為替相場の70%から80%はレンジ相場、つまり、もみ合い相場だといわれています。ゆえに、レンジ相場を制することができれば、勝率は飛躍的に高まるのではないでしょうか。
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- レンジ相場の攻略法 第1回:井手慶之
- レンジ相場の攻略法 第1回:井手慶之

為替相場の70%から80%はレンジ相場、つまり、もみ合い相場だといわれています。ゆえに、レンジ相場を制することができれば、勝率は飛躍的に高まるのではないでしょうか。
今月号から数回にわたって、プロトレーダーの井手慶之さんにレンジ相場攻略法を解説していただきます。為替相場の動きが変わってきた!
2008年のリーマンショック以降、FX相場の動きが以前と少し変わってきていることにお気づきでしょうか?世界的な経済危機を経て当然といえる結果なのですが、実際に動いたレート以上にチャートがそれを物語っているようにも思えます。
簡単にいうと、以前と同じ値幅で動くにしても、そのレートに到達する間の動きが非常に乱暴な動きをするようになっていると思います。トレンド相場やレンジ相場というのは以前からあるのですが、リーマンショック以降はトレンド相場、レンジ相場問わず、短い時間で大きく乱高下した結果、ろうそく足も長めのヒゲをつけることが多くなる傾向にあります。損切りにかかりやすくなった
そして、この乱暴な動きのなかでレンジを形成することも多くなってきました。これが何を意味するのかというと、設定したストップ(損切り)にかかりやすいことを意味します。
同時に、意識されるレジスタンス(抵抗線)やサポート(支持線)をつける際にも、大きくオーバーシュートしますが、結果的には、ヒゲで引ける(戻る)ことも多く、これが現在のトレーダーを悩ませる一番の要因だと思います。正しい知識や相場観が不可欠
このような乱高下の原因は、やはり、投資家の経済に関する危機感があり、不安材料に敏感になっている結果です。このような相場環境のなかでわれわれトレーダーが勝ち残っていくためには、正しい知識や相場観をもってチャートと向き合い、テクニカル分析を行う必要があります。
チャート(テクニカル)は、ファンダメンタルズや市場心理などすべてを織り込むといわれているだけに、テクニカル分析が重要であり、最近多いレンジまたは持ち合い相場で形成されるチャートパターンや値動きは、まさに市場心理を反映しているといえます。
今回は、レンジのひとつのトレードパターンを紹介します。どのポイント(レート)が意識されているかが重要
テクニカル分析を行ううえで私は、基礎をもっとも重視しています。まず、チャートを見るうえで重要なのは、どのポイント(レート)が意識されているかです。
意識されるポイントのことをレジスタンス(抵抗線)とサポート(支持線)と呼ぶのですが、トレンドができているときは、これらのレジスタンスやサポートは比較的簡単にブレイクされます。逆に、レンジ相場では何度も上下のレジスタンスとサポートで止められ、この二つのラインの間を上下します。
そういう意味では、トレンド相場よりも明確に止められるポイントを把握できるのです。図1を見てください。これはレジスタンスとサポートを示した一例ですが、レートがAゾーンにあるときは、ラインⅠがレジスタンスとなります。
そして、ブレイクポイントa部分で上にブレイクされた後は、レジスタンスがサポートに変わり、そして次に、ラインⅡがレジスタンスとなるのです。その後、図1ではBゾーン内でレンジを形成しています。
レートがAゾーンにあるときには、レジスタンスはすぐにブレイクされてしまうため、本当に意識されているのかは不明ですが、Bゾーン内のレンジ相場では複数回止められているため、意識されていることは明確です。レンジオーダー
複数回止められているレンジ相場では、レンジ下限のサポートで買い(赤矢印)、レンジ上限のレジスタンスで売り(青矢印)といったトレードが可能なのです。このレンジ内でのオーダー方法をレンジオーダーと呼びます。
実際に、このレンジオーダーを使って上手くレンジ相場で利益を上げているトレーダーもいます。ただし、レンジ相場はいつかブレイクされます。
図1でもブレイクポイントbでレジスタンスをブレイクしています。仮に、このブレイクポイントであるレジスタンスで上値が止められると判断して、売りトレードを行った場合には、当然、損失となります。
トレンド相場でのトレードにおいても、トレンドはいつか必ず反転します。よって、すべてのトレードにおいて利益を上げなければいけないと思うのではなく、トレンド相場においても、レンジ相場においても、最後は損失を出すということを頭に入れてトレードを行い、すぐに頭を次の相場環境に切り替えることが大切です。
ただ、この損失についても、ある程度回避したいと思うのが人間です。できる限りリスクを回避する方法や考え方を今後説明していこうと思います。レジスタンスやサポートが意識されるわけは?
