日米首脳会談、シリア問題…潜在的なダウンサイドリスク大きい[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年4月16日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場はおおむね107円台で底堅い動きとなった。中国の習近平国家主席のフォーラムでのスピーチでは、米中貿易摩擦に関する直接的な強硬発言はなく、市場の安堵を誘った。また化学兵器使用疑惑があるシリアに対して、「48時間以内に重大決断」と警告していたトランプ米大統領が、ひとまずミサイル攻撃を実施しなかったことが安心感につながった。

日米首脳会談の影響は

米中の貿易摩擦については、両陣営とも全面的な衝突や報復措置の応酬は望んでおらず、水面下での落としどころを探る戦略のようだ。ただ交渉はまだ始まったばかりであり、今後何度も暗礁に乗り上げることは目に見えている。また明日から日米首脳がフロリダで会談を行うが、日米自由貿易協定(FTA)締結に意欲を示すトランプ大統領が強硬姿勢を示せば、市場は大きく動揺するだろう。少なくともトランプ大統領の任期中は、為替市場は潜在的なドル安・円高圧力から逃れられない。

新たなドル安円高材料となるシリア問題

シリアをめぐる米ロの軍事的対立は、「遠くの戦争は買い・近くの戦争は売り」の経験則に照らせば、新たなドル安・円高材料となりうる。仮に米国がシリア空爆を実施し、ロシア人の死傷者が出た場合、どの程度の規模になるかはともかく、ロシアは報復攻撃に踏み切る可能性が高い。今のところ米ロとも戦争を望んでいないのが救いだが、両国とも引くに引けない立場であり、発言の応酬や必要以上の威嚇が、偶発的な衝突につながる恐れは排除できない。シリアの緊張を無視してドル買いを続けるわけにはいかない。

利上げは完全に織り込み済み

一方、目下最大のドル買い材料である「米国の利上げ」については、FF金利先物が織り込む6月の利上げ確率が99.5%に達していることを見れば明らかなように、完全に織り込み済みと考えたほうがいい。FOMCの金利予想(ドットプロットチャート)通り、年内の利上げがあと2回(おそらく6月と9月)にとどまるとの見方もおおむねコンセンサスとなっている。これではもはや利上げ期待を手掛かりにドルを買い進むことは難しく、むしろ予想通りの利上げが実現するたびに材料出尽くしのドル売りとなることを警戒すべきだろう。


FF金利先物市場はすでに6月利上げを確実視 出所:CME Group

このように、ドル円にとっての潜在的なダウンサイドリスク要因が無視できない一方、ドル買い材料は織り込み済みだ。チャート上では、年初からのドル安・円高トレンドはひとまず終了したようにも見えるが、この上昇局面は一過性となる可能性が高く、引き続き売り場を探すスタンスで臨むべきと考える。

PS

ここまで書き終えた直後(14日午前)に、「米英仏がシリアを攻撃」とのニュースが飛び込んできた。シリア・アサド政権を支援しているロシアとの対立激化は必至。今週は荒れ模様のスタートとなりそうだ。

雨夜恒一郎の写真

雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

twitter:https://twitter.com/geh02066

FX力を鍛える有名人コラム | 雨夜恒一郎の最新記事
どうなるブレグジット!?合意なき離脱の可能性高まる![井口喜雄]
ディーラーによる今週のドル円「下落!ファーウェイ逮捕って何が問題なの?」[国府勇太]
株安・米国金利低下・ドル安の流れが続く見通し[雨夜恒一郎]
米利上げサイクルに疑心暗鬼!ポンドは報道に振らされる日々[井口喜雄]
ディーラーによる今週のドル円「再び114円タッチ!年末どうなる?」[国府勇太]
米国利上げサイクル終了近しとの見方強まる[雨夜恒一郎]
FRBの真意は如何に!今夜パウエルFRB議長の講演[井口喜雄]
ディーラーによる今週のドル円「動きなし!トレンドは上で変更なし」[国府勇太]
米中首脳会談控え、貿易戦争が再び火種に?[雨夜恒一郎]
ブレグジットに疑心暗鬼!不透明感漂う[井口喜雄]
ディーラーによる今週のドル円「じわじわ下げ、週末にドカンと113円割れ!」[国府勇太]
米ハイテク株の下落は危険シグナル[雨夜恒一郎]
どうなるブレグジット!? ポンドはどこへ向かうのか[井口喜雄]
ディーラーによる今週のドル円「注目の中間選挙を終え、なんと114円まで上昇!」[国府勇太]
歴史的なドル独歩高の中でドル円に上昇余地[雨夜恒一郎]