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超初心者向けFX講座

今から始めるFX基礎講座Ⅰ:高城泰
今から始めるFX基礎講座Ⅰ:高城泰

■超初心者向けFX講座 1
「穴のあいた傘」が便利だといい張る人の理由
~資産運用には、なぜFXが必要なのか~

ある大雨の日、ふたりの男が歩いていた。ふたりの手には立派な黒いこうもり傘。ところが、ひとりの男はびしょ濡れだ。それもそのはず、彼の傘には大きな穴があいているのだから。
「なぜ、わざわざ穴のあいた傘を?」
「このほうが便利なんだ。だって穴があいていないと、いつ雨がやんだかが見えないだろう」

これからの日本を考えたとき、明るい未来ばかりではない。世界的に日本の経済的な地位が低下してくれば、円の価値は落ちてくる。それゆえ、円だけで資産をもつのはリスクが高く、外貨での運用は欠かせない。これが一般的な外貨運用推進論者のリクツだ。
たしかに、筋は通っている。でも、問題はその先だ。「外貨での運用が欠かせないから、外貨預金を活用しましょう」。これでは、「穴のあいた傘」が便利だといい張るのと同じことなのだ。そのワケを考えてみよう。

たしかに、中長期的な日本の国力低下に備えるには、外貨預金などを使って、米ドルや豪ドルなどの外貨で運用するのが有効。それはその通りだ。
でも、ボクらが避けたい雨には円安(外貨高)という雨もあれば、円高(外貨安)という雨もある。円安のことばかり考えていたら、円高という雨が降ってきたとき、ただ黙って濡れるしかなくなってしまうのだ。
まして2008年のリーマンショックで、為替市場は大きく円高に動いた。リーマンショック前、1ドルは124円の高値をつけたこともあった。それが84円まで下がってしまったのだ。もし、1万ドルの外貨預金を組んでいたら、124万円の価値があった預金が84万円まで急落してしまった計算なのだから、びしょ濡れもいいところ。風邪をひいてしまう。 では、円高という雨を避けるためには、どんな傘が必要なのか。

それがFXだ。FXと外貨預金の違いは、円高の雷雨をしのげるかどうかだ。なぜFXなら、しのげるのだろうか。外貨預金では、「円以外の外貨を買う」ことしかできない。ラインナップの充実した銀行であっても、外貨預金の陳列棚に「円」と書かれた商品はない。ところが、FXならば、「円を買う」ことができる。円高局面とは「円の価値が上がる」局面だから、円を買うことで雷雨をしのぐどころか、利益をあげられるのだ。

「FXで『円を買う』のと、銀行で一般に行っている普通預金とでは、何が違うの?」と思うかもしれない。
預金とFXでは意味合いがまったく異なる。預金とは文字通り、「お金を預ける」行為。FXだと「預ける」のではなく、円を売ってくれる相手に見返りとして何かを渡さないといけない。ふだんの買いものと同じだ。FXだと、円を買うときに相手に見返りとして渡すのは外貨になる。
「でも、外貨なんてもってないよ・・・?」
その心配は不要だ。FXでは、手元に外貨がなくても、「もっていることにして」売ることができる。だから、円高のときには価値の下がる外貨を売って価値の上がる円を買い、円安のときは円を売って外貨を買って取引することで、為替市場をどんな雷雨が襲っても、風邪の心配をすることなく、大手をふって歩けるのだ。
もし、先ほどのように1ドルが124円から84円まで動いたとき、逆に1万ドル分の円を買っていたらどうなるだろうか。単純計算で、先ほどと逆に124万円と84万円の差額、40万円が利益となる。

円高という雨をしのぐことができないのは外貨預金だけではない。外貨MMFにしろ、外国債券に投資するタイプの投資信託にしろ、最近話題の通貨選択型ファンドにしろ、ほとんどの外貨商品も基本的には、円高のとき、びしょ濡れになってしまいやすい。これからの日本を考えたとき、傘はたしかに必要だ。でも、そのときにあなたが用意する傘には、穴があいていないか、よく確認したほうがいい。

