元為替ブローカーから学ぶFXの売買プランの作り方|第2回 潜在的な相場の方向[浅野敏郎]

為替ブローカー出身の浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏付けされた売買手法や相場観構築のノウハウを余すところなく教えてくれる当企画。第2回となる今回は、「相場の方向感」についてのお話です。

※この記事は、FX攻略.com2017年6月号の記事を転載・再編集したものです

【元為替ブローカーから学ぶFXの売買プランの作り方[浅野敏郎]】
第1回 イントロダクション
第2回 潜在的な相場の方向
第3回 トレンド相場でフォローすべきタイミング
第4回 チャートの未来空間を活かそう!
第5回 値幅の半値ラインに着目したチャート分析法
第6回 これまでのまとめ
第7回 直近のドル円相場展望

現在の相場は売るのか買うのか様子見か

売買プランの作成を目指して、前回の序章で示した順に判断手順をたどって参ります。これからお伝えすることは、あくまで私自身の経験と、各方面から得た知識から成り立っています。

最初のステップとして掲げたこのテーマは、具体的な売買プランを立てる前段階の判断ともいえ、細かい相場分析というより、ファンダメンタルズ分析のような、潜在的な相場の方向を見分けようとするものです。

例えば2017年3月20日時点のドル円相場は、概ね112円から115円の間でしばらく揉み合っていますが、この価格水準が安いのか高いのか、思い込みではない客観的な判断が必要で、安ければ買い、高ければ売り、どちらでもなければ様子見となります。言い換えれば、その時点での一種絶対的な値頃感が売買行動の基本になります。

東日本大震災から6年が経過して間もない現在、当時の1ドル80円前後と比べれば今はドル高ですし、1985年から始まる超円高時代の起点になった1ドル200円前後と比べれば、まだドル安というのは疑いもない事実です。

ところが、もし1ドル150円まで円安が進んだ場合、「80円水準からは70円も上昇」とか「200円まであと50円」といった新たな比較が投資家の間に発生するでしょう。そのとき、到達は不可能とされていた1ドル200円水準も、80円水準からの上昇幅と、残された価格差を考えれば、「200円まで上昇し得る」という見方が出ても不自然ではありません。

もちろん200円へ届くか否かは、150円までの到達時間やそれ以降の値動きなどにもよりますが、指摘したいのは、絶対的な値頃感も相場が進むにつれて適正に変化すべきということです。

先行スパンの意識

このような難しい判断は、何かの基準に頼った方が現実的です。紆余曲折しながら私がたどり着いた基準として、最も理にかなっているのはやはり、一目均衡表の先行スパンしかないというのが結論です。

チャート①はドル円週足の先行スパンですが、値動きと先行スパンの位置や動きがバラバラで、とても現実的な売買判断に活かせそうに見えません。しかし、この週足を圧縮したチャート②を見てみると、週足の先行スパンでさえ、相場に即して変動していることが分かります。

そして何より明らかな事実は、上昇相場は先行スパンの上を推移し、下落相場は先行スパンの下を推移していることです。この事実から、少なくとも「先行スパンの上(下)で推移する相場で、売り(買い)は考えない」という簡易的な取引の鉄則が見えてきます。

112円から115円という価格水準は、先行スパンの下に位置した過去もありましたが、少なくとも今現在の週足からは、売りは考えない方が良いという見方に変化しているのです。

時間軸の違い

とはいうものの、日足、週足、月足といった、時間軸が異なる先行スパンは、必ずしも同じ位置にあるとは限らず、判断は難しいところです。先の鉄則で、直接的な売買判断に結びつけなかった理由の一つは、ここにあります。

月足の先行スパンはそう簡単に位置を変えないため、チェックの頻度は少なくて済むとすれば、週足と日足との比較が中心になります。もしも両者が全く異なる様相だった場合、われわれ一般投資家には、様子見という選択肢がありますから、無理やり相場観に結びつけず、「分からない」で良いと思います。得てしてそうした相場は、大きな揉み合いである可能性もあり、手を出さない方が良い場合も往々にしてあります。

おしまいに、先ほどの鉄則で、具体的な売買判断を避けたもう一点の理由は、先行スパンと相場の位置関係は、その時点の方向性を示唆するだけで、直接の売買根拠としては不十分だということです。

例えば、「相場収益は相場次第」とよくいわれますが、2012年終盤から2015年中盤にかけて、ドル円相場は大きく上昇しました。

ただ、2012年中にドルを買った場合と、2015年に入ってからドルを買った場合とでは、結果は全く違ってくるのは明らかで、終盤の取引だと収益にできたかどうかも疑問です。つまり、同じ先行スパンの上にある相場でも、取り組んで良い場面と、取り組まない方が良い場面があります。次回はこの点をもう少し掘り下げたいと思います。

※この記事は、FX攻略.com2017年6月号の記事を転載・再編集したものです

【元為替ブローカーから学ぶFXの売買プランの作り方[浅野敏郎]】
第1回 イントロダクション
第2回 潜在的な相場の方向
第3回 トレンド相場でフォローすべきタイミング
第4回 チャートの未来空間を活かそう!
第5回 値幅の半値ラインに着目したチャート分析法
第6回 これまでのまとめ
第7回 直近のドル円相場展望

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浅野敏郎の写真

浅野敏郎(あさの・としろう)

東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。

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