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自己資金を有効活用して、その数倍、十数倍もの投資金額で取引できるのがFXの魅力でもあり、落とし穴でもあります。今回は、諸刃の剣といわれる「レバレッジ」や、「差金決済」の仕組み、損失を膨らませないための「損切りルール」について解説していきましょう。

ゼロからわかるFX基礎の基礎 第2回:佐藤正和
ゼロからわかるFX基礎の基礎 第2回:佐藤正和

自己資金を有効活用して、その数倍、十数倍もの投資金額で取引できるのがFXの魅力でもあり、落とし穴でもあります。今回は、諸刃の剣といわれる「レバレッジ」や、「差金決済」の仕組み、損失を膨らませないための「損切りルール」について解説していきましょう。

■FXの正式名称は「外国為替証拠金取引」 証拠金って何?

前回の「FX基礎の基礎」では、
1.FXが、日本円や米国ドル、ユーロなど通貨を交換・両替する取引であること。
2.交換レートは日々、変動するので、安く買って高く売ったり、高く売って安く買えば儲かること(「為替変動益」)。
3.日本円で外貨を買った場合は、円安になると儲かり、円高になると損をすること。
4.FXで高金利通貨を買うと、外貨定期預金の金利収入にあたる、スワップポイントをもらうことができること(「金利収入」)。
といった外国為替取引の基礎の基礎を解説しました。今回は、FXの仕組みをより詳しく見ていくことにしましょう。
FXとは「Foreign Exchange外国為替取引」の略ですが、日本でFXというと「外国為替証拠金取引」のことを指すのが現状です。「外国為替取引」という言葉のなかに「証拠金」という耳慣れない言葉が加わっています。
「証拠金」が何かを理解するには、「外国為替証拠金取引」の仕組み自体を知る必要があります。通常の取引と「証拠金取引」にはかなり大きな違いがあり、これがFXを難しくしている理由のひとつなっているのです。
海外での両替や外貨預金の場合、自分がもっている日本円で、外貨を買う取引になります。50万円しかもっていなければ50万円分の外貨しか買えませんし、10万円なら、さらに少額になります。何かを買うときは自分のもっているお金の範囲内。自分がもっているお金以上のモノを買うことはできない、というのは、日常生活においても、ごくごく自然な感覚といえるでしょう。
FXでは、この当たり前の"常識"をいったん「カッコ」に入れて忘れる必要があります。一般の感覚と違い、自分のもっているお金以上のモノ(外貨)を取引できるのが、証拠金取引と呼ばれるものなのです。
日常感覚でいうと、カードローンや消費者金融をイメージしてしまい、「えっ、それって怖くないの?」「大きく損をする可能性があるのでは?」と考えてしまうでしょう。確かに証拠金取引にはリスクがありますが、それは借金して取引するといった"怖い""危ない"イメージとは違います。まずは、「証拠金取引」とは何かを正確に理解する必要があるでしょう。
証拠金取引とは、自分のもっているお金=自己資金を「証拠金」というかたちで預けて、それをもとに自己資金以上の売買ができる取引のことです。
たとえば、1米ドル100円のときに、日本円で1万ドルを買う取引について考えてみましょう。外貨預金の場合は、1万×100円で100万円の自己資金がないと、1万ドルを買うことはできませんでした。それに対して、FXでは10万円の自己資金でも、1万ドルを買うことができます。

■レバレッジや差金決済のおかげで自己資金以上の取引できる!

どうして、そんなことができるのでしょう?それは、FXが「自己資金をもとに、最大50倍まで取引できる」(2011年7月末まで)というルールを前提に行われるものだからです。
この倍率のことを「レバレッジ倍率」と呼びます。「レバレッジ」というのは、英語で「てこ(の原理)」を表す言葉です。要するに、小さな力で大きなものを動かすという意味で、少額資金でも大きなお金を動かすことができることを「レバレッジ」というわけですね。

図1

このレバレッジのルールがあるからこそ、FXでは10万円の自己資金で現状、その50倍、つまり、500万円までの外国為替取引ができるのです。
では、なぜ、そのようなことが可能なのでしょうか?それは、外国為替証拠金取引が、為替変動益を狙った「投資」のためにつくられた仕組みであることが深く関係しています。
FXは、実際に日本円を外貨に両替して現地で使うためのものではなく、為替レートの変動や金利収入などで「儲ける」ために存在しているのです。
投資というのは、投資元本を使って、儲けたり損したりしながら、投資収益を上げることを目的にしています。100万円を投資して、10万円儲ければ元本は110万円に増えます。反対に10万円損をすれば90万円になります。
しかし、投資元本を無視して、収益の部分だけに注目すると、10万円の利益が出たり、損失が出たりしているだけです。損失の部分だけに注目すると、10万円以上の自己資金があれば、取引で生じた10万円分の損失を穴埋めすることができます。
このように、投資の収益の部分だけに注目して、「自分がもっているお金のある一定限度まで損失が増えない限り、取引を続けることができる」というのがFXのルールなのです。
投資の元本部分は無視して、儲かったり損したり、投資によって生じた損益の部分だけ、金銭をやり取りする取引のことを「差金決済」と呼びます。FXが少ない自己資金で大きな投資金額を動かせるのは、この差金決済という仕組みのおかげなのです。

