ドットプロットチャートの変化[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年12月17日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、米国株式市場の動向に一喜一憂しながらも底堅い動きとなり、113円台での推移となった。米中貿易問題に関しては、中国の国営企業が米国から大量の大豆を購入し始めたことが明らかになったほか、中国が近く米輸入車への関税を40%から15%に引き下げる方向と伝わったことを受けて、幾分緊張が和らいでいる。

一方米国株式市場は依然不安定な動きが続いており、先週金曜日、NYダウは2万4千ドル割れ寸前まで下落した。米国景気は好調で、4-6月のGDPは年率4.2%、7-9月は3.5%の高成長を記録しているが、市場参加者は足元の景気の良さよりも、忍び寄る景気減速の影に怯えているように見える。景気は今がピークで、これからはダウンサイドしかない・・・もしこの見方が幅広く共有されているとすれば、米国株式市場が10月に27000ドル直前でピークを付けて以来下落基調をたどっているのも合点がいく。

米国債利回り格差は先週フラット化が一段と進み、2年-10年のスプレッドは一時11ベーシスまで縮小した。この動きも上記の見方と整合的だ。景気は間もなく減速し始め、政策金利はあと1回か2回の利上げでピークを付ける・・・この見方が今後コンセンサスになっていくとすれば、米国債利回りは下落局面に入り、ドルも下値が脆弱となっていくだろう。

注目集まるドットプロットチャート

こうした悲観的なシナリオが果たして現実味を帯びてくるのか、それとも行き過ぎているのか。その一つ答えとなりうるのが、今週水曜日に明らかとなるFOMCの結果である。今回0.25%の利上げ(FF金利2.25-2.50%)は8割近く織り込まれており、利上げそのものはドル買い材料とはならない。問題はその先、つまり次の利上げはいつか、来年利上げが何回あるのか、という点である。市場の関心はメンバーの金利見通し、ドットプロットチャートに集中することになる。

前回9月のドットプロットチャートでは、来年末のFF金利は2.75-3.00%(今週の利上げを前提として、来年2回の利上げ)、3.00-3.25%(同3回)、3.25-3.50%(同4回)がドット3つずつを集めて同点だった。金利のピークは2020年末の3.50-3.75%がドット6つで最多であった。今回のFOMCでこれらドットの分布は全体的に下方にシフトする公算が大きい。その程度が大きければ大きいほど、金利低下・ドル安の流れが加速することになるだろう。FOMC声明やパウエル議長の会見で「さらなる漸進的な利上げ」(3か月ごとに0.25%ずつ利上げしていくという予告)が削除もしくはトーンダウンされれば、利上げ打ち止め観測の決定打となる。

逆に、ドットプロットチャートがさほど下方にシフトせず、「さらなる漸進的な利上げ」の文言が据え置かれた場合は、市場の行き過ぎた悲観が修正され、金利上昇・イールドカーブのスティープ化・ドル上昇という展開になるだろう。

筆者は7対3の割合で前者、つまりドットが下方シフトしドルが売られるシナリオが濃厚とみている。日本時間20日未明に判明する結果に注目したい。

9月のドットプロットチャート 出所:CME、FOMC付属資料

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

twitter:https://twitter.com/geh02066

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