最近、システムトレードが非常に注目を浴びています。
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- FXシステムトレード対談:及川佳奈子, 高橋謙吾
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■システムトレードとは何か
及川 最近、システムトレードが非常に注目を浴びています。しかし、システムトレードがどういうものか、なんとなく曖昧で、はっきりわからないという方も多いと思います。ここで改めてシステムトレードとは何かを説明していただけますでしょうか。
高橋 システムトレードとは、ある一定のルールに基づいて売買を行うことです。システムトレード=自動売買だと理解されている方が多いと思いますが、あくまでも機械的にトレードすることがシステムトレードなので、手動で売買を行っていても、それがある一定のルールに基づいた取引であれば、システムトレードだといえます。もっと具体的にいえば、システムトレードは4つに分類することができます。(1)自分でルールを決めて裁量トレードするパターン、(2)配信されたシグナルをもとに手動で売買するパターン、(3)専用の取引システムに自分で投資専用のプログラム言語を書いて自動で発注するパターン、そして、(4)第3者がつくった自動売買プログラムを購入してきて、それを自分の取引システムで動かすパターンです。アメリカではすでに、証券会社がプログラムを預かって、売買を代行するというサービスも行われています。
及川 私自身も少し前まで、システムトレード=自動売買だと思っていました。いま、4つのシステムトレードのパターンがでてきましたが、個人投資家にはどれがいちばん向いているのでしょうか。
高橋 自分でプログラム言語を書ければいいのですが、そうでない方は第3者から自動売買システムを購入して利用するのがいいと思います。しかし、そのシステムが実際に機能するかどうかを判定するのは、自分でプログラム言語を用いてオリジナルシステムをつくるのと同じぐらい難しい。ですから、実際にシステムトレードの理解をある程度深めてからでないと、自分でシステムをつくるにしても、第3者からシステムを購入するにしても難しいと思います。
■ゼロから始める
及川 高橋さんといえばプログラミングの達人で、ご自身でもシステムトレードを行っていらっしゃいますが、もともとそうした知識はあったのですか。
高橋 まったくなかったです。プログラム自体はなるべくやりたくなかったのですが、投資で生きていこうと思ったので、いやいややらざるを得なかった。ただ、トレードステーション社のイージーランゲージというプログラミング言語が、ある程度英語に近い形式だったので、これであれば私でも書けるなと思い、1年間がんばってある程度プログラムが組めるようになりました。
及川 システムを開発されている方のなかには、プログラミング言語は得意だけれども投資をしたことがないという方もいらっしゃいます。投資経験のある誰か別の人が考えた投資戦略をプログラマーが製品化するというパターンですね。一方、高橋さんは投資を先にされていて、それをうまく自動化するためにプログラム言語を勉強された。それって凄いことだと思います。
高橋 自分の投資手法を知られたくない。でもプログラム言語は書けない。ではどうしたらいいか。自分でプログラムを勉強するしかない。 結局、誰かに聞くにしても、自分が思ったことを答えてくれる優しい人など誰もいない。そんな状態から、アメリカの書籍を読み漁り、苦労してプログラムを勉強しました。ひどいときは、たった1行のプログラム修正のために1カ月を費やしてしまったこともあります。今だと60行~70行のシステムも1時間ぐらいでプログラムを書けますが、やり始めた頃は大変でした。
■システムトレードは継続が必要
及川 裁量トレードとシステムトレードは対比されることがよくありますが、個人投資家にはどちらが向いていると。
高橋 裁量トレードでも、自分がルール化したものを機械的に取引するのであればいいと思います。実際、長年の投資経験があるトレーダーは、自分の勘や頭のなかでルール化したものでトレードして、コツコツとお金を稼いでいきます。しかし、人間ですから環境によってトレードの質が変わったりします。
たとえば、私の場合、2カ月間コツコツ積み上げた利益を、夫婦げんかをしたおかげで、自分のルールを破ったトレードをしてしまい、2日間で吹き飛ばしてしまったことがあります。これではいくら自分でルールをつくったとしても、夫婦げんかをしたり、体調が悪くなったりしたときに、決められたルールに従って淡々と取引できない。だから、最初から機械にルールを組み込み、システムトレードでやりましょう、となるわけです。 裁量トレードを続けることは、人間にとってかなり苦痛を伴いますので、最終的にはコンピュータによるプログラムを使ったシステムトレードのほうがいいと思います。ただ、実際、コンピュータによるシステムトレードであっても、損失が発生することは免れません。
