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FX力を鍛える有名人コラム

よりよい選択をするためのメンタルマネジメント[マックス岩本]

勝ち抜くためにもっとも重要なこと

FXのトレードに留まらず、投資という行動の全般にいえるのは、“方法論以上に重要なことがある”ということだと、私は考えています。

勝ち抜くためにもっとも重要なことは、「メンタルマネジメント」です。

投資家は方法論に重きを置きがちではありますが、私は方法を正すだけで市場を勝ち抜くことはできないと、つくづく感じています。よく、ひとつの同じ指標を使っている二人がいても、手にする結果は異なるというのは、メンタルの動きに起因するものだと考えられますよね。以前にもメンタルマネジメントに言及したことがありますが、メンタル面のコントロールは重要かつ非常に困難なものですので、私の考えが少しでもお役に立てばと思います。

プロスペクト理論

テクニカル指標を理解し、それを上手に組み合わせることで、少しでも多くの利益を得ていただきたいとは考えていますが、残念ながら、トレードの結果を大きく左右するものは、やはりメンタルです。

たとえば、人は同じ100万円でも、得る100万円と、失う100万円とでは、まったく異なる感情を抱きます。人は成功体験よりも、失敗したり、嫌な思いをしたというネガティブな記憶のほうが強い印象として残ってしまうもので、一度失敗したことにもう一度チャレンジしようと思っても、“また失敗したらどうしよう”と考えてしまいます。

その思考パターンを証明したもののひとつが、「プロスペクト理論」です。

簡単にいえば、得をする場面では低い確率を高く見積もり、損をする場面では高い確率を低く見積もるという人間の行動パターンを表す理論です。トレードでいえば、利益の追求はできず、損失は確定できないということが、それに当てはまります。

これは指標が何をどう示していても同じです。その行動パターンを選択するのは、投資家自身の気持ち、感情以外の何でもありません。

選択理論心理

このことからわかる通り、人の行動は外的な要因からではなく、必ず自身の内的な要因から起こるものなのです。そして、その行動というのは、そのときの自分が最善と思ったものを選択するようになっています。これを、「選択理論心理」といいます。トレードにたとえるなら…トレードにおける外的な要因とは、指標や分析ツール、自分が決めたルールなどです。

それらが、外的要因がいくら“利確にはまだ早い!”と示していたとしても、内的要因、つまり、自分自身の気持ちが“今乗っている利益を失いたくない!”という気持ちを抱いたならば、そのときの自分にとって最善の選択と感じられる行動は、利益の確定ということになります。

プロスペクト理論の通り、早々に利確してしまうということになります。いってしまえば、指標がどう示したとしても、最終的な判断は自分自身でしかありません。これがわかれば、同じ指標を使う二人が手にする結果は、必ずしも同じではないということに合点がいくはずです。内的な要因で人が行動するということを広い視野で見れば、自分自身の気持ちによって、自分自身の人生が変わるということがおわかりになると思います。

自分自身の気持ちや選択のなかにすべての原因がある

しかし、人はときに盲目になり、すべての選択は自分次第であるということが見えなくなってしまうことがあります。結果には必ず原因があって、自分の選択こそがすべての原因です。

今あなたがそこでこれを読んでいるにも、必ず原因があります。

自分が今投資で勝てているか、負けているのかの原因も、チャートの動きやニュースの発表、自然災害の発生ではなく、あなた自身のなかにあるのだということを、ぜひこの機会に再認識していただきたいと思います。自分自身の気持ちや選択のなかにすべての原因があるのだとすれば、よりよい選択をする必要があります。

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快楽なのか幸福なのか

今回の最後に、選択をする際のコツをお伝えしたいと思います。

私が何かモノゴトの選択をするときには、ある点に着目するようにしています。それは、“この選択は、快楽なのか幸福なのか”ということです。禁煙中なら、「一本だけ!」と決めて吸うことは快楽、禁煙のためにグッとこらえるのは幸福、という塩梅(あんばい)です。

おわかりの通り、快楽は一時的な幸せのための選択、幸福は本来なすべきこと・好ましい状態になるための選択のことを表します。

トレードの場面であれば、「利益を失いたくない!」と利確を早まるのは快楽、指標の表している通りにするのは、幸福ということになります。本来、あなたが手にしたいのは、今このときの利益ではなく、先の未来の豊かさであるはずです。

このように、一時の感情に流されずに、幸福のための選択を積み重ねていくことで、きっとよりよい未来を手に入れることができることと思います。新年が始まったばかりの今、今年のあなたさまが、より多くの選択の場面で幸福の選択をされることを願っております。(月刊FX攻略.com 2013年3月号掲載)

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