略.com2018年1月号の記事を転載・再編集したものです

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