リスクオン・ リスクオフとは何か?[遠藤寿保]

新聞やニュースで「リスクオン・リスクオフ」という言葉をよく見聞きします。これは相場状況を表す経済用語ですが、両者の違いや特徴を正確に説明できない方は意外と多いのではないでしょうか。リスクオン・リスクオフとはどのような相場状況を指すのか、またリスクオン・リスクオフ時に取引されやすい通貨について、遠藤寿保さんに解説してもらいます。

投資家がリスクを取るか取らないか

リスクオン(Risk on)とは、リスク選好、リスク志向などと訳され、経済状況などが安定した場合に、リスクが高いけれど大きなリターンの可能性を追求した金融商品に資金が移動することをいいます。

その反対にリスクオフ(Risk off)とは、リスク回避などと訳され、有事やテロ、経済状況の悪化などといった場合に、リスクオン状態で買われた金融商品から比較的安定とされる金融商品に資金が移動することをいいます。

一般的にリスクオンとなった場合は、リスク商品として株式などが買われます。中でも今後成長が見込める新興国の株式などが買われやすくなるといわれています。通貨ですと、高金利通貨であるオセアニア通貨や南アフリカランドなどが買われる傾向にあります。

そしてリスクオフとなった場合は、安全資産といわれる国債やリスクの低い債券などが買われる傾向にあり、通貨では避難通貨といわれる日本円やスイスフランが買われやすくなります。

値動きは相場参加者のセンチメントを物語る

リスクオンとリスクオフ発生時の値動きの特徴として、リスクオンでは緩やかな価格上昇となり、リスクオフでは急激な価格下落となることが多いです。要因としては、リスクオフの場合、いち早くその投資先から資金移動させるための「決済の売り」と、マーケットの下落を狙った「新規の売り」が入りやすくなることから、「売りが売りを呼び込み」下落に拍車がかかるためと思われます。

リスクオン・リスクオフの性質を考えると、これらはマーケット参加者における思惑と同じ構造であることが分かります。マーケットを押し上げようとする「買い方」はリスクオフ志向となり、マーケットを押し下げようとする「売り方」はリスクオン志向となります。投資先をより方向性の強いものに変更するために他の金融商品に変えるということは、同一金融商品を売りに変更するという行動パターンと同じになります。

リスクオン時の現状

現在のグローバルマーケットにおいて、リスクオフのターゲットが日経平均株価とドル円の売りとなっています。理由としては、リスクオフとなると日経平均株価とドル円が一番素直に下落に反応することから、多くのヘッジファンドや機関投資家が売りを出すことではないかと推測されます。「日本経済や日本の通貨が他の国に比べ安定している」というのは後付けであり、それよりリスクオフで「一番価格が下がる金融商品」として認識されているためだと思われます。

また、今注目されているAIやアルゴリズムを駆使したトレードにも、上記のロジックが組み込まれていると予想されており、リスクオフ=「日経平均株価売り&ドル円売り」ということで、より反応が早く売り込まれるというのが実情ではないでしょうか。

リスクオン・オフで売買される通貨が変化

一般的にリスクオンとなった場合には、豪ドル・NZドル・南アフリカランド・英ポンド・ユーロが買われ、米ドル・日本円・スイスフランなどは売られる傾向にあるといわれています。

リスクオフの場合には、その逆に米ドル・日本円・スイスフランが買われ、豪ドル・NZドル・南アフリカランド・英ポンド・ユーロが売られる傾向があります(表①)。

リスクオン・リスクオフで売買される通貨

ドル円に関しては、米ドルも日本円も安全通貨として買われることから、大きく反応しにくいと考えられます。しかし、これはあくまで教科書的な考えであり、その時々でリスク通貨と認識されるものは変化します。

以前はリスクオンとなった場合には、比較的安全通貨として米ドルが買われることが多かったのですが、現在では米ドルが売られるケースも見受けられます。また、「有事のドル買い」という言葉がありますが、昔は米ドルが安全通貨という認識を持たれており、何かのリスクが発生したときには米ドルを買っておこうという流れでした。しかし、現在では有事やテロの際には米ドルが売られるケースも多くなっています。

このようにマーケットの反応の仕方は、その時代などにおいて変化することが多いのです。固定概念にとらわれず、現状のマーケットの流れを認識する必要があるということではないでしょうか。

※この記事は、FX攻略.com2017年9月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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遠藤寿保の写真

遠藤寿保(えんどう・としやす)

1998年、ひまわり証券で日本初となるFX事業チームに参加。2007年、FXZERO株式会社取締役を経て、現在YJFX! マーケティング部に所属。98年以降、投資家向けのコンテンツづくりやFXの企画等に携わった経験を生かし、FXエバンジェリストとして、情報配信・FXコラム執筆・セミナー活動等を行っている。

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