その前に、なぜレジスタンスやサポートは意識されるのでしょうか?とくに、レンジ相場では何度も止められるため、上下のレジスタンスとサポートは強く意識されています。これは、市場参加者の心理状況や取引行動の結果が値動きとなってチャート上に現れているのです。
まず、図1のブレイクポイントaでレジスタンスが上方にブレイクされました。この時点で何が起こっているのかというと、レジスタンスが意識され、下落すると予測するトレーダーが売りポジションを入れてきます。それとは逆に、このレジスタンスをブレイクすれば上昇すると予測するトレーダーが買いポジションを入れます。
この二つの逆方向のポジションの量で、買いポジションが勝った場合には図中のようにブレイクします。このとき、売りポジションをもっていたトレーダーは当然、損失を出す結果になるのですが、その損失をリカバリーしようと売りポジションを手仕舞って、買いポジションに乗り換えるトレーダーも多くいるのです。
この保有していたポジションを逆方向のポジションに乗り換える取引行動のことを、途転(ドテン)といいますが、まず、保有ポジションを手仕舞う際に、損失確定の買い注文が発生します。そして、新規ポジションを建てるための買い注文も同時に発生するのです。
仮に、1万通貨ペアを取引するトレーダーであれば、ひとつのポジションの乗り換えで損失確定と新規ポジションの計2万通貨の買い注文が発生するのです。また、途転しないトレーダーも損切りとなれば、その分の損失確定の買い注文が発生し、これらの買い注文が積み重なり、相場を押し上げる力となるのです(図2参照)。
その後、上昇して、いったん天井をつけますが、このポイントではそろそろ下落するだろうと新規売り注文と共に、ブレイクポイントaで買いポジションをもったトレーダーの一部が利益確定の売りを行い、下落するといったかたちになります。
そして、レートはレンジをブレイクしたポイントまで戻ってくることになりますが、このレンジ下限のサポート付近では、再び買い注文が台頭してきます。下限付近でおこる取引行動
下限付近でおこる取引行動としては、下へのブレイクを狙った売り注文、そして、最初のブレイクで乗り遅れたトレーダーたちが買い注文を出します。さらに、レンジ上限で利益の確定をしなかったトレーダーにとっては、レンジ下限が損益分岐点となるため、このポイントで買い増すことで、サポートラインを守ろうとする力が働きます。
ここでサポートを下にブレイクすれば、先ほど説明したブレイクアウトのように途転の売りを誘発し、損切り注文を巻き込み、下落する可能性はありますが、レンジ相場となる局面では、上限と下限が強く意識されており、上下にブレイクする材料も乏しいため、逆に守られたところでブレイク狙いの売りに入ったトレーダーが、損失をリカバリーするために途転買いを行い、レンジ上限までレートを押し上げる結果となります(図3参照)。
レンジが形成されてからの時間もポイント
レンジの上限と下限では図3と同じような取引行動が繰り返され、結果的にレンジを形成するのです。ただし、レンジ相場は長く続けば続くほど、ブレイクの際のパワーを溜め込むといわれています。 よって、レンジが形成されてからどのくらい経っているか、もしくは上限または下限を何回くらいトライしているかを確認して、ある程度時間が経ってからはレンジオーダーではなく、ブレイクアウト狙いに切り替える必要が出てくることに注意です。
リスク管理も必要
さて、レンジオーダーのなかでも最後は損失になる可能性があると説明しましたが、レンジ相場は、いつ、どのタイミングでブレイクされるかわかりません。
