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いつも述べている通り、本欄では執筆時の相場予想を明らかにし、次号で「その結果」を検証する(予想通りとなったか否かを確認する)ことで、各種分析手法の「有効性」や判断材料の質的変化などを検証していきたいと思っている。

これからの外国為替相場の行方:田嶋智太郎
これからの外国為替相場の行方:田嶋智太郎

なおも「ユーロ/ドル」は週足「雲」のなかで推移

いつも述べている通り、本欄では執筆時の相場予想を明らかにし、次号で「その結果」を検証する(予想通りとなったか否かを確認する)ことで、各種分析手法の「有効性」や判断材料の質的変化などを検証していきたいと思っている。
前回の本欄で、筆者は「ユーロ/ドル」の行方について、「あっても1.4200ドル台は戻りの限界になるものと見られる」と述べている。そして、案の定、10月27日に1.4247ドルの直近高値をつけて反落し、11月17日には1.3421ドルの安値をつけるに至った。
つまり、これは前回の本欄でも指摘した一目均衡表の週足「雲」上限と「雲」下限の間を往ったり来たりしたということで、チャート1でも確認できるとおり、目下はこの上限・下限が其々に上値抵抗・下値支持として機能しているというセオリー通りの展開となっている(チャート1)。

図1
ここで考えられるのは、前述した週足「雲」下限=下値支持に到達したからには、いったん反発して再び戻りを試す可能性があるということ。仮に、戻りを試す展開となった場合には、まず、過去6週の値動きすべてに関わっている1.3800ドルというひとつの節目が当座のメドとなりやすく、同水準を上抜けた場合には、あらためて1.4180ドルに位置する週足「雲」上限を試す可能性もあるということになろう。
もちろん、対ドルでのユーロの戻りは、あってもその程度に限られ、なおも大きな流れは下向きであると考えていい。その意味では、いずれ週足「雲」下限を下抜けた場合のことも考えておかねばなるまい。
ここで、あらためてチャート1を眺めてみると、そこにはひとつの転換保ち合いパターンである「ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ(三尊天井)」が形成されている可能性が見出される。ネックラインは、今年1月安値と同年10月安値を結ぶ直線であり、この10月安値以降は、いわば「右肩」を形成している段階と見ることができるのではないか……。
であるとするならば、いずれ「ユーロ/ドル」が週足「雲」下限を下抜けると、まずはこのネックラインが意識されやすくなることであろう。そして、仮にこのネックラインを下抜けた=三尊天井が完成した場合には、それ以降、相当に大きく値を崩す展開となることが予想される。
その場合、中期的な下値メドというのは、いずれネックラインを下抜けた場合に、その時点の水準から今年5月高値とネックラインの間の垂直的な値幅を下方にとった水準と考えるのがセオリー。ということは、少なくとも昨年6月安値=1.1876ドルをも下回る水準ということになる。

いったんは欧州問題が棚上げされる可能性も……

先に、「ユーロ/ドル」について「再び戻りを試す可能性」と述べたのは、単に一目均衡表の週足「雲」下限に到達したからということだけが理由ではない。 ここにきて、ユーロには少々売り疲れ感が漂ってきていることも事実であり、その実、投機筋の売りポジションは過去最高に次ぐ水準となっている。こうなってくると、やはり節目のところではショートカバーが入りやすいものと見られる。
もうひとつは、米国発の材料によって一時的にもドル売り圧力がかかりやすくなる可能性。執筆時、例の超党派委員会による財政赤字削減策についての協議は、11月23日の期限を前にしてなお平行線である。
あの「茶会派」が軸をなす野党共和党は富裕層への増税を認めない。一方、増税なしには医療や年金などに関連する歳出の削減には応じられないとする与党民主党。「反ウォール街デモ」が拡がりを見せるなか、オバマ大統領は確信犯的に野党を煽っている。「景気低迷と財政悪化の主犯は共和党」とのイメージを盛り上げることで、これからの選挙戦を有利に戦おうというハラなのであろう。
今回は、さすがに野党が妥協せざるを得ないのだろうが、そうは問屋が卸さないということもあり得る。どのみち、こうして政局が不安定であり続けるなか、米国の消費者や企業経営者のマインドは落ちる……。先行き不透明は米株価の重しにもなりやすく、一時的にもドル売り材料視されやすい。
振り返れば、今年8月いっぱいまで米債務問題が市場でクローズアップされて、その間、欧州問題が棚上げされ続けた時期というのがあった。

