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2010.09月号

ホリエモンの世直し提言 第8回:堀江貴文

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■コンテンツの購入・視聴の動作をシンプルで簡単にするためのタブレット端末

ホリエモンの世直し提言:堀江貴文
ホリエモンの世直し提言:堀江貴文

■コンテンツの購入・視聴の動作をシンプルで簡単にするためのタブレット端末

知人にアメリカから日本未発売のiPadを買ってもらってきた。
アメリカでは大ヒットらしく、アメリカ以外での発売が1カ月延びてしまったくらい品薄状態らしい。
実際に知人も買うのに苦労したらしい。
キーボードドックなど本当に一部の人にしか今のところ届いていないらしい。
実はiPad以前にも、このようなタイプのタブレット端末は存在していた。

しかし、マルチタッチ液晶や操作性に非常に長けた画面は、専用のグラフィック処理チップを積んだことにより実現されたものだ。
iPadは当たり前のようにスイッチを入れたら瞬時に立ち上がるが、ノートパソコンでWindowsを立ち上げた人ならわかると思うが、スリープ状態から実際に使えるようになるまでに何十秒もかかるのは当たり前だ。でもこれがiPadなら一瞬なのだ。

まだ発売されていないが、3G携帯電話ネットワークに最初から繋げるバージョンももうすぐ発売される。
面倒なインターネットへの接続設定など必要ない。
つまり、iPadを買ってきてiTunesにつなぐだけでセットアップできる。
これは非常に使い易いといえるだろう。そして、専用のケーブルでテレビにつなげば、大画面でも使うことができる。 どうやらコンテンツ大手がそれぞれ専用のiPadアプリを用意しているようで、動画コンテンツを簡単にネット決済で購入して視聴することができるようになる。
いや、以前からWindows等が動くパソコンで、TV局などが運営する動画サイトでクレジットカード決済などで動画コンテンツを購入して視聴することはできた。
しかし非常に面倒くさい。
私は一応ネット企業をやっていたくらいだから、この分野は得意なほうである。
それなのに、たとえば、NHKオンデマンドという動画サイトで動画を購入して視聴するまでに30分くらいかかってしまった。 とにかく操作が面倒くさいし、動きも軽快とは言い難いのだ。

つまり、iPadとは、コンテンツの購入・視聴の動作を非常にシンプルで簡単にするためのタブレット端末といえる。 そのために、専用のグラフィック処理チップまで導入し、ハードウェアもソフトウェアもこだわり抜いている。 ここが同じように携帯・タブレット端末で競合するGoogleのAndroid端末と大きく違うところだ。 Android端末はいくつものハードウェアベンダーが独自にハードウェアを設計して、それにOSを入れる形態になっている。
一番大事と私がいった操作性の部分を犠牲にしているのだ

■Objective Cで開発することが義務づけられている

さらに、iPadはネイティブ言語といわれるObjective Cで開発することが義務づけられている。 Android OSは通常仮想言語であるJavaで開発するのが通例なのとは対照的だ。 Javaは高度に言語が抽象化されているため、開発コストや開発スキルは低くてもできるが、そのぶん、処理速度が犠牲になる。 Objective Cのようなネイティブ言語で開発するのは骨が折れるが、動作スピードは軽快になる。 ユーザもあまりいらいらしなくても済むわけだ。さすがハードウエアとソフトウェアを一貫して開発していたAppleはこの分野では一日の長がある。

■Kindleとの比較

iPadはまず電子書籍端末として注目された。同じくタブレット型で先行したのがAmazonが出している電子書籍リーダーであるKindleだ。 KindleはAmazonの強力なユーザの課金データベースに接続され、たくさんのユーザが電子書籍をダウンロード購入している。 3Gネットワークへの接続料は無料である。 つまり、Amazonが負担している。 しかし、その負担があっても利益が出る構造になっているはずだ。そのせいでKindleは大きく普及した。 さらに、「eインク」という非常に実際の印刷に近い感覚で読める技術を採用したので、たとえば、電源を切っても表示画面は消失しない。「eインク」とは、荷電性のインクをマイクロカプセルに閉じ込めてたくさん並べたものなので、たとえば、コピー機でスキャンしてもきちんと視認できるのだ。 つまり、非常に紙に近いのだ。しかし、その技術のせいか、ページをめくるときもノロいし、記憶容量も貧弱なので、余りたくさんの電子書籍を入れておけない。

