元為替ブローカーから学ぶFXの売買プランの作り方|第12回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析⑤[浅野敏郎]

浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏打ちされた売買手法や相場観構築のノウハウを余すところなく教えてくれる本企画。今回も引き続き、直近と今後のドル円相場を読み解いもらい、その上で最適な売買プランを提示していただきます。

※この記事は、FX攻略.com2018年4月号の記事を転載・再編集したものです

【元為替ブローカーから学ぶFXの売買プランの作り方[浅野敏郎]】
第1回 イントロダクション
第2回 潜在的な相場の方向
第3回 トレンド相場でフォローすべきタイミング
第4回 チャートの未来空間を活かそう!
第5回 値幅の半値ラインに着目したチャート分析法
第6回 これまでのまとめ
第7回 直近のドル円相場展望
第8回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析①
第9回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析②
第10回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析③
第11回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析④

ドル全面安の理由を整理

2018年1月のドル円相場は、株式市場とは裏腹に、ドルが全面安になったことによる影響を受けて、円高方向に舵を切りながら、もみ合い相場の下限を目指して上値が重く推移しています。ドルは利上げサイクルに入った中で、ドル安が進むといった悩ましい展開になっていますので、簡単にファンダメンタルズを確認しましょう。

今年に入ってドルが全面安になった背景として、米国の株価が上昇基調を維持する中で、金や原油をはじめとした商品価格の上昇も止まらないことから、ドルに対するインフレ思惑が強まったことが指摘できそうです。また、日本に次いで金融緩和を堅持していたユーロ圏からも、強気な材料が出始めたことで、明らかに割安感があったユーロや、既に一度利上げを行っていたポンドにも買いが入り、ドルの相対価値が低下したことなどが挙げられそうです。

そんな矢先となる1月下旬のダボス会議開催中に、米ムニューシン財務長官からは、目先のドル安を歓迎する旨の会見内容が聞こえてきたことや、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が理事会後の定例記者会見で、ユーロ圏の基調インフレは堅調との見方を示したこと。さらに、ポンド高がある程度進んでいた段階で、英ハモンド財務相がその水準に満足しているとコメントしたことなどが重なり、ドル安に拍車が掛かったものと考えられます。

ユーロドルやポンドドル相場でドル安が進み、こうしたドル安の圧力を受けて、ドル円相場も下値を伸ばさざるを得なかったわけですが、ユーロやポンドの上昇率がドル円の下落率より勝ったおかげで、ユーロ円やポンド円が上昇し、これらの円売りカバーがドル円の下落を抑える要因となり、日足や週足などの陰線から連想するより下落の速度は弱く、一方的な急落はほとんどなかった状況です。

昨年のレンジ圏へ引き戻された格好

それでは次に、こうした地合いを踏まえて、このひと月のドル円相場を週足でレビューしてみますが、その前に今回、チャートに追加や変更したことを記載いたします(チャート①)。

まず、I−Kトレンドラインの下に同じような上昇のG2−Iトレンドラインがあります。これはかなり昔の77.13円の安値とIを結んだサポートラインですが、I−Kを割り込んだ現状では最後のサポート目安になることから、名称を復活しました。

また、青文字の①以降の高値として③を追記しましたが、現在は①からの下落を延長しているともいえますので、今後の値動き次第では、②と③は消える可能性があることをお伝えしておきます。

さて前月号では、K−①の上昇力を評価しつつ、押し目②が一目均衡表の基準線で下げ止まったことで、①の高値を越えて続伸できるかどうかをテーマにしました。

結果は基準線と同値になる②の安値を割り込み、サポートのI−Kトレンドラインをも割り込んだ状態で現在を迎えており、またしても昨年のレンジ相場の真っ只中へ引き戻された格好です。

辛うじて、昨年来の安値Kは割り込んでいないので、K−①の上昇はまだ否定されるには至っていませんが、ここまで深押ししたからには、直ぐに上昇トレンドを期待するのは難しく、相場観は中立(ニュートラル)が妥当でしょう。繰り返しになりますが、Kまたは①をどちらかに越えない限り方向性は語れないため、今後の方向性に期待が持てるにはどうなるべきか、上昇と下落、両方の目線で考えておきたいと思います。

Kの安値割れは追いかける価値あり

上昇のサポート要因は、I−Jmidと先行スパン下限に限られ、最後の砦はG2−Iのトレンドラインのみとなっています。現行足の安値108.50円前後は、JとKの間にある下値③、およびKをまだ割り込んでいない点は既に挙げましたが、遅行スパンも現行足も、その下側にある先行スパン下限を終値ベースで割り込まないことが優先されます。幸い、転換線も受動的な下落は暫くありませんから、最新の安値108.50円前後を割らなければ好転もギリギリで維持できます。

一方、下落に関しては、目先の流れ通り明らかに優勢です。Kを割り込むとK−①上昇が否定されるばかりか、今回名称を復活させたG2−Iのサポートラインも同時に割り込むことを意味し、さらには先行スパンの下限を割り、転換線は逆転して基準線も同時に下落を開始するなど、J−Kの下落が再開する可能性が出てきます。

前号で想定したポジションは、既に早めのストップロスに掛かりスクエアになっていますから、このレンジ相場であえてエントリーする必要はありませんが、Kの安値割れは追いかける価値が出てきています。107.20円前後のストップ売りでエントリーし、値動きを確認したいところです。反発が早ければ直ぐに見切り決済をするなどの対応が求められますが、暫定的に100ポイント前後戻したところをストップロスとして、決済目標は102円前後としておきます。

※この記事は、FX攻略.com2018年4月号の記事を転載・再編集したものです

【元為替ブローカーから学ぶFXの売買プランの作り方[浅野敏郎]】
第1回 イントロダクション
第2回 潜在的な相場の方向
第3回 トレンド相場でフォローすべきタイミング
第4回 チャートの未来空間を活かそう!
第5回 値幅の半値ラインに着目したチャート分析法
第6回 これまでのまとめ
第7回 直近のドル円相場展望
第8回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析①
第9回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析②
第10回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析③
第11回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析④

浅野敏郎の写真

浅野敏郎(あさの・としろう)

東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。