為替相場が急騰、急落する理由[遠藤寿保]

為替相場では、ときおり価格の急騰・急落が発生します。その流れにうまく乗ることができれば短時間で大きく儲けることも可能ですが、流れに逆らってしまうと損失が一気に拡大する恐れもあります。急騰・急落といった大きな値動きは、なぜ起こるのでしょうか。遠藤寿保さんに、そのメカニズムと対処法についてレクチャーしてもらいます。

※この記事は、FX攻略.com2017年10月号の記事を転載・再編集したものです

相場が急変動する二つの要因とは?

為替相場が急騰・急落するのには、大きく二つの要因があると思われます。今回はこれらのメカニズムに関して解説したいと思います。 

第一の要因:経済に影響する大きな事件や経済イベントで、その結果が予想外となる場合

急騰の直近例ですと、昨年11月に発生した「トランプ相場」があります(チャート①)。米国大統領選では大半が予想していなかったトランプ氏が当選。演説などでトランプ氏が掲げる政策が、国民に「強い米国」を意識させました。その結果、政策が実行されれば米国経済は良くなると判断され、ドル高となったのです。

ドル円は選挙発表後の2016年11月9日に、101.18円の安値をつけた後、その日のうちに105.88円までの急騰となりました。その後もトランプ大統領に対する米国経済の向上期待から同年12月15日には、118.66円までの上昇となり、トランプ相場などと呼ばれました。

一方、急落の事例ですと、2016年6月に起きた英国の欧州連合(EU)離脱に関する国民投票が挙げられます。こちらも世界的な事前予想では、英国のEU離脱(ブレグジット)はないとされていましたが、結果は予想外のEU離脱決定となりました。そして、ブレグジットによる経済への悪影響が想定できないと判断され、リスク回避の流れからドル円は106.16円から一日で98.90円まで下落しました(チャート②)。

この2件は2016年を代表する経済イベントとして記憶に新しいと思います。このように一般的な予想を覆す結果がサプライズとなり、一定期間は収束することがないと判断され、急騰・急落しました。

第二の要因:内部要因として、「買いが買いを呼び、売りが売りを呼ぶ」

これは、取引参加者の思惑によるものです。「買い注文」には、上昇を予測する新規の買い注文と、値下がりを予測して保有していた売りポジションを決済する買い注文があります。また決済の買い注文には、利益を確定させる買い注文と損失を確定させる買い注文があります。性質の違いはありますが、買い注文はマーケットを押し上げる要因となります(図①)。この中で重要となるのは、損決済の買い注文です。これを相場用語では「踏み」といい、「踏み上げで上昇」などと使われます。「売り注文」においては、損決済の売り注文のことを「投げ」と呼び、「投げ売りで下落」などと使われることがあります。

損決済注文ではストップロスオーダーを入れる場合が多い上、それが段階的に入っているケースもあることから、ストップロスオーダーによる変動が次のストップロスオーダーを誘発し、急騰・急落につながる仕組みとなっているのです。

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急騰・急落の予見は不可能に近い!?

第一の要因である、経済に影響を及ぼす大きな事件や、予想外の経済イベント結果は、回避することができません。しかし、第二の要因である内部要因に関しては推測することが可能です。

ポジションを損決済するポイントは無限にあるわけではなく、過去のチャートなどから想定することができると思います。ポジションを持った場合には、必ずストップロスオーダーを入れて、損失をできるだけ抑えることが重要になります。

資金に余裕を持たせてFX取引することが肝要

予測に反した急騰・急落となっても、マーケットは動き続けています。損決済をした後でも次のトレードができるように、余裕のあるポジション量でトレードすることが大切です。

一度のトレードで資金全てを使ってしまうようなポジション量の場合、予想通りとなれば大きな利益を得ることができますが、予想に反して損決済になると次のトレードでは同数量のポジションを持てなくなります。少なくなった資金で損失分を挽回しようとすると、最初より少ないポジション量でより大きな値幅や取引回数が必要となることから、トレードに無理が生じ、冷静な判断ができなくなります。損決済後であっても、損失を取り返せる範囲のポジション量でトレードするように心がけましょう。

相場では、予測不能な動きになることが多々あると思ってください。トランプ大統領当選やブレグジットは想定外の出来事だったといえますが、想定外の変動はいつ起きても不思議ではないのです。

大きな変動は大きなリスクであると同時に、大きな収益チャンスでもあります。そういったチャンスを逃さずトレードができるように、余裕のあるポジション取りが重要だと思います。

※この記事は、FX攻略.com2017年10月号の記事を転載・再編集したものです

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遠藤寿保の写真

遠藤寿保(えんどうとしやす)

1998年、ひまわり証券で日本初となるFX事業チームに参加。2007年、FXZERO株式会社取締役を経て、現在YJFX! マーケティング部に所属。98年以降、投資家向けのコンテンツづくりやFXの企画等に携わった経験を生かし、FXエバンジェリストとして、情報配信・FXコラム執筆・セミナー活動等を行っている。

公式サイト:YJFX!

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