フィボナッチ・リトレースメント&エクスパンション|外為オンライン 佐藤正和の+α実戦FXチャート術

「一寸先は闇」のFX取引では、今後の目標レートが少しでも分かると安心して取引できます。相場展望や売買戦略を立てる上でも、値動きの節目となりそうなレートが分かれば大助かり。今回はそんな未来予想に使える「フィボナッチ・リトレースメント」を取り上げます。“神のみぞ知る”値動きを、あたかも“神”のように、ある程度まで俯瞰できるので、長期投資から短期売買まで幅広く活用できます。

※この記事は、FX攻略.com2016年8月号の記事を転載・再編集したものです

【外為オンライン 佐藤正和の+α実戦FXチャート術】
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平均足+移動平均線、ボリンジャーバンド、RSI
ピボット+移動平均線、RSI、平均足、MACD
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黄金比率で2点間の値動きの戻りを予想。相場展望や売買戦略の立案に使える

「為替レートが今後どこまで上がるか、下がるか」、ある程度まで分かれば、FX投資を有利に進めることができます。そこで今回は、未来の目標レート、上値や下値のメドを的確に教えてくれる値幅予測ツール「フィボナッチ・リトレースメント」をご紹介しましょう。

この名称は、12世紀のイタリア人数学者レオナルド・フィボナッチが発見した「フィボナッチ数列」に由来し、数列は最初の二つが0と1、その後は前2項を足した数が次項となる単純なものです。

・「0、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233、377、610……」

と続きますが、数列上に並んだ数を前項の数で割ると1.618に、次項の数で割ると0.618に近付く性質があります(図1)。

0.618は不思議な数で、1を0.618で割ると1÷0.618=1.618…となる他、

「1.618÷0.618=2.618…」、「0.618÷1.618=0.382…=1—0.618…」、「0.618×0.618=0.382」というように、割ったり掛けたりすると、再び0.618やその二乗の0.382が繰り返し登場します。

中でも、「1:1.618」は古来「黄金比」と呼ばれ、ひまわりの種の配置やモナリザの顔の輪郭などの比率とほぼ一致しており、自然の摂理が生み出し、人間が美しいと感じる「調和」や「美」を象徴する比率といわれています。

為替レートの値動きもある意味、感情や欲望、群集心理に突き動かされた投資家たちが集団で作り出した人間の造形物です。そのため、人類の美意識や審美眼を“支配”している黄金比の影響を受けやすいと考えられ、そこに注目したのが「フィボナッチ・リトレースメント」なのです。

その方法は、過去の値動きの中で象徴的な高値と安値の2点を選び、その間の値幅を100%とした場合、「黄金比の比率に該当するのはどのレート帯か?」を探すというもの。使われる比率には、

「23.6%」=フィボナッチ数列の数を3つ先の数字で割ると得られる)の他、「38.2%」、「50%」(単純な半値)、「61.8%」、「76.4%」(「100%—23.6%」)、「78.6%」(0.618の平方根)などがあります(図1)。

図2は2012年からの「米ドル/円」の月足チャートですが、上昇の起点となった安値77円5銭(12年9月)と上昇相場の最高値125円85銭(15年6月)の2点の間にフィボナッチ・リトレースメントを適用してみました。

「米ドル/円」は2016年に入って120円台を大きく割り込み、5月には105円台の安値をつけ、これまで3年以上続いた力強い上昇トレンドが変調を来しているのは明らかです。

そんな状況では、「今後の下値メドはどのあたりにあるのか」「リバウンド上昇するときに抵抗帯になるのはどこか」といったことを考えておくことが非常に重要ですが、フィボナッチ・リトレースメントはそうした相場展望の貴重なガイダンス役になります。

図2を見ると、現状の為替レートは12年9月安値と15年6月高値の値幅に対してちょうど38.2%に相当する地点まで下落しています。「米ドル/円」が今後、下降トレンドに転換するとしたら、下値メドは「50%=半値押しライン」の1ドル101円45銭、「61.8%ライン」の95円69銭あたりがターゲットになります。