及川 そうですよね。絶対に負けないシステムはありませんから。第3者が作成したシステムを購入してトレードをしたときに、たまたま負けが続き、そのまま取引を止めてしまったという話を聞いたこともあります。
高橋 システムトレードは継続していかないといけません。ただ、本当に駄目なシステムであれば、許容範囲を超える損失が発生した時点で止めるのは正しいと思います。中途半端な損失が連続して発生した時点で止めてしまうのは、非常によくない。ある意味、プログラムを運用するにしても、裁量でやるにしても、判断するのは人間なのでそこがかなり難しい。
及川 負けが立て込むと冷静な判断がしづらくなりますよね。
高橋 たとえば、裁量トレードで損失10万円まで我慢できるルールを設定したつもりでも、人間は欲が勝りますので、このシステムが1カ月後に100万円もたらすと考えてしまうと、実際に10万円の損失が出たときに、そのルールを無視してしまうことが多いです。リスクのことをあまり考えず、実際に損失が出たときに、「こんなはずじゃなかった。もうちょっと我慢してみよう。これから上がるかもしれないから」といろいろ自分に言い訳をして、当初のルールを守れずに運用してしまうというのが、裁量トレードではよくあるケースです。ただ、システムトレードをやるにしても、人間でしか判断できないような微妙な勘みたいなものが必要となるときもあります。基本的にはコンピュータにシグナルを出させたり、売買を委ねたりするのですが、何か突発的な事態が起きたときのみ人間が判断するといった、裁量トレードとシステムトレードの融合ともいえるスタイルもいいと思います。
■システムトレードの落とし穴
及川 「システムトレードって儲かるんですか?」という内容の質問を受けることがよくあります。第3者が作成したシステムを走らせ機械に任せれば、自分は何もしなくても儲かるんだとイメージされる方もいらっしゃるのでしょう。しかし、最終的にはやはり資金管理が重要なのではないかと思うのです。システムトレードを行ううえで、これだけは気をつけなければな らないという注意点はありますか。
高橋 システムトレード=簡単に儲かるという発想になることもありますが、実際はそうではなくて、けっこう地道なトレードスタイルです。それを踏まえて継続的に運用することをお薦めします。また、第3者のプログラムを購入するにしても、良い条件ばかり強調しているものもありますので、それが正しいかどうかを判断する目を養うことも必要です。また、損失を計上することも前提においてシステムトレードの運用を心がけないと、いけません。ひとつのシステムに全資金を投入し、失敗したときの損失は計り知れないので、複数システムにて資金管理を行いながら分散運用するというのは、リスクを低減させるうえでも効果があると思います。
及川 たとえば、システムによっては上昇相場に強いものとか、下落相場に強いものというようにわかれている場合があります。それを人間の裁量で、相場が上昇しそうだからAというシステムを使ってみよう、下落しそうだからBというシステムを使ってみよう、と判断してもいいものでしょうか。
高橋 それはよくないですね。上昇相場かどうかは時間が経ってみないとわからない。難しいのですが、上昇相場かレンジ相場かを判断するロジックづくりがポイントだと思います。それをつくる、もしくはそういうロジックが入ったシステムを購入するべきです。上昇トレンドのなかでは売りから入るよりも買いから入るほうが儲けやすいのは当然です。今のような下落相場だと、売りだけを行うシステムが販売されていることもありますが、上昇相場のときには対応できません。
及川 どのシステムがどのような相場に向いているのかを自分で判断するのは、難しそうですね。
高橋 実際にシステムのパフォーマンスと相場の時期を分割して比べるという方法はあります。自分でシステムをつくれる人は自分のロジックがどの局面で機能するかを調べながら、地道に組み合わせていくしかないですね。
及川 高橋さんご自身、今いくつぐらいシステムを走らせていますか。
高橋 5つです。同じ戦略のものを複数の商品で走らせています。100のシステムをつくっても、これはいけるというのはひとつぐらいしかないですね。運用しているなかで良い成績が出ずに機能しなくなったと思っても、時期が経ったら機能し始めるシステムもあるので、そのあたりは使いわけています。システムが永続的に機能するとは思わないほうがいいですね。また、システムを運用するためのルールもつくる必要があります。第3者のシステムを購入するにしても、自分でシステムをつくるにしても、たとえ、機能するシステムをつくったとしても、停止ルールをつくっておかなかったために利益を失ったというケースも多々ありますので、どのような場合にシステムの運用自体を停止するのかというルールも、人間の感情が完全に入らないように前もってルール決めをする必要があります。
