米国を覆う二つの懸念が後退[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2019年2月18日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、米中貿易協議の進展期待を背景に堅調な動き。米1月の消費者物価指数が予想を上回ったことをきっかけに111円を突破し、一時111.13円まで上昇した。米1月の小売売上高が予想を下回ったことを受けて利食い売りが出たものの、110円台前半では下げ渋り、110円台半ばで週の取引を終えた。

米中問題、最悪のシナリオは回避か

14日・15日に北京で行われた米中閣僚級協議は、技術移転強制や補助金など構造問題では溝が残ったものの、中国による米国製品の輸入拡大など市場開放分野では前進し、トランプ大統領は「中国との協議は多くの点で合意に近づいた」、習近平国家主席は「重要で段階的な進展がまたあった」と評価した。

中国側は体制を揺るがしかねない構造問題での譲歩には慎重とみられるが、米側も何とか協議をまとめてトランプ大統領の手柄としたい。中国に対して抜本的な構造改革を求めない代わりに貿易面での大幅な譲歩を引き出し、ウィンウィンとする可能性がある。両国は今週ワシントンに会談場所を移し、同じメンバーで協議を続ける予定。トランプ大統領は3月中の米中首脳会談を想定し、3月1日の関税期限の延長の可能性をちらつかせている。とりあえず、米中協議が完全に決裂し、3月1日に25%の制裁関税が発動される最悪シナリオは回避される公算が大きくなってきた。

米予算問題に関して

米予算問題に関しては、先週与野党指導部が新予算の暫定案で基本合意した。メキシコとの国境の壁を建設するためトランプ大統領が非常事態を宣言するなどゴタゴタは残るものの、予算が成立せず政府機関が再閉鎖されるリスクはひとまず後退したといえる。また先週は早くも2月分の経済データ、NY連銀製造業景気指数とミシガン大学消費者信頼感指数が発表されたが、いずれも前月及び市場予想を上回った。政府機関閉鎖にもかかわらず景況感は良好であることが明らかとなった。今年FRBは利上げを凍結するかもしれないが、利下げをしなければならないほどの景気悪化も今のところ考えにくい。

今週も株高・ドル円堅調を予想

市場を覆っていた二つの懸念…米中貿易摩擦と予算問題がいずれも快方に向かったことで、市場のセンチメントも好転し始めるだろう。すでに資産市場はこれらの流れに前向きに反応しており、先週NYダウは25883.25ドル、原油相場は55.80ドルまで上昇、いずれも昨年11月以来の高値を付けている。主要国の中で景気が最も強い米国、一番の高金利である米ドルを売り込む理由はますます見当たらなくなった。今週も株高・ドル円堅調を予想し、押し目買いスタンスで臨みたい。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

twitter:https://twitter.com/geh02066

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