■超初心者向けFX講座 2
カエサルが死の間際に叫んだ言葉とは?
~外貨取引でボッタくられないための手数料考察~

古代ローマの将軍ジュリアス・シーザーが臣下であるブルータスに暗殺されたとき、死の瀬戸際である言葉を吐いた。もちろん、ご存じだろう。「あ痛たたたたっ!」
世界史的な回答は「ブルータス、お前もか!」だが、実際にはそんな言葉を発するより先に、痛みを訴えたのではと考えたほうが、人として素直では。もちろん何が正解かなんて、もはやわからない。でも、常識にばかりとらわれていたら見えないこともある。

たとえば、外貨の両替手数料。FXが登場、普及するまで、日本では外貨の両替手数料は「スプレッド2円」が常識だった。スプレッドとは売値と買値の差だが、リサイクルショップの仕入れ値と売価と考えるとわかりやすい。
リサイクルショップはお客さんから100円で買い取った商品に、何割かの利ザヤを乗せて販売する。中古書店なら『FX必勝法』という雑誌を100円で買い取って、150円で売ったり、といった具合だ。これを客目線で見ると、『FX必勝法』という商品には、2つの値段が存在することになる。中古書店に販売するときの買取価格と、中古書店から買うときの販売価格であり、この2つの価格の差がスプレッドだ。

もう少し中古書店の話を続けると、「スプレッドが大きくなる、開く」と、利用者にとってはどうなるだろう。買取価格はより安くなり80円に、価格はより高くなり180円にとスプレッドが100円に開けば、中古書店の利ザヤは大きくなるが、利用者にとっては辛くなる。
『FX必勝法』をこの書店で買って、読み終わったら売ろうと思っている人は、180円で買って、80円で売るのだから、純粋な費用は100円。つまりスプレッドは丸々費用となる。ようするに、スプレッドが小さいと利用者に有利だし、スプレッドが大きいと運営する側に有利になるということであり、この構造は中古書店だろうが、外貨預金やFXなどのだろうが同じ。商品が雑誌であるか、通貨であるかの違いだけだ。

思い出してほしい、「外貨預金のスプレッドは2円が常識だった」ということを。最近では、一部のネット銀行などでスプレッドが狭まっているとはいえ、それでも数十銭程度。それがFXであれば「『米ドル/円』のスプレッドはゼロから」といった会社すらあり、1銭、2銭といったスプレッドはもはやふつうだ。
「2円だの、1銭だの小さい話をグダグダと……」そう感じるだろうか。でも、スプレッドは1通貨単位あたり、米ドルならば1ドルを両替するのに、2円のコストがかかるか、1銭で済むかは、大きな違いだ。まして、外貨取引では1万ドル、10万ドルといった単位の取引が当たり前。10万ドルの取引ならば、スプレッドが2円のときのコストは2万円。1銭ならば1000円。そうとう大きな違いがあるワケだ。

ちなみに、FXの場合、基本となる取引単位は1万通貨。米ドルならば1万ドル、ユーロならば1万ユーロといった単位が基本だ。しかし、最近ではマネックスFXのように1000通貨単位で取引できる会社も増えている。取引単位が小さいほど、損益やリスクのコントロールもしやすくなるので、初心者は1000通貨単位で始めるのがおすすめだ。

FXが登場するまで外貨取引のコストは「スプレッド2円」が常識で、誰もがそれを当然だと思って支払っていた。そんな状況はFXの登場とともに大きく変わった。いまわの際でカエサルが叫んだのは、「ブルータス、お前もか!」だったのか、「痛いじゃん!」だったのか、皆さんはどちらだと思う?