逆に現状の「米ドル/円」は「38.2%ライン」の107円21銭を回復しており、「リバウンド上昇に期待できる」と考えるなら、まず第一の目標レートは上値にある「23.6%ライン」上の114円33銭になります。

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短期的な押し目買い/戻り売り探しにも有効。N字波動の予測にはエクスパンション

フィボナッチ・リトレースメントは、月足、週足といった中長期的な相場展望のみならず、日足チャート上の短期的な為替レートの下げ止まり、上げ渋りポイントを探す上でも役立ちます。

図3は「ユーロ/円」の今年1月後半以降の日足チャートです。1月29日の高値132円33銭、3月1日の安値122円4銭を結んでリトレースメントすると、「61.8%」や「38.2%」のフィボナッチ比率がリバウンド上昇を阻む壁になっています。4月後半以降は、0%ラインの直近安値122円4銭を2度も割り込んでおり、下方向にさらに下落する可能性も高まっています。

短期的なトレンドが右肩下がりであることから、売買戦略としては「23.6%ライン」の124円47銭まで上昇して失速したら戻り売り、「0%ライン」=122円4銭を割り込んだら下落の勢いに乗って追随売り、が有効でしょう。

レンジ相場の下限に位置する「0%ライン」近辺での反発上昇で買いという選択肢もあり得ますが、その場合は「0%ライン」の下にストップロスを置くことをお勧めします。

このように安値と高値の2点を結び、「上げた後、どれぐらい下げるか」などの見極めに有効なのがリトレースメントです。それに対して、相場の山と谷の3点間を結び、「上げ→下げの後、再びどこまで上げるか」を予想するときに使えるツールとして、「フィボナッチ・エクスパンション」もあります。

図4は「英ポンド/円」の日足チャートです。Aの安値1ポンド163円98銭からBの高値175円23銭まで上昇した後、Cの安値154円72銭まで急落していますが、この3点を基準に、Cの安値から「A→B」間の上昇幅の何%戻るかを示すのが、「フィボナッチ・エクスパンション」になります。

「英ポンド/円」は「B→C」の急落後、下値もち合いを形成していますが、Cの安値からの反転上昇は「A→B」の値幅の「76.4%ライン」で3度も失速しています。最初のDの失速を覚えておけば、同じく「76.4%ライン」に届かず下落に転じたEやFで戻り売りを狙うことができました。

為替レートは「上げ→下げ→上げ」といった3波のN字波動で動くことが多いもの。その値動きのガイダンス役として、エクスパンションもまた貴重な予想ツールといえるでしょう。

値動き予測の力強い味方となるフィボナッチ分析ですが、必ずしも百発百中で当たるわけではなく、結果論の部分もあるので、実戦では図4のMACDなど、他のトレンド系テクニカルをメイン判断として使い、その判断の補助役としてフィボナッチ分析を活用するのが妥当です。

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トレンドが急加速し他の指標で判断不能なときこそ、フィボナッチ分析は威力絶大

図5は、「米ドル/円」の週足チャートに一目均衡表の雲と、24週・40週移動平均線(SMA)を描画したものです。図の「米ドル/円」は、まずAの地点で24週・40週移動平均線がデッドクロスした上に一目の雲入り。いったん反転上昇したものの、Bの地点では雲の上限近辺で24週移動平均線に上昇を阻まれており、共に格好の追随売りのチャンスでした。

その後の値動きを見ると、既に一目の雲の下限も割り込み、週足レベルでは下降トレンドが明白。そのため、今後は戻り売りポイント探しが重要になります。

そこで、図の高値125円85銭(①)と直近安値の105円58銭(②)の値幅を基準に、フィボナッチ・リトレースメントを行ってみました。外為オンラインのブラウザ版ツールでは、右クリックすると、図5の左上にあるようなボックスが出現して、リトレースメントで表示できる比率を増やすことができます。プラスの比率だけでなく、マイナスの比率も表示できるので、「これまでの下げ幅からさらに何%下落するか」というトレンド加速の予測にも使えます。

