3月11日に発生した未曾有の東日本大地震以降、大変に難しい相場が続いています。この時期に為替相場や株式相場、オプション取引などで大きな損失を出した個人投資家のことが話題となりました。
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3月11日に発生した未曾有の東日本大地震以降、大変に難しい相場が続いています。この時期に為替相場や株式相場、オプション取引などで大きな損失を出した個人投資家のことが話題となりました。倒産した投資ファンドや経営が傾いた証券会社も数多くあると聞きます。今さらながら、トレードで生き残ることの難しさを、再確認させられるような、厳しい相場となっています。
プロでも勝つのが難しいこのような荒れた相場で、どのようなトレードが求められるのでしょうか。今回の記事では、そのあたりを考えていきたいと思います。■プロと同じ土俵で戦って勝てるか
生き馬の目を抜くとたとえられる投資の世界では、最終的に90%以上の投資家が負けるとのデータがあります。そもそも人間は投資に向いていないとさえいわれることがあります。アマチュアである個人投資家が、機関投資家などのプロと同じ土俵で戦えば、負ける可能性が極めて高いのは当然です。
そもそもプロと個人投資家とでは、情報量、分析手法、取引ツール、取引条件など、あらゆる点でプロのほうが有利であることは間違いありません。加えて、プロは個人投資家の想像を絶する「熱意」と「真剣さ」、そして、何より重要な「自己管理」をもって相場と対峙しています。
個人投資家がFXで利益を上げ続けるということは、圧倒的に有利な立場のプロを相手に勝ち続けることを意味し、極めて難しいことであるといわざるをえません。■エッジがなければ勝つことはできない
エッジとは、他者と比べて統計的に優れている優位性のことを指します。自分のトレード手法になんらかのエッジがなければ、最終的には為替相場から退場させられるでしょう。また、為替相場は生きものであり、絶え間なく変化しているので、同じ相場が繰り返されることは決してありません。
個人投資家は、トレードで勝ちが続くと自分のトレード手法にエッジがあると錯覚してしまう傾向があります。たとえば、2004年末~2007年夏までの「円安トレンド」が継続している間であれば、「米ドル/円」や「クロス円」を買ってさえいれば、いつかは利益が出る相場環境でした。押し目ではナンピンを重ね、損切りしない手法で大金をつかんだ人もいれば、スワップ狙いで「高金利通貨」を買う手法で、大金をつかんだ人もいました。
しかし、この時期に自分のトレード手法にエッジがあると勘違いした投資家は、2007年夏の「サブプライム問題」発生以降の急激な円高局面でも、自分の手法のエッジを信じたため、そのほとんどがFXから退場を余儀なくされました。■生き残るのに必要なのは変化に対応する柔軟性
円安トレンド相場でのナンピン手法や、いわゆる円キャリートレードは、トレード手法にエッジがあったわけではなく、「円安」という外的要因によって運良く利益を上げることができたと考えられます。つまり、ある時期に機能していたエッジが、将来にわたって永続的に有効である保証はいっさいないのです。
2007年夏以前の円安トレンド局面で利益を積み上げ、それ以降の急激な円高局面でも生き残るためには、為替相場の急激な変化に対応する柔軟性というエッジが求められたはずです。言い換えれば、トレードで利益を出し続けるためには、常に自分のトレード手法のエッジを検証し、相場の変化や優位性の変調を見逃さない不断の努力が必要なのです。
進化論で有名なチャールズ・ダーウィンの「もっとも強い者が生き残るのではなく、もっとも賢い者が生き延びるわけではない。唯一生き残るのは変化できる者である」とは、まさに名言だと感じます。■荒れ相場でのエッジを確立する
読者の皆さんもご存じのように、3月11日に発生した東日本大地震以降、「ドル/円」や「クロス円」は大荒れの相場となっています。3月17日には「ドル/円」が史上最安値を更新し、その後は一転して、欧米諸国の協調介入により、怒涛の円安相場になりました。プロでも勝つのが難しいこのような荒れた相場では、いったいどのようなトレード手法が有効なのでしょうか。
私は今までにさまざまなトレード手法でトレードしてきました。長いスパンでトレードする「ポジショントレード」や「スウィングトレード」、比較的短めの「デイトレード」、そして、超短期間で完結する「スキャルピング」。個人的な考えでは、スキャルピング手法こそが現在のような荒れ相場において、もっともエッジのある取引方法であると確信しています。■スキャルピングとは何か
これまでも「デイトレード」や「スイングトレード」といった、さまざまな手法が流行しました。私はそのつどそれらの手法を試し、検証して、どの手法がその時々の為替相場でもっとも効率的かを分析してきました。その結果、最終的にいき着いたのが超短期取引である「スキャルピング(以下、スキャル)」というトレード手法です。
私の考えでは、1回あたりのトレードを15分程度で終えるものをスキャルと考えていますが、厳密に何分までが「スキャル」で、何分以上になると「スキャルではなくデイトレ」と意識してトレードしているわけではありません。
