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FXと人

FXと人|Vol.4 平野朋之さん 投資との出会い、夢中になった投資関連書、投資を人に教える訳

FXと人|Vol.4 平野朋之さん

ファンダメンタルズやテクニカルといった各種分析や、自動売買、システムトレードといった運用方法に目を奪われがちですが、FXの本質は人間と人間の関わり合いで生まれる価格推移です。分析や運用方法が相場を動かすことは決してありません。どんな相場も、動かすのは無数の人です。

この企画では、徹底してFXにおける「人」にクローズアップします。第4回ゲストは、テクニカル分析の達人として、セミナー講師としても活躍されている平野朋之さんです。投資との出会いや、過去に読みあさった投資関連書について、そしてなぜ人に投資を教えるかについても語っていただきました。

平野朋之さんプロフィール

平野朋之ひらの・ともゆき。米国の大学を卒業後、海外取引所関連の仕事に従事後、ひまわり証券へ入社。FX業務全般、自己売買部門でディーラー、投資情報室にてFX、日経225の情報発信、セミナー講師を務める。現在は独立して株式会社トレードタイムを設立。自己売買、投資教育、個人投資家支援を行いつつ、FX会社などへの情報発信やセミナーを精力的に開催中。

メディア ■Twitter

●聞き手:鹿内武蔵(FXライター)

分厚い海外の投資本にボーナスをつぎ込んだ

——投資を始めたきっかけについて教えてください。

 国内と海外の市場の発注やオーダーを取り次ぐ仕事をした経験から、投資の世界の面白さを知りました。特にシカゴやニューヨークの金融市場に憧れました。23歳、24歳くらいのときで、現地にもよく行きました。今はもうなくなりましたが、当時は取引所に実際に人が立って、人間同士で取引が成立していました。あの世界がかっこいいと思ったんですよね。

 当時の仕事はトレードをしても良かったので、日経225先物のオプション取引を始めました。これが私の初めての投資でした。多くの方は、株式や投資信託から始めるのかもしれませんけど。

——株や為替はどういうきっかけで始めましたか?

 オプションは日経平均のものでしたから、そこからの流れで現物株の取引も始めました。当時の雑誌に掲載されていた、アナリストの推奨銘柄を信じて買ったりもしていましたが、結局ほとんどが儲からなかったですね。投資信託はあまり面白いと感じなかったので少ししかやっていません。

 その後、2000年前後にようやく日本でもFXが登場して、外国為替を個人でも取引できるようになりました。私は日本で一番最初にFXを始めた今のひまわり証券で働いていたので、FXと接する機会が株よりもずっと多くなっていきました。

——これまで投資の勉強はどういった形で行ってきましたか?

 ひたすら投資関係の書籍を買い、読みまくりました。その多くはパンローリングの投資関連書でした。今でこそパンローリングは有名な出版社ですけど、当時はそこまでの知名度はなかったです。今はもうないんですけど、当時トレード関連の雑誌が1000円くらいで発行されていて、移動平均線のクロスで売買したらどうなるかといった手法を検証している特集がありました。これが本当に面白くて、新鮮だった記憶があります。こういうふうに検証していけば、自分でもオリジナルの手法が作れるんじゃないかと。でも残念ながらこのトレード雑誌は3号で廃刊になってしまいました。今でもバックナンバーを持っていますよ。パンローリングには、もう在庫はないかもしれませんね。

 あとは、ひたすら骨太の投資書籍を読みまくりました。海外の分厚い投資の本を翻訳したものは非常に高価で、高いものだと5万円以上するものもありました。当時はボーナスのほとんどをつぎ込んでいて、150冊くらいは買って読んだと思います。新刊で手に入らないものは、ヤフオクで探したりしました。

