市場の不安はピークアウト 今週はFOMC声明に注目[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年11月5日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は反発し、113円台を回復。株式市場が落ち着き始めたことや、米中関係についてトランプ大統領が楽観的な見通しを示したこと、また10月の米国雇用統計が強い結果となったことが買い材料となった。NYダウは荒い値動きが続いたものの、週間ベースでは約600ドルの上昇となった。

米中貿易摩擦は緩和の方向へ

米中貿易摩擦に関しては、トランプ大統領と習近平国家主席が1日に電話会議を行い、今月末にアルゼンチンで開かれるG20で首脳会談を行うことになったことで、双方に受け入れ可能な合意に向けた協議が進む可能性が出てきた。一部では、トランプ大統領が重要閣僚に中国との貿易合意の草案作成を要請したと報じられた。大統領はツイッターで「中国との協議は良好に進んでいる」と発言している。米国はすでに中国からの計2500億ドル相当の輸入品に制裁関税を課しているが、少なくともG20、米中首脳会談が行われる今月末までは、制裁と報復の応酬は一服すると見られる。その間、市場は幾分平静を取り戻すことになるだろう。

米国雇用統計では、失業率が予想通りの3.7%と48年ぶりの低水準を維持し、非農業部門雇用者数は+25.0万人と予想の+19.0万人を大幅に上回った。注目の平均時給は前年比+3.1%となり、2009年以来の3%台乗せを実現した。好景気・好業績の恩恵が、賃上げという形でようやく労働者にも還元され始めたことになり、経済全体にとってもグッドニュースだ。FRBの段階的な利上げが正当化されたことになり、利上げに反対するトランプ大統領といえども、もはや異議を唱えることはないだろう。

今週の注目材料は?

今週の注目材料は、7日・8日に行われるFOMCだ。日本時間の9日未明に結果が判明するが、今回は通常重大な決定は行われない11月会合なので、政策金利は2.00-2.25%に据え置かれることが確実。市場の関心は、声明の内容やニュアンスに集中することになる。利上げが行われた前回9月の声明では、従来あった「金融政策は依然として緩和的」という文言が削除されたことで、中立金利に近づいている(利上げサイクルの終了が近い?)との見方が浮上した。

しかし別の見方をすれば、完全雇用と2%のインフレ目標が達成された今、「緩和的」のフレーズが削除されたことは、「金融政策はこれまでのように緩和的ではなくなる」というメッセージともとれる。そうだとすれば、今後政策金利は「中立的」とされる3.0%まではほぼ確実に達し、場合によってはそれを上回る「引き締め的」となることもありうることになる。FOMC声明が金融政策の現在地とゴールについてどのように表現するか注目したい。

株式市場の不安がピークを過ぎ、米中貿易摩擦の緩和期待が浮上し始めた今、FOMC声明がさらに明るい内容となれば、株高・金利上昇・ドル高の「米国トリプル高」もとなる可能性も出てくる。今週はドルに対して強気スタンスで臨みたい。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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