米国雇用統計は都合の良い内容!しかしドル円は…[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年3月12日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は105円台前半から一時107.05円まで上昇。「北朝鮮と韓国が4月に首脳会議を行うことで合意、北朝鮮は体制維持が保証されるなら非核化にオープン」「北朝鮮、対話期間中の核・ミサイル実験を停止」との報道を受けてリスク選好ムードが広がったほか、米大統領報道官がカナダやメキシコ、その他同盟国を追加課税の対象外とする可能性を示唆したことから貿易戦争への懸念が和らいだ。また米国雇用統計が適度に強い結果となったことも安堵感につながった。

米国2月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が+31.3万人と予想の+20万人を大幅に上回り、過去2か月分も計5.4万人上方修正された。失業率は予想の4.0%には届かなかったが、5か月連続で4.1%と17年ぶりの低水準だった。一方で、インフレの先行指標として注目されている平均時給は前年比+2.6%と予想の+2.9%を下回った。米国労働市場は好調だが、賃金の伸びは懸念されていたほどではない、つまり投資家にとってはゴルディロックス(適温)経済を想起させる都合の良い内容だったといえる。米国株式市場ではダウ平均が440ドル超急伸し、VIX指数は13台へ一段と低下した。

ただ、その割にはドル円の上昇幅は少々物足りないのではないか。下のチャートで示した通り、高値・安値が切り下がるチャートパターンは続いており、相場は年初からの弱気トレンドから脱していない。北朝鮮をめぐる地政学リスクの後退、貿易摩擦懸念の緩和、インフレ懸念の後退、そして株高・ボラティリティ低下となれば、ドル円はもっと大幅に上昇していてもおかしくなかった。筆者が常々重視している「相場の息吹」の法則に照らし合わせれば、「好材料が出ているにもかかわらず想定以上に上昇しない」のは潜在的な売り圧力の存在を示唆しており、弱気のシグナルである。


ドル円日足 出所:NetDania

新たなドル下落局面に突入か?

金利上昇にもかかわらずドルが弱い昨今の状況は、ひとつには市場が先回りしすぎることに原因がある。振り返ってみれば、ドル円が明確な弱気トレンドに入ったのは昨年12月の利上げの直後だった。市場はすでに今年3~4回の利上げを織り込んでおり、来週(3月20-21日)のFOMCでの追加利上げもほぼ確実視されている。ということは、来週のFOMCを機に材料出尽くしとなり、新たなドル下落局面に突入する可能性が高い。今週はこの中途半端な反発局面をとらえての戻り売りスタンスで臨みたい。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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