FXを始めたばかりのころは、どうしてもとっつきやすいテクニカル分析重視の勉強になりがち。しかし、トレードをするうえでファンダメンタルズ分析を 理解しているか否かは大きな差となります。
そこでFX攻略.comでは「ファンダメンタルズ分析」について、市況・予想記事を業界各所へ提供している「為替マーケットの語り部」でおなじみの雨夜恒一郎さんに、基礎はもちろん各重要指標についてもじっくり語っていただきました。
まずは、なぜファンダメンタルズの知識がFXで必要なのか、その理由から学んでいきましょう。
ファンダメンタルズとは?FXで重要な理由
「ファンダメンタルズ」を辞書で引いてみると、「一国の経済状態を判断するための基礎的条件」とあります。一般的に、「ある国の経済が良い(悪い)」というのはどういう状態か、思い浮かべてみてください。たとえば、経済成長率が高い(低い)、物価が落ち着いている(インフレ、またはデフレである)、失業率が低い(高い)、貿易収支が黒字(赤字)である…といった状況ですね。
つまり、ファンダメンタルズとは、狭義には経済の良し悪しを判断するためのデータで、上で挙げた例で言えば、「経済成長率(GDP)」、「物価上昇率」、「失業率」、「貿易収支」などがそれにあたります。
そしてこうしたデータを用いて経済動向や相場を分析することを「ファンダメンタルズ分析」といいます。
「一国の経済状態=ファンダメンタルズ」と考え、「A国はファンダメンタルズが良い」、「B国はファンダメンタルズが弱い」などと表現することもあります。さらに、政府の財政状態や中央銀行の金融政策も含めて、「広義のファンダメンタルズ」と考えることもあります。
相場予想にファンダメンタルズを勉強する理由
ファンダメンタルズ分析の対極にあるのが「テクニカル分析」です。テクニカル分析は、過去の相場の値動き(チャートの形や確率論)から今後の動向を予想する手法です。
最近は、パソコンとインターネットでリアルタイムのチャートが簡単に表示できるようになり、テクニカル分析は昔と比べてずっと身近になりました。チャートさえあれば経済に関する知識がなくても手軽に始められるとあって、テクニカル分析は初心者の間でも人気を集めています。テクニカル分析をもとにトレードをする人たちの中には、ファンダメンタルズは一切見ないという人もいるほどです。
そんなテクニカル分析全盛のご時世で、今あえて小難しいファンダメンタルズを勉強する意味があるのでしょうか。
それは間違いなく意味があると断言できます。なぜなら、相場は長い目で見ると、必ずファンダメンタルズに従って動くからです。
ファンダメンタルズが良い国の通貨はいずれ上昇し、悪い国の通貨はいずれ下落します。逆に言えば、ファンダメンタルズに合致しない動きは、市場に何らかの誤解があるわけで、いずれは修正されることになります。つまり、ファンダメンタルズを正しく分析することができれば、中長期の相場を予測することはさほど難しくないのです。
またテクニカル分析はごく短期の相場を分析するには有効ですが、長めの予想にはあまり役に立ちません。中長期のスパンでトレードする方や、資産の海外分散投資を考えている方は、しっかりとファンダメンタルズを勉強することが不可欠です。
ポイントは「市場の関心がどこにあるか?」
それではファンダメンタルズ分析の肝はどこなのでしょうか?
ファンダメンタルズが良い国の通貨を買い、ファンダメンタルズが弱い国の通貨を売れば簡単に利益を上げられそうですが、実はそれほど簡単なものではありません。
なぜかというと、ファンダメンタルズにもいろいろあり、すべての分野が優れている、あるいはすべての分野で劣っている国というのは稀だからです。
たとえば新興国のように経済成長率は高いがインフレも高い国と、先進国のように経済成長率は低いがインフレも低い国の、どちらのファンダメンタルズが良いかというのは、一概には言えません。その時々の市場の関心によって評価が変わってくるからです。
したがって、ファンダメンタルズ分析をもとにトレードをするには、市場がどのファンダメンタルズに注目しているかを正しく理解する必要があります。いくら良い経済データが出ても、市場の関心の圏外であれば相場には影響しないものです。逆に、市場が注目している分野であれば、ほんのわずか変化しただけで相場は大きく動きます。
市場の関心がどこにあるかをつかむには、市況コメント(相場の状況へのコメント)を地道に読み込むのが王道です。多くの参加者が関心を持っている材料は市況コメントに繰り返し話題として取り上げられるので、毎日読んでいるうちにやがて市場の空気がわかるようになります。最初はロイターやブルームバーグの市況記事を読むことから始めるといいでしょう。
予想とどれだけ違うかに注目!
経済データの絶対水準はもちろん重要ですが、相場を見る上でより重要なのは予想からのかい離、つまりサプライズがあるかどうかということです。主要な経済データは多くのエコノミストの予想が事前に集計されており、その平均値である「コンセンサス予想」というものが出来上がっています。経済データの発表後の最初の反応は、このコンセンサスより良いか悪いかで決まってきます。
良い数字がコンセンサスとなっている場合、相場は必ずそれを先取りして上昇します。いわゆる「織り込み済み」となるわけです。こうなると相場がさらに上昇するためには、結果がコンセンサスを上回る必要があります。たとえ好結果でも予想の範囲内であれば、先回りして買っていた向きは利食い売りに動きますので、相場はむしろ下落します。これが「材料出尽くし」です。
そしてコンセンサスを下回る弱い結果となると、大きな失望売りにつながります。これが「ネガティブサプライズ」です(逆はポジティブサプライズ)。
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中長期的には経済データのトレンドが重要
一方、中長期的に重要になってくるのは、経済データのトレンド、すなわち改善しているのか、悪化しているのか、ということです。
たとえば、経済成長率(GDP)が同じ年率3%でも、2%から3%に加速した場合と、4%から3%に減速した場合では、市場の評価は全く異なります。前者は景気拡大期待で好材料、後者は景気減速懸念で悪材料となるのです。
したがって、経済データをみる時には、コンセンサスからのかい離だけではなく、数か月のデータを用いてトレンドをつかむことが重要です。
さて、ファンダメンタルズ講座の第一回、いかがだったでしょうか?
専門用語が多くてチンプンカンプン? 大丈夫、読んでいくうちにだんだんわかってきます。何といっても、ファンダメンタルズを分析し、自分なりにシナリオを立て、それが的中したときのうれしさや快感は格別です。さあ、これから一歩ずつ、ファンダメンタルズの世界を読み解いていこうではありませんか!
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