FX業界で活躍する女性トレーダーへのロングインタビュー企画です。FXとの出会いや失敗談、勝てるようになったきっかけ、FXを取り入れたライフスタイルなどを大いに語っていただきます。トレーダーとしての成長や自立へのヒントがいっぱいなので、特にこれからFXに挑戦する女性の方には読んでいただきたいです。第1回のゲストは、鳥居万友美さんです。
鳥居万友美さんプロフィール
ピュアエッジ代表取締役。離婚をきっかけに、子育てをしながら確保できる収入源を求めてFXを始め、独自の投資スタイルが米国、韓国、香港などの海外メディアにも紹介される。著書に『FXで月100万円儲ける私の方法』シリーズ(全4冊、ダイヤモンド社)があり、韓国、台湾でも翻訳、発売されている。最新刊は、『子育てママでもガンガン稼げる FXで月100万円稼ぐ私の方法』(ダイヤモンド社)。
■鳥居万友美さんのブログ|鳥居万友美のFXライフ
主婦が野菜を買うように安くなるたびに買い増し
編集部 FXを始めたきっかけは?
鳥居 子どもが幼稚園に通っていたんですが、午前中で終わってしまうので昼過ぎには迎えに行く生活でした。だから家で主婦業や子育てをしながらできる副業を探していました。いろいろなものに手を出してみましたが、うまくいかなくて。それであるとき、FXをやっている知人から「簡単に稼げるからやってみたら?」って言われたんです。
知人によると「円を売って米ドルやポンドなどの外貨を買っておくと金利がすごい」と。当時は今よりスワップがずっと高かったので、含み損になってもとにかく持っていれば良いと教えられたんですね。
編集部 その知り合いの方は、すでに結果を出されていたんですか?
鳥居 FXを始めてそれほど時間もたっていなかったようですが、数千万は稼いでいたみたいです。でもその人は、最終的に2億円くらい負けてしまうんです。
編集部 えっ…?
鳥居 損切りしなくて良い、というのがその人のやり方だったんです。私もそれを真に受けてしまって。始めたのは2006年の2月なんですが、週足で見ると分かるように、ちょうど押し目を付けて上昇していくタイミングでした。
編集部 良い時期から始めたんですね。
鳥居 そうなんです。で、これは勝てそうだということで、貯金全額の600万円をFX口座に入れました。それが3か月ちょっとで、1070万円に増えたので、私の人生、これで安泰って思いました(笑)。でも今振り返ると、チャートも何も知らなくて、主婦が安売りになった野菜を買うみたいに、ただ下がってきたときにロングしていただけでした。
編集部 当時のレバレッジは何倍くらいでしたか?
鳥居 全くそのあたりは把握できていませんでした。GWのときに、三角持ち合いを下に抜けて、含み損がとんでもないことに。全然戻らないし、今までと何かが違う、どうしよう、って。夕方に見たら、朝よりも含み損が50万円増えている、みたいな。それで恐ろしくなって、少しずつ損切りをしていき、最終的に500万円を超えるマイナスになりました。
編集部 スケールが大きいですね…。
FXの本はほとんどなく株の本も参考に勉強
編集部 大きく負けてからもFXを続けましたか?
鳥居 いえ。何て恐ろしいものに手を出してしまったんだろうと思い、普通の仕事を探しました。でもフルタイムで働けるわけではないので、なかなか稼げないですよね。計算してみたら、損切りした金額を取り戻すためにパートだと5年間かかることが分かったんです。それはいくらなんでも無理だし、最初のうちはビギナーズラックとはいえ短期間で稼げたわけですから、これはFXで取り戻すしかない、って決心して勉強を始めました。
編集部 どういった勉強をしたんですか?
鳥居 私はファンダメンタルズ分析は今でも苦手で、とにかくチャート、テクニカル分析を勉強しました。ニュースを見て米ドルが上がりそうだと判断できても、実際に売買するタイミングはチャートを見ないと分からないじゃないですか。当時はプリンタも持ってなかったですから、ノートパソコンをダイニングテーブルに置いてチャートを出し、下敷きで隠したローソク足を1本ずつ現れるようにして、相場の動きを勉強しました。
全く基礎ができてなかったので、解説書を買ってきて、毛抜き天井が出たら下がると書いてあれば、その形をチャートで探して実際にその後どうなったかを検証したり。
編集部 勉強中はトレードはしていたんですか?
鳥居 怖くて3か月くらいは取引できなかったですね。
編集部 当時、これを読んで良かったという教材ってありました?