レンジ相場にしろ、トレンド相場にしろ、最後の損失は避けられないものとしてトレードプランに織り込む必要はありますが、その損失を最小限に抑えるリスク管理は必要になります。
先ほども紹介したように、レンジは長く形成されればされるほど、ブレイク時のパワーを溜め込み、大きくブレイクします。よって、あまりに長いレンジには要注意です。
図1では、レンジ内で5回スイングしています。レンジ内でのスイングが5回以上になると危険信号です。これ以上のレンジオーダーは控えるようにしましょう。また、こうなってくると、レンジオーダーよりもレンジブレイクを狙う戦略にする必要があります。
ただし、レンジブレイクは騙しが多いのも事実で、図1のブレイクポイントbからの買いを考えると不安です。そうなると、理想的なのはレンジがブレイクされる前からブレイク方向を事前に予測でき、そのブレイク方向にのみレンジオーダーを行うことができれば、最後の損失、ブレイクの騙しの両方のリスクを最小限に抑えることができます。レンジが形成される前のトレンドを見る
その方法とは、レンジが形成される前のトレンドを見ることです。トレンド途中で形成されるレンジは、簡単にいえば、調整期間です。必ずという訳ではありませんが、前のトレンドに戻る傾向があります。
図1のように上昇トレンド途中のレンジであれば、レンジ下限からの買い注文(赤の矢印)のみを行うことで、レンジオーダーによる最後の損失と、レンジブレイク狙いの騙しによる損失リスクの両方を軽減できるという訳です。
また、実際レンジを前にすると、本当にレンジが形成されているのか不安になるもので、ましてや、図1中の2回目のスイングのような局面では、まだ上昇トレンドという認識しかありません。レンジ形成初期の段階でも、感覚として前のトレンド方向へのトレンドフォローと同じ感覚でトレードを行うことができるのも利点といえます。
長めの時間足で、レンジ幅が大きいものを探す
今回、ご紹介したのは、レンジ内でトレードを行う方法です。これを60分足以下のチャートで実践しようとすると、レンジ幅が短すぎるため、指標や要人発言、ニュースなどによる一時的な動きで振り回されるリスクがあります。まずは、日足や240分足等の比較的長めの時間足で、かつレンジ幅が大きいものを探すことをお勧めします。
また、実際のチャートを見ると、レンジのスイング数やスイングが理想のかたちとは異なることも多々あるはずです。これは、実際にチャートを見て経験・実感するしかありませんが、基本のパターンをまず覚え、判断できるようになることが重要です。チャートはさまざまなパターンの集合体
次回は、今回紹介したパターンのレンジ上限と下限をもう少し細かく見て、一方向だけではなく、双方向でリスクを抑えながらポジションを取れる、または判断できるチャートのパターンをご紹介します。それは、レンジに関わらずトレンド相場でも使える実践テクニカルです。
チャートはさまざまなパターンの集合体であり、そのパターンをひとつずつ覚え、とにかくチャートを見て慣れること、地道に勉強、研究することが上級者への近道です。トレードの基礎をしっかり勉強すること
トレード以外のことを始めようとするときに、基礎から一つひとつ覚え、ステップを踏んでスキルアップしていく過程を誰しもが経験したことがあると思いますが、なぜかトレードについては、絶対に負けない手法を探し続け、いつか負けない手法が見つかったときに一気に上級者になれると思う新米トレーダーが多いようです。
まず、基礎的なことをしっかり勉強し、トレードにおける引き出しをできる限り増やし、その時々に合わせて、さまざまな引き出しから適切なものを選定し、判断できるようになりましょう。
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