米利下げを材料としたドル売りは最終局面?[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2019年7月15日号

先週のドル円相場は

先週のドル円相場は、今月末に開催されるFOMCでの利下げ幅をめぐる思惑で上下動した。週前半は、前週に発表された6月の米国雇用統計が強い結果となったことを受けて「利下げ幅は25bp」との見方が強まり、一時108.99円と上値を試す展開。しかしパウエルFRB議長が下院での議会証言で市場の利下げ期待を牽制しなかったことから、50bp利下げの期待が復活し、週末にかけて107.80円まで売り込まれた。

パウエル議長は、「不確実性が経済の見通しを圧迫。ここ数か月、見通しに対する不確実性が高まった」と景気の先行きに懸念を示し、強い結果となった雇用統計はFRBの見通しに変化を与えなかったと述べた。すでに7月会合では利下げありきでコンセンサスが形成されつつあるようだ。7月31日、FOMCが金融危機直後以来となる利下げに踏み切るのはほぼ確実といえるだろう。

利下げ幅は50bpか25bpか

問題は利下げ幅が25bpなのか、50bpなのか、という点である。現在FF金利先物が織り込んでいる確率は25bpが77.5%、50bpが22.5%となっている。ただし1週間前は95%対5%で、圧倒的に25bpに傾いていた。パウエル議長の証言を境に大幅利下げ期待が大きく盛り返してきたことがわかる。FOMCまで2週間少々、今週もドル円相場はこのオッズの変化に支配されることになるだろう。このまま50bpの確率が高まればドル売り、25bpの確率が高まればドル買いである。

50bp利下げ期待が1週間前から上昇 出所:CME

50bp利下げは行き過ぎ

パウエル議長は確かに市場の大幅利下げ期待を牽制しなかった。しかしFOMCの投票権を持ち、先月のFOMCでただ一人利下げを主張したブラード・セントルイス連銀総裁は、パウエル議長と同じ日に、「景気に対する保険としては25bpの利下げが望ましい」と述べ、これより大幅な利下げは不要だとの見解を示している。今回の利下げは景気後退に対応したものではなく、あくまで成長鈍化に対する予防的な措置だ。しかも労働市場は堅調で株価が史上最高値を更新しているなかで、カードをいきなり2枚(25bp×2)切るだろうか。ブラード総裁も述べている通り、「今度の会合で50bpの利下げは行き過ぎ」と考えるのが普通だろう。50bp利下げ期待は多分に株式市場からの催促であり、経済の実態や見通しに見合っているとは限らない。

この見解に基づけば、先週のドル円はやや売られ過ぎたと評価できる。今後市場が「冷静に考えれば25bpだろう」との見方に収束していけば、ドル円も買い戻しが入るはずだ。また過去の経験則から言うと、政策金利変更が事前に十分織り込まれていれば、発表後ドル相場は逆に動くことが多い。つまり7月31日に想定通り25bp利下げが発表されると、ドル円は材料出尽くしで上昇する可能性が高い。

筆者は、FRBの利下げを材料としたドル売りは最終コーナーに入ったと見ており、50bp利下げ期待台頭によるドル下落局面は買い妙味があると考えている。今週は107円台を押し目買いスタンスで臨みたい。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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