■超初心者向けFX講座 3
北朝鮮人を海に飛び込ませるための言葉
~FXで取引できる通貨には個性がある~

ジョークの世界で「古典」となっているのが、民族ジョーク。もっとも有名なのが沈没船のパターンではないだろうか。豪華客船が氷山にぶつかり沈没しようとしている。おびえる乗客を海に飛び込ませるために船長は、こう声をかけていった。
ロシア人には海を指して「ほら、ウォッカが流れていますよ」
イタリア人には「美女も飛び込みましたから」
イギリス人には「紳士は率先して飛び込むものです」
ドイツ人には「規則ですから」
日本人には「みんなもう飛び込みました」
北朝鮮人には「さぁ、亡命のチャンスです!」

FXで投資対象となるのは、こうした豊かな民族性を備えた人々の通貨だ。取引できる通貨の数はどのFX会社を選ぶかによるが、そのなかには高金利通貨として人気が高く、債券などでも売れ筋になっている南アフリカ・ランドやトルコ・リラも含まれているし、ポーランド・ズロチやハンガリー・フォリントといった東欧通貨、サウジアラビア・リアルやクウェート・ディナールといった中東通貨など、FXでなければ投資できないような通貨も多い。

通貨ペア数で日本最大なのはサクソバンクFX。150の通貨ペアが取引できる。でも、これは150種類の通貨が取引できるということじゃない。FXの取引は通貨の「ペア」が基本。米ドルを買いたいと思ったら、相手に渡す対価となる通貨を選ばなければならない。円を渡してユーロを買うなら、取引すべきは「ユーロ/円」の通貨ペアだし、豪ドルを渡して米ドルを買うなら「豪ドル/米ドル」だ。サクソバンクFXには、こうしたペアの組み合わせの数が約150あるというワケだ。
円が絡んだ通貨は、外貨が先に表示されて、後ろに円がくるように表示される。「米ドル/円」だったり「豪ドル/円」だったり。FXで「買い」(ロング)とか「売り」(ショート)というとき、先に書いてあるほうの通貨が基準になる。「『ユーロ/円』の買い」だったら、ユーロを買って円を売る取引になるし、「『豪ドル/米ドル』の売り」だったら、米ドルを売って豪ドルを買う取引だ。

初心者はいきなり約150の通貨ペアを提示されても戸惑うだけだろうが、最初に取引すべきは、為替市場での取引が盛んなメジャーな通貨ペアだ。マイナーな通貨ペアは取引が成立しにくかったり、スプレッドが大きく開いていたりと、何かと不便が多いためだ。
メジャーな通貨には、それぞれに個性がある。日本人がよく取引するのは「米ドル/円」。先ほどのジョークに即していうならば「だって、みんなが取引するから」というところだが、じつは為替市場でもっとも取引が多いのは「ユーロ/米ドル」。米ドルは企業の決済に使われることも多く、国家が外貨を備蓄するときにも使われる「世界の基軸通貨」。一方、ユーロは2000年からと歴史は浅いものの、基軸通貨としての米ドルの地位を脅かすほどに流通している。

その他の通貨を見ると、かつて世界経済の基軸通貨だった英ポンドもいまだに取引が多い。ポンドの特徴は、「紳士の通貨」というよりは「フーリガンの通貨」。とかく値動きが荒くなりがちなのだ。だから、短期的な値動きを狙うデイトレーダーには、「英ポンド/円」や「英ポンド/米ドル」といった通貨ペアは人気が高い。値動きが大きければ、それだけ利ザヤを稼ぐチャンスも多いからだ。
鉱物やエネルギーなどの資源豊富な豪ドルやカナダドルは、「資源国通貨」として注目されることも多い。
「逃避通貨」という奇妙な異名をもつのはスイス・フラン。テロや政変などが起きたとき、「中立国であるスイスの通貨を買っておけば、とりあえず安全だろう」との連想が働きやすいため、有事の際の逃げ道として買われやすい傾向があるためだ。

