ドル円は悪いところ取り 地合いの悪さうかがわせる[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年12月24日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、株式市場が下げ止まらない中、リスク回避型の円買いが強まり、一時110.82円と9月7日以来の安値をつけた。NYダウは一週間で1600ドルあまり下落し、22445ドルと昨年10月以来の水準へ急落。日経平均も前週から1200円あまり下落し、2万円の大台割れ寸前となった。

FOMCは予想通りの結果

FOMCは予想通り0.25%の利上げ(FF金利の目標誘導レンジを2.25-2.50%へ引き上げ)を全会一致で決定した。声明は、前回11月の「さらなる緩やかな利上げ」が「いくらかのさらなる緩やかな利上げ」にトーンダウンされ、「世界経済と金融の動向を引き続き監視し、経済見通しへの影響を評価する」との注意喚起が新たに加筆されたものの、利上げ打ち切りを示唆するほどハト派的ではなかった。

・11月のFOMC声明:https://jp.reuters.com/article/fomc-statement-idJPKCN1ND2Z9
・12月のFOMC声明:https://jp.reuters.com/article/fomc-rates-idJPKCN1OI2S1

メンバーの金利見通し(ドットプロットチャート)も、前回9月と比べて全体にドットの下方シフトが見られるものの、来年末のFF金利水準は3.0-3.25%(利上げ3回)がドット6つを集めて最多となった。確かに市場の思惑(来年の利上げ1~2回)ほどはハト派的ではなかったといえる。

前回9月のドットプロットチャート 出所:FOMC付属資料

今回12月のドットプロットチャート 出所:FOMC付属資料

これらの結果は利上げ期待をつなぎとめるものだから、本来であればドルにとってはサポート材料となるはずだった。しかし米国株式市場が急落したため、結果的には円高・ドル安となった。株式市場の参加者は株価のことしか考えていないため、利上げ継続は失望材料と受け止める。つまりドル円は、FOMC前には利上げ打ち止め観測で下げ、FOMC後は利上げ継続による株安でさらに下げるという、「悪いところ取り」をしてしまったわけだ。

このように、買い材料より売り材料に反応しやすい、いわゆる「悪い地合い」の中、今週はクリスマスと年末で市場が一段と薄くなる。しかも、本稿執筆時点(22日午後)で、米連邦議会は暫定予算案の採決ができないまま休会しており、本日から一部政府機関が閉鎖されることが確実となった。今週も株式市場は日米とも試練を迎える公算が大きい。金曜日のシカゴ日経平均先物は19830円で引けており、連休明けの日経平均は大台を割り込んでいく可能性が高い。株安なら当然リスク回避型の円買い圧力がかかる。

強気パターンが崩壊したドル円チャート

ドル円のチャートも、三角保合いを大きく下に放れ、今年3月以来続いてきた安値を切り上げる強気パターンも完全に崩壊した。テクニカルにも弱気シグナルが点灯しつつある。今週は下値警戒のレベルを一段と高めて臨むべきだろう。

下値を切り上げる強気パターンが崩壊

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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