なおも、市場の「暴走」は封じ込められない……

もちろん、米国の政治リスクを材料とする相場が長引くことはない。今年9月以降、一気に欧州問題が再燃し、材料視されたことからもそれは明らかだ。
周知の通り、「ユーロ/ドル」は9月5日の週から一気に値を消す展開となり、10月4日には直近安値となる1.3145ドルまで値を下げて、ようやく反発した。これは、前述した一目均衡表の週足「雲」下限にいったん届いたこととも無縁ではない。
後に、「ユーロ/ドル」は(これも前述した通り)週足「雲」上限を一時的にも上抜ける動きとなって、10月27日に天井を打った。これは、前日26日にEU首脳会議が開催される予定となっていたことから、同会議において事態打開のために有効な具体策が打ちだされると期待されたが故のことである。
しかし……前回の本欄で述べたとおり、「EFSFの規模拡大が最終解決でないことは事実である」し、当時メルケル首相が述べていた通り、「一度の会議ですべてが終わらせられるものではない」ことも間違いない。
そこへ、火に油を注ぐようなギリシャとイタリアの騒動が巻き起こり、結局は、両国の首相辞任と引き換えに財政緊縮策を議会に受け入れさせ、新たに連立暫定政権を発足させるまではよかったが……。財政再建期待に基づくリスク回避ムードの後退はあまりに短命に終わった。
予想していた通り、ほどなくギリシャでは11月17日、財政緊縮策に反対する動労組合や若者による大規模なデモが発生した。また、イタリアでも同様にデモが発生し、経済学者であるモンティ新首相の政治的手腕が疑問視され始めている。
加えて、今度はスペインが市場の標的とされ、これでギリシャやアイルランド、ポルトガル、イタリアに続き、スペインの10年債利回りまでもが危険水域とされる7%突破に迫ることとなった。
果ては、フランスの国債までもが標的とされつつある状況で、これは少々やり過ぎの感もないではない。
ただ、こうした市場の「暴走」を効果的に封じ込める体制は未整備のまま。11月18日、ドラギECB総裁がEFSFの規模拡大について、「決定の実践はどうなっているのか。これ以上待つべきではない」と講演したのは道理であるが、その一方で、ECB自体がもう少し「懐の深いところ(=前総裁にあった建設的なあいまいさ)」を示さないと、なかなか市場の不安が収まらないこともまた事実である。
ことほど左様に、ユーロの問題が難攻不落であることはいうまでもなく、ユーロ売りの大きな流れが止まる日は遠い……。

「夜明け前は一番暗い」近く転機は訪れるか?

そもそも、事ここに及んでなおも米与野党が「政局」にうつつを抜かしていること、加えてドイツが危機対応に及び腰であることや、イタリアで前与党であった北部同盟が連立を離脱したこと、ECB総裁がいたずらに「明瞭」であることなどを鑑みれば、まだまだ全体に「危機が足りない」という実態が浮かび上がってくる。
したがって今後、世界にはいま少しの「暗さ」が忍び寄るだろう。しかし、いずれ近いうち、目の前の「危機」が待ったなしとなったとき、目下の事態は大きな転機を迎えるはずだ。
いま、元FRB金融副部長で、現ピーターソン国際経済研究所シニア・フェローのジョセフ・ギャニオン氏が提案する「最後の弾丸」が話題である。その提案内容は「2兆ドル相当のMBS(住宅ローン担保証券)をFRBが購入する」ことを柱とする追加の金融緩和策である。
いまは、まさに「夜明け前は一番暗い」。米国を牽引役とし、G7が協調して大胆な政策を発動するタイミングが徐々に近づいているのではないか……。
その「転期」が訪れれば、外国為替相場の顔つきも一変することとなろう。いよいよ「ドル/円」が基調転換のときを迎えることとなろうし、そうなったときに、より好ましいパフォーマンスを見せると思われるのは「豪ドル/円」であろう。
チャート2に見るように、いま「豪ドル/円」は、「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム(逆三尊)」を形成しているかに見られる。

図2

一目均衡表の日足「雲」下限や、直近安値から高値に対する61.8%押しの水準が下値支持となれば、いずれはネックライン方向に向けての戻りが見られるのではないか……。注目しておきたい。

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