図2

■1万通貨では1円の円安で1万円の儲け、1円円高で損失1万円

FX取引では、「通貨単位」といって、あらかじめ取引できる通貨の単位が決まっています。1000通貨からの取引もできますが、1万通貨が基本になります。
2011年4月現在の為替レートだと、米ドル1万通貨を日本円で買う取引の場合、約84万円の取引総額になります。前回でも見たように、FXではこれを「『(米)ドル/円』1万通貨買い」と表現します。同様に、「ユーロ/円」1万通貨なら約119万円、「豪ドル/円」1万通貨なら約87万円が取引の総額になります。
日本円で外貨を買う場合の損益計算は比較的簡単です。「米ドル/円」を1万通貨買った場合、円安になって米ドルが1円値上がりすれば1万円の儲け、円高になって1円値下がりすれば1万円の損失になります。日本円でユーロや豪ドルなどを買う場合もまったく同じです。
たとえば、1ドル100円のときに1万通貨を買ったとしましょう。このときの自己資金(「証拠金」)は10万円とします。1ドルが101円になれば儲けは1万円となり、110円になれば10万円の儲けになります。自己資金10万円を使って、10万円儲けたわけですから、資産倍増に成功したことになります。
反対に1ドルが99円になれば、1万円の損失になり、90円まで値下がりすると損失10万円で、自己資金10万円は消えてなくなってしまいます。

図3

投資した自己資金がゼロ円になってしまうのはいかにも怖いイメージがあります。しかし、実際には、それ以前にFX取引会社によって強制的に損失確定の反対取引をされるので、損失が無限に膨らむことはありません。
FX取引のレバレッジは昨年8月以降、国の法令によって50倍までに規制されています。法令の正確な文言は、「取引想定元本の2%以上の証拠金の依託を受けない取引は禁止する」というものです。つまり、取引総額に対する証拠金の比率が2%を下回ると必ず強制決済されてしまうのです。
計算式は割愛しますが、10万円の自己資金を証拠金に、1ドル100円で1万米ドルを買った場合、1ドルが91円99銭以下まで値下がりすると、上記のルールによって強制決済されてしまいます。「証拠金÷取引総額」×100が2%以上でないといけないわけですから、逆に「取引総額÷証拠金」でレバレッジ50倍以下となるわけです。

■今年8月1日以降、最大レバレッジは25倍までに規制される

さらに、この規制は2011年8月以降は4%に引き上げられます。レバレッジ倍率でいうと25倍以上の取引をすることができなくなるのです。
この場合、10万円の証拠金をもとに1ドル100円で1万米ドルを買ったとき、1ドルが93円99銭以下になると強制決済されることになります。実際は、FX取引各社が独自に設けたルールによって、それ以前に強制決済されるケースがほとんどです。外為オンラインの場合は、各通貨ペアごとに取引証拠金の額が設定され、有効な証拠金がその25%~100%を下回ると、強制決済される仕組みになっています。
レバレッジや委託証拠金については、ここまで見たように計算方法も複雑で、実際に「どこまで下がったら強制決済されるか」を考えながら取引するのは現実的ではありません。レバレッジが最大50倍、25倍といっても、最大レベルまで投資金額を膨らませるのは愚の骨頂といえるのです。
初心者の方は、まずレバレッジ1~2倍、最大でも5倍程度の取引を心がけるべきでしょう。さらに、FX取引会社に強制決済されるまで、損失を放置しておくということ自体、絶対に避けるべきです。
「1万円の損失が出たら取引をやめる」
「為替レートが2円、予想と反対方向に動いたら損失確定する」
など、自分なりに「損切り」のルールを決めて、それを厳格に守りましょう。

図4

お金を儲けたいと思って投資したのに、大きな損失を出してしまうのは、大変悔しいものです。しかし、悔しさや「いつか儲かる」といった漠然とした期待だけで損失を放置するのは、非常に危険です。
損失がある一定以上に膨らんだら、自ら進んで損失を確定する。「損切り」ができない人はFXをやらないほうがいい。厳しいようですが、これこそがFX投資のもっとも重要なルールといえるのです。

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