鳥居 FXの本自体がほとんどなかったので、ローソク足は株の本で勉強しました。当時書店にあったFX関連書は、マット今井さんとドクター田平さん、山根亜希子さんの3冊だけでしたね。
編集部 テクニカル分析はどう学びましたか?
鳥居 ドクター田平さんの本でMACDをまずは学びました。
編集部 FX再スタートはいつごろですか?
鳥居 2006年9月に200万円で再スタートし、4か月ちょっとで損をした分を取り戻せました。
編集部 再開したときは、ロングもショートも両方できるようになっていましたか?
鳥居 はい。あと、絶対にストップを入れることを徹底するようになりました。
編集部 損切りできるようになったのですね。
鳥居 ただ当時は、長短複数の時間足をチェックするようなやり方はできていなかったです。1時間足だけでサポートとレジスタンスを探し、それぞれのちょっと先に損切りを置くシンプルなやり方だったんですが、損切りがちゃんとできていたので損小利大のトレードになってました。
それまでのやり方は、とにかく買いを持ち続けるだけだったので、いつも含み損があります。けどちゃんと毎回のトレードに損切りを入れるようになってからは、ポジションがない状態でパソコンを閉じられるようになりました。ストレスがとても減りましたよ。勝っても負けても1回1回取引を終わらせていくのが、ものすごく自分の性格に合っていたんでしょうね。
長く続けられる手法構築を目指す
編集部 そのシンプルな手法はしばらく続けたわけですか?
鳥居 そうですね。ただ1時間足を見ていると、取引のチャンスがないことも多いんです。それで、やらなきゃもったいないという気持ちになり、5分足で同じ手法をやるようになりました。
編集部 トレード回数が増えてさらに勝ちましたか?
鳥居 確かに勝ってはいたんですが、ものすごく疲れるんです。多いときは一日に60回くらい取引することもあって。眼精疲労がすごくて、まぶたの痙攣も止まらなくなってしまいました。
編集部 チャート画面にずっと張り付いている感じだったんですね。
鳥居 FXをずっと続けたいと思っていたので、この機会に60歳、70歳でもできるやり方を見つけようと決めました。
編集部 そして今のトレード手法を作り上げていくんですね。
鳥居 はい。5分足でトレードをしているときでも、RCIの検証はしていたんですが、長い時間足でRCIがよく機能していたんです。
編集部 RCIがキーになったわけですね。
鳥居 はい。RCIがあるからチャンスを待てます。
編集部 今の手法になってから、生活にはどういう変化がありましたか?
鳥居 とにかくFXにかける時間が減りました。私は週末に4時間くらいかけてチャート分析をし、チャンスがありそうな通貨ペアをピックアップします。で、週が始まったらピックアップした通貨ペアだけをチェックするので、とても分析が効率的になりました。日中はそんなにチャートを見ません。
編集部 料理でいうと仕込みの部分に時間をかけるわけですね。
鳥居 まさにそうです。ほとんどのトレーダーさんは兼業のはずなので、皆さんいそがしいじゃないですか。で、時間がないことの対策には真逆になる2パターンがあります。一つは時間がないから短期間で結果を求めるやり方。スキャルピングですね。
もう一つは日足など長い時間足を分析して、チャンスがある場合だけトレードをする考え方です。
私はスキャルピングはとても難しいやり方だと思いますが、こちらを選ぶ人の方が多いので、勝てない人が多いんだと思います。
編集部 チャンスを待てず、すぐ結果を出したいんでしょうね。
鳥居 スキャルピングはコツコツ、ドカンになりやすいんです。5回小さく勝って利益を積み上げてきたのに、6回目で大きく負けて全部吹き飛ばしてしまう、みたいな。
また、例えば1分足なら1分に一度新しいローソク足が立ちますから、それを見ながら分析してトレードするのは、初心者にはとてもハードルが高いんじゃないかと思います。
編集部 反射神経みたいなものが求められますよね。
鳥居 はい。私が今お勧めしているのは、日足だけの分析です。日足は日本時間の朝に前日分が確定しますから、ここで買うのか売るのか見送るのかを決めます。朝の5分間だけでトレードできるので、いそがしい人にはこのやり方を推奨しています。
日足はそんなに動くものではないので、止まっているチャートで分析するような感覚になるんですが、これを教えて勝てるようになった人はたくさんいます。
\GogoJungleで売れ筋投資商品を探そう!/
FXに振り回されない生き方を広めたい
編集部 鳥居さんが目指すハッピーFXの考え方について教えてください。
鳥居 私は皆さんによく、自分で自分を雇用できるようになりましょう、といっています。
編集部 そういう方は増えていますか?