及川 5つのシステムはすべて高橋さんご自身でつくられたのですか。
高橋 そうです。どうも他人に任せられない気質で(笑)。でも、すべて一から自分でつくったわけではありません。第3者のシステムを運用することができないとしても、そのロジックをうまく利用して使うこともできます。ほかの人が書いたプログラムは結構参考になるんですね。自力で書けない部分はそれをコピーして、自分なりにアレンジを加え、そうやって自分のシステムをつくることもあります。
■システムトレードの視野は広がる
及川 FXでは、8月からレバレッジ規制が始まりますが、そうなるとシステムトレードの流れも変わってくるのでしょうか。
高橋 システムトレードは今よりも普及するかもしれませんね。メジャー通貨は流動性も高いので、もともとシステムトレードに適しています。ただ、日本の現実からいうとイージーランゲージのように簡単にプログラムが書けて、運用できるFXのツールはほとんどありません。システムトレードのツールとして、今一番メジャーとされているメタトレーダー4も、プログラミングの知識がないと自分でシステムを簡単にはつくれません。 自分でシステムを一からつくるには、やはり言語の知識が多少は必要になってきます。投資が好きで戦略ももっているが、プログラミング言語がわからないという人は多いと思います。そこの垣根を越えることができれば、システムトレードの裾野は今後どんどん広がってくると思います。
■関心が高くなりつつあるシステムトレード
高橋 あとは、第3者が作成したシステムを販売する環境というのも今後重要になってくると思います。なかには、「●億円儲かる」というような誇大表現で購入者をひきつけるようなシステムもあるので、そこをきちんと選別するような体制がないと、システムトレードからユーザーが離れていく原因にもなってしまいます。
及川 おっしゃる通りです。今回、弊社で「システムトレード.com(https://www.portal-systemtrade.com/)を立ち上げた背景には、そのような体制を整えたいという思いもありました。「自動売買のシステムを販売サイトで買ったけど動かない」だとか、「広告に掲載されている成績と実売買した際の成績があまりにもかけ離れている」といった話を私も何度か聞いたことがあります。さまざまなシステムが氾濫するなかで、本当に信頼できるシステムのみを集めたい、そして、システムトレードに対する理解をもっと深められるようなコンテンツをつくりたい、という思いから「システムトレード.com」をつくったのです。金融グループの一角という強みを生かし、専門知識をもったスタッフがシステムの検証を入念に行い、選定基準を満たしたシステムだけが販売されるスキームになっています。また、システムトレードに関するセミナーを定期的に開催しているのですが、こうした活動を通じて、日本でも海外のようにシステムトレードが浸透すればいいなと思っています。
高橋 システムトレードは機械的に行うことがメインなのですが、最初に仮説を立てて、トレードの条件を自分なりに決めて、その条件を紙に書いてみます。次に、紙に書いた条件を分解していきます。たとえば、チャートの山という定義があった場合、誰がその定義通りに実行しても同じ山になるように、仮説・条件を分解する必要があります。誰にでもわかるように条件を分解できれば、あとは簡単にプログラムが書けるようなツールがあれば、プログラムが苦手な方でも、比較的簡単にオリジナルのシステムをつくれます。
セミナーは毎回、定員をはるかに超える申込があります。それだけシステムトレードに興味のある方が多いのでしょう。なかには、システムの組み方に関するセミナーをご希望される方もいらっしゃるのですが、高橋さんはどのように一からシステムをつくっているのですか。
及川 最後に、高橋さんにとってシステムトレードの魅力とはなんですか。
高橋 コンピュータが自動で売買してくれるから楽という面もありますが、何より決まったルールをコンピュータが実行することにより、時間の有効活用ができる点です。余った時間を、別の相場分析もしくは家族団らんなどに費やすべきです。何より、実際にトレードを行う前に、自分の投資手法に優位性があるかを瞬時に判別することができる点で、システムトレードはとても魅力的だと思います。
及川 そうですね。金融機関でディーラーとして活躍されているようなプロの方々からも「システムトレードをやってみたい」という声を聞き、驚くことがあるのですが、もしかするとシステムトレードは、プロと一般の個人投資家の間の垣根をなくす取引スタイルなのかもしれません。今日は貴重なお話をありがとうございました。
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