中高年の皆さまのなかには、グローバル・ソブリン・オープン(いわゆるグロソブ)など、外国債券型の投資信託を保有している方も多いでしょう。
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- 中高年から始めるシンプルトレード法 第2回:雨夜恒一郎
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■グロソブの功罪
中高年の皆さまのなかには、グローバル・ソブリン・オープン(いわゆるグロソブ)など、外国債券型の投資信託を保有している方も多いでしょう。グロソブ(毎月決算型)は、高利回りの外国債券に投資するというわかりやすさと、毎月分配というお得感が受けて人気が沸騰し、一時は総資産が5兆円を超える日本最大のファンドとなりました。
しかし、2007年の金融危機発生以降の急激な円高と、高額の分配金のおかげで基準価格は低下し続けており、5月31日現在で、基準価格は5346円と半値近くになっています。
また、世界的な金利低下を受けて、分配金も設定当初の50円前後から一時30円まで引き下げられました。これにともない、総資産もリーマンショック前の2008年7月ごろをピークに減少し始め、最近では2兆円台まで落ち込んでいます。
1997年の設定以来、累計で6871円の分配金(ただし課税前)を出していますので、設定当初に投資した人は純損失にはなっていませんが、信託報酬が高い(年率1.3125%)こともあり、ベンチマーク(シティグループなどの世界国債インデックス)と比べて、アンダーパフォームとなっており、その差は開く一方となっています。 また、分配金も設定当初と比べて引き下げられていますので、途中で投資した方々の多くは、おそらくネットで含み損となっているはずです。
今年は、「ドル/円」が一時76円台に下落するなど、円高が進行したこともあり、怖くて基準価格を見ていないという方も少なくないでしょう。しかし、現実はこの通り厳しい。当面は金融危機前のような円安トレンドに戻るとは考えにくく、基準価格の大幅な回復は望み薄です。
しかし、解約するとなると、月に3万5000円の分配金(1000万口保有の場合)が入ってこなくなってしまいます。定年でリタイヤされた方などで、グロソブの分配金を生活費に組み入れているため、切るに切れないという方も多いでしょう。
■グロソブの円高リスクをヘッジする
そこで、グロソブを保有したまま、FXを使って最悪の場合、つまり、超円高の際のリスクをヘッジする方法を考えてみましょう。
グロソブは、最近では日本国債にも投資していますが、ポートフォリオの大半を外国のソブリン債券に、為替ヘッジなしで投資していますので、基本的には円高になれば、基準価格は下がってしまいます。ポートフォリオの内容は下記のグラフの通りですが、英ポンド、デンマーク・クローネ、スウェーデン・クローナ、ノルウェー・クローネはおおむねユーロと連動しているので、大雑把にいえば、6割がユーロ、2割が米ドル、残りの2割が高金利通貨と考えればいいでしょう。
つまり、グロソブの時価の6割の「ユーロ/円」と2割の「ドル/円」、それと「カナダ/円」と「豪ドル/円」を1割ずつ売り建てれば、グロソブのもつ為替リスクはほぼ相殺されることになります。
もっとも、最近の為替相場の状況は、円の独歩高というよりはドルの全面安に近く、「ドル/円」では円高ですが、欧州通貨に対しては円安気味の推移です。
また、豪ドルが対ドルで変動相場制移行後の最高値をつけるなど、高金利通貨はむしろ人気化しており、原油高などを背景に、資源国通貨も将来有望と見られています。したがって、すべての通貨を売り建てる必要はなく、さしあたってリスクが高い米ドルの部分だけをヘッジするという手もあります。相場観や見通しがあるならば、裁量で各通貨のヘッジ率を加減してみてもいいでしょう。
ただし、この場合のFXのポジションは、あくまでグロソブの為替リスクに対するヘッジであり、グロソブの基準価格の変動とFXの損益を一体として考える必要があります。FXで利益が出ているからといって、勝手に利食いを入れるわけにはいきません。逆にFXで損失が出ている場合というのは、グロソブの基準価格が上がっている可能性が高いので、FXだけ損切りしてしまうと、ヘッジの意味をなさなくなってしまいます。
このため、証拠金不足で強制ロスカットとならないように、レバレッジは低めに抑えておくことが重要となってきます。■グロソブをFXで模写する
いっそのこと、グロソブを解約してしまい、FXを活用して、グロソブとほぼ同じ通貨ポートフォリオを構成するという手もあります。上記とは逆に、ユーロを6割、ドルを2割、カナダドルと豪ドルを1割ずつ買い建てれば、少なくとも、為替リスクに関しては、グロソブに近いポジションをとることになります(実際には、グロソブの基準価格には債券価格の変動も影響します)。
グロソブには見切りをつけたいが、円安に戻る期待も捨て切れないという方にはおすすめの方法です。証拠金を2割程度入れておけばいいので、残りの8割を成長分野に投資するなどして、資金効率を高めることもできます。
ちなみに、ユーロを5万通貨、ドルを2万通貨、カナダドルと豪ドルを1万通貨単位ずつロングしたとすると、月間のスワップ収入は約7000円になります(本稿執筆時点6月17日のスワップポイントで試算)。グロソブ1000万口に対する分配金3万5000円と比べればもの足りないですが、債券相場の下落リスクがないことを考えるとやむを得ないでしょう。
もちろん、グロソブと同様、円が全面高となれば大きな損失を出してしまうことになります。ただ、グロソブの場合、損切りするにも時間がかかりますが(換金受付日の翌営業日の基準価格を参照、代金支払いは5営業日目)、FXの場合はリアルタイムのレートで機動的に売買することができますし、ロスカットオーダーを置くことにより、損失を一定限度で食い止めることもできます。また、低金利通貨・不人気通貨を段階的に外し、高金利通貨や人気通貨に入れ替えていくことにより、時勢にマッチしたポートフォリオを構築することも可能です。
グロソブは絶対的に不利とまではいいませんが、少なくとも、現状のような低金利・円高の環境ではじり貧となることは避けられません。取引コストが安く、機動性・流動性が高いFXを活用することにより、リスクを適切にヘッジし、事態を打開することを検討してみてはいかがでしょうか。