初心者が取引するなら、最初は米ドル、円、ユーロの3通貨のそれぞれを組み合わせた3つの通貨ペアから始めるといいだろう。
ポイントは通貨間の力関係だ。「米ドル/円」を見て「米ドル>円」のとき、単純に米ドルと判断するのは早計。米ドルと円の間にユーロをかませて見る習慣をつけておこう。「ユーロ/米ドル」で「ユーロ>米ドル」、「ユーロ/円」で「ユーロ>円」ならば、3通貨の力関係は「ユーロ>米ドル>円」となる。
ユーロは対米ドルでも対円でも強く、円は対米ドルでも対ユーロでも弱いためだ。もし「ユーロ>米ドル>円」ならば、「『ユーロ/円』の買いがもっとも賢い選択」ということになるはず。

取引画面に並ぶたくさんの通貨ペアをいきなり見せられても混乱するだけだろうが、「通貨それぞれの個性」を知っておくと、親しみが湧いてくるはず。

■超初心者向けFX講座 4
「海の見える部屋」に安く泊まるための約束
~FXならではのレバレッジを味方につける~

ビーチリゾートのホテルでこんな会話があった。
「一泊いくらだい?」
「海の見える部屋でしたら2万円です」
「それって、ボクが海を見ないと約束したら、いくらになる?」

「レバレッジ」の存在はFXの大きな魅力だ。だが、レバレッジは一歩間違えると、損失をふくらませるワナにもなりかねない。FXを始める前に、レバレッジの仕組みについて、よく知っておこう。

レバレッジとは、FX会社に入金した金額=「証拠金」を何倍にもふくらませて使える仕組みだ。
FX口座に100万円入金したとしよう。1ドルが100円ならば、単純計算して、取引できるのは1万ドルのはず。だが、FXではレバレッジを効かせることで、証拠金の10倍、20倍といった規模の取引ができるのだ。
この夏(8月1日)からは、法改正により最大レバレッジが50倍となるが、50倍のレバレッジということは、証拠金100万円なら、その50倍にあたる5000万円分の取引まで可能だということになる。

差し入れた証拠金は100万円しかないのに、なぜ5000万円もの取引ができるのだろうか。それは冒頭のジョークと同じ、「~と約束したら」という前提に立っているからだ。
FX取引で投資家とFX会社が交わすのは「決済したときの損益だけを精算する」という約束。5000万円分のドルを買って、その価値が5050万円になったときに決済したとしよう。そのとき利益となる50万円だけを、FX会社はその投資家の口座に反映させて、証拠金残高は150万円となる。逆に、4950万円になってしまったときも、損失の50万円だけを投資家の口座に反映させて、残る証拠金は50万円となる。

鋭い人ならこう思うはず。5000万円分のドルを買って、それが4000万円の価値しかなくなってしまったらどうするの?と。たしかに、預けた証拠金は100万円しかないのだから、1000万円もの損が発生したら借金を負うハメになってしまう。
でも、ご安心を。FXでは証拠金以上の損失が発生しないよう、「強制ロスカット」という仕組みが備わっている。「これ以上、含み損が拡大すると危ない」というときに、ポジションが強制的に決済されるのだ。だから、FXで借金を負うようなことは原則としてない。
こうした損益だけを受け渡しする仕組みになっているから、証拠金以上の規模の金額での取引が可能になっているのだ。

