各国が大規模な財政政策を発動
前回の記事では、2020年の仮想通貨(暗号資産)相場の展望についてお伝えしました。2020年2月以降、世界各国で猛威を振るっている新型コロナウイルスの感染者や死亡者が急増。加えて失業者の増加、事業所の休業、在宅勤務への移行と、経済が停滞している状況です。
このような情勢を鑑みて、世界各国は現金給付を中心に大規模な財政政策に乗り出しています。今後は、現金給付による法定通貨の増加でインフレ(物の価格と比較して相対的に通貨の価値が下がること)となり、法定通貨以外の金融資産として仮想通貨などの価値が高まる可能性があるということです。今回の記事では、もう少し具体的にその内容をお伝えしていきます。
ちなみに、日本では1世帯あたりマスク2枚の配布を実施。そして全国民を対象に現金給付を検討している状況です。このように資本主義経済で働く人が少なくなって経済が停滞してくると、政府は自国の通貨を発行し国民の生活を保障します。
インフレで金融資産に資金が流れる可能性
2020年2月末から株式市場を始めとする金融市場が大きく暴落しました。仮想通貨市場も同様です。2月に約110万円台をつけていたビットコインの価格は、暴落で一時的に50万円台まで下落。そして、4月には70万円台まで回復しています。
今後は各国が国民に対して自国の法定通貨を発行するため、法定通貨がさらに世の中に出回ることになります。そうするとインフレになるので、将来的に価値が下がる現金ではなく、株やゴールド(金)、仮想通貨などの金融商品をより多く保有しておこうという動きが出ると予想されます。
ビットコインと法定通貨の違い
法定通貨は各国の中央銀行が発行する通貨で、無制限に発行することが可能です。今回の場合も国民の生活保障のために通貨を発行します。それに比べてビットコインは、あらかじめ発行枚数の上限がプログラムされており、無制限に発行することができず、ゴールドと同様に希少性が高まる設計となっています。それゆえ、ビットコインは法定通貨に対するリスクヘッジの手段となり得るわけです。
法定通貨は政府の管理下にありますが、ビットコインは誰の管理下にもないのでコントロールすることができません。仮想通貨を保有する人たちによってビットコインの価値が保たれているのです。
ビットコインは法定通貨に代わって機能するのか?
仮想通貨は令和2年5月から「暗号資産」という名称に変更になります。あくまで資産としての要素が大きいということですが、株などの金融資産と違うのは支払い手段として使えるところであり、これは大きなメリットとなります。日本の現行の税制では、残念ながらビットコインを支払いで使うと課税対象となります。これは利益が出ている状況で支払うと利益確定としての税金がかかるということです。小額決済では非課税にすべきと考えるビットコイン保有者も少なくありません。
ちなみに、イタリアでは仮想通貨の支払いは非課税となっています。表②を見ると、イタリアではビットコインでの支払い回数がクレジットカードでのそれを上回っているのが分かります。ビットコインはクレジットカードよりも支払い手数料が低く、少額決済でも高額決済でも幅広く対応できるので、店舗側にとってもメリットが大きいのでしょう。
もし今後日本でもビットコインの保有者が増え、支払い手段としてのニーズが高まれば、仮想通貨による支払いが非課税になることも考えられます。
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ベストセラー作家がビットコインを高評価
2020年4月16日、世界的ベストセラー『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者として知られるロバート・キヨサキ氏はビットコインについてこのようなツイートをしています(画像①)。「ゴールドとシルバーは神の通貨だ。ビットコインは分散型(管理されてない)で人々の通貨だ。これらの資産は政府の管理下に置かれていない、だから重要なのだ。失業者でさえドルの代替資産として25ドルの銀貨を買う余裕はあるでしょう?」。
このようにキヨサキ氏は政府の管理下に置かれていないビットコインを「人々の通貨である」と発言しています。金融危機のアルゼンチンやベネズエラでビットコインの需要が実際に高いのは、人々の通貨として認識されているからでしょう。
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※この記事は、FX攻略.com2020年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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