鳥居 将来に危機感をお持ちの方は多いです。だから、自分の力でお金を生むスキルを身につけようとしています。
編集部 鳥居さんが今の活動で目指しているところを教えてください。
鳥居 FXに出会えて良かったなと思っているので、そういう方を増やしていきたいです。私自身、経済的な面でもそうですが、出版などさまざまな人生経験ができました。
編集部 FX以外の目標はありますか?
鳥居 息子が高一になって、もうすぐ子育てが終わるので、世界遺産巡りをしてみたいです。FXなら、パソコンとインターネット回線があればどこでも資産運用できますから、世界中を旅をする生活もしてみたいです。
編集部 引退した後の中田英寿さんみたいな生活ですね。
鳥居 あとは、FXに振り回されない生き方を伝えていきたいです。チャートを見始めたら離れられなくなり、時間をかけている割には利益が出ず、疲れ果てている人がよくいます。私自身、FXに振り回されるのは嫌ですし。
まずはローソク足基本からしっかり学ぶ
編集部 今からFXを始める方はほとんど全員が兼業だと思います。そういう方が、上達するにはどうすれば良いでしょうか。
鳥居 いきなりトレードをせず、最初は勉強する期間があった方が良いでしょうね。いそがしくても、テレビを見る時間を減らすとかして、一日に1時間くらいは勉強時間を確保できると思います。
編集部 実際に動いているチャートを見る前にまずは勉強なんですね。
鳥居 そうですね。なので週末に勉強するのがお勧めですよ。私はまずローソク足と移動平均線を学びました。
私はRCIが好きなのでいろいろな方にお勧めしているんですが、RCIをすごく勉強してもなかなか勝てない人がいるんですね。でもそういう人って、ローソク足を全然見れていないんですよ。
編集部 基礎ができていないというか。
鳥居 そうなんです。リアルタイムに動いているのはローソク足だけじゃないですか。
編集部 損切りはどうやったらできるようになりますか?
鳥居 エントリーすると決めたら、ポジションを持つ前にまずどこに損切りを置くかを考え、損切りの値幅がどれくらいになるのかを見ます。損切りの金額が資金の2%を超えてしまう時は、エントリー自体を見送ります。
また損切りの逆指値注文はあらかじめ入れておきます。リアルタイムに動いているのを見ながら損切りの決断をするのは大変なので、自動でロスカットされるのが望ましいですね。
編集部 その通り損切りできない人も多いのでは?
鳥居 そうですね。ただ、私がちゃんと損切りをしないと大変なことになりますよ、と伝えると、女性はけっこう損切りを入れます。逆に男性の方がその通りにしてくれないことが多いかも。
編集部 初心者がこれはやってはいけないというものはありますか?
鳥居 私みたいに貯金全額で始めるのは止めた方が良いですね(笑)。
編集部 デモトレードはどうですか? 仮想のお金だから痛みが伴わず、学ばないという意見もありますが。
鳥居 実際のお金で大負けして、それでも学ばない人もいますから、結局は人次第なんじゃないかな。
ただ、デモで操作やトレードの流れを知るのは大事ですし、そもそもデモでも勝てなければ本番ではもっと勝てませんよね。
編集部 勉強時間を確保するために、何か工夫をしましたか?
鳥居 いろいろ同時にやりました。パックしながらアイロンをかけつつ、FXの動画を見たり。
編集部 やりくり上手が秘訣ですね。それでは最後に、FXに興味はあるけど、一歩が踏み出せない女性にメッセージをいただけますでしょうか。
鳥居 経済的な不安を解消したいなら、結局のところ行動するしか方法はありません。投資は早く始めるほど有利。迷っているなら、チャレンジしてみてはどうでしょうか。
編集部 本日はありがとうございました。
※この記事は、FX攻略.com2016年7月号の記事を再編集したものです
■鳥居万友美さん関連記事
「これからFXを始めよう」と思ったとき、意外と悩んでしまうのがFX会社、取引口座選びではないでしょうか? でも大丈夫。ご安心ください。先輩トレーダー達も最初は初心者。みんなが同じ悩みを通ってきているんです。
10年以上にわたってFX月刊誌を出版してきた老舗FXメディア「FX攻略.com」編集部が、FX用語を知らない人でもわかるようにFX会社、取引口座のポイントを解説しました!
取り上げているFX会社は、金融商品取引業の登録をしている国内FX業者です。口座開設は基本的に無料ですので、まずは気になったところで2〜3つ口座開設してみて、実際に比べてみてはいかがでしょうか。
\FX会社によって違うところをチェック/
スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
---|---|
約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
キャンペーン | 新規口座開設時や口座利用者向け各種キャンペーンの内容。 |