及川:今井さんが衆議院議員になったら、FXの税制が変わるという噂が流れていました。 今井:仕組みが同じ金融商品なのに、税率が違うのはおかしいだろうと単純に思っていました。
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- 及川佳奈子の「この人に聞く」 第1回:及川佳奈子
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FX単体で税制変更はおそらく不可能だった
及川:今井さんが衆議院議員になったら、FXの税制が変わるという噂が流れていました。
今井:仕組みが同じ金融商品なのに、税率が違うのはおかしいだろうと単純に思っていました。私自身、店頭でも取引所でもトレードしていましたが、損益を合算できないんですよね。すごく変だし、使いにくかった。税は公平性が一番大事ですから、そこをなんとか正したいと。
1年半くらい前、議員になってすぐ財務金融委員会で最初に質問したとき、税制が公平じゃないことと、店頭取引が全体の9割を占めていることを話しました。でも、そのことをほとんどの人が知らないわけです。
次に成長戦略の話になったとき、最初の段階では金融は含まれていませんでした。数人の金融畑の人たちと一緒になって、最終的に金融も入れてもらったんです。この成長戦略に合った税制の見直しということになり、店頭デリバティブの損益通算などと一緒に、FXの税制見直しも盛り込んでもらいました。
一度流れそうにもなりましたが、最終的にはなんとか通りました。運が良かったんだと思います。はっきりいって、FXに興味がある人なんて誰もいなかったんで、これ単独で通そうとしてもうまくいかなかったと思います。
財務省は減税など税収が減る政策には基本的に反対します。逆に、金融庁は成長戦略の段階でとても前向きでした。今回のFX税制の改善について、財務省はそれほど大きな影響はないと判断したんでしょうね。
及川:FXをやっている人にとっては、この変更はとても大きな影響があると思います。私の周りでは、今井さんの働きかけがあったからだとみんな思っていますよ。
今井:僕が議員になっていなかったら、たぶん変わっていなかったでしょうね。なぜなら、みんなFXに興味がないし、知らないんですから。
及川:OTCの税率が20%になり、損益通算も可能になりますが、くりっく365などの取引所取引がどうなっちゃうんだろうという素朴な疑問があります。
今井:それは私にはわかりません。くりっく365は基本的に手数料を取るシステムなので、取引所の安心感で勝負していくべきだろうとは思います。私はあくまでも投資家にとって、公平で簡素な税制としたかっただけですから。
金融庁の規制前に自主規制していれば
及川:投資家のもうひとつの関心事として、レバレッジ規制があります。
今井:税制は明らかに不自然で、それなら正しく直そうという方向になります。しかし、適正なレバレッジが何倍かという問いに答えはありません。人それぞれです。国によってもバラバラです。
私個人としては50倍くらいがちょうどいいと思っていて、5年前からレバレッジ規制はすべきといい続けてきました。当時は100倍くらいのところが多かったのですが、自主規制せず、なんでもあり状態のままだと、そのうち200倍、300倍、500倍とエスカレートしていきますよと、いくつものFX会社さんに意見してきました。そうなると、賭博性が強すぎて、間違いなく金融庁主導で規制が入りますよ、と。そうなる前に業界内で自主的に規制をするべきだったんです。自主規制の場合、ある程度融通をきかせることもできます。しかし金融庁の規制は徹底的ですからそうはいきません。
でもこの業界って、証券系、短資系、IT系とさまざまな会社があって、一枚岩ではないんです。結局、レバレッジはどんどん高くなって、そのうち金融庁から本当に規制が入ってしまいました。この規制は私が議員になったときにはすでに決定していたんで、どうにもなりませんでした。
日本は構造的に不景気だと通貨高に
及川:最近、急激に円高が進行していますが、その点についてはどうお考えですか。
今井:まず、円高は日本の経済にとって大きなマイナスなので、是正されるべきものです。このことを財政金融委員会で質問したところ、翌日に為替介入しましたよ。
及川:私は今井さんの一言で介入が決まったのかと思いました。
今井:いやいや、偶然ですよ。ただ、白川(方明)さんや野田(佳彦)さんと話していて、明日に介入くるなという感じはしました。そこでトレードすると何をいわれるかわからないのでやりませんでしたが(笑)。