図5の場合、「—23.6%ライン」上の100円80銭は、①から②の下落幅の23.6%分、さらに②の安値から下落した地点となり、今後の重要な下値メドになります。

下降トレンドが続くためには、為替レートが現状より下がり続けなければいけません。そう考えると、図5のフィボナッチ比率で特に重要なのは「—23.6%ライン」=100円80銭といえるでしょう。

トレンド系指標の場合、トレントが加速して為替レートが移動平均線や一目均衡表の雲から離れ過ぎてしまうと、どこまで下がるか(もしくは上がるか)、判断が難しくなります。そんなときは、このマイナスのフィボナッチ比率を表示させることで、トレンドが加速したときの目標レート探しに役立てることができるのです。

図5の場合、大きく下落したため、移動平均線や一目均衡表の雲は為替レートのはるか上方にあり、実際のエントリー判断に使えない状況です。そういったときでも、フィボナッチ比率を表示すれば、まずは為替レートが「23.6%ライン(110円36銭)」まで戻ったら打診売り、「38.2%ライン(113円32銭」近くまで来たらさらに追加売り、といったトレンドフォローを意識した売買戦略を立てることができます。

相場の長期的展望や俯瞰的な売買戦略立案に有効なフィボナッチ・リトレースメントですが、当然、非常に短期間の為替レートの値動きもまた、知らず知らず黄金比の影響を受けがちです。

デイトレードの対象になる日中の為替レートは、その時々のサプライズなニュースや大口投資家の売買が発生すると、非常に極端に大きく動きます。そうした極端な動きに対してフィボナッチ・リトレースメントを行い、その後、突発的で極端な値動きに対して、投資家がどのようにリアクションするのかを見定めるのが、最も有効な使い方といえるでしょう。

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図6は「米ドル/円」の1時間足チャートを平均足で描画し、ボリンジャーバンドとRSIを表示したものです。基本的な売買戦略は、シンプルに「平均足の陽転で買い、陰転で売り」とし、ボリンジャーバンドの±1σ〜2σ間を推移する「バンドウォーク」発生中はホールド。利益確定ポイントは、平均足の色の転換をメイン判断に、RSIの買われ過ぎゾーン70ラインからの急落や、売られ過ぎゾーン30ラインからの急上昇も判断材料にする売買プランで臨みます。

その際、画面左側の急騰局面における安値Aと高値Bの2点間にリトレースメントを行い、導き出されたフィボナッチ比率を値動きが反転するメドとして注目します。

すると、「米ドル/円」はA→B間の上昇後、Bの高値は抜けないものの、フィボナッチ比率の「38.2%ライン」や「23.6%ライン」に達すると不思議と反転上昇していることが分かります。その地点では平均足の陽転も同時発生しているので、2つのラインまで「米ドル/円」が下落したらスタンバイし、平均足の陽転でエントリーという戦略が見事成功しました。

よく「神は細部に宿る」といいますが、フィボナッチ比率は人間がチャートの形状を見て無意識のうちに「ここまで下がったら上がるだろう」、「ここまで上がったら下がるだろ」と考えてしまう細部を明らかにしてくれます。未来の値動きはまさに「神のみぞ知る」で、われわれ人間が100%的確に当てることは不可能です。しかし、フィボナッチ・リトレースメントを使えば、無数の投資家が集団として作り出す未来の値動きを“まるで神になった気持ちで”俯瞰することができるのです。

世界中の投資家がフィボナッチ比率に注目し、信頼しているからこそ、さらに当たりやすくなるという“相乗効果”も見逃せません。

急激な為替レートの値動きに翻弄されるのを防ぐ意味でも、フィボナッチ・リトレースメントを使って未来の値動きの見取り図をしっかり頭に入れておきましょう。

※この記事は、FX攻略.com2016年8月号の記事を転載・再編集したものです

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佐藤正和の写真

佐藤正和(さとう・まさかず)

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演するほか、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

公式サイト:外為オンライン

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