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テクニカル分析はひとつだけを使うと、どうしても騙しが多くなるため、相場を予想するときには、複数の分析を組み合わせて使うのが一般的です。ただし、その組み合わせはそのときの相場状況や通貨、そして、期間によってもそれぞれ異なるもので、どれがもっとも適しているといえるものはありません。

最強FX基礎講座 第38回:岡安盛男
最強FX基礎講座 第38回:岡安盛男

テクニカル分析はひとつだけを使うと、どうしても騙しが多くなるため、相場を予想するときには、複数の分析を組み合わせて使うのが一般的です。ただし、その組み合わせはそのときの相場状況や通貨、そして、期間によってもそれぞれ異なるもので、どれがもっとも適しているといえるものはありません。そのときどきでいろいろなテクニカル分析を自分で試すという以外に方法はありません。
そこで今回は、ユーロを例に、どのような分析が今後の相場予想に適しているのかをみていくことにします。現在は10月中旬時点での「ユーロ/円」の予想を行うものですが、あくまで今回のテーマはテクニカル分析の使い方を見ていくものであるということをご了承ください。

ギリシャのデフォルト危機のなかでユーロの混沌とした動きは続く

ギリシャのデフォルト懸念が欧州の金融危機に拡大し、ユーロが9月以降大きく下落に転じました。同時に、米国景気減速懸念も強まることから、ユーロとドルの不美人コンテストと化しました。
基軸通貨のドルに対して、第二の基軸通貨として誕生したユーロの行方は、今後も混沌とした動きが続くのは間違いなさそうです。その難しいユーロの動向を予想するには、どのようなテクニカル分析を使えばよいのか。ここでいくつか試していきたいと思います。

欧州債務問題は簡単には解決できない

その前に、今の欧州におけるファンダメンタルズからみた状況を簡単に頭に入れておくことにします。欧州債務問題は簡単に解決できる問題ではなく、今後、欧州大手銀行は資本の増強を強いられるなかで、その資金の調達が難しければ貸し渋りの動きが強まり、景気の後退を招く可能性が高まります。
また、EFSFの機能拡充案が17カ国のすべてで承認を得たものの、その規模の拡大や資金の出し手なども含めて、問題はまだ残ります。ギリシャがデフォルトに陥れば、スペインやイタリア、さらには、フランスまでその影響は大きく、拡大すればユーロそのものの信用が失墜しかねません。

ギリシャのデフォルトがユーロの買い材料に?

市場の多くがギリシャのデフォルトを回避するのは難しいと考えていることから、そのためにも、EFSF機能拡充が必須条件となります。
一部では、ギリシャが実際にデフォルトしたほうがユーロにとっては寧ろ買い材料ととらえるところもあり、デフォルトの瞬間はユーロ売りが加速すると思われますが、その後の戻しの動きに早くついていけるようであれば、寧ろ為替収益を上げるチャンスと考えることもできます。さて、このような動きを先ず頭に入れておき、テクニカル分析をしていきたいと思います。

レジスタンスとサポートレベルをあらかじめチェックする

今回の注目する通貨は「ユーロ/円」です。最初に上か下のどちらかに振れるとした場合に、そのレジスタンスとサポートのレベルをあらかじめチェックしておきます。
先ずは、下落したときのサポートレベルを見つけておきましょう。「ユーロ/円」は、今年の10月3日に100円75銭まで下落し、このレベルは2001年6月以来の安値となります。
ユーロが誕生してからの「ユーロ/円」の最安値が2000年10 月26日につけた88円85銭で、高値が2008年7月23日につけた169円95銭でした。この76.4%戻しにあたるレベルは108円で、すでにこのレベルを下回りました。次のサポートとなるのは、最安値の88円85銭までとくにみあたりません。

フィボナッチ・エクステンションを用いる

そこで、100%の88円85銭を下回るレベルをみるには、フィボナッチ・エクステンションを用いて、次のサポートを探ります。直近のサポートとなるのは127.2%戻しの67円付近となり、さらに、その下には161.8%戻し40円が視野に入ります。
さすがに40円というのは現実的ではなく、67円が最大に下げたときのレベルになるとみておきます。「ユーロ/円」では新たな安値の領域となりますが、「ユーロ/ドル」でみると、まだまだ下落の余地があります。最安値の0.8230(2000年10月)から最高値1.6035(2008年7月)の38.2%戻しにあたる1.31付近に現在(10月20日)踏み止まっています。リーマンショック後の安値1.23ドル台と比較してみると、今の「ユーロ/ドル」のレベルはまだまだ高いレベルにいるといえます。

大きく下落したときのサポートの想定がチャンスを上手くとらえることになる

もし、ギリシャが破たんするとなれば、ユーロは対ドルでその瞬間は大幅な下落になることは避けられないでしょう。そのときは同時に、リスク回避の動きが強まり、クロス円が全面安となり、「ドル/円」も下落する可能性が高まると考えられます。
ただし、リスク回避の動きは同時にドル買いが進むことにもなり、「ドル/円」の下げは限定的とみます。そうなると、「ユーロ/ 円」は、「ドル/ 円」と「ユーロ/ドル」のかけ算通貨ですから、下落速度が倍以上に加速するため、大きな下落になりかねません。
要するに、大きく下落したときのサポートをあらかじめ想定しておくことが、チャンスを上手くとらえることにもなります。それは同時に、底をつけてからどこまで戻すか予想するヒントにもなります。
上値もまったく同じことです。もし、欧州債務危機回避の動きが強まったときには、「ユーロ/円」はリスク選好の動きから大きく上昇する可能性もあります。ただし、この問題は、先に述べたように、簡単にすべてが解決するものではないことから、下値リスクよりも上昇のリスクはそれ程大きくないと考えられます。

