人としての交流[中里エリカ]

このコラムでは私のスタンスとして、FX業者に所属する立場ということは崩さずに、できるだけいろいろな側面から書いているつもりだが、今回はお客さまと業者の関係について書いてみたいと思う。

1998年から一般投資家に解放されたFX取引は、当初は投資家保護の観点から大きく外れた強引なセールスにより、社会問題が広がり、インターネットの普及と共にあたかもインターネット完結、お互い声を聞くこともないくらいがちょうど良いというような、極端に業者との関わりを断っていることが良いというときもあった。

私は元々電話が嫌いなので、以前の会社ではオンラインFX部門でありながら、お客さまの依頼に基づいて自分の相場観をお話ししたり、問い合わせに答えたりするということが苦手でしょうがなかった。

そもそも電話がかかってくるときは、それが何の内容なのか分からないので、自分が知らないことを聞かれたらどうしようかと、電話が鳴るたびに受話器を取りながらもドキドキしていた。

ある方から毎日のように電話がかかってきて、キャンペーンやシステムについてとても細かいところまで聞いてくる、そしてあれができていない、これができていないとご指摘を受けた。

あまりの言葉の強さに、どうしてもカチンと来て口調も強くなったし、「面倒だなあ」と思いながら自分でもびっくりするくらいとげとげしい言葉で返し、あろうことか喧嘩の一歩手前まで行ったこともある。

あるときに全顧客向けにアンケートを行うことになり、その方からもご協力いただいたが、「どうせまたお叱りだろう」と思ってどこかうんざりした気持ちで内容を確認した。びっくりするくらいの長い文章でそれぞれの項目について答えてあった。そして会社への感想の欄を見ると「いつもややこしい質問に一生懸命答えてくれてありがとう。とても感謝しています。いろいろきついことも言ってるけれど、本当はお宅の会社が大好きなんですよ。だから正しく知りたいんです。これからもよろしくね」とあって、その瞬間、自分の今までのいい加減な返事や、横暴な態度を猛省し涙が止まらなかった。

このときから私がお客さまと接する際は、納得してくださるまできちんと説明すること、そしてお客さまからの叱咤こそが自社の成長になくてはならないものだと考えるようになった。

人と人との交流がなくても取引できるFX。でもそこには人間的な温かい部分も残しておきたいと思う。

※この記事は、FX攻略.com2018年3月号の記事を転載・再編集したものです

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中里エリカ(なかざとえりか)

デューカスコピー・ジャパン・マーケティング部長。大学卒業後、為替ブローカー会社、外資系銀行にて為替及びデリバティブのインターバンク市場に従事。勤務していた会社が子会社として「オリエント・トラディションFX」(現在の外為どっとコム)を設立して以来、FXに携わっている。その後DMM.com証券、フォレックス・ドットコムジャパン、アルパリジャパンなどを経て現職。

公式サイト:デューカスコピー・ジャパン

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