米ハイテク株の下落は危険シグナル[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年11月19日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、週初に114.21円と上値を試したものの、英国閣僚辞任を受けたBrexitがらみの不安や米国株の急落を受けたリスク回避ムードを背景に、週末には112.64円まで押し戻された。NYダウは週間ベースで600ドル近く下落。株安を受けて米国金利も全般に低下し、10年債利回りは前週末から12bpあまり安い3.065%で引けた。

不透明感強まる米国株式市場

米国株式市場の下落はなかなか終息しないどころか、ここに来て一段と先行き不透明感が強まってきた。特に不安感を高めているのが、アップル、フェイスブックなどハイテク株の大幅な下落だ。下のチャートはGAFAと呼ばれる米国ハイテク株4強の週足だが、いずれも同じような軌道でトレンドラインを割り込んでいる。

GAFAの週足チャート 出所;NetDania

米国半導体大手のエヌビディアに至っては、下のチャートが示す通りただ事ではない下落である。

NVIDIA Corporation 週足 出所:NetDania

筆者は株の専門家ではないが、スマートフォンやゲーム機器市場の飽和感が強まり、個人情報の管理をめぐってSNSに対する批判が強まる中、過去数年間にわたって成長を謳歌してきた米国ハイテク業界が岐路に差し掛かっていることくらいはわかる。GAFAが情報通信のプラットフォームを独占することにより、情報・人・モノ・金が米国に集中し、米国は経済覇権を握ってきた。したがって、富の源泉であるGAFAの勝利の方程式が崩れるとすれば、米国全体にとっても由々しき事態である。

12月FOMCでの利上げ確率は?

米国経済は今のところは好調だが、「世界経済には減速の証拠がいくつかある」(クラリダFRB副議長、11/16)。株式市場は景気に6か月から9か月先行するといわれており、「来年から2020年にかけて成長は今年より鈍化する公算が大きい」(カプラン・ダラス連銀総裁、11/16)。こうなってくると、来月のFOMCで利上げも確実とは言えなくなってくる。FF金利先物が織り込む12月の利上げ確率は、下図の通り低下の一途をたどっている。

FF金利先物が織り込む12月の利上げ確率 出所:CME FedWatch

ドル強気スタンスに陰り

ドル円は、チャート上も、10月の高値114.55円を上抜けできず反落したことで、3月以降続いていた高値を切り上げていく強気のパターンが崩れた可能性が高い。米国株価動向、金利動向、チャート、いずれも黄信号が点灯しており、ドル強気スタンスはいったん撤回するのが妥当だろう。

一目均衡表・日足 出所:NetDania

今週木曜日、米国市場は感謝祭(サンクスギビングデー)で休場となる。金曜日はブラックフライデー(黒字の金曜日)で株・債券市場は短縮取引だ。米国は例年感謝祭を過ぎると一気に年末のホリデーシーズンとなり、トレーダーやファンドマネージャーは三々五々長期休暇に入っていく。市場が徐々に薄商いとなるこの時期、黄信号の中で無理に勝負する必要はなく、ポジションを中立にしてしばらく静観するのも一計であろう。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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