では、レバレッジのどこが魅力なのだろうか。それは「同じ取引でも損益を拡大させてくれる」からだ。1ドルが100円から110円に上がったとき、資金100万円で米ドルを買ったとしよう。レバレッジがなければ、100万円で買えるのは1万ドル。1ドル100円のときに買った1万ドルが、110円まで値上がりして決済したら、その価値は110万円になっているから、利益は10万円だ。これが外貨預金や外貨MMFなど、レバレッジの効かない商品で外貨投資したときの利益。
これがFXならば、レバレッジを効かせられるので、100万円の資金でも最大5000万円分の米ドル=50万ドルが買える。これを110円のときに決済したら、50万ドルの価値は5500万円になっているから、利益は500万円となる。レバレッジを効かせなかった場合と比べて、レバ50倍だと利益も50倍になるワケだ。
逆の場合だってもちろんある。思惑通りに市場が動けばいいが、取引したのと反対方向に市場が動いてしまえば、レバ1倍のとき1万円だった損失がレバ50倍だと50万円になる。レバレッジが「諸刃の剣」といわれるゆえんだ。

レバレッジは「損益だけを受け渡す」という約束のもとの仕組みだが、レバを味方につけるにはリスクも頭に入れたうえで、「最初は証拠金の数倍の取引にとどめておく」と自分に約束することも必要だ。

■超初心者向けFX講座 5
頼んでないのに勝手についてきた?!
~FXのスワップを理解しておこう~

ある田舎紳士が上京、見栄を張って5つ星の高級フレンチを予約した。マナー教室に通って、準備は万端。無事に食事も済んで、会計に。そこで田舎紳士はこう叫んだのだとか。
「なんだ、この請求は!『サービス料』なんていう料理、おれは頼んでないぞ!」

FXで頼んでもいないのに、くっついてくるものがある。それが「スワップ」だ。サービス料のあるお店で席についたら、きっちり払わざるを得ない。スワップも、自分が買ったり売ったりして、何かポジションをもったとき、それを決済しないまま翌日まで持ち越した場合、スワップは否応なしについてくる。
でも、サービス料は一方的に払うだけだが、スワップがいいのは受け取りになることもあるところ。FX会社のホームページを開くと、たいていは、その日のスワップが通貨ペアごとに掲載されている。通貨ペアごとに「売りスワップ」「買いスワップ」などとして数字が書いてあるはず。その数字が、ポジションを翌日に持ち越したときの1万通貨あたりのスワップ金額だ。
いつをもって翌日とするかだが、日本時間の0時ではない。NY市場が閉まるころ、日本時間なら6時、7時くらいを基準にしているFX会社が多いようだ。

このスワップ、「豪ドル/円」だったら、6月中旬時点で買いスワップが90円、売りスワップが87円程度。これは1万豪ドルあたりの金額だから、1豪ドル80円として80万円分を買うと1日80円のスワップを受け取れることになる。
基本的に、スワップは小額なので、デイトレードや1週間、2週間くらいで決済を考える短期トレーダーにとっては無視していい存在。
とはいえ、ポジションを半年、1年と持ち続けるようなら話は変わってくる。先ほど豪ドルの買いスワップは90円だった。これだけを見ると缶コーヒーも買えないくらいの金額だが、「塵も積もれば山となる」。90円のスワップが1年間続いたとしたら、3万2850円。年利にして4.1%になる。

この程度の金利だったら、豪ドルの外貨預金ではザラ。何の魅力もないが、FXではレバレッジがあることを思い出してほしい。80万円の証拠金があるなら、レバ2倍で2万豪ドル、レバ5倍なら5万豪ドルを買うことができる。ポジション量が2倍になれば、もらえるスワップも2倍になるから、同じ80万円の資金でもレバ1倍のときは年3.65%だが、レバ2倍だと年利も2倍になって8.2%、レバ5倍なら年利20.5%になるのだ。
長期的に放置できる資金があるのなら、レバレッジを使って高金利通貨を買っておくのは有望だ。

