趨勢はドル安!FRB要人発言や株価変動に注意[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2019年1月14日号

先週のドル円相場

フラッシュクラッシュとともに衝撃的な幕開けとなったドル円相場だが、先週は打って変わって108円台を中心とした狭いレンジで一進一退の動きとなった。109円台はクラッシュ時に売りそびれたロングがしこりとなって上値を抑えている一方、107円台では突っ込んで下値を売ってしまった向きの買い戻しが待っており、結果的に上にも下にも行けない状況となった。

米国株式市場も落ち着きを取り戻し、NYダウは週間で500ドル超の上昇となった。昨年末に付けた安値21712ドルから10%持ち直した形だ。これに伴い、米国10年債利回りも2.70%近辺と昨年末の水準へ反発した。参加者も年末年始の休暇から戻り、市場機能も平常に戻りつつある。月曜日は成人の日で東京市場は休場となるが、さすがにフラッシュクラッシュのような異常事態が再発するとは考えにくい。

FOMC議事要旨「辛抱強くなれる」の意味

ただし、米国景気の減速懸念や利上げ期待の後退を背景としたドル安の趨勢に変化はなさそうだ。先週公表されたFOMC議事要旨では、多くのメンバーがさらなる追加利上げに「辛抱強くなれる」との見解を示したと記された。この「辛抱強くなれる」という文言は、FRB用語では「様子を見る」という意味で使われる。現在のFRBのスタンスは一言でいえば「様子見」なのだ。12月のFOMC声明におけるフォワードガイダンスは「政策金利を漸進的にさらに幾分か引き上げる」だったが、議事要旨によれば、今後数回の会合で利上げに関する文言を完全に削除し、「データ次第」とする文言へ置き換えるべきとの意見もあったようだ。3月FOMCでは利上げ見送りの可能性が高く、次の利上げ時期は全く読めなくなった。

FF金利はすでに中立とされる2.50-3.00%のレンジの下限に達しているため、利上げサイクルそのものがこのまま終了となる可能性も小さくない。FF金利先物は今年一度も利上げがない(2.25-2.50%に据え置き)確率を7割以上織り込んでおり、市場では利上げ打ち切りがむしろメインシナリオとなりつつある。また「利下げ」の可能性も10%程度織り込まれており、今後何か事が起こるたびに利下げ催促の声が強まっていくだろう。

金利低下・ドル安の流れに警戒を

今週は米国では企業の決算発表が本格化する。〇〇ショックというような株価急落には十分警戒する必要がある。また水曜日には米地区連銀経済報告(通称ベージュブック)が発表されるほか、FRB要人の講演が連日目白押しとなっている。これ以上の利上げに慎重なスタンスが示されると見られ、金利低下・ドル安の流れになりやすいことも念頭に置く必要がありそうだ。今週もドル売りスタンスで臨みたい。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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