 こういう本からトレードのアイデアを探したものです。当時はユーロという通貨が誕生したばかりで、本に載っている検証結果はドイツのマルクが多かったです。旅行に行くときにも、必ず1冊持っていく。通勤途中はもちろん読むみたいに、本自体が面白くてずっと勉強していました。まだインターネットに投資情報がたくさん出回る前だったので、本以外で学ぶ方法はなかったです。あとは海外でのセミナーのDVDもたくさん見ました。下に字幕が入っているんです。

——そういった骨太な投資の本と、書店の新書コーナーによく並ぶ、1500~2000円くらいの投資本はどこが違うのでしょうか。

 初心者向けに分かりやすく作った方が、部数は出ると思います。なので、基本的な知識メインの構成ですよね。対して分厚い海外の本は、基礎だけでなく検証の結果がたくさん載っています。ある手法をいろいろな銘柄でそれぞれ20年検証した結果が載っていたりして、こういうトレードのアイデアはたくさん読みました。

——特にお勧めの本をいくつか教えてください。

 まず、『トレーディングシステム徹底比較』という2000年に出た本です。明らかに雑誌より大きくて分厚いサイズで、価格も新品で1万9000円くらいします。チャートやデータがたくさん掲載されていて、売買手法の情報もいっぱい載っています。ドル円や日経225など、いろいろな銘柄でたくさんの手法が検証されていて参考になりましたよ。

 この本を読んで分かったのは、やはりトレンドフォロー系の手法は強いということです。逆張りの検証もかなりされているんですが、儲かるのは圧倒的に順張りです。当時通用していたのは、20日間の高値を更新したら買いで追いかけるみたいな手法ですね。

 もう1冊は、『ワイルダーのテクニカル分析入門』です。ワイルダーさんは、RSIやパラボリックなどたくさんのテクニカル分析を開発した方で、彼の手書きの分析も載っています。今はネットでテクニカル分析の情報をいろいろ学べますけど、当時は本で学ぶのが一番でした。

FXは動かない分回転を効かせたい

——FXを、株式など他の投資と比較した場合のメリットやデメリットを教えてください。

 まずFXは24時間トレードできますけど、これはレートが連続しているメリットにつながります。レートの連続により、ほぼいつでもそのときのレートで売買できるのは良い点です。市場が開いていれば、株も成行でその場での売買はできますけど、FXほど価格の連続性がなく、数量によっては1円や2円は簡単に値が飛んでしまいます。板がついてこないという現象です。こう考えると、短い売買はFXに分があるといえます。そしてもちろん、株式の場合は市場が開いていなければ売買はできないです。

 デメリットでいえば、FXは午前中(東京)とロンドン、NYの時間帯で参加者がガラリと変わります。そうなるとそれぞれの市場の切り替わりのタイミングで、激しく動いたり、逆にほとんど動かなかったりします。

 またFXのローソク足は上下によく振動し、トレンドがそれなりに出ている場面でもヒゲが上下に伸びる印象です。これが株式だと、朝の寄り付きから一気に上昇、あまり下がらずヒゲも伸びずそのまま大陽線で引け、みたいな形もよく出ます。

 あとは、株は価格が2倍、3倍になるのはよくある話です。3か月前に500円だった銘柄が、今はもう1500円なんてことはよくあります。でもFXにはこのダイナミックさはないですね。FXは怖いという方もいますが、値動きの激しさだけでいえば断然個別株の方が夢もあります。FXの通貨ペアが数か月で3倍になることはほとんどあり得ないじゃないですか。

 だからこそ、FXではある程度売買に回転を効かせた方が良いです。レバレッジを効かせて、そこそこ短いサイクルで買いも売りも繰り返すのは、FXでは有効だと思います。

——売買に回転を効かせる短期売買の場合、チャート分析は重要ですよね。

 はい。FXはチャートをしっかり見る必要があります。

——それと、資金が少ない方は、どのような投資から始めるのが良いでしょうか。

 資金が少なければ、FXが良いと思います。FXはレバレッジが効かせられますから。ただ僕はやったことないですけど、海外FXみたいな超ハイレバレッジでやる必要はありません。

