外資系FX会社のあるべき姿[中里エリカ]

外資系のFX会社にいるとよく聞かれる質問がある。「レバレッジは何倍ですか?」と。個人口座であれば、答えはもちろん25倍まで。当社は外国籍でも日本の登録業者なので、日本の法律が適用される。だからこそ完全信託保全がとられ、FX取引の評価損益や累積のスワップポイント、預けていた外貨を含む全ての資産が信託保全の対象となり、当社が破綻したとしても信託法により顧客の資産はしっかり守られる。

今や国内のどのFX会社でも必ず掲げている、この信託保全。個人的な経験だが、以前の親会社が突然破綻し、今後業務がどうなるか分からないとき、顧客から預かっていた資産を全額返せるというだけでも本当に安堵した。

今はレバレッジの高さなどから、海外で口座を開く投資家もいる。たとえ金融庁が無登録の海外所在業者の勧誘に対して警告をしていたとしてもだ。完全信託保全がない場合、その会社が破綻してしまったら、顧客はその国の法律でその国の言葉で代理人を立てるなどして、預けてある資産を取り戻さなければならなくなるということもあり得るだろう。海外で口座を開く人は、それなりの英語力とスキルがあるので交渉力は高いと思うが、現地の法律をも理解している投資家はまだまだ少ない。

500倍など高いレバレッジは利益もそれだけ大きいが、一方でリスクも当然大きくなる。投資家保護の観点からすると、大きなレバレッジは必ずしも良いサービスとはいえない。そのリスクを許容できる投資家であれば良いかもしれないが、それでも破綻したときのリスクは残る。

日本で登録されている外資系FX会社は、親会社における日本の金融制度への深い理解と、サービスをアレンジ(例えばレバレッジやロスカットルールの変更など)する努力の上に成り立っている。日本の厳しい規制の中に入ってくるのは簡単なことではない。それでも投資家を保護するという観点から、やはり「日本国籍」を持ってサービスを提供することが大切だ。

時として規制のため非常に厳しい選択をせざるを得ない場合もある。顧客からお金を預かる以上、顧客に安心して取引していただける環境を作ることがとても重要だと思う。

※この記事は、FX攻略.com2017年10月号の記事を転載・再編集したものです

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中里エリカ(なかざとえりか)

サクソバンク証券株式会社マーケティング部長。大学卒業後、為替ブローカー会社、外資系銀行にて為替及びデリバティブのインターバンクでのトレーディング業務に従事。勤務していた会社が子会社として「オリエント・トラディションFX」(現在の外為どっとコム)を設立したのをきっかけに、長年FX取引に携わっている。その後DMM.com証券、フォレックス・ドットコムジャパン、アルパリジャパン、デューカスコピー・ジャパンなどを経て現職。

公式サイト:サクソバンク証券