FXオプション取引 基本と戦略|第2回 オプション取引で重要な三つの用語[大西洋平]

実質的な値打ちを本質的価値と呼ぶ

FXオプション取引にはいくつかの専門用語が関わってくるため、難解そうなイメージを抱く投資家も少なくなさそうです。しかしながら、それらの意味を理解しておけば状況把握もスピーディーになり、機敏な投資判断が可能です。今回は、特に重要な意味を持つ三つの用語について説明することにしましょう。

オプションの「本質的価値」がどのような状態になっているのかを表現する用語に、

① イン・ザ・マネー(ITM)
② アット・ザ・マネー(ATM)
③ アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)

と呼ばれるものがあります。本質的価値とは、オプションの「権利行使価格」と「原資産(対象通貨ペア)」の市場価格との差額です。その時点におけるオプションの実質的な値打ちを示します。

重要用語①|イン・ザ・マネー(ITM)

順を追って説明していくと、まずITMは「本質的価値>0」の状態で、そのオプションを買っている投資家が権利を行使すれば利益が発生することを意味しています。コール(買う権利)の場合は「権利行使価格<通貨ペアの市場価格」、プット(売る権利)の場合は「権利行使価格>通貨ペアの市場価格」という状況になっています。

重要用語②|アット・ザ・マネー(ATM)

続いてATMは「本質的価値=0」の状態で、権利行使価格と通貨ペアの市場価格が同額となっていますから、権利行使によって損益は発生しません。つまりコールとプットのどちらにおいても、「権利行使価格=市場価格」となっているケースを示しているわけです。

重要用語③|アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)

残るOTMは「本質的価値<0」の状態で、そのオプションを買っている投資家が権利を行使すると損失が出てしまいます。コールの場合は「権利行使価格>通貨ペアの市場価格」、プットの場合は「権利行使価格<通貨ペアの市場価格」となっています。コールでいえば、市場で安く手に入れられるのに、わざわざ割高な値段(権利行使価格)で買うことを意味しています。

 

結論として、オプションの買い手にとってITMは有利な状況です。そして、ATMはイーブンであること、OTMは不利であることを表しています。こうした情勢に応じて、「プレミアム(オプションの価格)」も変動します。有利になれば高くなり、不利になれば安くなるわけです。

満期日が近づくにつれ時間的価値は低くなる

前回も説明した通り、コールとプットのいずれとも買い手が「プレミアム」を支払い、売り手はその金額分を受け取れます。例えばコールがITMの状況でプレミアムが値上がりしていても、買い手にとっては利益が得られる確率が高まっています。

これに対し、売り手は高くなったプレミアム分を得られるものの、権利を行使されると通貨ペアの市場価格よりも安くなっている権利行使価格で応じなければなりません。市場価格の上昇が受け取ったプレミアム分を超えると、損失が発生します。

さらにプレミアムには、「時間的価値」の推移も関わってきます。「プレミアム=本質的価値+時間的価値」という関係になっているからです。本来、時間的価値は時間の経過と共に低下し満期日にゼロとなります。ただし、利益に対する期待値の変化も影響を及ぼします。

例えば、OTMの状態(権利行使価格>通貨ペアの市場価格)のコールを買ったとすれば、「本質的価値<0」となっているので、このオプションのプレミアムは時間的価値のみで、満期日が近づくにつれてこちらも減少します。しかし、為替相場のボラティリティが高まってITM(権利行使価格<通貨ペアの市場価格)となる可能性が大きくなれば、時間的価値も上昇します。

こうしたことから、本来の時間的価値は図①のように推移しますが、為替市場の動向などを反映し、実際には図②のように変動しています。時間的価値が最も高まるのは、ATMの状態にある時点なのです。そして、その変動に伴ってプレミアムも図②のような推移を示します。なお、通貨ペアの市場価格やそのボラティリティ、権利行使までの残存期間と共に、短期金利の情勢もプレミアムに影響を与えます。

そこで、主要な変動要因とプレミアムに及ぼすインパクトについて整理したのが図③です。FXオプション取引は仕組みが複雑ですが、これらの関係性を理解しておけば、分析は容易になります。慣れてくれば、折々の情勢に応じて即座に的確な投資行動を取れるようになるでしょう。

※この記事は、FX攻略.com2018年2月号の記事を転載・再編集したものです

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※ここに記載されている情報は原稿執筆時のものであり、現在のものとは異なる場合があります

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大西洋平(おおにし・ようへい)

金融ジャーナリスト。出版社勤務を経て95年に独立し、マネー誌やビジネス誌、週刊誌などに金融経済分野を中心とした記事を寄稿。市場の最前線で活躍中のアナリストやストラテジスト、さらに上場企業トップの取材も多数手掛ける。FXをはじめ、金融取引全般に精通。