 昔は商品先物市場のオイルなんかも、値動きが激しくレバレッジもかけられたので爆発力がありましたけど、今は昔よりはやりにくくなってしまいました。株は確かに動きは激しいですけど、最低単元が決まっていて、100株単位でしか買えません。動きがあって、トレードがしやすい銘柄は僕の中では1000円~2000円くらいであることが多いですけど、これだと10万円~20万円は少なくとも必要ということですから、少額投資ではないですね。

 あとはFXオプションも良いと思います。バイナリーオプションとは違う、日経225などにもあるノーマルなオプションです。証拠金はFXと同じなので、資金10万円ならドル円でギリギリ2万通貨持てます。仕組み的にはちょっと難しいですけど、毎週ちょっとずつ利益を得るような運用も可能です。

 あるいは、ちょっとハードルは高いですけど、米国株も面白いですよ。日本の株と違って1株から買えますし、探せばめちゃくちゃ安い銘柄があります。そういった銘柄の中には将来大化けするものもあるかもしれませんね。ただ最近は、どの日本株も100株から買えるようになったので、昔よりは少額で参入しやすくなりました。

——逆に資金がたくさんある方にお勧めのやり方はありますか?

 FXオプションは余裕のある方にもお勧めですよ。ただ、余裕があるなら、米国の個別株オプションも良いと思います。リスクが高い分少額から買えるものもあって、リターンは大きいです。3万円の株を買って1回オプションを売れば、8000円や1万円もらえてしまう銘柄もあります。判断は難しいですけど、米国株はもう何年も右肩上がりですので、チャンスはあるかもしれませんよ。

 FXでいえば、資金に余裕がある方は本当にチャンスと思える場面だけトレードをすれば十分に日当くらいは稼げるので、そういう意味では有利ですね。20万通貨取引で10pips取れれば2万円です。これでもう日当確保じゃないですか。もちろんこういう狭い値幅を狙って取るトレードでは、しっかり損切りをしないとトータル成績は厳しいことになりますから、リスク管理は必須ですけど。私はそういう短期のトレードも好きで、時間的に余裕がある場合は常に狙っていたりもしました。どちらかというとアジア時間の方がロンドンやNYより得意で、小さな動きをきっちり狙うのが楽しいです。それにNY時間ともなると、疲れて裁量トレードがしんどいというのもありますね。若いときはできたんですけど。

——資金に余裕があるなら、本当に得意な場面、勝率が高そうなところでだけ勝負をすれば良いわけですもんね。

 調子に乗って相場を追いかけて、これまでの利益を吹き飛ばすくらいなら、「今日はもう終わり」ってできますからね。

情報をうのみにせず自分のやり方をミックス

——平野さんが投資教育に情熱を傾ける理由を教えてください。

 インターネット上に情報がなかった時代から為替をやっていて、当時は3000円くらいで買える投資テクニックの裏技みたいな教材がありました。恥ずかしながら私も買ったことがあるんですが、全く使い物にならない情報が書いてあるんですね。それで、「なんでこんなものを売っているんだろう。もっとちゃんとした情報を伝えなければいけない」という思いがありました。

 自分がトレードに関する本を買い過ぎるくらい買い過ぎて、それこそいろいろな手法を試したし、勉強もしてきました。その過程で、これは勝てないだろうというものも、けっこう初心者向けの教材や本の形で販売されてしまっていたんですよね。

 鹿内さんと出会った10年ちょっと前は、FX攻略.comではテクニカルの売買手法についての記事ばかり書いていた時期ですね。実際、勝てる手法というのはあるのですが、そんなにたくさんはないんですよ。100個検証して数個という感覚です。そんなに簡単なことではないんですけど、だからこそ使える情報、良いやり方を教えていきたいなという想いはあります。

——平野さんから見て、こういうタイプは成功するという投資家の特徴はありますか?

