FOMCは予想以上のハト派に転換 ドル円も調整局面へ[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2019年3月25日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、111円、110円台を割り込み一時109.74円まで下落。19-20日に開かれたFOMCの結果が予想以上にハト派的だったことから、米国金利が低下し、ドル売りが強まった。また欧州や米国のPMI(購買担当者景気指数)が予想以上に落ち込んだことを受けて、世界的な景気減速懸念が広がり、リスク回避の円買いも強まった。

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声明では、「経済活動の拡大は昨年の第4四半期の堅調な速度から鈍化した」、「最近の指標は、第1・四半期に家計支出と企業の設備投資の伸びが減速することを指し示している」、「主にエネルギー価格の下落が原因で全体のインフレ率は低下した」など慎重な表現が多く、「委員会は忍耐強くなるだろう」という「当面の利上げ停止」を意味する文言は据え置かれた。バランスシートの縮小は予想より早い9月に停止されることになった。

利上げの予想は消滅

ドットプロットチャートの分布は、図1と図2を比較してみればわかる通り、大幅に下方シフトし、今年・来年とも利上げなしが最も多くのドットを集めた。利上げに懐疑的だった市場の見方にFOMCのほうが歩み寄ったことになる。前回の当コラムでは、ドットプロットチャートがさほど下方にシフトせず、利上げバイアスを残した分布となると予想したが、残念ながら完全な読み違いである。

図1 3月のドットプロットチャート 出所:FOMC付属資料

図2 12月のドットプロットチャート 出所:FOMC付属資料

こうなってくると、当然の流れとして、市場はさらに利下げ催促をエスカレートさせるようになる。図3は今年12月限のFF金利先物が織り込む金利分布だが、市場参加者はすでに利下げ1回を4割織り込み、最大で利上げ4回まで織り込み始めていることが分かる。今や利上げの予想は完全に消滅した。

図3 12月の金利予想分布 出所:CME

今後のドル円相場は?

今後のドル円相場だが、利上げ予想が払拭され、利下げ観測が強まったことで、もはや上昇トレンドを維持することは難しいと考えるべきだろう。先週金曜日の債券市場では、3か月と10年の利回りが12年ぶりに逆転し、景気後退懸念すら浮上してきた。景気減速と金利低下を背景に株式市場が下落すれば、リスク回避の円買いも強まろう。また今週は四半期末・年度末のため、機関投資家の新規投資は手控えられる一方、実需や利益送金の円転が集中し、需給も悪化するおそれがある。強気スタンスは撤回し、もう一段の下落に備えておくのが賢明であろう。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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