株式市場のガス抜き一段落でドル円も底堅く[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年10月22日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、株式市場が落ち着きを取り戻すなか底堅く推移し、一時112.73円まで回復した。イタリアの財政不安やサウジと米国の緊張など、それなりに重たい材料はあったものの、NYダウは小幅ながら週間ベースでプラスを確保し、日経平均も22500円台と下げ渋った。米国為替報告が公表され、中国の為替操作国認定は見送られたことも、安堵感につながった。

リスク回避ムードが後退するにしたがって、米国10年債利回りは反発に転じ、3.2%台を回復した。先週の当コラムでは、「株価が金利上昇に一時的に折り合いがつけられなくなって下落するのは、いわば成長期の子供が脚などの痛みを訴える“成長痛”のようなものだ。子供も株式市場も、やがてその痛みを乗り越えて成長していく」と述べた。先週の動きを見ると、株式市場は金利上昇となんとか折り合いをつけ始めているように見える。米国景気や企業業績は依然好調が続いているため、現在の金利水準に目が慣れさえすれば、株式市場はまたしばらく好況を謳歌することができるだろう。

今週の注目材料

今週の注目材料は、26日金曜日に発表される米国7-9月期のGDP速報値だ。4-6月期は前期比年率で+4.2%と2014年第3四半期以来の高い伸びを記録したが、今回はハリケーンの影響などもあり、+3.3~3.4%に減速するとの予想が多い。一方アトランタ連銀のGDPナウ(https://www.frbatlanta.org/cqer/research/gdpnow.aspx)は10月17日時点で+3.9%と予測しており、上振れの可能性も十分ある。米国のファンダメンタルズの良さに関心が戻るきっかけとなる可能性があり、注目したい。

3%台の実質成長率と2%のインフレ率、そして3%前後への緩やかな政策金利引き上げを前提とすれば、10年債利回り3.2%は決して高すぎることはなく、むしろもっと上昇してもおかしくない。一方日本の10年債利回りは、日銀の爆買いの影響で0.1%台にとどまっており、日米の金利差は3%を超えている。日本の生保や機関投資家にとって、為替ヘッジなしで米国債に投資しても、年間で3円以上(10年なら単純計算で30円以上)の円高に耐えられることを意味する。下期入りした機関投資家にとって、ドルを安く買いたい意欲は強いはずで、このところドル円が下値を切り上げながら上昇している相場付きと整合的だ。

好調なファンダメンタルズと日米金利差にサポートされ、ドル円は基調として緩やかな上昇トレンドが続いていくと見ている。先週までで株式市場のガス抜きが一段落したとすれば、今週は当面の底入れから再度上値を試す展開に移行していく可能性が高くなるだろう。

雨夜恒一郎の写真

雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

twitter:https://twitter.com/geh02066