 ある程度は自分のやり方もミックスできる方ですね。投資を始めたばかりの方には少し難しいかもしれませんが、良いと思える手法に出会ったとして、そこに自分の考え方も入れた方が良いです。投資の本を何百冊も読んで、たくさん検証をしてきましたが、昔は通用しても、今は通用しないやり方もあるんですよ。例えば、「過去20日間の高値を越えたら買い」のようなタートルズ的なブレイクアウト手法は、今はもう効かないです。むしろ逆張りのターゲットにもなりかねず、これはマーケット自体が変化しているからです。なので、情報をうのみにするのではなく、ヒントとして活用することが大切です。具体的には、時間軸や市場を変えたり、新しいフィルターを追加したりですね。

 あとはリスクとリターンの割合、つまりリスクリワード比率をちゃんと理解している人も成功しやすいです。勝率はもちろん大切なんですが、勝率が高くなるほど1回のトレードの損失が大きくなり、リスクリワード比率は悪くなります。逆にリスクリワード比率を良くしようとすると、勝率は下がりますよね。

 理論上は良い手法でも、実行するのは人間ですから、メンタル的に負荷がかかり過ぎると続けることが難しくなってしまいます。勝率が低い手法はこういうパターンになりやすいんですよね。3回勝って7回負けるけど、リスクリワード比率が良いからトータルで勝てるとしても、勝率が3割程度だと10連敗、15連敗程度の大きな連敗はよく発生します。こういう連敗でストレスを感じると、長く続けることが大変になってしまいます。

 逆に勝率が6割、7割と高い分、リスクリワード比率があまり良くなくて、それでもトータルでプラスになる手法なら、大きな連敗はそんなに発生しないので、メンタルへの負担はさほどでもありません。

 手法はその人に合うかどうかが大切なので、リスクリワード比率をちゃんと理解していることは重要です。

——これからFXを始める方へのアドバイスをお願いします。

 先ほどの勝率の話にもリンクしてきますけど、考え方や手法を継続していくことが絶対的に重要です。人にはいろいろな事情がありますけど、ちょっとうまくいかないからといってやめてしまう、2~3か月お休みしてしまうみたいなのは良くないです。

 私もどんなに忙しくても、ある手法の注文だけは毎日出しています。時間がないとトレードをする回数自体は減ってしまいますけど、それでも相場からは離れないように意識しています。

 なので皆さんも、最低でも20回くらいはトレードしてみてください。ある程度繰り返さないと、そのやり方が自分に合っているかどうかも分からないです。日足が合っているとか、5分足が得意だとか、こういう局面は勝ちやすい、全然勝てない時期もあるということは、繰り返していてこそ気づくものです。

——既にFXをやっているものの、結果が出ていない方はどうすれば良いでしょうか。

 いろいろな投資家の方と話してきて分かったのが、自分で決めたルールを守れない人が多いということ。こういう私も、ちょっと良さそうな動きだったら、なんとなく利益が出そうだからとエントリーしそうになってしまうことは今もあります。なので、ルールを破らないように、自分を戒めるメモをパソコンのモニターに貼るようにしています。

 あとは損切りの逆指値注文はやはり大切です。先日、ポンドドルでトレードをしていて、そのときはマイナス40pipsのところに損切りが入っていました。途中まで見ていてけっこうな含み益だったんです。よしよし、このままルール通り持とうと思って別の作業をしていたら、すぐに大きな約定音が取引ソフトから鳴って、損切りになったことが分かりました。ポンドドルが急落したんです。このとき、もし裁量で損切りしようとしていたら、さっきまで出ていた利益がチラついて、すぐに切れなかったかもしれません。

 FX会社によっては、そのロット、その値幅での損切りなら、日本円でいくら負けるかを計算してくれます。その損失を受け入れられないなら、ロットを下げると良いですね。

※この記事は、FX攻略.com2020年12月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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