及川:そんなことがあったんですね(笑)。政府としても今の円高をどうにかしなければいけないという意識なんですね。
今井:ただ、僕はいつもいってるんですが、日本という国は基本的に経常収支が黒字で、毎日、毎日少しずつお金が入ってきます。出ていくお金より、入ってくるお金が多いので、円という通貨は構造的に円高になりやすいんです。人民元も同じですね。すごく黒字な通貨ですから、外からどんどんお金が入ってきて人民元に替えるわけですから、放っておけばどんどん強くなっていく。これは経常収支が黒字の国の通貨の宿命です。
では、どんな条件のときに円安になるのか。それは再投資が行われる場合です。一回入ってきたお金が海外に資本輸出されるケースですね。それこそFXで円売りしたり、ドル債を買ったり、海外の株を買ったり、こういった動きが活発になると円安になります。
日本は不思議な国で、景気が良くなると通貨が弱くなります。景気が良いとリスクが取れるようになり、海外投資が促進され、その結果、円安になります。バブルのときがまさにそうでした。株が上がって、円が安くなる。ふつうに考えると逆なんですけどね。
今は日本も世界もみんな景気が悪いですが、こういうときは円高になりやすいんです。リーマンショックのときも、サブプライムのときも、バブルが崩壊したときもそうでした。投資行動が停滞するうえ、海外に投資しているお金を危ないから日本円に戻しておこう、みたいな動きが起きて、どんどん円が高くなっていきます。非常に一般的にいえば、リスク許容度が低くなると円高になるということです。積極的に海外に投資していこうというマインドを盛り上げないと、なかなか円高は終わらないんですよ。
逆に経常収支が赤字の国は、景気が悪いと通貨が弱くなりやすいんです。典型例は米ドル。アメリカはものすごい赤字国なので、放っておくと通貨が安くなりやすい。ただ、今は物価が高くないので、景気のためには通貨が安いほうがいいので、アメリカにとってドル安はOKです。でも、これからインフレが進むようだったら、ドル安は困ってくるのですが。
及川:今後、どのようなときに円安になるのでしょうか。
今井:将来的な可能性のひとつとして、キャピタルフライトがあります。たとえば、日本の借金が多くなりすぎて、にっちもさっちもいかない状況になったとき、積極的な海外投資ではなく、資本の逃避というかたちで海外投資が進めば、とんでもない円安になります。よく評論家の方々がいっている「財政破綻して、国債が暴落して、急激な円安になる」というのはこのことです。
ただ、今のように安定している状況では、このキャピタルフライトは起きないでしょう。積極的な海外投資を誘発して、自然に円安にもっていきたいところですが、そのためにはいろいろなことにチャレンジしなければいけない。
だから、私は日銀に、異常なまでの金融緩和をするなど、やれることをすべてやってほしいといっています。こういった政策は、学者の間でも有効かそうじゃないか意見がわかれていますし、やってみなければわからないです。効果の有無を議論するより、まずやってみたらいいんです。海外投資の利息や配当に対する減税なんてどうでしょうか。
もういいだろうはとても危険!
及川:今FXをやっている人たちは、どういった点に注意してトレードをするべきでしょうか。
今井:まず、今だけの話ではありませんが、外貨を買って円を売ることだけしかできない人は、FXをやらないほうがいいです。相場で上がると下がるのを両方とも狙えないのなら、片手をもぎとられているみたいなものですから。今のような状況で円売りしかできない人は、見ているしかないですからね。
あと「もうそろそろいいだろう」というものは相場にはあまりありません。「米ドル/円」が76円台というのは、誰も一度も見たことがない相場です。だから、これがどこまでいくのかも、誰にもわかりません。76円だからそろそろ上がるだろうと思うと、70円を割り込むかもしれません。
もうひとつ、相場を考えるとき、常に時間軸を意識してください。時間軸を無視した予想はいつかは当たるものですが、そのいつかがわからないと意味がありません。円安になる、円安になるといい続けていれば、いつかはその通りになりますが、大切なのはそれがいつなのか。チャートでは時間がx軸、価格がy軸になっていますが、よくできていると思いますよ。

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