しかし、それよりも一番の問題は操作性が悪いことである。
というのは私がiPhoneに慣れてしまったからだ。iPadの書籍アプリもいくつか入っているが、すべて画面を擦ることによってナビゲーションされる。
ページをめくる動作が自然なのだ。しかし、Kindleのページめくりは、なんとハードウェアのボタンなのである。 タッチパネルの操作に一度なれてしまうと、ボタンを押すのが面倒くさく感じてしまうのだ。 ひと世代の前の端末に感じてしまうのだ。つまり、これは電子書籍端末としては勝負あったといってもいいかもしれない。 でも、Amazonの偉業は称えられるべきである。なぜなら彼らは電子書籍をタブレット端末で読むという文化を広めたからだ。 恐らく彼らのこれからの本命は「Kindle for iPad」になってくるだろう。 Amazonにしてみれば電子書籍を売ってその鞘を抜くことがビジネスなわけだから、端末のハードウェアは極論すれば何だっていいのだ。 Kindleが存在したせいでiPadが出てくるスピードが早まったことは間違いないだろう。

■あらゆるものの電子化が進む

よく私は、電子書籍関連のインタビューを受けることがある。そこで必ず出る質問が、「どうしても紙で読みたい書籍はありますか?」という質問だ。当然二つ返事でないですと、答えることにしている。iPadを触ってからはその想いが強くなりつつある。 先日、某著名漫画家といろいろ漫画のネット配信などについて議論していたのだが、彼の結論も紙の漫画は必要なくなるとのこと。 もちろん、完全になくなるわけではない。しかし、最終的には漫画は紙で見なければならない性質のものではない。 この操作性なら紙の漫画を全廃して、蔵書をすべてブックスキャンサービスにかけて、本棚ごと捨ててしまいたいくらいだ。 旅行にいくときも、タブレット端末なら同じ端末にいくつもの書籍や漫画を入れておいてもまったく問題ないはずだ。 これまでの紙の本のようにかさばることもないだろう。

つまり、相当なスピードでこれからあらゆるものの電子化が進むはずである。 本当だったら日本の3大出版社といわれる講談社、小学館、集英社が先頭を切って漫画の完全デジタル化を推進してほしいものだ。 しかし、そのような動きは感じない。人気漫画は当面紙メインで発信されていくのかもしれない。 漫画は数少ない今でもミリオンセラーが狙える分野なのである。つまり、紙を守るためにデジタル化を拒否する方向にいっているのではないだろうか。

■想像もつかないようなソフトウェア出現の可能性も

iPadの用途はそれだけに限らない。音楽系のアプリはピアノやアコーディオン、そして、DJプレイができるターンテーブルのアプリや、ミキサーのアプリなどまである。もちろん、ゲームだってできるだろう。 また、飲食店のPOS端末としても使えるだろうし、プレゼンテーションもいいかもしれない。 あまり知られていないが、Apple製のKeynoteというプレゼンツールは非常にできが良い。 元々社長のスティーブ・ジョブスが自分のプレゼンテーションをつくるためにつくったツールである。 確かに、プレゼンツールはマイクロソフトのPowerPoint以来、あまりめぼしいソフトウェアはつくられていない。 そのPowerPointは、PhotoshopやFlashで有名なAdobe社が買収したAldus社のつくったソフトウェアであるPersuasionを模倣してつくられたソフトウェアである。 こういった定番系のソフトウェアは簡単に想像ができるとして、まだまだ私たちが想像もつかないような用途やソフトウェアができてくるに違いない。それについては非常に期待をしている。

■金融の世界こそ、iPadは必須のツール

さて金融分野ではどうだろう?FX取引などのソフトウェアはFlashでつくられていることが多い。 iPadではiPhone同様、Flashを表示できなくなっているのだ。だから、Objective Cのようなネイティブコードを使ってアプリケーションを製作せざるを得なくなるだろう。それに開発費がある程度かかるかもしれない。 しかし、この軽快な動作と直感的な操作ができる点はFXやネット証券取引に向いているのは間違いないだろう。 チャート図の表示ももちろん、さくさくだろう。あれだけの画面の大きさがあれば、主要株価やインデックスを小さく表示しながら取引画面を表示させ、動画の記者会見など、とにかくいろんな情報を得て取引したいとはみんな思っていることだろう。

