パウエル新議長が就任 いきなり市場の洗礼も?[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年2月5日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、FOMC声明でインフレ見通しに関する表現が上方修正されたことをきっかけに、金利上昇・ドル買いの展開となり109円台後半へ反発。金曜日に発表された米国1月の雇用統計が強い結果となったことから、さらにドル買いが強まり、一時110.48円まで続伸した。

米国雇用統計では、失業率は4.1%と前月から横ばいだったものの、非農業部門雇用者数(NFP)が+20万人と予想の+18万人を上回り、平均時給も前年比+2.9%と前月の+2.7%(+2.6%から上方修正)から加速した。「インフレ率は今年上昇し、中期的に2%前後で安定」というFOMCの見通しも十分射程に入ったといえよう。

こうした状況を受けて、FF金利先物は今年4回の利上げ(2.25%-2.50%)を2割ほど織り込み始めた。金融政策動向を反映する2年債利回りも2.15%近辺と2008年以来の水準で推移している。10年債利回りは2.85%に達し、一週間で20bpもの大幅上昇となった。

しかし、この間のドル円の上昇幅は1円50銭程度。これだけ米国金利が急ピッチで上昇した割には物足りないと言えなくもない。一方、先週金曜日の米国株式市場は、急激な金利上昇を嫌って大幅安となり、ダウ平均株価は一時700ドル近く下げた。金曜日のシカゴ日経平均先物は大証比300円超下げており、週明けの日経平均株価も大幅安は避けられないだろう。

これまでFOMCが金利見通しで何度も示してきた通り、今年は3回の利上げが標準シナリオとなっており、それだけなら株式市場も十分消化できると思われていた。しかしそれ以上の利上げの可能性が浮上してくると、にわかに雲行きが怪しくなってくる。緩やかな金利上昇と株高が共存できているうちはいいが、本来利上げと株高は相容れないものだ。そして急激な金利上昇と株価急落の組み合わせはリスクオフに直結し、ドル安・円高シナリオを想起させる。先週のドル円の上昇が勢いに欠けた理由はそこにある。

パウエル新議長の手腕は? 

イエレンFRB議長は2月3日付で退任し、米有力シンクタンクのブルッキングス研究所で新たなキャリアをスタートさせる。そして後任のパウエル理事は本日、宣誓式を経て新議長に正式就任する。

FRB議長交代という微妙な時期でもあり、今週市場は不安感に襲われかねない。新議長が急激な金利上昇を黙認すれば、株式市場がさらに動揺し、リスクオフの円高を招くおそれがある。逆に新議長が金利上昇を牽制し、利上げ観測を急激に冷やせば、ドルも先週の反動で急落しかねない。パウエル新議長の手腕は現段階では未知数。いきなり市場の洗礼を浴び、難しい舵取りを迫られることもありそうだ。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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