為替相場の大きな流れとは何か？
為替相場は毎日のように細かく上昇、下落を繰り返していますが、数カ月単位の長い目で見ると大きく円安に動く、逆に円高になるなどハッキリした方向性を持つことが多いです。長い目で見ると為替は、政府と中央銀行などの当局の経済政策の影響を強く受けます。ある国の政策が決定し、その政策の効果がハッキリしてくるまで、多くの場合は年単位、少なくとも数カ月は同じ政策が続けられることが多いです。
このために、為替では、円高、ユーロ安などの大きな流れができると、数年間もその流れが続くことが珍しくありません。このように為替は、商品や個別株に比べて長く大きな動きが出やすいのです。日本円は、リーマンショックからアベノミクスが提唱されるまで、長らく円高の流れが続いていたのは、記憶に新しいですね。
為替相場の大きな流れをつかむには
大きな為替の流れには、国の政権が交代する、大統領が変わるなどの大きな政局の変化と貿易額、雇用などファンダメンタルが影響します。一方で、テクニカルで長期の流れを予想するにはいろいろな方法がありますが、為替の長く大きな流れをつかむ方法のひとつとして、長期の移動平均線を観る方法があります。
図1では、「ユーロ／ドル」の日足のローソク足チャートに60日の単純移動平均線（黄）を重ねました。
良く知られているように、移動平均線が右肩上がりならば上昇、逆に右肩下がりならば、下降と予想します。チャートの上に移動平均線の傾きによる予想結果として、上昇は青の矢印、下落は赤の矢印で書き込みました。
実際の取引をどうするか？
では、為替の大きな流れがわかったとして、それをどのように投資に活かせばいいのでしょうか？「ユーロ／ドル」は図1の白い矢印の期間、2012年8月21日から今年の2月21日までは長期的にレートが上がっています。とはいえ、ローソク足を見ると日々の為替レートは細かく上がったり、下がったりしています。そこで、この期間の時間軸を引き伸ばし、もう少し詳しく調べたのが、図2です。
図2では、10日間の移動平均線を紫色で表示しました。図2にも移動平均線から予想されるレートの上昇、下降をチャートの上に図1と同じ矢印で示しました。
この矢印からわかるように、この期間は長期に大きくレートが上昇し、短い期間、レートが下がることの繰り返しです。ですから、この期間においては「ユーロ／ドル」の売りをせず、買いポジションをもつほうが、儲かる可能性が高いといえるので、下がったところでポジションをもち、また、少し上がったら利益を確定するという手法がおすすめです。逆に、こういう相場で長期的な上昇基調に逆らい、売りポジションをもつのは危険が大きく、利幅を伸ばしにくい手法です。
長期的にレートが上がっているので、短期的にも大きく上げる可能性が高い相場であるということですね。長期的に上がっているからといって、買いポジションをずっともち続けるよりは、大きな流れに合わせて少しずつ利益を取っていくことが、勝率が高く、確実な手法です。相場が長期的に上昇しているので、ちょっとしたニュースをきっかけに短時間で大きくレートが上がる可能性が十分あるということです。ですから、為替では、長期のチャートを良く観ないで、自分なりの値頃感で取引をすることは禁物です。
今までのレートよりもかなり下がってくると、よくチャートを確認せず、ついつい値頃感から買いポジションをもちたくなるものですが、さらに下がってしまうことがあるものです。まずは、週足、日足などで長期的な流れを把握しましょう。細かな動きにとらわれすぎていると勝てません。
為替相場で勝つコツ
それでは相場が上昇とも下落とも言えず、ハッキリとした動きが観られないときにはどうすれば、いいのでしょうか？ そんな時期には相場を見ながらも取引はしない、あるいは他の通貨ペアでチャンスを狙えばいいのです。
私はこれまで多くの個人投資家を見てきましたが、勝てない、あるいは安定して利益が出せない投資家の多くは、長期相場の流れを無視していることが多いです。一方で、勝ち続ける投資家は、長期的な視点で相場を考えて、細かく確実に利益を積み上げている人が多いのです。
今回のお話は当たり前のことを書いているだけに思えるかも知れませんが、長期の為替の流れを知っておき、コツコツ稼ぐことが相場で勝つコツなのです。大きな為替相場の流れに乗り、確率の高い手法で勝ち続けましょう。（月刊FX攻略.com 2013年11月号掲載）
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