ただし、気をつけてほしいのは為替の変動。リーマンショック以前、日本にはスワップ目当てで長期的に外貨の買いポジションをもつ人がたくさんいた。でも、彼らはこぞって討ち死にしたのだ。
なぜかというと、スワップでもらえる金額が吹っ飛ぶくらいに為替レートが変動したから。80万円の資金で1万豪ドルを買っていた場合、1日のスワップが90円だとしたら、1年で3万2850円になる。でも、買ったときの為替レートが1豪ドル80円で、これが70円まで下がってしまったらどうなるだろうか。「クロス円」と呼ばれる円の絡んだ通貨ペアの場合、1万通貨あたり10銭の損は1000円、1円の損は1万円になる。10円の損なら10万円だ。
ということは、スワップの利益よりも、為替変動による損失のほうが大きくなってしまう。これがスワップ狙いの長期投資の怖さだ。

注文していなくても勝手についてくるスワップ。上手く使っていこう。

■超初心者向けFX講座 6
受験不合格で親を喜ばせる方法
~「儲けること」より大切な「損すること」~

高校に合格したらパソコンを買ってもらえる約束をしていた親子。高校受験の合格発表日、その息子が笑顔で帰ってきた。
「お父さん、喜んでいいよ」
「息子よ、合格したのか?!」
「お父さん、パソコン代が節約できるもん」

FXの大きな特徴であり魅力は平日の24時間、ほぼいつでも取引できること。でも、それがアダとなるケースも多々ある。FXトレーダーをむしばむ病「ポジポジ病」だ。
FXで継続して資金を増やしていくためには、自分なりの「売買ルール」が必須だ。「チャートがこういう条件になったら、売ろう/買おう」というルールである。具体的にどんなルールがいいのかは、本誌に登場する著名トレーダーたちのコラムに譲るとして、まずは「FXではルールづくりが必須」と覚えておこう。
ポジポジ病にかかると、チャートを見ているときポジションをとりたくてたまらなくなってしまい、自分のルールに外れた場面でポジションをとってしまったりするようになる。その先に待っているのは、口座のパンクであり、FXからのレッドカードだ。

FXからのレッド・カードを食らわないために必要なのは、ルールであり、そのルールを守るための精神力、そして「損切り」だ。
損切りとは、言い換えれば、相場が自分の思ったのと反対にいったときの「あきらめ」であり、ポジティブに考えれば、「利益を得るために必要な手数料」だ。どんな優秀なトレーダーであっても、百戦百勝なんてことはありえない。

カリスマ為替ディーラーである松田哲氏に、『FXで稼ぐ人はなぜ「1勝9敗」でも勝つのか?』という名著がある。不思議なタイトルだが、この言葉が意味するのは、損切りの重要性に他ならない。
逆に、「FX初心者はなぜ『9勝1敗』でも負けるのか?」から考えてみよう。
カギとなるのは、1取引あたりの利益と損失のバランスだ。勝率5割を前提とすれば、利益と損失が1万円ずつのとき損益はトントン。勝率が5割を少しでも上回れば利益が残る。

でも、FX初心者はたいてい、利益1万円、損失10万円といったバランスになりがちだ。なぜなら初心者ほど、含み益が出ているときは「早く利食いしなきゃ」と焦って、増やせるはずの利益を得られず、含み損のときは「もうちょい待てばどうにかなるかも」とあわい期待を抱いた結果、損失を拡大させてしまう。
こんな取引を続けていると、薄利多売ならぬ「薄利多損」で「勝敗は9勝1敗なのに、トータルだと資金が減っていくのはなぜ?」という状況になってしまうのだ。

松田氏が指摘するのは、「損切りをきっちり行って損失を小さくし、利益は大きくさせるようにすれば、勝率は悪くてもトータルは勝てる」ということ。慣れないうちは、損切りするのを躊躇しがちだが、「損切りは最終的に勝つために必要な手数料」なのだと割り切って、早めの損切りを心がけよう。

冒頭のジョークの父親にとってパソコン代は、「喜びのための手数料」だったはず。それを節約できたからって喜べるはずもない。損切りもこれと同じ。損切りが必要な場面がきたら、「恐れず・ひるまず・ためらわず」の精神で、「はいっ!喜んでっ!」と損切りしよう。それが最後には喜びにつながるはずなのだ。

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