実際に、1分間に数回の取引を行うことは珍しくない一方で、1回のトレードで決済するまでに30分以上になることもあります。つまり、スキャルピングでは、短時間でひとつのトレードを完結させることが目的ではなく、小さな利ざやを狙う結果、必然的に取引時間が短くなると考えています。■スキャルピングのエッジとは
私はスキャルピングには5つのエッジがあると考えています。
1.圧倒的な資金効率の良さ
最初に挙げるべきエッジは、わずかな資金から始められて、短期間で何十倍、何百倍にもできる可能性がある、つまり、資金効率が他の手法に比べて断然にいいことです。
前述したように、スキャルピングは1回の取引時間が短いので、同じ期間でも他のトレード手法に比べて何十倍、何百倍ものトレードをすることができます。
1回のトレードで増えた資金を次のトレードにも投入することができるため、資産増加の「複利効果」は、他のトレード手法とは比較にならないくらい大きくなります。
2.短時間取引なのでトレードしやすい
スキャルピングでは、トレードチャンスが次から次へとやってきます。いつでも短時間でトレードができる、これは他のトレード手法に対して大きなエッジになります。
短時間でトレードが完結するので、サラリーマンでも帰宅後の短い時間でトレードすることが可能です。また、ポジションを長くもたないのでメリハリがつけやすい。これも超短期取引ならではメリットです。
スイングトレードなどのように、数日間以上ポジションをもち続けるトレード手法では、働いているときでも相場動向が気になってしまい、日常生活に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、スキャルピングではパソコンの前にいる間しかポジションをもたないので、為替相場の動向を必要以上に気にする必要がありません。
3.相場の大きな変動に対して、即座に柔軟に対応できる
現在のような大荒れの為替相場では、この点は大きなエッジといえます。
2008年秋のリーマンショック以降、年に数回訪れる経済ショック直後には、比較的長くポジションをもつスタンスで取引を行っていたトレーダーが大きな損失を被りました。一方、スキャルピングは資金を市場に晒す時間が、わずか数分~数十分と短いため、「危ない!」と思った瞬間に即座に「逃げる」ことができます。
即座に逃げられるからこそ、逆に「ここぞ!」というチャンスにレバレッジを効かせて、短期間だけ自分の資金をリスクに晒すことも可能です。
4.大きな含み損を長くもつ精神的負担が少ない
スイングトレードのような数日~数週間のトレードでは、大きな含み損が出てもずっと我慢しなければなりません。自分の資金を相場に晒すときには常に「相場が急変するかもしれない」という恐怖と向き合う必要があります。決済するまでの時間が長いほど、含み損を抱える時間が多くなる可能性が高まります。含み損を抱えた状態を長く続ければ、「相場は戻るはずだ」と熱望する状態が続くことになり、この心理的負担、ストレスは思った以上に大きなものです。なかには為替相場の動きが心配で、日常生活に弊害が出てくる人もいるでしょう。
一方、スキャルピングは短期間で小さな利益を積み重ねていくことを目標としているので、損切りも短い時間で決断し、実行することが不可欠になります。それゆえに損失を抱えた状態によるストレスが少なく、これは精神面での大きなエッジです。
5.トレードの有効性がすぐに検証できる
私はさまざまなトレード手法の有効性を検証するために、バックテストを行っています。これらの検証結果の有効性を担保するためには、たくさんのトレード回数が必要です。
私は最低でも数百回程度のトレード結果は必要と考えています。週に数回のスウィングトレードならば年に数十〜百回程度なので、有効性を確認するには数年かかります。1日に数回のトレードを行うデイトレードでも、1年はかかるでしょう。
しかし、スキャルピングであれば、取引回数が圧倒的に多いので、エッジを精査するのに必要なトレードサンプルを収集できます。私の場合1日平均数十回、多いときには100回程度の取引を行いますから、1週間で検証に必要なデータを手にすることができます。
毎週末に自分のトレード手法のエッジをしっかり検証し、エッジの変調を見逃さない努力を続けています。■最後にカギとなるのは強いメンタル
たとえどんなにエッジのあるトレード手法であっても、それを実践するのは生身の人間であることを忘れてはいけません。つまり、エッジのあるトレードルールを守るかどうかは、最終的には投資家にかかっているのです。
ルールを破って直感に基づいて投資をすると、ほとんどが負ける結果になることは、心理学者ダニエル・カーネマンが「プロスペクト理論」で主張し、2002年にノーベル経済学賞を受賞したことは広く知られています。その意味からも、「損切りしたくない」、「早くエントリーしたい」「早く利食ってしまいたい」、「もっとたくさん儲けたい」など、自分で決めた売買ルールを守れないと、長期的に見ればすべての投資資金を失いかねません。
何より重要なのは、現在の相場の状況を冷静に分析し、エッジのあるトレード手法を精査し、その売買ルールを最後まで守り抜く強いメンタルを養うことだと思います。






