高金利と高成長が魅力の新興国BRICsのなかでも一番の注目株、ブラジル。2014年開催のサッカー・ワールドカップと、2016年開催のリオデジャネイロ・オリンピックを控えて、個人投資家の人気も非常に高まりました。
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- 中高年からのFX 新興国通貨とのつき合い方:雨夜恒一郎
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盛り上がったブラジル投資
高金利と高成長が魅力の新興国BRICsのなかでも一番の注目株、ブラジル。2014年開催のサッカー・ワールドカップと、2016年開催のリオデジャネイロ・オリンピックを控えて、個人投資家の人気も非常に高まりました。
ブラジル株の投資信託やブラジル・レアル建ての外債も多数売り出され、レアルは今年7月には対ドルで1.5225付近と変動相場移行後の最高値を記録しました。ブラジルには年初から7月までで、昨年1年間の約2倍に当たる500億ドルものホットマネーが流入(昨年は1年間で244億ドル)したそうです。
レアル急落
しかし、そのレアルがこのところ急激な下落に見舞われています。レアルは本稿執筆時点(9月中旬)で、対ドルで一時1.79台をつけ、7月の最高値からの下落幅はおよそ18%に達しました。
レアルが下落し始めたきっかけは、マンテガ・ブラジル財務相が7月27日に打ち出した為替取引の規制策です。機関投資家などによるドル売りの持ち高から、買いの持ち高を差し引いた金額に1%課税する施策ですが、レアル高の進行に合わせて25%まで引き上げ可能な仕組みとなっています。この規制の発表を受けて、レアルは2週間で8%あまり下落しました。
予想外の利下げ
さらに、8月31日にブラジル中銀は2年ぶりに政策金利を0.5%引き下げました(12.5%→ 12.0%)。利下げは大方の予想外で、おりからの欧州債務懸念・リスク回避の流れと相まって、レアルの下落は一段と加速しました。
市場では、ブラジル中銀は今後も利下げを継続するとの見方が多く、年内に政策金利は11.0%まで低下するとの見方も出ています。また、ブラジル中銀はドル買い・レアル売り介入を頻繁に行っている模様です。
ブラジル政府と中銀は昨年から、海外からの債券投資への6%の課税や、国内企業の海外での資金調達制限など資金流入対策をとってきましたが、上記の強硬策と合わせてようやく効果が上がり始めたようです。ブラジル株も値下がり
しかも、世界的な景気減速懸念や信用不安を背景に、ブラジル株は今年に入って一時30%あまり下落しました。ブラジル株投信やレアル建て外債も大幅に値下がりしており、日本の個人投資家も大きな含み損を抱えたと見られます。今後、恐怖に駆られた投資家が売りに回れば、さらにレアル安・株安が加速するリスクも排除できません。

新興国通貨投資は余裕資金・低レバレッジで
では、個人投資家は新興国通貨とどうつき合えばいいのでしょうか。リスクの高い市場なので、一般の投資家は手を出すべきではない?筆者はそうは思いません。先進国が軒並み低成長・低金利政策を強いられるなか、新興国市場は依然として魅力のある投資先であり、タイミングさえ間違わなければ、中長期的に大きなリターンをもたらすと考えているからです。
前述の通り、新興国市場は欲望と恐怖が支配する市場であり、山高ければ谷深しとなるのは不可避です。また、為替市場の規模が小さく、政府・中銀の影響力が相対的に強いため、今回のレアルのように政策によって相場が大きく動いてしまうのも新興国通貨のリスクです。
したがって、まず新興国市場への投資は余裕資金で行うことが鉄則。いくら高金利が魅力的といっても、資産の大半を新興国に投じるのは愚の骨頂です。また、短期的なブレで簡単にロスカットに引っかからないように、レバレッジを低めに抑えることが重要です。ロングに偏った市場
予想外に利下げしたとはいえ、ブラジルの政策金利はまだ12.0%あり、インフレ率(6%台後半)を差し引いた実質金利でも、主要国で断トツの高水準です。極端なリスク回避局面ならともかく、平時であれば、誰しもレアルを買って、この高金利を受け取りたいと思うでしょう。逆に、二ケタの金利差を払いながらレアルを売り続けるというのもなかなか厳しい選択です。超高金利通貨の場合、極端にいえば、買うか買わないかの選択であり、ロングポジションが多く、ショートポジションが少ないのが特徴です。
たとえていえば、風船を膨らませるようなもので、これ以上膨らまないところまで膨らめば、いつかパンクしてしまいます。積み木をどんどん高く積み上げていくと、いずれ崩れてしまうのにも似ています。風船がパンパンに膨らんでいるとき、積み木がうず高く積み上がっているときに買いから入ってしまっては、いつか暴落に巻き込まれてしまいます。
相場が熱狂的に上昇し、メディアが強気を煽っているとき、市場のポジションは一方的なロングに傾いており、株価急落や突然の政策変更など不測の事態に対して脆弱となります。こういうときには、新たに買うよりも、ロングポジションを徐々に縮小していくことを検討するべきなのです。後講釈になりますが、ブラジル市場への資金流入が記録的水準となった今年前半は、まさにそうした熱狂の状態だったといえます。リーマンショックも一年で克服
逆に、リスク回避局面では新興国通貨を売り、ドルや円など低金利・低リスクの通貨へ逃避する動きが強まりますが、そうした動きも未来永劫に続くわけではありません。人間の貪欲さや不労所得願望は決して消え去るものではなく、市場が正常な状態に戻れば、投資マネーは自然と高成長・高金利の市場に吸い寄せられていくものだからです。
たとえば、ブラジル・レアルは2008年9月のリーマンショックをきっかけに、その年の年末までに対ドルで70%近くも下落しているのですが、その後、わずか1年弱でほぼ元の水準に戻しています。悲観の行き過ぎをとらえる
悲観ムードが支配的となり、市場が極端なリスク回避状態にあるときは、往々にして相場は売られ過ぎとなっており、中長期的に見ると買い場であることが多いのです。市場が極端なリスク回避状態にあるかどうかを見極めるのは難しいですが、ひとつの目安としてよく用いられるのが、株式市場の恐怖指数といわれる「VIX指数」です。
これは米国S&P500採用銘柄のオプションのボラティリティを指数化したものです。先行き不透明感が強く、投資家が不安を感じているときは保険としてオプションが買われますので、VIX指数は上昇します。一般的に20を下回っているときにはリスク選好、30を超えてくるとリスク回避状態といわれますが、40を超えてくると悲観のいき過ぎ、つまり、陰の極といわれています。経験則的に、VIXが伸び切って反落し始めた局面が、ハイリスク通貨の絶好の買い場であることが少なくありません。
このように、新興国通貨とうまくつき合うには、余裕資金の範囲内で投資すること、レバレッジを抑えること、高値を買わないこと、それと長期的なスタンスで臨むことが肝要です。
現在ブラジル・レアルや南ア・ランドなど新興国通貨は軒並み急落中ですが、人のいく裏に道あり花の山という格言もあります。VIX指数などを参考にしながら、じっくりと買い場を探ってみてはいかがでしょうか。
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