米中協議に進展の兆し?[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2019年1月21日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、米中貿易摩擦の緩和期待や株価上昇を背景に戻りを試す展開となり109円台へ浮上。ムニューシン米財務長官が中国への制裁取り下げを提案したと伝わったことや、中国が1月初旬の米中次官級協議で貿易不均衡解消に向けた道筋を示したと報じられたこともあり、金曜日には109.89円と昨年12月31日以来の水準へ上昇した。

米国株式市場では、NYダウが4日続伸し24706ドルと昨年12月13日以来の水準を回復。史上最高値からの下落幅(26951ドル→21712ドル)の半値戻し水準を突破した。これにともない米国10年債利回りも2.80%まで上昇し、クリスマス前の水準に戻った。各市場は年末年始の乱気流から抜け出し、平常モードに戻りつつあるように見える。

NYダウ日足 出所:Yahoo!Finance

米中問題を整理

米中問題に関して整理しておこう。米国は中国に対し、貿易不均衡や知的財産侵害、不適切な産業補助金など構造問題に関して是正を求めており、両国が3月1日までに合意できなければ、米国は2000億ドル分の中国製品に対する関税の税率を10%から25%に引き上げる構えだ。12月には、すでに実施されている制裁関税の影響で、中国の輸出・輸入が大幅に落ち込み、その返り血で米国株式市場も急落したのはご存知の通りだ。

米中は落としどころを探していると見られ、ブルームバーグの報道によると、中国は1月7~9日に北京で開かれた次官級協議で、6年間かけて米国からの輸入を1550億ドルから6000億ドルまで増やす計画を提案したとされる。またWSJによれば、対中穏健派のムニューシン財務長官は、中国に課している制裁関税の取り下げを政権内で主張している模様だ。もちろん米中協議の責任者は対中強硬派のライトハイザーUSTR(米国通商部)代表であり、ムニューシン氏の提案が簡単に通るとは思えないが、株価を気にするトランプ大統領が米中正面衝突を避ける方向に傾けば、貿易戦争沈静化の期待が浮上してくる。

今週から株価回復、金利上昇、ドル強含みの流れが続く?

米中両国は1月30~31日にワシントンで閣僚級協議を開く。米中両サイドから上記のような「観測気球」が上がった結果、株式市場はポジティブに反応した。今週から来週にかけては、市場の期待の芽を早期に摘まないような情報リークが行われる公算が大きく、その間は株価回復、金利上昇、ドル強含みの流れが続くと見ておくべきだろう。ドル円は110円が心理的カベだが、この水準を早期に突破できた場合は、12月上旬のレンジ下限である112円台まで戻る可能性が出てくるだろう。短期的にはドル売りスタンスをいったん終了し、材料次第の中立姿勢に戻しておくのがよさそうだ。

雨夜恒一郎の写真

雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

twitter:https://twitter.com/geh02066