米国税制改革問題もノイズ 基調ドル高に変わりなし[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2017年11月13日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、週初には114.50円にあったストップロスを狙った仕掛け買いが奏功し、一時114.73円と3月以来の高値を示現。しかしその後は米国の税制改革法案をめぐる先行き不透明感からドル売りが優勢となり、一時113.09円まで下押しした。米国株式市場では、NYダウが一時23600ドル台と史上最高値を更新していたが、週後半にかけては上げ幅を削る動きとなった。

トランプ大統領が公約として掲げる税制改革は約30年ぶりの抜本的な改革となるが、上下両院の法案が異なっており、法案成立のためにはこれらを一本化する必要がある。連邦法人税の税率引き下げの時期や連邦所得税の税率区分などが争点で、年内の法案成立は不透明とされる。

 114.50円を一度ブレイクしたものの…

そこで今週の相場だが、114.50円の重要サポートを一度ブレイクしたにもかかわらずフォロースルーが見られなかったことから、短期的には上値の重さを嫌気した手仕舞い売りが優勢となりそうだ。IMM通貨先物の取り組みを見ると、投機筋の円売り越しは今年最大規模に迫っており、ドル買い・円売りの余力が乏しくなっていることも考えられる。

ただし、米国の景気が堅調で、12月の利上げはほぼ確実であることに変わりはなく、米国株式市場は利上げ観測をものともせず右肩上がりの上昇を続けている。税制改革が早期に実現すればそれに越したことはないが、来年にずれ込んだからといって悲観する必要はない。米国の税制改革の遅れというのは、トランプ政権のロシアゲートや北朝鮮問題と同じようなもので、ドルを買えていない向きの言い訳、または利食い売りのための口実に過ぎない。相場の動向を決定づける本質的な材料ではなく、いわば市場のノイズと考えたほうが良い。米国の税制について深く掘り下げてみてもあまり相場予想には役に立たず、はっきり言って時間の無駄である。

市場の利上げ期待度の変遷に注目

それよりも、来年パウエル新議長の下でFRBの金融政策がどうなるのかということのほうが、よほど重要だ。パウエル次期議長は当初ハト派的人物と目されていたが、エコノミストではなく投資銀行業界出身であることから、最近は「銀行の収益改善につながるイールドカーブのスティープ化を容認するのではないか」との見方も出ているようだ。今週は米国10月の卸売・消費者物価をはじめ重要指標が数多く発表されるほか、イエレンFRB議長をはじめFRB当局者の講演も目白押しとなっている。市場の利上げ期待がどのように変遷していくかを注目していきたい。

日米のファンダメンタルズ格差や米国の利上げ期待の醸成、株高・低ボラティリティを背景としたリスクオン、11月のドル高アノマリーなどを勘案すれば、ドル強気スタンスに変わりはなく、ポジション調整で下がったところを拾っていくのが得策と考える。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

twitter:https://twitter.com/geh02066

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