上値の目途をいくつか頭に入れておくと利食いのレベル感が備わる

それでも、上値の目途をいくつか頭に入れておくことで、利食いのレベル感が備わるようになります。フィボナッチ・リトレースメントで測ると(図1)、最初のレジスタンスは50%戻しの112円となります。このレベルは直近の「ユーロ/円」の下落が始まったレベルでもあり、もっとも意識されるレジスタンスになります。

図1

その次の61.8%戻しの115円付近というのは、何度かサポートレベルになったところでもあり、いったんは利食いのレベルになりそうです。もっとも強いレジスタンスが76.4%戻しの118円となります。このレベルは6月から7月にかけて上値を完全に抑えられたレベルだけに、このレベルを超えるのはかなり難しいと考えてよいでしょう。
さて、いよいよ上昇か下落のどちらに今後進むのかを探りにいきましょう。

ユーロは上昇か?下落か?一目均衡表

将来の動きを立体的に現わす一目均衡表の日足チャートを使って、今後の動きをみることにしましょう(図2)。一目均衡表では基準線と転換線、そして、雲の動きが重要になります。

図2

これをみると、10月14日に緑色の転換線を赤の基準線が下から上にクロスしています。これはゴールデンクロスと同様に、上昇に転換したことを示すものですが、同時に17日には雲の下限でローソク足が跳ね返されて下落に転じています。
また、雲がこの頃から下落し始めているうえに、厚さを増していることがわかります。さらに、下降トレンドラインを結局抜け切れずに押し戻されたことから、下値リスクのほうが強いと読むことができます。このゴールデンクロスは騙しのサインとみるほうが良いかもしれません。
また、遅行線が実勢レートを下回ったことで、これも下落のサインとなります。相対的にみると、下落トレンドが継続するとみることができます。

ストキャスティクス

ストキャスティクスは、売られ過ぎや買い過ぎを判断するための指標で、オシレーター系を代表するテクニカル指標です(図3)。この原理は、統計学で過去の一定期間の最高値と最安値に対し、今の実勢レベルがどのくらいの水準になるのかをパーセンテージで現わします。

図3

ゼロ%に近くなるほど売られ過ぎ、100%に近くなるほど買われ過ぎということになります。さらに、%Kと%Dといった二つの速度の異なるラインを比較してみることで、騙しをできるだけ減らすことができます。
この2本の線がクロスする地点が相場の転換を示すもので、このチャートをみると、%Kが%Dをほとんど100%近いレベルで上から下に抜けているのがわかります。従って、ストキャスティクスでみると、上昇から下降に転じたという見方ができます。

MACD

前項のストキャスティクスと同様に、MACDは売られ過ぎや買われ過ぎを現わすオシレーター系テクニカル指標です。この指標は移動平均線をベースに計算されたもので、トレンドの形成時を見極めるときには非常に有効とされています。

図4

MACDは2本のEMA(指数平滑移動平均)の乖離率によって求められることから、ゴールデンクロスやデッドクロスなどと同じ意味と考えてよいでしょう。そのクロスするポイントは差がまったくなくなるため、数値はゼロになります。従って、MACDがゼロから上に出たときが上昇トレンド、下に抜けたときが下降トレンドの始まるサインとみます。
MACDにはトレンド判断以外に、売買ポイントを見極めるという特徴があります。それは、MACDの数字を移動平均した補助線であるシグナルと呼ばれる線と一緒にみていきます。MACDをシグナルが下から上に突き抜けたときが買いサイン、反対に上から下に抜けたときが売りサインとみます。

パラボリック

この指標もオシレーター系の代表的なもので、トレンドの転換として売りから買い、買いから売りへのドテン(途転)のサインとして使います。パラボリックとは放物線という意味で、実勢レートとこの放物線がクロスしたときが売買の転換を現わします。

図5

その転換ポイントをStop andreverse の頭文字をとってSARポイントと呼びます。日足ではすでにMACDとほぼ同様に10月7日に上昇のサインに転換しました。しかし、週足チャートでは今週(10月17日の週)に買いのサインに転換しました。

「ユーロ/円」の今後の動きは

さて、これまでのテクニカル指標が示す「ユーロ/円」の今後の動きを纏めてみることにします。

図6

以上の結果を見ると、短期的には上昇傾向が続くものの、中長期では下落の可能性を示しているということになります。

「ユーロ/円」のシナリオ

これらの動きを元に今後の予想をするとすれば、最初に求めたフィボナッチ・リトレースメントで求めたレジスタンスである50%戻しにあたる112円付近、あるいはそのレベルを越えて61.8%戻しの118円付近をつけてから下落に転じるとみます。
そして、今度サポートレベルとなるのがそれまでの安値であった100円73銭であり、そのレベルを超えれば史上最安値の88円85銭となります。さらに、底から下落するとなれば、フィボナッチ・エクステンションで求めた127.2%戻しの67円という目標が意識されることになります。
実際に、このようなシナリオが正しく機能するかどうかというのは別にして、ファンダメンタルズと照らし合わせながら、今後の動きをイメージしていくということは、FX取引、とくに、ポジショントレードなどのような長めのポジションをキャリーするようなときには必要です。
また、途中でシナリオが間違っていると思ったら、素直にいったん中断して、再度、新たなシナリオをつくり直していくということを繰り返します。それが、リスクを最小限にとどめて収益を増やすことに繋がるものです。

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