ケーブルテレビでお馴染みのブルームバーグやBBCワールドの映像だって、タブレット端末に表示されれば、一情報源に過ぎないだろう。 そういった情報以外にも、テキストの速報ニュースやら各種情報をひとつの画面で知ることができ、その状態で投資活動ができたら、これは非常に楽である。当然、操作方法はわざわざ覚えなくとも、自然に使い方がわかるような設計にしておけばよいのだ。 iPhoneには一応それなりに対応しているFX業者が少しずつ増えてきているようだ。 しかし、時代の最先端は間違いなくiPadである。及び腰にならずに、コツコツとでもいいので、新しいシステムは必ず導入していかないといけない。

正直いって、今のネット証券取引はメニューもわかり難いし、細かい機能が山ほどあって、どうせ全部使い切れないのに、メンテナンスはしていかないといけないので、やはり費用がかかりすぎてしまうので、細かいところに気がつかない仕組みになっているのだ。 もっと機能はシンプルにしてもいいから、iPadが日本で発売される5月末までに、どこかの証券会社がiPadアプリの決定版のようなものを出してくれないものだろうか。

意外にユーザというのは、そういうところを評価して加入してくれるものだ。 今やネット証券取引なんてものめずらしくもない。しかも、ブローカレッジ事業は証券会社にとってはそんなに利益率がいい部門でもない。 これだけどの証券会社もネット取引が当たり前になったからだ。そうなってくると、手数料率などで対応していくのは無理があるといわざるを得ない。そうなっていくと差別化ポイントは余りない。実際のところ、このようなアプリケーションを他社に先駆けて出すとか、そういう利便性を追求していくしかないのだろう。 株式取引でいえば、最近、東京証券取引所の処理スピードが上がった煽りで、手動でやっているデイトレーダーが苦戦していると聞いている。 大手企業が導入しているプログラム取引の高速さについていけず、有利な価格で約定できないので、鞘取り競争で負けてしまうのだ。

そこはやはりシステム化が必要な分野であろう。これはぜひサーバサイドのシステムと、iPhoneやiPadアプリを結びつけ、高速でカスタマイズがある程度可能なシステムを個人投資家向けにリリースすることができれば、圧倒的なユーザの支持が取りつけられるはずなのだ。

iPadが出るタイミングというのは、そこでデファクトスタンダードになれるかどうかの瀬戸際だと私は考えている。 これまでネット取引は、まずパソコンを買ってネットにつないで、サイトに接続してといろいろ面倒臭い作業が必要だった。 しかし、iPadでアプリなら簡単である。 App Storeでダウンロードしたら、そのままタップするだけである。 今までネット取引に及び腰だった層も加入してくれるきっかけになるのではないだろうか。 このように、iPadは株式やFX投資の世界でも必須のツールとなるであろう。 取引システムはもちろんだが、もっと時代にあった情報提供ツールも必要になってくるのではないか。

これまで証券取引の情報提供システムといえば、日経QUICKとか、会社四季報のデータなどが使われていた。 しかし、いかにも古臭い。EDINETの決算公告などのオフィシャル情報も、取り出すのが非常に面倒くさいことになっている。 これらをもっとスタイリッシュに統合して、わかりやすくひとつの画面にインテグレーションしていく作業が必要になってくるだろう。 ひとつお手本になるのは、Yahoo JapanのFinance情報である。ここに取引システムが入り、動画コンテンツなども見られると満足だろう。 それに企業の決算情報だけでなく、掲示板や検索結果の評価など関連情報も表示されるようにしてほしい。 情報を制する者が覇権を握るというが、まさに、投資に必要なものは他人を凌駕する情報である。

■死角が見あたらない

ここまでiPadを絶賛してきたわけだが、今のところiPadに死角は見つからない。 本来であれば、日本のコンピュータメーカあたりが対抗馬の端末を出してもよさそうだが、まったくそのような動きはない。 Android OS搭載端末もイマイチ元気がないようだ。 それはやはり、肝心の操作性やグラフィックス性能が貧弱だからだ。 そういう意味で、発売日に皆さんは確実に手に入れて欲しい。 この記事が掲載されるころには、価格は決まっているだろうか。

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