米国金利上昇と株高は共存できるか?[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年10月8日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、一時114.55円と昨年11月以来の高値を更新。米ISM非製造業景況指数やADP雇用報告といった経済指標が市場予想を上回ったことや、パウエルFRB議長が「中立金利水準を超えて利上げを進める可能性がある」との考えを示したことから、米国債利回りが急上昇し、ドル円も114円台へ押し上げられた。しかし週後半は、急激な金利上昇を嫌気して米国株式市場が下落に転じると、ドル円も113円半ばまで押し戻された。

発表された各指標を整理

先週金曜日に発表された米国9月の雇用統計では、失業率が3.7%と48年ぶりの水準へ低下。非農業部門雇用者数はハリケーンの影響で+13.4万人と予想(+18万人)を下回ったものの、過去2か月分が合計8.7万人上方修正された。一方、平均時給の伸び率は前年比+2.8%と前回の+2.9%から小幅減速した。完全雇用と緩やかな賃金上昇が共存する、非常に都合の良い状況が続いていることを裏付ける結果であり、FRBが現在進めている緩やかな利上げスタンスと整合的だ。今年12月と来年3月のFOMC会合での利上げ確率は一段と上昇するだろう。

米国10年債利回りは一時3.24%まで上昇し、7年ぶりの高水準となった。1週間前と比べて0.2%近い上昇であり、最近の動きの中では確かに急激だった。ただし、貿易摩擦を背景に一時蔓延していた先行き悲観論の後退や、それにともなう極端なフラット化(長短金利差の縮小)の修正と考えれば、それほど警戒すべき金利上昇とは言えない。経済が正常な状態にあり、FRBが中立的な政策金利水準を3%前後とみているとすれば、2年債利回りが3%、10年債利回りが3.5%かそれ以上でも決して高すぎるということはない。

NYダウは木曜日に200ドル、金曜日も180ドルあまり下落した。しかし、それまで史上最高値を連日更新していたことを考えると、この程度の反落はポジション調整の範囲内であり、そう重く受け止める必要はない。「急激な金利上昇→株価急落→全面的なリスク回避で円高」という負の連鎖に突入する可能性は薄く、むしろ短期的に株価が調整してドル円がつれ安となった局面は買い妙味がある。

ドル強気スタンスを継続するのが適切

米国経済は極めて好調だが、インフレリスクは小さく、FRBは緩やかに利上げを行う余裕がある。インフレでもリセッションでもないゴルディロックス(適温)経済が過去数年にわたって続いており、実際この間、緩やかな金利上昇と株高は折り合いをつけながら共存してきた。この状況下では、為替もやはりドル高となるのが道理だ。今後しばらくは米国一強・独り勝ち時代が続くとの見方を否定する理由は見当たらず、ドル強気スタンスを継続するのが適切だろう。

米国10年債利回り 出所:Investing.com

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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